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アメリカの有力メディアは支配層の宣伝機関にすぎない。そうした機関のひとつであるワシントン・ポスト紙が10月23日、ウクライナのSBU(安全保障庁)やGUR(国防省情報総局)がロシアに対する破壊工作や暗殺工作を実行している事実を伝えた。以前から知られていたことだが、それをネオコンの宣伝機関が認めたことを注目する人がいる。 8月にはワシントン・ポスト紙と同じ宣伝機関のニューヨーク・タイムズ紙が昨年2月24日から今年8月までに約50万人のウクライナ兵が戦死したと伝えている。ウクライナ軍は勝っていると「大本営発表」を続けていたが、ロシア軍が勝っていることを認めざるをえなくなったということだ。10月に入るとベン・ウォレス元英国防相がレグラフ紙でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、ウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。 これは、ウクライナでアメリカ/NATOがロシアに負けたことを意味するのだが、それはジョー・バイデン政権にとって認められない事実。武器弾薬や資金を投入し続け、戦争を続けなければならないのだが、アメリカ/NATO軍の兵器庫は空になり、兵隊になるウクライナの若者がいなくなりつつある。 武器弾薬の供給と資金援助が途絶えればキエフ政権は崩壊する。そこでバイデン政権はウクライナに対する240億ドルの追加支援を承認するように求めていたが、バイデン政権と強調していたケビン・マッカーシー下院議長が10月3日に解任され、ホワイトハウスにとって状況は悪化していた。追加支援が認められないと、ウクライナへ提供する資金は11月に底とつくと言われていた。そして10月7日、ハマスの戦闘員がイスラエルを陸海空から奇襲攻撃したのだ。 ハマスがイスラエル、特にベンヤミン・ネタニヤフ首相と関係が深いことは本ブログでも書いた。奇襲攻撃の不自然さも少なからぬ人が指摘している。そしてガザの虐殺が始まったのだ。ネタニヤフ政権はガザからパレスチナ人を消し去ろうとしている。ガザからパレスチナ人がいなくなれば、ガザ沖の天然ガス田はイスラエルのものだ。その先には「大イスラエル」がある。 ガザの虐殺を利用してバイデン政権は戦費を調達しようとしている。ウクライナ、ガザ、台湾で戦争するため、バイデン大統領は1050億ドルを要求しているのだ。すでにウクライナではロシアと戦っているが、ガザや台湾で戦争を始めれば、中国とも戦争状態に入る。ロシアとの戦いはさらに激しいものになる可能性が高い。 バイデン政権はハマスの攻撃を利用して「世界大戦」を始めようとしている。そうした意味で、ハマスの奇襲攻撃は「イスラエルの9/11」だと言えるだろう。 アメリカの支配層は第2次世界大戦後、大衆の心理を操作するためのプロジェクトを始めた。「モッキンバード」である。1983年1月にはロナルド・レーガン大統領がNSDD11に署名、「プロジェクト・デモクラシー」や「プロジェクト・トゥルース」がスタートした。「デモクラシー」という看板を掲げながら民主主義を破壊し、「トゥルース」という看板を掲げながら偽情報を流し始めたのである。1990年代に入るとメディアだけでなく広告会社の役割が増大、さらにハリウッドを利用したイメージの刷り込みも強化されていく。 そうした情報戦の中心にいる有力メディアがバイデン政権と距離を置き始めた。同政権が正気でないと考えているのかもしれないが、敗北を認めることは破滅を意味すると考えているはずのネオコンは狂気の政策を続けざるをえないのだろう。日本のマスコミは今でもその狂気の政策に従っているようだ。
2023.10.25
日本では低メリット高リスクの「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を打ち続けている。9月20日には新たな接種キャンペーンが始まったが、多い人は7回目。使用されるオミクロン株派生型「XBB」系統に対応するものを使っている。 この薬品には「ワクチン」というタグが付けられているが、実態は遺伝子操作薬。人類史上、初めて使うタイプだ。その新薬を動物実験をろくにせず、全人類を対象に打とうとしたのだが、世界的に見ると、昨年春から打つ国はほとんどなくなった。日本は例外だ。 これまで以上に「XBBワクチン」は危ないと言われているが、それ以上に危険な薬を日本人に打つ計画がある。「レプリコン(自己増殖型)ワクチン」だ。これは一種の「人工ウイルス」にほかならず、危険な「病原体」だとも言えるだろう。薬を接種していない人にも感染する可能性があると少なからぬ専門家が危険性を指摘している。 福島県南相馬市にMeiji Seikaファルマは武田薬品系のアルカリスと共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設、そこでアルカリスが開発したレプリコン・ワクチン「ARCT-154」を作る計画だという。すでに、日本における製造販売承認を申請したと発表されている。アルカリスはアークトゥルスとアクセリードが共同で設立したmRNA医薬品CDMO(医薬品受託製造)会社。アクセリードは武田薬品の湘南研究所が2017年にスピンオフしてできた。 武田薬品には世界の医薬品利権で重要な役割を果たしてきた人物が関係している。「グローバル・ワクチン・ビジネス・ユニット」で「プレジデント」を務め、今年3月に退職したラジーブ・ベンカヤだ。 ベンカヤはジョージ・W・ブッシュが大統領だった2002年から03年にかけての時期にホワイトハウス・フェローを務め、バイオ防衛担当ディレクターを経て大統領特別補佐官およびバイオ防衛担当シニアディレクターとして活動、バイオ・テロリズム研究グループを率いていた。ホワイトハウス時代、ベンカヤはフランシス・タウンゼント国土安全保障担当補佐官の直属で、その時、ロックダウンを考え出したという。 ホワイトハウスを離れたベンカヤはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でグローバル・ヘルス・プログラムのワクチン・デリバリー・ディレクターを務め、2011年には武田薬品のグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットを率いることになった。 その一方、Gavi(ワクチンアライアンス)の理事を務め、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やIAVI(国際エイズワクチン推進構想)の理事会メンバー。CFR(外交問題評議会)の終身会員でもある。ちなみに、Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された団体。活動資金はWHO(世界保健機関)、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。 WEFやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のほか、ウェルカム・トラストなどによって作られたCEPIは「将来の『疾病X』の発生は避けられない」と予測し、将来のウイルス侵入に対する永遠の警戒を呼びかけている。ウェルカム・トラストの理事長だったジェレミー・ファラーは現在、WHOの主任科学者だ。 ウェルカム・トラストは2020年5月、ウェルカム・リープなる会社を創設しているが、そのCEOに選ばれたレジーナ・デューガンはアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)で長官を務めた人物だ。 アメリカの国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発をしていた。同国に建設されたDTRA(国防脅威削減局)の研究施設は約30カ所。こうした研究開発にはアメリカの民主党、国防総省、そしてCDC(疾病予防管理センター)を含む政府機関が関係している。 研究開発の資金はアメリカの予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサーだ。 そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係している。 このシステムは生物兵器の研究開発だけでなく、医薬品メーカーは安全基準を回避して利益率を上げるためにウクライナの研究施設を利用しているともいう。 ファイザーやモデルナといった医薬品会社やエコヘルス同盟が関係していることからウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)にも関係しているという疑いが生じた。 こうした情報はロシア軍が昨年2月24日に巡航ミサイルなどでウクライナを攻撃してから明らかになった。ロシア軍は航空基地やレーダー施設だけでなく生物化学兵器の研究開発施設も破壊、秘密文書やサンプルを回収しているようだ。 ウクライナでアメリカ国防総省による生物兵器の研究開発は2005年8月にウクライナの保健省とアメリカの国防総省が結んだ協力協定に基づいて進められた。その建前は生物兵器の開発に使用される可能性のある技術、病原体、知識の流通防止だ。この協定により、オデッサ、シンフェロポリ、ヴィニツィア、リヴィウ、キエフを含む都市の研究所が改築されたり建設された。 ウクライナ以外ではアゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアなどでも研究開発施設が建設されている。 COVID-19騒動の幕開きは2019年12月、中国の湖北省武漢の病院でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見されたところから始まるが、その武漢にある病毒研究所はアメリカ政府の資金を受け取り、技術の提供を受けていた。 同研究所の石正麗はアメリカのノースカロライナ大学でラルフ・バリク教授の下でコロナウイルスについて研究、2015年11月にはSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルスのものに取り替えることに成功している。 バリクはコウモリのコロナウイルスを他の種を攻撃するように操作する技術を開発、それを教わった石は中国へ戻ってから武漢の研究所で人間の細胞を攻撃するコロナウイルスの研究を始めた。 石は研究費をNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から「エコヘルス連合」のピーター・ダスザクを介して受け取っているが、NIAIDはNIH(国立衛生研究所)の下部機関で、アンソニー・ファウチが所長を務めていた。エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)にアドバイスする立場にある。 中国で伝染病対策の責任者を務めている疾病預防控制中心の高福主任は2020年1月22日、国務院新聞弁公室で開かれた記者会見の席上、武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したとする見方を示し、この仮説を有力メディアは世界へ拡げた。 この高福は1991年にオックスフォード大学へ留学して94年に博士号を取得、99年から2001年までハーバード大学で研究していた人物。その後04年までオックスフォード大学で教えている。また、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。 現在、ウクライナでアメリカ/NATOの軍や情報機関はロシア軍に敗北、生物兵器の研究開発は以前のようにはできなくなり、国外へ施設を移している。中国では武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見された後、対策を指揮したのは高福でなく中国軍の陳薇だった。両国ともアメリカの影響力が低下しているはずだ。 そうした中、日本で遺伝子操作薬が接種され続け、薬品の生産工場が建設された。日本は周囲を海に囲まれた国であり、危険な病原体の研究開発を行いやすいと言える。
2023.10.24
