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2026.04.20
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 イランとアメリカは4月17日にレバノンにおける停戦で合意したが、翌日にドナルド・トランプ米大統領は交渉が100%完了するまでイランの全港を封鎖すると発言、それに対してイランはアメリカによるイランの港湾封鎖を解除するまでホルムズ海峡を閉鎖しつづけ、アメリカ側の姿勢によっては紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖する可能性を示唆した。レバノンにおける停戦合意が成立した直後、トランプ大統領はイランを激怒させる発言をしたのだ。

 そもそもトランプにイランとの交渉で問題を解決する意思があったとは思えない。イランが戦争を終結させる条件として求めている項目は一貫している。

 トランプ政権がこうした項目を呑まないかぎり、イラン政府は合意しない。イランはアメリカがウクライナなどで行ってきた手口を理解している。交渉による解決が可能であるように思い込ませ、停戦を実現、その間に次の軍事作戦を始める準備をするのだ。アメリカにとって停戦は時間稼ぎに過ぎない。そうした展開にならないような要求をイランはしている。

 こうしたことはアメリカ側も理解していたはず。つまり両国が協議しても戦争を終結させることができないことをトランプ政権は承知していた。パキスタンのイスラマバードで開かれた会議は外交努力をしているように見せる演出にすぎない。実際、その間、アメリカ軍は西アジアにおける戦力を増強していた。

 そうした中、イランのアッバス・アラグチ外相は「レバノンでの停戦合意に基づき、イランの港湾海事機構が既に発表した調整ルートに従い、停戦期間中は全ての商船のホルムズ海峡の航行を完全に開放する」とX(ツイッター)で発表したが、これはイランが求めていたことを否定しているように見えた。これは中国外務省の意向を反映していると考える人もいる。

 しかし、本ブログでも書いてきたように、イラン議会の国家安全保障委員会で委員長を務めるイブラヒム・アジジによると、イランへ通行料を納め、軍参謀本部の許可を得た商船のみが指定された航路を通過することが認められるだけ。イラン側はトランプ大統領のメッセージを否定していた。イラン側交渉団のメンバーであるマフムード・ナバビアン議員もトランプ大統領による海峡の完全開放宣言を拒否、イランのタスニム通信はアラグチ外相の投稿を非難した。

 アメリカやイスラエルは交渉が順調に進んでいるかのように装い、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む多くの要人を殺害してきたが、マスード・ペゼシュキアン大統領と同じように、アラグチ外相は生き延びた人物だ。

 ホルムズ海峡の封鎖は石油、天然ガス、尿素、ヘリウムなどの供給が止まり、世界的なサプライチェーンの混乱を招き、相場が高騰する。エネルギー資源の影響は言うまでもなく、尿素の供給不足は農業に大きな悪影響を及ぼし、ヘリウム不足は半導体製造、MRIスキャナー、光ファイバー、溶接、航空宇宙産業などにとっても大きなマイナス要因だ。

 特に東アジアが大きなダメージを受け、中国や日本も例外ではない。中国は同盟関係にあるロシアから相当量のエネルギー資源を入手できるが、日本はアメリカからの圧力でロシアとの関係を悪化させてきた。日本は安全保障上、致命的な間違いを犯したと言える。

 戦争が終結しても回復までに長い年月が必要だ。ホルムズ海峡を通らず、サウジアラビア経由でイスラエルのハイファまで運ぶという案もあるが、昨年6月の戦闘でイランはハイファ港を攻撃、使うことは困難だろう。それだけでなくペルシャ湾岸にある製油所、貯蔵タンク、パイプライン、油田、ガス田、それらに関連する施設がイランに攻撃されている。今後、戦闘が再開されれば被害は拡大する。








 イランによる海峡封鎖だけでなく、国際的な保険市場の問題もある。戦争の激化に伴って保険料が急騰、さらに保険契約が解除されるという事態になった。保険契約を結ばずにタンカーが運行されるということは通常ない。

 イランでは2025年10月にアヤンデ銀行が破綻した後、小口預金者が抗議のためにデモを始め、同年12月28日にはアメリカ政府がイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、反政府デモを煽った。こ

 その上で、経済状況に抗議していたデモに潜入していたアメリカやイスラエルを含む国々の情報機関のメンバー、あるいはその協力者はデモを暴力的なものへ変化させ、銃撃を始めている。

 トランプ大統領は今年4月5日、FOXニュースに対し、「ワシントンは1月のイランでの抗議活動中、イランのクルド系反体制派グループに武器を供与した」と認めているが、これは2011年春のリビアやシリアでのジハード傭兵による軍事侵略、14年2月にキエフでバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターでも同じことが行われた。デモの最中に数人の狙撃兵が屋上からデモ参加者や警官隊の双方に向けて発砲、両陣営は互いを殺人者とみなすようになり、「内戦」に発展するというシナリオ。これをCIAは「ドッグファイト」戦略と呼ぶ。

 イランの場合、デモをコントロールするため、トランプ政権は約5万台のスターリンク端末をイランに密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関からイランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、指示していたのだが、イラン政府はスターリンクを遮断することに成功して事態は沈静化した。

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【​ 櫻井ジャーナル(note) ​】






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最終更新日  2026.04.20 00:00:09


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