ウラジミル・プーチン露大統領は朝鮮に続いてベトナムを訪問、「包括的戦略的パートナーシップ」を深化させると宣言した。ベトナムでも経済だけでなく軍事的な関係を強化する意向で、言うまでもなくアメリカの支配戦略に対抗することが目的だ。朝鮮にしろベトナムにしろ、ミハイル・ゴルバチョフやボリス・エリツィンの時代に破壊された関係を修復していると言えるだろう。
ロシアが朝鮮にアプローチしたのは2011年のこと。当時の大統領、ドミトリ・メドベージェフがシベリアで朝鮮の最高指導者だった金正日と会談、ソ連時代に朝鮮は110億ドル近くの負債を抱えていたが、その90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案した。朝鮮は資源の宝庫で、ロシアにとって魅力的な国である。
ベトナムと朝鮮はアメリカにとって中国を侵略するための橋頭堡になりうる国でもあり、ロシアや中国にとっては防衛上、重要な意味を持つ国である。今回の歴訪でプーチン大統領がアメリカの覇権主義と戦っていると述べたのは本音だろう。
シティとウォール街、つまり米英金融資本が帝国主義の総本山であることは今も変わらない。ロシアや中国はその金融資本を打ち破らなければならないのだが、その金融資本はウクライナでロシアに敗北した。ガザでパレスチナ人を虐殺しているイスラエルも米英金融資本と緊密な関係にあるが、イスラエルは泥沼にはまりこんだ。
金融資本の手先でもあるネオコンがソ連消滅後の1992年に始めた世界制覇計画はロシアを属国にしたという前提で始まったのだが、21世紀に入ってロシアは再独立に成功している。つまり世界制覇計画の前提が崩れているわけで、この計画を進められる状況ではなくなっている。
追い詰められた米英金融資本はウクライナで核兵器を使う準備を進めているが、朝鮮ではロシアがICBM(大陸間弾道ミサイル)を含む高性能ミサイルを渡したという見方がある。
それに対し、日本も核攻撃の準備を進めているようだ。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカ軍は東アジアにおける軍事戦略の一環としてGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしている。その計画はアメリカ国防総省系シンクタンク 「RANDコーポレーション」が発表した報告書 に書かれていた。
その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島に作り、23年には石垣島でも完成させたが、こうした軍事施設の建設はアメリカの戦略に基づいているのだ。
日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。
極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。
政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられている が、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。
日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている 。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。
アメリカの置かれた状況が急速に悪化、こうした当初の計画では間に合わないと判断され、トマホークを日本に購入させることにし、10月4日に木原稔防衛相はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。つまり、そのようにアメリカで命令されたわけだ。
当初の計画では2026年度から最新型を400機だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルとされている。
つまり、日本も中国、ロシア、朝鮮の攻撃目標になっているはずだ。
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【Sakurai’s Substack】