イスラエルは白リン弾を含む兵器でガザを攻撃、建物は破壊されて瓦礫の山になり、血まみれになった死傷者の映像がインターネットを通じて世界へ発信されている。犠牲者が地下施設に避難しているハマスのメンバーでないことをベンヤミン・ネタニヤフ政権は理解しているはずだ。 イスラエルのヨアブ・ギャラント国防相は10月9日、ガザの完全閉鎖を命じ、「電気も食料も燃料もなくなる。我々は人間獣と戦っているのだ」と宣言した。戦っている相手を「ハマス」と解釈している人もいるようだが、実態は市民。その約半数は子どもである。 欧米のエリートもそうした実態を熟知しているはずだが、そのうえでイスラエル支持を打ち出している。そうしたひとりがイギリス労働党のキア・スターマー党首だ。 イギリスの労働党は1982年9月にイスラエル軍の支援を受けたファランジスト党がレバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラでパレスチナ難民を虐殺してから親パレスチナへ切り替わった。 そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議し、米英エリート層を一体化させるために組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)だ。 このプロジェクトでは宣伝が重視されたようで、有力メディアの記者や編集者が参加している。そこでBAPに関する情報はあまり流れなかった。 そうした中、政治家の中で目をつけられたのがトニー・ブレアにほかならない。1994年1月に彼は妻のチェリー・ブースと一緒にイスラエル政府の招待で同国を訪問、帰国して2カ月後にロンドンのイスラエル大使館で開かれたパーティーに出席した。その時に全権公使だったギデオン・メイアーから紹介されたマイケル・レビーはその後、ブレアの重要なスポンサーになった。 そのブレアが労働党の党首になるチャンスが訪れる。当時の労働党党首、ジョン・スミスが1994年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になったのである。 レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。そのブレアは「ニューレーバー」の看板を掲げ、「ゆりかごから墓場まで」という歴史的な労働党の路線を放棄した。外交面では「親パレスチナ」に傾いていた労働党を再び「親イスラエル」に戻した。 1997年5月に首相となったブレアの政策は国内でマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義を推進、国外では親イスラエル的で好戦的なものだった。 こうしたブレアのネオコン的な政策への反発に後押しされて2015年9月から党首を務めめることになったのがジェレミー・コービン。アメリカやイギリスの情報機関もコービンを引きずり下ろそうと必死になり、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと批判された。 コービンに対する攻撃には偽情報も使っているが、その重要な発信源のひとつが2015年に創設されたインテグリティ・イニシアチブ。イギリス外務省が資金を出している。「偽情報から民主主義を守る」としているが、その実態は偽情報を発信するプロパガンダ機関だ。 そして2020年4月4日、労働党の党首はキア・スターマーに交代。彼はイスラエルに接近、自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるという。労働党はブレアの路線へ戻り、今回のイスラエルによるガザ攻撃でもイスラエル支持を明確にしている。 こうした日米欧エリート層の結託を揺るがしているのが、瓦礫の山と化した街や血まみれのガザ市民を移した映像。エリート層が都合の悪い映像を検閲、削除しているが、それでも事実はインターネットを通じて伝えられる。 そこで、改めて指摘されているのがウクライナにおける西側のプロパガンダ。ウクライナではアメリカ/NATOの支援を受けたネオ・ナチの住民虐殺はガザと同じように世界へ発信されたが、有力メディアが盛んに宣伝してきたロシア軍の蛮行を裏付ける映像はガザの場合と違い、見当たらない。ガザではウクライナのネオ・ナチより酷いことが行われている。 アメリカは1980年代からプロパガンダを重視するようになった。その始まりはロナルド・レーガン大統領が1983年1月に署名したNSDD11だ。そして「プロジェクト・デモクラシー」や「プロジェクト・トゥルース」がスタートした。「デモクラシー」という看板を掲げながら民主主義を破壊し、「トゥルース」という看板を掲げながら偽情報を流し始めたのである。 石油利権をめぐる対立からクウェートへイラクが軍事侵攻した後、イラクを攻撃する下地造りとして、1990年10月にアメリカ議会では人権に関する議員集会が開かれた。 その集まりにひとりのクウェート人少女「ナイラ」が登場、イラク軍の冷酷な行為を告発してサダム・フセインに対する憎悪をかき立て、イラクに対するアメリカの軍事侵攻につながる。 彼女はイラク軍が病院から医療機器を盗み、その際に保育器から乳児が外へ出され、乳児は死んでいったと涙ながらには語っているのだが、この話は真っ赤の嘘だった。 その少女は駐米クウェート大使だったサウド・ビン・ナシル・アル・サバーの娘で、イラク軍がクウェートに軍事侵攻した状況を知る立場にはなかった。つまり目撃していないクウェートでの出来事を迫真の演技で話したわけだ。この演技力のある少女を使った偽証の演出を担当したのは広告会社、ヒル・アンド・ノートン。クウェート政府が1190万ドルで雇ったという。 その後、広告会社や有力メディアはタッグを組み、米英支配層のためにプロパガンダを進めていく。例えば、ユーゴスラビアを先制攻撃する際にも、2001年9月11日の世界貿易センターやアメリカ国防総省に対する攻撃にも、2011年にシリアやリビアを攻撃する際にも、2014年にウクライナでクーデターを実行する際にもプロパガンダは強力に推進された。
2023.10.23
2020年5月25日にミネソタ州ミネアポリスで警察官に取り押さえられたジョージ・フロイドが死亡した。取り押さえた警察官、デレク・ショウベンは殺人で起訴され、4月20日に有罪が言い渡されている。地面に押さえつけられたことによる心肺停止が死因で、殺人だと判断されたのだが、この取り押さえ方はイスラエルの治安機関の手法と同じだ。 アムネスティ・インターナショナルによると、メリーランド州、フロリダ州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、カリフォルニア州、アリゾナ州、コネティカット州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、ノースカロライナ州、ジョージア州、ワシントン州、そしてワシントンDCの警察がイスラエルの治安機関から訓練を受けているのだが、ミネソタ州の警官もイスラエルの訓練を受けていたという。アメリカは治安対策をイスラエルのパレスチナ人弾圧に学んできた。その弾圧システムを彼らは世界に広げようとしている。 1948年5月14日にイスラエルの建国が宣言されてからパレスチナ人弾圧は続いているが、その前になかったわけではない。シオニストは1936年から39年にかけて行われたパレスチナ人殲滅作戦を展開、1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動させてデイル・ヤシン村を襲撃、見せしめとして村民を虐殺、そこに住んでいたアラブ系住民を追い出すことに成功した。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩はイギリス外相だったアーサー・バルフォアが1917年11月2日にウォルター・ロスチャイルドへ出した書簡だが、建国の大きな目的のひとつはスエズ運河の安定的な支配だったと考えられている。運河によって地中海と紅海を感染が行き来できることはイギリスの戦略上、重要だった。そのためにイギリスは先住のアラブ系住民(パレスチナ人)を弾圧する一方、ユダヤ人の入植を進めたのだ。 1920年代に入るとパレスチナでアラブ系住民の反発が強まり、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用することになった。 この組織はRIC(アイルランド王立警察)を支援、IRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立された。隊員の多くは第1次世界大戦に従軍した後に失業した元イギリス兵だ。違法な殺人、放火、略奪など残虐さで有名になった。イギリス政府はその働きを評価、パレスチナへ投入、そこでアイルランドと同じことを行うことになる。 ドイツでナチスが実権を握ると、シオニストはドイツのユダヤ人に目を付ける。そしてシオニストはナチス政権との間でユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることで合意した。「ハーバラ合意」だ。 シオニストは「ユダヤ人弾圧」によってユダヤ系の人びとをパレスチナへ向かわせることができると考えたようだが、ユダヤ教徒の多数派はパレスチナへ移住しない。1938年11月にドイツではナチスがユダヤ系住民を襲撃、多くの人が殺され、収容所へ入られ始めるが、それ以降もユダヤ教徒はパレスチナでなく、アメリカやオーストラリアへ逃れた。 シティを拠点にするイギリスの支配層がロシア制圧を目指し、南コーカサスや中央アジア戦争を始めたのは19世紀。いわゆる「グレート・ゲーム」だ。これを進化させ、理論化したのがイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるという戦略である。 この戦略を可能にしたのは1869年のスエズ運河完成、75年にはイギリスが経営権を手に入れた。運河を買収した人物はベンジャミン・ディズレーリだが、買収資金を提供したのはライオネル・ド・ロスチャイルドである。イギリスは1882年に運河地帯を占領し、軍事基地化している。世界戦略上、スエズ運河はそれだけ重要だった。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡するが、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドはテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめている。この富豪の孫がエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルド。 中東で石油が発見されると、イギリスとフランスはその利権を手に入れようとする。そして1916年に両国は協定を結ぶ。フランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコとイギリスのマーク・サイクスが中心的な役割を果たしたことからサイクス-ピコ協定と呼ばれている。その結果、トルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをフランスが、ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスがそれぞれ支配することになっていた。 協定が結ばれた翌月にイギリスはオスマン帝国を分解するためにアラブ人の反乱を支援。工作の中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局で、そこにサイクスやトーマス・ローレンスもいた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのローレンスにほかならない。 この支配システムは今も生きている。
2023.10.22
10月7日にハマス(イスラム抵抗運動)がイスラエルを奇襲攻撃した数時間後、アメリカ政府は2隻の空母、ジェラルド・R・フォードとドワイト・D・アイゼンハワーを含む空母打撃群を地中海東部へ移動させた。レバノンにいるヒズボラ、あるいはイランの軍事介入を牽制することが目的だとされているが、それほど早く艦隊を移動できたのは事前に攻撃を知っていたからではないかと考える人もいる。 ハマスの創設にイスラエルが深く関係していることは広く知られている事実で、シーモア・ハーシュも書いているように、ベンヤミン・ネタニヤフは首相に返り咲いた2009年、PLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのためネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたと言われている。 こうした過去を知っている人は少なくない。ガザにおける民間人に対するあらゆる違法な暴力を非難、停戦を求める決議案をロシアが国連の安全保障理事会へ提出、10月16日に採決されたが、否決された。アメリカ、イギリス、フランス、日本はハマスを名指しで非難していないとして反対したのだ。 その16日、イギリスでは元ウズベキスタン駐在イギリス大使のクレイグ・マーリーが逮捕された。パレスチナの抵抗運動を支持したことが「テロ防止法」に接触するというのだ。フランスではパレスチナ支持のデモが禁止された。 しかし、世界的に見るとイスラエルに対する目は厳しく、言うまでもなく、イスラム世界では特にそうした傾向が強い。ジョー・バイデン米大統領がイスラエルを訪問した10月18日、バイデンの側近はパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長とバイデン大統領との電話会談を計画したが、アッバス側から拒否されたという。21日に自治政府は電話会談に応じたというが、すでにアメリカの手先になっているアッバスとしては、18日の電話会談拒否が精一杯の抵抗だったのだろう。 18日にバイデン大統領はアッバス議長のほか、エジプトのアブデル・ファッター・ア-シシ大統領やヨルダンのアブドラ2世と会談する予定だったが、ヨルダンはガザのアル・アフリ・アラブ病院が10月17日に爆破された後に会談をキャンセルしたと伝えられている。 ウクライナでロシアのウラジミル・プーチン政権に負けたバイデン政権としては、その敗北から人々の目を逸らさせる役割を果たすハマスによる攻撃はありがたかったかもしれないが、欧米のイスラエル支持はグローバル・サウスの反発を強め、アメリカを中心とする支配システムの崩壊を加速させる可能性がある。 こうした状況を懸念する声はアメリカの支配層内でも増えているようで、アメリカの有力メディアにもガザの窮状を無視するバイデン政権の姿勢を批判するようになってきた。バイデン政権はガザでも行き詰まっている。 和平を恐れるバイデン政権としてはウクラナでNATOを前面に出して戦争をエスカレートさせるか、東アジアで軍事的な緊張をさらに高める可能性もある。
2023.10.21
