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2024.10.05
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 10月1日から総理大臣を務めている石破茂はアジア版NATOの創設やアメリカの核兵器の共同運用などを掲げた。日本はアメリカ、オーストラリア、インドとクワド(日米豪印戦略対話)を構成、9月21日にはこの4カ国はアメリカのデラウェアで首脳会談を開いたが、​ インドは石破のアジア版NATO構想には賛同しないと語っている ​。

 NATO(北大西洋条約機構)の事務総長だったイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言しているので石破の発言が突飛だとは言えないのだが、ユーラシア大陸の東部でもアメリカを中心とする世界秩序から離れ始める国が増えていることを考えると石破発言は不適切だったと言える。

 それに対し、ロシア国家安全保障会議の議長を務めていたニコライ・パトロシェフはAUKUSについて、中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘している。アメリカ政府はそうした主張を認めなくないだろう。アメリカの好戦派、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は昨年、ワシントンはインド太平洋地域にNATOを創設するつもりはないと述べている。

 NATO(北大西洋条約機構)は1949年に誕生した。創設時の参加国はアメリカとカナダの北米2カ国に加え、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクの欧州10カ国。その目的について初代事務総長のヘイスティング・ライオネル・イスメイはソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることのあると公言している。イスメイはウィンストン・チャーチルの側近で、ソ連を敵視していた。

 一般的にNATOはソ連の軍事侵攻に備えるために組織されたとされているが、実際はヨーロッパをアメリカの支配下に置くことが目的。そのための地下組織も作られている。

 ドイツは1941年6月にソ連へ攻め込む。バルバロッサ作戦だ。西側から攻められることをアドルフ・ヒトラーは考えていなかったようで、この作戦でドイツ軍は戦力の4分の3を投入する。10月頃にイスメイはヒトラーと同様、モスクワは3週間以内に陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015)

 ところがドイツ軍は苦戦、1942年8月から43年2月にかけて行われたスターリングラードの戦いで主力が降伏してドイツの敗北は決定的になる。そこでアメリカとイギリスは1943年1月にカサブランカ会談を行ない、善後策を協議した。そして7月にシチリア島上陸作戦、そして1944年6月にはノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)を実行、ソ連に対抗した。ノルマンディー上陸作戦でドイツが敗北したという印象はハリウッドによって作られたにすぎない。

 西部戦線でもドイツ軍と戦っていたグループも存在する。レジスタンスだが、ウォール街やシティにとって問題だったのは、レジスタンスの主力がコミュニストだということだ。そこでイギリスとアメリカの情報機関はジェドバラというゲリラ部隊を編成した。

 戦後、この部隊が中心になってアメリカの破壊工作機関OPCやNATOの秘密部隊が作られた。その秘密部隊は全てのNATO加盟国に設置、米英情報機関の下、連携して活動している。各国政府の指揮下にはないということである。中でも有名な部隊はイタリアのグラディオ。1960年代から80年代にかけて爆弾テロを繰り返し、クーデターも計画した。フランス大統領の暗殺未遂やアメリカ大統領の暗殺にジェドバラの人脈は関係していたと疑われている。今ではロシアとの直接的な軍事衝突を主張している。石破はこうした仕組みを東アジアにも作ろうと考えているのだろうか?

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【​ Sakurai’s Substack ​】






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最終更新日  2024.10.05 00:36:56


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