イスラエルのギラド・エルダン国連大使は10月8日、国連安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、ヨアブ・ギャラント国防相はガザを完全包囲するように命じたと語った。ギャラントによるとパレスチナ人は「人間獣」、つまり人間ではない。躊躇なく殺せるということだろう。彼らにとって病院に対する爆撃は問題なく、「人道的支援」は受け入れ難いはずだ。 今から50年前の1973年9月11日、チリで軍事クーデターがあった。1970年の選挙で勝利、大統領に就任したサルバドール・アジェンデはアメリカによる帝国主義的な支配に反対していた政治家で、アメリカの巨大資本から敵視されていた。 その意向を受け、巨大資本の代理人であるヘンリー・キッシンジャーが動く。当時、国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めていたキッシンジャーはアジェンデを排除するための工作をCIAの破壊工作部門に命じた。そして実行されたのがオーグスト・ピノチェトによる軍事クーデターだ。 これが最初の9/11だが、勿論、エルダン大使が口にした9/11は2001年9月11日の出来事。この日、ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃があったのだ。 攻撃の直後、ジョージ・W・ブッシュ政権は詳しい調査をしないまま「アル・カイダ」が実行したと断定、その「アル・カイダ」を指揮しているオサマ・ビン・ラディンを匿っているという口実でアフガニスタンへの攻撃を始めた。 その一方、アメリカ国内では「愛国者法」が制定され、基本的人権を報奨した憲法の条項を無力化させ、収容所化を進めた。この法律は340ページを超す文書だが、それを議会は提出されて1週間で承認。つまり議員の大半は内容を読まずに賛成している。 ブッシュ政権はアフガニスタンだけでなくイラクへ軍事侵攻する計画を立てる。CIAは2002年に対イラク工作を開始、その年の11月に中東全域のCIA支局長がロンドンのアメリカ大使館に集められ、IOG(イラク作戦グループ)から対イラク戦争は決定済みであり、嫌なら辞めろと脅されたという。(James Risen, “State of War,” Free Press, 2006) イラクへの先制攻撃を正当化するため、コリン・パウエル国務長官は大量破壊兵器に関する偽情報を国連で宣伝している。パウエルは2003年2月、国連でサダム・フセイン政権が間違いなく生物兵器を開発、生産能力もあると発言しているのだ。 パウエルの次官だったシャルロット・ビアーズは「マディソン街の女王」と呼ばれる人物で、大手広告会社の会長兼CEOを務めていた。彼女の手法は単純化と浅薄化。イメージが問題なのであり、詳しく丁寧には説明しない。イラクへの先制攻撃をアメリカ政府は「イラクの自由作戦」と命名したが、これもビアーズのアドバイスに従ってのことだという。ブッシュ大統領が「この戦争は平和のため」と発言したのも彼女のアドバイスによる。(Alexander Cockburn & Jeffrey St. Clair, “End Times”, CounterPunch, 2007) イラクへの軍事侵攻は1991年、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが口にしている。ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン政権を倒し、親イスラエル体制を樹立させ、シリアとイランを分断、個別撃破する計画を立てていた。 9/11から10日ほど後、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見ている。そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランが載っていたという。(3月、10月) アメリカ主導軍がイラクを先制攻撃したのは2003年3月20日早朝のこと。作戦に参加したのは事前にクウェートへ送り込まれていたアメリカ軍兵士24万8000人、イギリス軍兵士4万5000人、オーストラリア軍兵士2000人、ポーランドの特殊部隊GROMの隊員194名、そしてクルドの武装集団ペシュメルガから7万人だという。なお、GROMはアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースとイギリスのSAS(特殊空挺部隊)が1990年代に組織、訓練した軍事組織だ。 イラクに軍事侵攻したアメリカ主導軍は破壊と殺戮を繰り広げ、捕虜に対する拷問も明らかになっている。戦争で死亡したイラク人の数を西側は小さく見積もっているが、100万人程度にはなっている可能性がある。 例えば、アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から06年7月までに約65万人のイラク人が殺されたとされている。またイギリスのORBは2007年夏までに94万6000名から112万人、NGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたとしている。 ウクライナの政治家オレグ・ツァロフは昨年2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出し、キエフ政権の軍や親衛隊はこの地域を制圧、自分たちに従わない住民を「浄化」しようとしていると警鐘を鳴らしている。ドンバスを制圧し、キエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」、CIAの下部機関と化しているSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ロシア軍がウクライナ側で回収した文書によると、ゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に攻撃の指令書へ署名している。2月中には攻撃の準備が終わり、3月に作戦を実行することになっていたという。 ドンバスで住民が大量虐殺された場合、ロシア軍が介入してくる可能性が高い。アメリカ/NATO/ウクライナは2014年から8年かけてドンバス周辺にに要塞線を築いていた。ネオ・ナチを中心に編成されたアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリ、あるいは岩塩の採掘場があるソレダルにはソ連時代に建設された地下施設、つまり地下要塞が存在している。地下要塞は全長200キロメートルだという。その要塞線の中へロシア軍を誘い込んで足止めし、その間に別の部隊がクリミアを攻撃するというプランだったと推測する人もいる。 しかし、ロシア軍はウクライナ軍が動く直前の2022年2月24日にミサイル攻撃を開始、ウクライナ側の航空基地、レーダー施設、生物化学兵器の研究開発施設などを破壊したほか、ドンバスに対する大規模な攻撃を始めるために集結していたウクライナの軍や親衛隊などを壊滅させている。この段階でウクライナ軍はロシア軍に負けていたのだ。その後も戦闘が続いているのはアメリカ/NATOの命令のため。武器弾薬や資金を提供する一方、ウクライナ人に玉砕攻撃させている。 ガザで虐殺を行なわれた場合、以前とは違い、イスラム諸国が軍事介入する可能性がある。そうなると中東は戦乱で燃え上がるが、それを利用して「大イスラエル」を実現しようと考えているかもしれない。
2023.10.20
ガザのアル・アフリ・アラブ病院が10月17日に爆破され、500名以上の患者や避難民が殺されたと伝えられている。その後の報道では700名以上だという。 現地に入っている西側の記者もイスラエルによる攻撃だった可能性が高いとしているのだが、イスラエルはパレスチナ側の誤爆だと主張。ハマスの通信を傍受した会話と称する音声も公表されたが、方言の分析などから信憑性はないようだ。その信憑性のない話をイスラエル訪問中のジョー・バイデン米大統領は受け入れた。 イスラエル側がハマスの通信を傍受しているという主張に苦笑する人は少なくない。通信を傍受できるのなら10月7日のハマスによるイスラエルに対する奇襲攻撃はなかったはずだからだ。 病院を攻撃したのはイスラエル軍だということになると、誤爆だったのか意図的なのかという問題が生じる。意図的だったとするなら目的は何かということになるが、イスラエル建国の前からシオニストはパレスチナからアラブ系住民を殺害、あるいは追放しようとしてきた。民族浄化だ。アメリカでヨーロッパからの移民が行い、ウクライナではネオ・ナチがロシア系住民に対して行っている。 ウクライナでネオ・ナチ軍は学校や病院を軍事拠点にし、そこからドンバスの反クーデター派住民を攻撃していた。その学校や病院をロシア軍は攻撃したが、その際、そこに一般市民はいないことを慎重に確認している。 アル・アフリ・アラブ病院に武器弾薬がなかったことは攻撃後に二次爆発がなかったことから確実だと言われている。イスラエル軍は病院がハマスの軍事拠点になっているかどうかを確認できていない。 病院が爆撃される前日、国連の安全保障理事会ではロシアが提出した決議案が否決された。この決議案はガザにおける民間人に対するあらゆる違法な暴力を非難、停戦を求めているが、アメリカ、イギリス、フランス、日本はハマスを名指しで非難していないとして反対している。 この4カ国はイスラエルによるパレスチナ人弾圧は容認しているわけだが、ハマスを作り出したのはイスラエルである。イスラム世界には日米英仏の4カ国がイスラエルに病院爆撃を許したと考える人もいる。 ハマスは1987年12月、シーク・アーメド・ヤシンによって創設された。ヤシンはムスリム同胞団の一員としてパレスチナで活動していた人物で、ガザにおける同胞団の責任者。シン・ベト(イスラエルの治安機関)の監視下、彼はムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を1973年に創設、76年にはイスラム協会を設立、77年の選挙で軍事強硬派のリクードが勝利するとイスラエル政府はイスラム協会を人道的団体として承認した。ハマスはイスラム協会の軍事部門だ。 シーモア・ハーシュによると、前回、つまり2009年に返り咲いた時、ベンヤミン・ネタニヤフはPLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。 イスラエルの中でも特にハマスとの関係が深いネタニヤフは汚職事件で窮地に陥っていた。今回のハマスによる攻撃でとりあえず窮地を脱することができた。彼は早期の停戦を望んでいないだろう。 イスラエルがハマスを作った理由はヤセル・アラファトが率いるPLO(パレスチナ解放機構)のファタハを弱体化させることにあった。アラファトのライバルを育て、内部対立させることで運動を弱体化させようとしたのだ。 しかし、イスラエルは2004年3月にヤシンを暗殺、その年の11月にアラファトも死亡した。アラファトも殺された可能性が高い。アラファトの死でPLOの影響力は大きく低下、イスラエルにとってハマスの存在意義は薄らいだはずだが、2009年にネタニヤフはハマスを使った。つまり関係は切れていない。 イスラエル軍はGBU-43/Bを使う可能性があるが、それが使われなくてもガザで住民の虐殺が続いた場合、ヒズボラが介入する可能性が高まる。イスラエル軍の地上部隊が2006年7月から9月にかけてレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北している。その際、イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車も破壊されてメルカバ神話が崩れ去った。 ハマスはガザに地下施設を建設、イスラエル軍の侵攻を待ち受けているが、ヒズボラは精密誘導ミサイルを含む約15万発のロケット弾やミサイルを保有、イスラエルのどこでも攻撃できる。しかも戦闘慣れした数千人の兵士が存在、様々な種類の軍事用ドローンを保有している。 イランがハマスを支援しているという話は眉唾物だが、ヒズボラとは関係が深い。
2023.10.19
厚生労働省は9月20日から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と名付けられた遺伝子操作薬の追加接種を始めた。多い人は7回目になるが、接種者数は増えていないようだ。 この新薬は人間の細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させ、抗体を作るという理屈になっているのだが、このスパイク・タンパク質が病気の原因になる。 そこで人間の免疫システムは細胞を病気の原因だと認識して攻撃、炎症を引き起こす。そのまま放置すると非接種者を死に至らしめる可能性があり、そうした炎症を免疫の低下が抑えなければならない。 新薬にはそうした仕組みもあり、人間もそうした反応をする。いわばAIDS状態にするわけで、VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めた。接種が始まる前からADE(抗体依存性感染増強)も懸念されていた。 そのほか、DNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入といった問題も指摘されている。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性があり、人類の存続を危うくしかねないのだ。 このように新薬は人間に害をなす。これは意図的なものである可能性が高いのだが、誰が計画したのだろうか? 日本では東アジアの国の名前を聞くが、公開された文書の分析で、計画の中心にはアメリカの国防総省が存在していると指摘されている。医薬品メーカーはその手先だということだ。国防総省の背後には米英の私的権力が存在している可能性が高い。 医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワの分析によると、国防総省はバラク・オバマ大統領の時代から「COVID-19ワクチン」の接種計画を開始、高度な管理を実施、製薬メーカーに劇場型パフォーマンスを注文したという。その契約により、製薬会社はすべての責任を免除されている。日本を含むアメリカに従属している国々は、この契約に拘束されているのだろう。
2023.10.18
パレスチナの抵抗運動を支持したとして、元ウズベキスタン駐在イギリス大使のクレイグ・マーリーは10月16日に「テロ防止法」に違反したとして逮捕された。アイスランドでパレスチナ人を支持する抗議活動に参加、イギリスへ戻って来たところだった。 現在のイギリス首相、リシ・スナックはハマスに協力した者に「責任を取らされる」と宣言、イスラエル政権への支持を誓っている。ウクライナに対するのと同じように、イギリス政府はイスラエルを軍事支援する用意があるともしている。 イスラエルが建国されてからイギリスの労働党はイスラエルを支持していたが、そうした政治的な立場を大きく変える出来事が1982年9月に引き起こされた。レバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラでパレスチナ難民が虐殺されたのだ。 キリスト教マロン派系のファランジスト党のメンバーが虐殺したのだが、その黒幕はイスラエルだった。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧し、PLOは追い出されてしまう。 ファランジスト/イスラエルは死体を持ち去ったり爆弾を仕掛けるなど隠蔽工作を行ったこともあり、正確な犠牲者数は不明だが、数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。 この虐殺の序章は1981年6月30日にイスラエルで行われた選挙。春の段階では労働党がリクードを引き離していたが、6月7日に実行されたイラクのオシラク原子炉爆撃で形勢は逆転した。この爆撃でリクードの支持率は一気に上昇、選挙で勝利している。 7月に入るとベイルートにあったPLOのビルをイスラエル軍は空爆、国連のブライアン・アークハート事務次長の説得で停戦する。イスラエル側は戦争を継続するだけの準備ができていなかった。 1982年1月にアリエル・シャロン国防相はベイルートを極秘訪問し、キリスト教勢力と会談、レバノンにイスラエルが軍事侵攻した際の段取りを決める。その2週間後にはペルシャ湾岸産油国の国防相が秘密裏に会合を開き、イスラエルがレバノンへ軍事侵攻してもアラブ諸国は軍事行動をとらず、石油などでアメリカに敵対的なことを行わないと言う内容のメッセージをアメリカへ送った。 6月3日に3名のパレスチナ人がイギリス駐在のイスラエル大使、シュロモ・アルゴブの暗殺を試みたが、この3名に暗殺を命令したのはアラファトと対立していたアブ・ニダル派。 イスラエル人ジャーナリストのロネン・ベルグマンによると、暗殺を命令したのはイラクの情報機関を率いていたバルザン・アッティクリーティだという(Ronen Bergman, “Rise and Kill First,” Random House, 2018)が、この組織には相当数のイスラエルのエージェントが潜入していて、暗殺の目標を決めたのもそうしたエージェントだったともされている。この事件を口実にしてイスラエルは6月6日にレバノンへ軍事侵攻、1万数千名の市民が殺された。(Alan Hart, “Zionism: Volume Three,” World Focus Publishing, 2005) アメリカ政府の仲裁で停戦が実現、8月21日にイスラエル軍が撤退、PLOも撤退を始めて9月1日には完了、12日には国際監視軍も引き揚げる。その直後、9月14日にファランジスト党のバシール・ジェマイエル党首が爆殺された。レバノンへの軍事侵攻を目論んでいたシャロンにとって好都合な出来事。その報復だとして同党のメンバーがイスラエル軍の支援を受けながらサブラとシャティーラ、両キャンプを襲撃したわけだ。 この虐殺はイスラエルに対する批判を強めることになり、EUを中心にBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)が展開される。歴史的に親イスラエルだったイギリスの労働党でもイスラエルに対する批判が強まり、党の方針が親パレスチナへ変更された。 そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)である。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが組織の目的で、特徴のひとつは少なからぬメディアの記者や編集者が参加したことだ。 そうした中、目をつけられたのがトニー・ブレア。1975年に大学を卒業した直後に彼は労働党へ入り、1983年の選挙で下院議員に選ばれている。その後、影の雇用大臣を経て1992年には影の内務大臣に指名された。 その彼が妻のチェリー・ブースとともにイスラエル政府の招待で同国を訪問したのが1994年1月。帰国して2カ月後にブレアはロンドンのイスラエル大使館で開かれたパーティーに出席しているが、その時に全権公使だったギデオン・メイアーからマイケル・レビーを紹介されている。その後、レビーはブレアの重要なスポンサーになった。 そのブレアが労働党の党首になるチャンスが訪れる。当時の労働党党首、ジョン・スミスが1994年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になったのである。 レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。そのブレアは「ニューレーバー」の看板を掲げ、「ゆりかごから墓場まで」という歴史的な労働党の路線を放棄した。外交面では「親パレスチナ」に傾いていた労働党を再び「親イスラエル」に戻した。 1997年5月に首相となったブレアの政策は国内でマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義を推進、国外では親イスラエル的で好戦的なものだった。後にブレアはイラクへの先制攻撃を正当化するため、偽文書を作成している。 ブレアはジェイコブ・ロスチャイルドやエブリン・ロベルト・デ・ロスチャイルドと親しいが、首相を辞めた後、JPモルガンやチューリッヒ・インターナショナルから報酬を得るようになる。 こうしたブレアのネオコン的な政策への反発に後押しされて2015年9月から党首を務めめることになったのがジェレミー・コービン。アメリカやイギリスの情報機関もコービンを引きずり下ろそうと必死になり、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと批判された。イギリスの支配システムは親パレスチナを許さない。 コービンに対する攻撃には偽情報も使っているが、その重要な発信源のひとつが2015年に創設されたインテグリティ・イニシアチブ。イギリス外務省が資金を出している。「偽情報から民主主義を守る」としているが、その実態は偽情報を発信するプロパガンダ機関だ。 そして2020年4月4日、労働党の党首はキア・スターマーに交代。彼はイスラエルに接近、自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるという。労働党はブレアの路線へ戻った。 そもそもイスラエル建国にはイギリスの富豪が深く関係している。 イギリスの支配層は19世紀からロシア制圧を目指し、南コーカサスや中央アジア戦争を始めている。いわゆる「グレート・ゲーム」だ。これを進化させ、理論化したのがイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるという戦略だ。 この戦略を可能にしたのは1869年のスエズ運河完成、75年にはイギリスが経営権を手に入れた。運河を買収した人物はベンジャミン・ディズレーリだが、買収資金を提供したのはライオネル・ド・ロスチャイルドである。イギリスは1882年に運河地帯を占領し、軍事基地化している。世界戦略上、スエズ運河はそれだけ重要だった。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡するが、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドはテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめている。この富豪の孫がエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドだ。 中東で石油が発見されると、イギリスとフランスはその利権を手に入れようとする。そして1916年に両国は協定を結ぶ。フランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコとイギリスのマーク・サイクスが中心的な役割を果たしたことからサイクス-ピコ協定と呼ばれている。その結果、トルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをフランスが、ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスがそれぞれ支配することになっていた。 協定が結ばれた翌月にイギリスはオスマン帝国を分解するためにアラブ人の反乱を支援。工作の中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局で、そこにサイクスやトーマス・ローレンスもいた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのローレンスだ。
2023.10.18
ハマス(イスラム抵抗運動)が10月7日にイスラエルを陸海空から奇襲攻撃、イスラエルはガザに対する激しい攻撃を開始した。イスラエル軍はハマスへの報復と言いながらパレスチナの市民を虐殺している。イギリスやフランスでもイスラエルを批判する抗議活動が展開され、フランスではパレスチナ支持のデモが禁止された。イスラム世界ではイスラエルへの怒りが高まり、ガザで地上戦が始まったなら、怒りが燃え上がると見られている。 ハマスは1987年12月、シーク・アーメド・ヤシンによって創設された。ヤシンはムスリム同胞団の一員としてパレスチナで活動していた人物で、ガザにおける同胞団の責任者。シン・ベト(イスラエルの治安機関)の監視下、彼はムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を1973年に創設、76年にはイスラム協会を設立している。 シーモア・ハーシュによると、前回、つまり2009年に返り咲いた時、ベンヤミン・ネタニヤフはPLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのため、ネタニヤフはカタールと協定を結び、カタールは協定に基づいてハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。 こうした経緯があるため、今回のハマスによる攻撃はネタニヤフの偽旗作戦ではないかと推測する人も少なくない。ウクライナでロシアに敗北したアメリカ/NATOも、人びとの目を逸らさせる必要があった。 ウクライナがロシアに敗北したのは昨年2月末のことである。ドンバスに対する大規模な軍事作戦を始めようとしていたウクライナ軍をロシア軍は昨年2月24日にミサイルで攻撃した。ドンバス周辺に集まっていた部隊を一気に叩いたほか、ウクライナ側の航空基地やレーダー施設、あるいは生物兵器の研究開発施設を破壊しているのだ。その直後、イスラエルの首相だったナフタリ・ベネットを仲介役とする停戦交渉が始まり、停戦はほぼ合意に達した。 3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけた。ベネットはその足でドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフがウクライナの治安機関SBUのメンバーに射殺されたのはその3月5日だ。その後、トルコを仲介役とする停戦交渉も行われ、仮調印まで漕ぎ着けている。 4月9日にはイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州のビタリー・キム知事は「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と国民を脅し、4月30日になるとナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪れ、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めたのだ。 この後、ロシアの戦闘相手はアメリカ/NATOになったのだが、この戦闘もロシアが勝った。「ウクライナが勝っている」というプロパガンダを続けていた西側の有力メディアも今年に入り、ウクライナの敗北を認める報道を始めた。ニューヨーク・タイムズ紙は今年8月、記事の中で約50万人のウクライナ兵が戦死したと書いている。この数字はほぼ正しいと見られている。なお、ロシア側の推計戦死者はその1割、つまり5万人程度だ。 ベン・ウォレス前英国防相は今年10月1日、テレグラフ紙でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると書いている。そのうえでウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。つまり学徒動員、あるいは少年兵の投入を求めている。 膨大な兵器や資金を投入してきたジョー・バイデン政権に対する批判はアメリカ国内でも高まってきた。これまで「戦意高揚」を目的とするプロパガンダを続けてきたメディアとしても都合の悪い状況だ。もっとも、それでも平然と嘘をついているマスコミも存在するようだが。 バイデンにとってもネタニヤフにとっても、個人的にはハマスが始めた戦争で助かるだろうが、イスラエルに対する批判は高まっている。イスラエル建国以来、パレスチナ人が歩まされた苦難の道を世界の人びとは知っている。今回の戦闘でもパレスチナの周辺にイスラム世界だけでなく、ロシア、中国、あるいは「グローバル・サウス」が集まりつつある。アメリカに従ったヨーロッパや日本は厳しい状況に陥った。 ジョージ・H・W・ブッシュ政権は1991年1月、イラクを攻撃した。アメリカ政府の罠に引っかかり、サダム・フセイン政権はクウェートへ軍事侵攻、その報復という名目だった。 ネオコンはそのままフセイン体制を破壊するつもりだったが、イラクをペルシャ湾岸産油国の防波堤と考えていたブッシュ大統領はフセインを排除しないまま停戦、ネオコンは激怒した。ブッシュが再選されなかった理由のひとつはここにある。 その年の5月に国防総省を訪れたウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツから、シリア、イラン、イラクを5年から10年で殲滅すると聞かされたという。2001年9月11日から10日ほど後に統合参謀本部で攻撃予定国のリストが存在していたともいう。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていた。(3月、10月) ソ連が消滅した1991年12月頃にはアメリカの外交や軍事はネオコンが主導権を握り、旧ソ連圏の解体工作をはじめ、ユーゴスラビアを軍事攻撃する。ソ連消滅後、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考え、ロシアや中国にも簡単に勝てると思い込んでいた。 フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載された論文はそうした心情を表している。キアー・リーバーとダリル・プレスはその論文の中で、アメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てるとしている。 日米欧のエリートたちは今でもそう考えているかもしれないが、2008年8月、ジョージア軍は南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で惨敗している。ジョージアの背後にはイスラエルとアメリカが存在、イスラエルは2001年からジョージアへ武器/兵器を含む軍事物資を提供し、将兵を訓練している。アメリカの傭兵会社も教官を派遣していた。奇襲攻撃が行われる前の月にアメリカの国務長官だったコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問している。 その後、シリアでロシア軍は戦闘能力の高さ、兵器の優秀さを世界に示したが、それでもアメリカ/NATO軍はロシア軍を軽く見ていた。その見方はウクライナでも変化していない。そして窮地に陥ったのだ。
2023.10.17
イスラエル軍は悪天候を理由にしてガザへの地上部隊投入を延期すると伝えられている。地上戦が容易でないことはイスラエルも熟知しているはずだ。 2006年7月から9月にかけてイスラエル軍の地上部隊がレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北、イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車も破壊されている。ガザにいるハマスとヒズボラでは戦力が違うものの、ハマスは地下に軍事施設を建設、イスラエル軍の侵攻に備えているはずだ。そこで空からの攻撃が主体にならざるをえない。 地下施設を破壊するため、イスラエル軍はGBU-43/Bを使う可能性がある。この爆弾をアメリカ軍は2017年4月にアフガニスタンでダーイッシュの司令部と思われる場所に投下したという。 強制収容所のような地域に押し込められ、殺されているパレスチナ人を「国際社会」はこれまで助けようとしなかった。イスラム世界の中にもパレスチナ人を見捨てた国がある。そのパレスチナ人を今回の戦闘は表に出した。 イスラエル軍はヒズボラに対する攻撃も行ったが、そのヒズボラと関係の深いイランもガザへの攻撃を止めるよう呼びかけている。イランの外相はすでにイラク、シリア、レバノンを訪問し、ヒズボラの指導者サイエド・ハッサン・ナスラッラーやレバノンの高官と会談、戦争を踏まえた「起こりうる結果」と「とるべき立場」について話し合ったとされている。イスラエルの要請もあり、ハマスに資金を提供してきたカタールもイラン外相は訪問、そこでハマスのイスマイル・ハニェと会ったも伝えられている。 ヒズボラが戦闘に参加した場合、イスラエルやアメリカはさらに厳しい状況に陥る。この戦闘組織は精密誘導ミサイルを含む約15万発のロケット弾やミサイルを保有、イスラエルのどこでも攻撃できる。また数千人の戦闘慣れした兵士が存在、様々な種類の軍事用ドローンを保有している。ビズボラはレバノンを拠点にしているが、そのレバノンの外相もパレスチナ人との連帯を表明した。 イスラエル軍の地上部隊がガザへ軍事侵攻した場合、ビズボラが戦闘に参加し、イスラエルも戦場になる可能性がある。ガザでの戦闘が続いた場合、イランは軍事介入すると国連を通じてイスラエルに伝えたとも報道されている。 パレスチナからアラブ人を追い出すことをシオニストはイスラエルを「建国」する前から計画していたはずだが、完全には追い出すことができず、戦争を仕掛けて領土を拡大してきた。 今回はガザから約100万人のアラブ系住民を追い出し、難民にするつもりのようだが、そのひとつの理由は地中海東部、エジプトからギリシャにかけての海域で見つかった天然ガス田だろう。この海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ガザ沖の天然ガスを手に入れるためにはガザを乗っ取らなければならない。 イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年。ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。 ここで採掘される天然ガスや石油のマーケットはヨーロッパが想定される。その強力なライバルになるはずだったロシア産の天然ガスはウクライナでのクーデター、そしてノードストリームとノードストリーム2の爆破で排除された。 イスラエル軍によるガザへの攻撃を止めるため、ロシア軍がイスラエルを海上封鎖する可能性もあるのだが、その前にアメリカ軍はガザ沖に空母ジェラルド・R・フォードを中心とする艦隊を派遣した。さらに空母ドワイト・D・アイゼンハワーを中心とする艦隊もガザ沖に向かわせている。
2023.10.16
イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設した。その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査している。アメリカでは1891年にウィリアム・ブラックストーンなる人物がユダヤ人をパレスチナに送り出そうという運動を展開し、ベンジャミン・ハリソン米大統領に働きかけていた。 エルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻り、イスラエルを建国しようという運動はシオニズムと呼ばれている。この用語はウィーン生まれのナータン・ビルンバウムが1864年に初めて使ったという。そして1896年にセオドール・ヘルツルが『ユダヤ人国家』という本を出版した。 彼らはユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えているが、現在のイスラエルにもそう主張している人たちがいて、その計画は「大イスラエル構想」と呼ばれている。この構想はプロテスタントが言い始めたのだとも言われている。 ロシアでは1903年8月、内務大臣だったビャチェスラフ・フォン・プレーベは近代シオニズムの創設者と言われているセオドール・ヘルツルと会談している。その際、ヘルツルはプレーベに対し、パレスチナにユダヤ人の植民地にすることをトルコ政府に認めさせるよう求めた。 イギリスの支配層は19世紀にロシア制圧を目指し、南コーカサスや中央アジア戦争を始めている。いわゆる「グレート・ゲーム」だ。これを進化させ、理論化したのがイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるという戦略だ。 この戦略を可能にしたのは1869年のスエズ運河完成、75年にはイギリスが経営権を手に入れた。運河を買収した人物はベンジャミン・ディズレーリだが、買収資金を提供したのはライオネル・ド・ロスチャイルドである。イギリスは1882年に運河地帯を占領し、軍事基地化している。世界戦略上、スエズ運河はそれだけ重要だった。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡するが、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドはテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめている。この富豪の孫がエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドだ。 中東で石油が発見されると、イギリスとフランスはその利権を手に入れようとする。そして1916年に両国は協定を結ぶ。フランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコとイギリスのマーク・サイクスが中心的な役割を果たしたことからサイクス-ピコ協定と呼ばれている。その結果、トルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをフランスが、ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスがそれぞれ支配することになっていた。 協定が結ばれた翌月にイギリスはオスマン帝国を分解するためにアラブ人の反乱を支援。工作の中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局で、そこにサイクスやトーマス・ローレンスもいた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのローレンスだ。 ローレンスが接触していたフセイン・イブン・アリにイギリスのエジプト駐在弁務官だったヘンリー・マクマホンは書簡を出し、その中でイギリスはアラブ人居住地の独立を支持すると約束している。フセイン・マクマホン協定だ。このイブン・アリを追い出したイブン・サウドを中心として1932年に作られた国がサウジアラビアにほかならない。 その一方、イギリスのアーサー・バルフォア外相はロスチャイルド卿に宛てに出した書簡の中で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。1917年11月のこと。なお、この書簡を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだと言われている。 イギリスは1919年、石油利権を手に入れるためにペルシャを保護国にし、その2年後に陸軍の将校だったレザー・ハーンがテヘランを占領する。そして1925年にカージャール朝を廃して「レザー・シャー・パーレビ」を名乗るようになった。 イスラエルやサウジアラビアはイギリスの地政学的戦略や石油利権にとって重要。「ユダヤ人の国」としてイスラエルの建国が宣言されたのは1948年5月のことだ。 第2次世界大戦中、ドイツではユダヤ人弾圧があり、多くの人が国外へ脱出したが、多くはアメリカやオーストラリアへ向かい、パレスチナを目指した人は少なかった。ヨーロッパの生活様式に慣れた人びとが中東へ向かいたがるはずはなかったのだ。シオニストの思惑は外れた。そこでイラクなどに住むユダヤ教徒をターゲットにしたテロをシオニストは実行、パレスチナへ集めている。 イスラエル建国計画には欧米の富豪が資金を出していた。特に有名な人物はエドモン・アドルフ・ド・ロスチャイルドやアブラハム・フェインバーグだ。こうした人々はイスラエルの核兵器開発も支援していた。(Will Banyan, “The ‘Rothschild connection’”, Lobster 63, Summer 2012) フェインバーグはアメリカン・バンク・アンド・トラストの会長を務め、アメリカ民主党の重要な資金提供者だった。その一方、熱心なシオニストで武装組織ハガナのエージェントだったとも言われている。ハガナは後にイスラエル軍の中核になる。(Jonathan Marshall, “Dark Quadrant,” Rowman & Littlefield, 2021) こうした富豪を後ろ盾とするシオニストは1948年4月4日にパレスチナ人殲滅作戦を始める。「ダーレット作戦」だ。パレスチナに住むアラブ系住民を殺し、恐怖で追い出したのだ。そして同年5月にイスラエルの建国が宣言された。それ以降、パレスチナ人は苦難の道を歩まされることになる。「国際社会」は彼らに救いの手を差し伸べない。
2023.10.15
ロシアのウラジミル・プーチン大統領はキルギスでの記者会見で、イスラエルのガザに対する攻撃を第二次世界大戦におけるドイツ軍のレニングラード封鎖に準え、「容認できない」と非難した。「レニングラード包囲戦」の際、プーチンの2歳になる兄が死んでいる。 この包囲戦は1941年9月から44年1月にかけて行われ、アドルフ・ヒトラーはレニングラード市民を餓死させると宣言していた。その包囲戦で死亡したり行方不明になったソ連人は100万人を超したとも言われている。 イスラエルのヨアブ・ギャラント国防相はガザの「完全包囲」を命じたと語った。「電気も、食料も、燃料も、何もかもが封鎖される」としている。レニングラードのような兵糧攻めを行うという宣言だ。 兵糧攻めは最も残虐な戦術だと言われているが、イスラエルは化学兵器の一種である白リン弾も使っている。そうしたことを「正当化」するため、ギャラントはパレスチナ人を「人間獣」だと表現した。ベンヤミン・ネタニヤフ政府は完全にナチス化している。 そうしたイスラエルの攻撃を支援するため、アメリカのジョー・バイデン政権はガザ沖に空母ジェラルド・R・フォード、巡洋艦ノルマンディー、駆逐艦トーマス・ハドナー、ラマージュ、カーニー、ルーズベルトを派遣することを決定した。イギリス政府もイスラエルを支援するため、地中海東部に哨戒機、偵察機、艦船2隻を派遣すると発表した。海上封鎖が目的だ。 今回の軍事衝突をプーチン大統領はドイツ軍のレニングラード封鎖に準えた。世界は勿論、アメリカ国内でも孤立しつつあるジョー・バイデン政権のネオコンは計画を実現するために強行突破を図るしかない。2001年9月11日の直前と似た状況だ。 イスラエルの国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官はハマスの攻撃について「9/11の10回分に相当する」と主張した。 ジョージ・W・ブッシュ政権のネオコンは9/11を利用して国内の収容所化を一気に進め、国外では侵略戦争を本格化させたが、ブッシュ政権の戦略は2000年にPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)が発表した『アメリカ国防の再構築』という報告書に基づいている。その報告書がベースにしたのは1992年2月に国防総省の「DPG(国防計画指針)草案」という形でネオコンが作成した世界制覇計画、通称「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。
2023.10.14
ハマス(イスラム抵抗運動)は10月7日にイスラエルを奇襲攻撃した際、イスラエル市民に対して残虐な行為を働いたとIDF(イスラエル国防軍)やイスラエル外務省は主張した。その中には40人の「赤ん坊」を殺害し、数人の首をはねるということも含まれているという。 アメリカのジョセフ・バイデン大統領は10月10日、ホワイトハウスにおけるユダヤ教の指導者たちに対する演説で赤ん坊に対する残忍な行為を描いた写真にショックを受けたと主張したのだが、後に撤回した。IDFも「公式には確認できない」としている。バイデンは幻影を見たのだろうか? 赤ん坊をの首をはねたとする話の発信源はIDFのデイビッド・ベン・シオン。この人物が記者に語り、その偽情報をバイデンたちが広げたという。このベン・シオンはヨルダン川西岸の違法入植者の指導者で、今年初めにはヨルダン川西岸でパレスチナ人に対する暴動を扇動したと伝えられている。今年2月、彼はパレスチナのフワラ村を一掃するように呼びかけていた。「慈悲の余地はない」のだという。 ベン・シオンのような狂信的なシオニストはイスラム世界を挑発していた。たとえば今年4月1日、イスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺する。4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクに突入、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/今年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、そしてユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。 ユダヤ教徒の一部はアル・アクサ・モスクを破壊し、「第3神殿」を建設するべきだと主張している。こうした狂信的シオニストに対するイスラムの怒りが高まっていることは間違いないが、ハマスには別の要素も考慮する必要がある。 すでに本ブログでも書いたが、ハマスは1987年12月にシーク・アーメド・ヤシンらによって創設された。ヤシンはムスリム同胞団の一員としてパレスチナで活動していた人物で、ガザにおける同胞団の責任者に選ばれている。シン・ベト(イスラエルの治安機関)の監視下、彼はムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を1973年に創設、76年にはイスラム協会を設立し、このイスラム協会の軍事部門として87年に登場してくるのがハマスである。 PLO(パレスチナ解放機構)の中心的な組織、ファタハ(パレスチナ民族解放運動)を率いるヤセル・アラファト対策のためにイスラエルはハマスを創設した。アラファトのライバルを育て、内部対立させることで運動を弱体化させようとしたわけだ。 アラファトはノルウェーのオスロでイスラエルのイツハク・ラビン政権と秘密裏に交渉、1993年9月に両者はワシントンDCで「暫定自治原則宣言」(オスロ合意)に署名したが、クリントンはスキャンダル攻勢でホワイトハウスにおける影響力が低下、95年11月にラビンが暗殺されてしまう。 ラビン暗殺から5年後、リクードのアリエル・シャロン党首が数百名の警察官を従えてエルサレムの神殿の丘を訪問、和平の雰囲気は吹き飛んでしまう。2004年11月にアラファトが死亡、PLOの影響力は大きく低下する。アラファトが死ぬ8カ月前、ヤシンはイスラエルに暗殺されていた。 死亡直後からアラファトの死に疑問を持つ人は少なくなかった。自然死ではなく殺されたのではないかという疑惑だ。その疑惑をアル・ジャジーラが9カ月に渡って調査、アラファトが死の直前まで健康だったことを確認した。しかも彼の衣類や歯ブラシなどから放射性物質のポロニウム210が検出されたという。そこで、遺体の調査を求める声が出ている。 イスラエルの現首相であるベンヤミン・ネタニヤフはオスロ合意に反対している。ネタニヤフは1996年6月から99年7月、そして09年3月から21年6月にも首相を務めた。今回は2022年12月からだ。 シーモア・ハーシュによると、前回、つまり2009年に返り咲いた時、ネタニヤフはハマスにパレスチナを支配させようとした。そのためにカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。イスラエルが作った「フランケンシュタイン」をネタニヤフは再始動させようとしたと言えるかもしれない。 今回のハマスによる攻撃についてIDFの広報官などはISIS(ダーイッシュ)のようだと表現している。ダーイッシュは2014年8月にジェームズ・フォーリーの首を切る映像を公開、残虐さを演出していた。 バラク・オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させ、2011年春にはアル・カイダ系武装集団を使ってリビアやシリアに対する軍事侵略を始めた。その武将集団の中心はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)だ。 リビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。その際、アル・カイダ系武装集団とNATO軍の連携が明らかになり、反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている。なお、その象徴的な存在だったオサマ・ビン・ラディンは2011年5月、アメリカ海軍の特殊部隊によって殺害されたとされている。 この後、オバマ政権は戦闘員や兵器をシリアへ集中させるのだが、アメリカ軍の上層部にはこれを危険だと考える軍人がいた。2012年8月にはアメリカ軍の情報機関DIAがオバマ政権のシリアでの政策を危険だとする報告書をホワイトハウスへ提出している。その時のDIA局長がマイケル・フリンだ。その政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。 その警告は2014年に現実化する。ダーイッシュの登場だ。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧されたが、その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードが行われている。その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。フォーリーの首を切る映像をダーイッシュが公開した2014年8月、フリン中将は退役させられてしまう。 フォーリーの首を切るところだとされる映像はフェイクだと指摘されている。首の前で6回ほどナイフは動いているものの、血が噴き出さず、実際に切っているようには見えないのだ。そうしたこともあり、フォーリーの斬首映像はシリア領内を空爆する口実作りだと推測する人もいる。 2015年になるとオバマ大統領はホワイトハウスを好戦的な陣容に替える。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代しているのだ。 デンプシーが議長から退いたのは2015年9月25日。その5日後にロシア軍がシリア政府の要請で軍事介入し、戦況は一変した。その後、ロシア軍は兵器と戦闘能力の優秀さを世界へ見せつけることになる。ここからアメリカが没落するスピードは加速していく。
2023.10.14
すでに「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の危険性は明白になっている。その「mRNAワクチンの開発を可能にした塩基部修飾ヌクレオチドに関する発見」したBioNTechのカタリン・カリコとペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン教授に「ノーベル生理学医学賞」が授与されるそうだ。 しかし、大多数の国は危険性を認識、2022年以降、接種しなくなった。世界の潮流に逆らい、その「ワクチン」を接種させようとしているのが日本だ。政治家、官僚、マスコミなどは流れに逆らっている。「なりゆくいきほい」に逆らわない傾向が強い日本人としては珍しい。 「権威」に弱いという特徴もある日本人だが、「COVID-19ワクチン」の危険性を認識する人は増えているようで、接種者数は減っている。接種すると体調が悪くなり、感染を予防できないどころか、さまざまな病気に感染しやすくなることに気づき始めたのかもしれない。 ところで、「mRNAワクチン」の実態は遺伝子操作薬であり、ワクチンではない。人間の細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させ、抗体を作るという理屈になっているが、このスパイク・タンパク質が病気の原因になるのだ。 そのため、人間の免疫システムは細胞を病気の原因だと認識して攻撃し、炎症を引き起こす。そうした炎症を免疫の低下が抑えている。いわばAIDS状態にするわけで、VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めている。 接種が始まる前から懸念されていたADE(抗体依存性感染増強)も引き起こされているようで、「ワクチン」を接種した後、それまで感染したことのない、さまざまな細菌性の病気にかかることになる。 また、DNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入といった問題も指摘されている。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性があり、人類の存続を危うくしかねない。 COVID-19なる悪霊が世界を徘徊し始めたのは2019年12月。中国湖北省の武漢においてSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったところから始まる。翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかり、人びとを恐怖させることになった。 しかし、その後、「SARSと似た重症の肺炎患者」が街にあふれ、死者が急増するという事態にはなっていない。つまり世界的な感染爆発とは言えない状態なのだが、WHO(世界保健機関)は2020年1月30に緊急事態を宣言、3月11日にパンデミックを宣言した。 パンデミックを宣言できたのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前に定義の変更があったからだ。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られていたのだ。 2020年4月にWHOやアメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、医学的な矛盾がなく明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、COVID-19を死因としてかまわないと通達した。つまり感染者数や死亡者数の水増しが行われたのだ。 安全性が確認されていない遺伝子操作薬の接種が本格的に始まったのは2020年12月下旬。先行したのはイスラエルだが、そのイスラエルで2021年4月に十代の若者を含む人びとの間で心筋炎や心膜炎が増え、問題になる。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)のACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月23日に「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと認め、その2日後にはFDA(食品医薬品局)がmRNA技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表している。心筋炎や心膜炎の問題を否定できなくなったのである。 患者数や死亡者数が水増しするため、医療界へ多額の資金が流れているが、ロシアも例外ではなかった。2022年7月、ロシアのウラジミル・プーチン大統領はユーリ・チカンチン連邦財務監視庁長官と会談、外国の巨大医薬品メーカーからロシアの医療関連機関の幹部へ多額の資金が渡っていることを問題にしている。 法律には違反していないようだが、こうした慣習が医療システムを損なうことは間違いない。医薬品メーカーの利益を優先することは医療機関の利益につながり、適切な治療が行われないこのになる可能性があるからだ。連邦財務監視庁はFSB(連邦安全保障局)と共同で医療世界におけるカネのやりとりを止めさせるために調査を始めたとされていた。 世界的に見ると昨年の春頃から接種者数が激減、唯一接種していた日本でもブレーキがかかったように見える。「COVID-19ワクチン」の需要はなく、生産体制を強化するのは狂気の沙汰だ。医薬品としては先がない。それでも生産工場を建設するのは医薬品以外の目的があるからだと言われても仕方がない。 日本政府は米英私的権力の命令に従い、戦争の準備をしている。
2023.10.13
ウクライナでロシア軍が大規模な軍事作戦を始めた可能性がある。旧ソ連圏諸国を除く国々にガソリンやディーゼルを輸出することをロシア政府が禁止したことから、一部の人はそうした展開を推測していた。 アメリカ/NATOの命令でドンバスへ攻め込もうとしてきたウクライナ軍だが、失敗した。ここにきてロシア軍は進撃を開始、ドニエプル川まで押し戻されそうな雲行きだ。ウクライナ軍の第一防衛線は突破されたという。 キエフのネオ・ナチ軍は6月4日に「反転攻勢」を開始、それに対してロシア軍は「スロビキン防衛線」を構築するなど守りを固め、「バンザイ突撃」を繰り返す敵を殲滅してきた。この防衛線をネオ・ナチ軍は突破できず、8万3千人以上の兵士を戦死させたと言われている。昨年2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めて以来、約50万人のウクライナ兵が戦死したという。 ベン・ウォレス前英国防相はテレグラフ紙への寄稿文の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると認めた。そのうえでウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求しているが、これは動員が免除されている大学の学生や研究員、あるいは年少者を戦闘に投入しろと言っているに等しい。「学徒動員」や「少年兵」だ。 そうした中、10月7日に地中海東岸ではガザを拠点とするハマスの戦闘員がイスラエルを陸海空から奇襲攻撃した。数百人の戦闘員がイスラエル領へ侵入したほか、ガザからイスラエルに向かって5000発以上のロケット弾でテルアビブの北まで攻撃されたという。「アル・アクサの洪水」だ。 今年4月5日、イスラエルの警官隊がイスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクの内部へ突入、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が侵入、イスラエル軍は60歳未満のイスラム礼拝者がモスクへ入ることを禁じている。イスラムに対する冒涜だ。 この攻撃でハマスが使った武器の一部はウクライナ軍から闇市場へ流出したものだという話が流れている。アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給した兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われ、それがハマスの手に渡っても不思議ではない。 ガザで大規模な陸上作戦を開始するというイスラエル軍も武器は必要になる。ハマスはガザ全域に兵力を分散させているが、地下施設も張り巡らされていると言われている。イスラエル軍がガザに突入すると市民の犠牲者は増えるだろうが、ハマスに勝つことは容易でない。 イスラエルにはアメリカ軍の武器弾薬が保管されていて、それをイスラエル軍は使用してきた。そこにある武器弾薬をウクライナへ供給することでイスラエル政府とアメリカ政府は合意していると言われているが、そうなるとイスラエル軍はガザでの戦闘で弾薬不足に陥る可能性が高い。キエフ政権へ渡さなければウクライナ軍の弾薬不足が一層深刻になる。 現段階でも武器弾薬の生産能力でアメリカはロシアより劣っている。そこでイスラエル、韓国、そして日本にまで声をかけているのだ。アメリカ国防総省は自分たちの倉庫から200万発以上の155ミリ砲弾を渡したと言うが、これはロシア軍が生産した砲弾の数分の一にすぎないとされている。 ハマスによる今回の攻撃はイスラエル政府の計算なのかもしれないが、結果が計算通りになるとは限らない。
2023.10.12
10月7日にイスラエルを陸海空から奇襲攻撃したハマス(イスラム抵抗運動)は1987年12月、シーク・アーメド・ヤシンらによって創設された。 もともとヤシンはムスリム同胞団の一員としてパレスチナで活動していた人物で、ガザにおける同胞団の責任者に選ばれている。シン・ベト(イスラエルの治安機関)の監視下、彼はムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を1973年に創設した。1976年にはイスラム協会を設立し、このイスラム協会の軍事部門として1987年に登場してくるのがハマスである。 ムスリム同胞団は1928年、ハッサン・アル・バンナによって創設されているが、その際にスエズ運河会社から資金を提供されたとも言われている。つまり、少なくとも創設当初はイギリスと深い関係にあった可能性がある。 ところで、PLO(パレスチナ解放機構)の中心的な組織だったファタハ(パレスチナ民族解放運動)を率いていたヤセル・アラファトにアメリカやイスラエルは手を焼いていた。そのアラファト対策のためにイスラエルはハマスを創設している。アラファトのライバルを育て、内部対立させることで運動を弱体化させようとしたのだ。そして目をつけたのがヤシン。 ヤシンは2004年3月、イスラエルに殺害されたが、ヤシンが頭角を現す切っ掛けを作ったのはイスラエルである。その年の11月にアラファトも死亡、PLOの影響力は大きく低下する。その後、パレスチナではハマスが主導権を握った。 死亡直後からアラファトの死に疑問を持つ人は少なくなかった。自然死ではなく殺されたのではないかという疑惑だ。その疑惑をアル・ジャジーラが9カ月に渡って調査、アラファトが死の直前まで健康だったことを確認した。しかも彼の衣類や歯ブラシなどから放射性物質のポロニウム210が検出されたという。そこで、遺体の調査を求める声が出ている。 アラファトが登場してくるのは第3次中東戦争の最中。1967年3月から4月にかけてイスラエルはゴラン高原のシリア領へトラクターを入れて土を掘り起こし始め、シリアが威嚇射撃するとイスラエルは装甲板を取り付けたトラクターを持ち出し、シリアは迫撃砲や重火器を使うというようにエスカレート、銃撃戦に発展した。 シリアが農民を銃撃、それを止めるためにゴラン高原を占領したとイスラエルは主張したが、1971年から85年まで国連の事務次長を務めたイギリス人のブライアン・アークハートはそれを否定、シリアが攻撃を始めたわけではないと語っている。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005) エジプトは1967年5月に緊急事態を宣言、2個師団をシナイ半島へ入れてイスラエルとの国境沿いで防衛態勢をとらせた。その直後にイスラエル軍の戦車がシナイ半島の前線地帯に現れたとする報道が流れ、エジプトは予備役10万人に動員令を出す。そしてガマル・ナセル大統領はアカバ湾の封鎖を宣言した。 イスラエルはこの封鎖を「侵略行為」だと主張、アメリカのリンドン・ジョンソン大統領はイスラエルに対して自重するように求めたとされている。 そこでイスラエルの情報機関モサドのメイール・アミート長官がアメリカを訪問、風向きが変わった。帰国したアミート長官はジョンソン大統領が開戦を承諾、イスラエルの撤兵を求めることもないと説明。そして6月5日にイスラエル軍はエジプトに対して空爆を開始、第3次中東戦争が勃発した。この戦争でイスラエル軍はガザ、ヨルダン川西岸、シナイ半島、ゴラン高原を占領している。 この戦争でアラブ諸国の動きは鈍かったのだが、そうした中、果敢に戦ったのがファタハにほかならない。そのスポークス・パーソンだった人物がヤセル・アラファト、後のPLO議長だ。アラブ諸国の民衆はファタハを支持、アラファトの人気も高まっていく。 第3次中東戦争が勃発してから4日後、アメリカは情報収集船の「リバティ」をイスラエルの沖へ派遣した。この時点でイスラエル軍はエジプト軍を粉砕、モシェ・ダヤン国防相はゴラン高原の占領を決めている。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005) イスラエル軍はリバティがアメリカの船だということを確認した後、ミラージュ戦闘機や魚雷艇で攻撃する。イスラエル軍機はまず船の通信設備を破壊したが、これは救援を呼べないようにするためだ。 それに対し、リバティの通信兵は寄せ集めの装置とアンテナで第6艦隊に遭難信号を発信することに成功、それに気づいたイスラエル軍はジャミングで通信を妨害してきた。 遭難信号を受信したとき、第6艦隊の空母サラトガは訓練の最中。甲板にはすぐ離陸できる4機のA1スカイホークがあった。艦長は船首を風上に向けさせて戦闘機を離陸させ、艦隊の司令官に連絡する。司令官は戦闘機の派遣を承認し、もう1隻の空母アメリカにもリバティを守るために戦闘機を向かわせるように命じるのだが、空母アメリカの艦長がすぐに動くことはなかった。 リバティが攻撃されたことはジョンソン大統領へすぐに報告されたのだが、ロバート・マクナマラ国防長官は第6艦隊に対し、戦闘機をすぐに引き返させるようにと叫んでいる。後にマクナマラはソ連軍がリバティを攻撃したと思ったと弁明しているが、当初の筋書きではそうなっていたのかもしれない。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005) ジョンソン政権で秘密工作を統括していた「303委員会」で、1967年4月にフロントレット615という計画が説明されたとされている。リバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するというもので、実際、後にリバティや潜水艦は派遣された。 この計画に含まれるサイアナイド作戦はリバティを沈没させ、その責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけて戦争を始めようとしたという推測がある。この推測が事実なら、トンキン湾事件の再現をジョンソン大統領は狙ったということになり、大統領がイスラエルに対し、戦争を自重するように求めたという話は怪しくなる。 この後、アメリカ政府は関係者に箝口令を敷き、重要な情報を公開していない。イスラエルでは機密文書が公開されるのは50年後と決められている。イスラエルが開戦に踏み切った目的、戦争の実態、リバティを攻撃した本当の理由などを知ることのできる資料が2017年には明らかにされるはずだったが、10年7月にベンヤミン・ネタニヤフ首相は情報公開の時期を20年間遅らせることを決めている。勿論、2037年に公開される保証はない。 第3次中東戦争の結果、約43万9000人の新たなパレスチナ難民がヨルダン川東岸へ移動した。それに対し、国連安全保障理事会は1967年11月に242号決議を採択、交戦状態の終結と難民問題の公正な解決、そして戦争で占領した領土からイスラエル軍は撤退するように求めている。 当時の国務長官、ウィリアム・ロジャーズはこの決議に基づいて解決しようとしたようだが、ヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官はエジプトとイスラエルだけの部分的な和平にとどめようと考えていた。 第3次中東戦争で人気になったファタハ/PLOをアラブ諸国やイスラエルの政府は警戒、1970年9月、ヨルダン軍が国王を無視してPLOに対する攻撃を開始した。いわゆる「黒い9月」の幕開けである。 ヨルダンは軍隊をパレスチナ難民のキャンプに突入させ、翌年にはPLOの戦闘員約5000名をアジュルーンの森で虐殺している。アラファトの家も特定して戦車の砲撃で破壊、ヨルダン軍はこの攻撃でアラファトを殺したと考えたのだが、間一髪のところで避難している。 この攻撃を見てナセルはフセイン国王に対し、国王が軍を掌握できていないのならエジプト軍を介入させ、停戦させると伝える。さらにカイロに集まったアラブの指導者たちはナセルに対し、アンマンへ代表を送る権限を与えたとも付け加えている。 その代表がアンマンに到着するとヨルダン軍の特殊部隊が張り付いて監視、アラファトが現れたら殺そうとする。そこでアラファトと接触した彼は服を交換し、アラファトをアンマン空港へ移動させたという。 カイロに着いたアラファトはフセイン国王と握手、ヨルダンの内戦は終結した。ナセルが心臓発作で急死したのはその翌日のことである。
2023.10.11
ベンヤミン・ネタニヤフがイスラエルの首相に就任したのは昨年12月。その4カ月後にイスラエルの警官隊がイスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクに突入、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら同じモスクへ832人のイスラエル人が侵入した。イスラム教徒に対する強烈な挑発だ。ネタニヤフ首相、そして彼の後ろ盾が新たな戦争を望んでいた可能性は高い。そして10月7日、ハマスがイスラエルを陸海空から奇襲攻撃したわけだ。 アメリカやイスラエルを支配する私的権力にはガザを消滅させたい理由がある。そのひとつはエネルギー資源の問題。イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年だった。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。そのエネルギー資源を売るマーケットとしてヨーロッパが想定されたはずだ。ライバルはロシアということになる。 ネタニヤフ首相にはパレスチナ人を敵視する個人的な問題もある。彼の父親、ベンシオン・ネタニヤフは1910年3月にワルシャワで生まれ、40年にアメリカへ渡った。そこで「修正主義シオニズム」の祖であるウラジミル・ヤボチンスキーの秘書を務めている。その年にジャボチンスキーは死亡、ベンシオンは第2次世界大戦後にコーネル大学などで教鞭を執った。 ヤボチンスキーに接近したひとりにレオ・ストラウスという人物がいる。1899年にドイツの熱心なユダヤ教徒の家庭に生まれ、17歳の頃にヤボチンスキーのシオニスト運動に加わったのだ。このストラウスは後にネオコンの思想的な支柱と言われるようになる。カルガリ大学のジャディア・ドゥルーリー教授に言わせると、ストラウスの思想は一種のエリート独裁主義で、「ユダヤ系ナチ」だ。(Shadia B. Drury, “Leo Strauss and the American Right”, St. Martin’s Press, 1997) ストラウスは1932年にロックフェラー財団の奨学金でフランスへ留学し、中世のユダヤ教徒やイスラム哲学について学ぶ。その後、プラトンやアリストテレスの研究を始めた。(The Boston Globe, May 11, 2003) 1934年にストラウスはイギリスへ、37年にはアメリカへ渡ってコロンビア大学の特別研究員になり、44年にはアメリカの市民権を獲得、49年にはシカゴ大学の教授になった。 ストラウスと並ぶネオコンの支柱とされている人物が、やはりシカゴ大学の教授だったアルバート・ウォルステッター。冷戦時代、同教授はアメリカの専門家はソ連の軍事力を過小評価していると主張、アメリカは軍事力を増強するべきだとしていたが、その判断が間違っていたことはその後、明確になっている。 ヤボチンスキーの系譜に属すネタニヤフ親子やネオコンはユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域を支配しようとしている。「大イスラエル構想」だ。 シオニストは地中海の東岸に「イスラエル」を建国しようとする。この計画に歴史的な裏付けがないだけでなく、そこには多くのアラブ系の人びとが住んでいた。 その住民を排除するため、シオニストは1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動、8日にデイル・ヤーシーン村でアラブ系住民を虐殺している。アラブ人を脅し、追い出そうとしたのだ。この作戦が始まるまでにエルサレム旧市街の周辺へユダヤ人が集中的に移民、人口の3分の2を占めるまでになっていた。この作戦は1936年から39年にかけて行われたパレスチナ人殲滅作戦の詰めだったという見方もある。 ダーレット作戦はハガナ(ユダヤ人の武装グループで、後にイスラエルの国防軍になった)が中心になって実行されたが、その副官を務めていたイェシュルン・シフがエルサレムでイルグンのモルデチャイ・ラーナンとスターン・ギャングのヨシュア・ゼイトラーに会い、ハガナのカステル攻撃に協力できるかと打診している。イルグンとスターン・ギャングは協力することになる。 まず、イルグンとスターン・ギャングはデイル・ヤシンという村を襲うが、この村が選ばれた理由はエルサレムに近く、攻撃しやすかったからだという。村の住民は石切で生活し、男が仕事で村にいない時を狙って攻撃するプランだった。 8日にハガナはエルサレム近郊のカスタルを占領、9日午前4時半にイルグンとスターン・ギャングはデイル・ヤシンを襲撃する。マシンガンの銃撃を合図に攻撃は開始、家から出てきた住民は壁の前に立たされて銃殺され、家の中に隠れていると惨殺、女性は殺される前にレイプされている。 襲撃直後に村へ入った国際赤十字のジャック・ド・レイニエールによると、254名が殺され、そのうち145名が女性、35名は妊婦だった。イギリスの高等弁務官だったアラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されている。ハガナもイルグンとスターン・ギャングを武装解除しようとはしなかった。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) この虐殺を知ったアラブ系住民は逃げ出す。約140万人いたパレスチナ人のうち5月だけで42万3000人がガザ地区やトランスヨルダン(現在のヨルダン)に移住、その後1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人。そして5月14日にイスラエルの建国が宣言された。国際連合は同年12月11日に難民の帰還を認めた194号決議を採択したが、現在に至るまで実現されていない。そして同年5月14日にイスラエルの建国が宣言された。アラブ諸国の軍隊が参戦するのはその翌日からだ。 アメリカのジョン・F・ケネディ大統領は故郷を追われて難民化したパレスチナ人に同情、住んでいた家へ戻り、隣人と平和的に暮らす意思のある難民の帰還を認めた国連決議194号の履行を支持していたのだ(Seymour M. Hersh, “The Samson Option,” Random House, 1991)が、1963年11月22日に暗殺されてしまった。 それに対し、アメリカ、イギリス、フランスなど西側諸国を支配する私的権力はイスラエルを支援してきた。そうした支援がなければイスラエルは存在できない。イスラエルはスエズ運河を守り、中東全域に目を光らせる欧米支配層の前方作戦基地だという見方もある。
2023.10.10
今年に入り、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ人に対する挑発を強めた。すでに本ブログでも書いたように、そのターゲットをイスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクだ。今年4月5日にはイスラエルの警官隊がモスク内へ突入、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が侵入、イスラエル軍は60歳未満のイスラム礼拝者がモスクへ入ることを禁じている。ネタニヤフ首相が新たな戦争を望む目的はあるのだろうか? ハマスの奇襲攻撃をイスラエルの情報機関は察知できず、軍は阻止できなかっただけでもネタニヤフ政権にとっては失態だが、ハマスが使った武器はウクライナ政府が闇市場へ流した一部だという話もある。 アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給した兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われているが、そうした武器の流れをアメリカ側が把握しているとする見方もある。 イスラエルは日本と同じように、アメリカやイギリスのFOB(前方作戦基地)だとする見方がある。日本のミサイル配備計画もこの見方で考える必要がある。 イスラエルと日本はサウジアラビアと同様、イギリスによって作られた。イギリスの戦略を引き継いでいるのがアメリカだ。ネオコンはウクライナもFOBにするつもりだったと言えるだろう。 ネタニヤフ政権の挑発行為はウクライナ情勢と関係があるという見方もできる。ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒してネオ・ナチ体制を樹立した。天然資源や耕作地を抑え、EUとロシアを結びつけていたパイプラインをコントロールしようとしたのだが、EUは弱体化したものの、ロシアは中国に接近、中国はクーデターを見てアメリカの危険性を認識する。その後、ロシアと中国は戦略的同盟関係を強めていく。 アメリカ/NATO/ウクライナは昨年3月、ドンバスに対する大規模な攻撃を計画していたとする文書が出てきたが、その直前、2月24日にロシア軍はウクライナに対するミサイル攻撃を開始。航空基地、レーダー施設、生物化学兵器の研究開発施設などを破壊したほか、ドンバスに対する大規模な攻撃を始めるために集結していたウクライナの軍や親衛隊などを壊滅させ、この段階でウクライナ軍の敗北は決定的だった。 そこで停戦交渉が始まるのだが、仲介役のひとりがイスラエルの首相を務めていたナフタリ・ベネット。双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだったと後にベネットは語っている。 2022年3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけ、その足でドイツへ向かう。オラフ・シュルツ首相と会談したのだが、その3月5日にゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフをウクライナの治安機関SBUのメンバーが射殺した。クーデター直後からSBUはCIAの下部機関化しているので、アメリカ政府が殺したと言えるだろう。 ベネットは2022年6月に首相を退任、ネタニヤフが首相に就任したのは22年12月のことである。 トルコを仲介役とした停戦交渉もアメリカとイギリスは潰し、アメリカ/NATOが戦闘の中心的な存在になっていくのだが、ロシア軍が優勢である状況を変えられない。しかもドイツとロシアはバルト海に建設した2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」でつながっている。 ドナルド・トランプ政権下の2020年7月に国務長官のマイク・ポンペオはNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言、ジョー・バイデン政権になってからもそうした姿勢に変化はなく、2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言している。2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。そして2022年9月26日から27日にかけての間にNS1とNS2が破壊された。この破壊をシュルツ独首相は事前に聞いていたとする情報も伝えられている。 こうした状況になってもEUは高コストのアメリカ産天然ガスへ切り替えることはできず、今年1月から7月までの間にEU諸国がタンカーで輸入したロシア産LNGは昨年の同時期に比べて40%増加した。ロシアに代わる新たな供給源をアメリカは必要としている。 2010年、イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表した。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。このエネルギー資源をキプロス経由でヨーロッパへ運ぶという計画がある。 ノーブル・エナジーはヒラリー・クリントンに選挙資金を提供していた。そのヒラリーをジョージ・ソロスが操っていることは2016年に漏れた電子メールで明らかにされたが、そのソロスはロスチャイルド金融資本と結びついている。 イギリスのロスチャイルドを率いているジェイコブ・ロスチャイルドが戦略顧問として名を連ねている会社、ジェニー社はイスラエルが不法占拠しているシリア領のゴラン高原で石油開発を目論んでいることも知られている。
2023.10.09
ハマスの戦闘員が10月7日、イスラエルを陸海空から奇襲攻撃した。数百人の戦闘員がイスラエル領へ侵入したほか、ガザからイスラエルに向かって5000発以上のロケット弾でテルアビブの北まで攻撃され、約250人が死亡、約1600人が負傷したと伝えられている。この攻撃をイスラエルの情報機関は察知できず、軍は迎撃できなかった。攻撃の目的は「アル・アクサの洪水」という作戦名が示している。 アル・アクサ・モスクは「神殿の丘」にあるイスラムの聖地。今年4月5日にはイスラエルの警官隊がモスク内へ突入、怒ったパレスチナ人はガザからロケット弾を発射し、イスラエルが報復としてガザを空爆するという事態に発展した。「ラマダーン」(今年は3月22日から4月20日)を狙っての襲撃だったことから、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は新たな戦争を目論んでいるのではないかと言われていた。 ユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせて832人のイスラエル人が10月3日、イスラエル軍に保護されながらアル・アクサ・モスクに押し入っている。イスラエル軍は60歳未満のイスラム礼拝者がモスクへ入ることを禁じた。 こうしたイスラエルのモスク冒涜に対する報復だということをハマスは表明したと言えるだろうが、もうひとつ興味深い話が伝えられている。ハマスが使った武器はウクライナから手に入れたというのだ。アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給した兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われているが、そうした武器だというのである。 イスラエルはガザに軍隊を侵攻させるという見方もあるが、そうなると激しい市街戦が展開されることになる。すでにイスラム世界ではハマスの攻撃を支持する大規模なデモが行われていることを考えると、イスラエルに対する反発はさらに強いものになるだろう。 攻撃するにしても、イスラエル軍は地上軍を侵攻させない可能性が高い。2006年7月から9月にかけてイスラエルの地上部隊がレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北しているからだ。イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車も破壊されている。
2023.10.09
ウクライナでロシア軍を壊滅させることにアメリカとイギリスの支配層は失敗、ウクライナの軍や親衛隊は壊滅した。その軍や親衛隊を使ってロシアを攻撃してきたアメリカ/NATO軍の兵器庫は空になりつつあるようだ。ウクライナやカナダでナチズムが社会に入り込んでいる実態が明らかになってきたのもウクライナでの戦況が影響しているだろう。 アメリカのジョー・バイデン政権を支えてきたネオコンはすでに「ルビコン」を渡ってしまった。撤退はできない。残された道は和平を選んで自分たちが破滅するか、核戦争を覚悟してロシア軍と直接戦うのか、東アジアで新たな戦争を始めるのか、いずれかだろう。和平への道を選ぶ可能性は最も小さい。 ジョー・バイデンはアメリカ大統領に就任して間もない2021年3月16日、ABCニュースの番組に登場し、ジョージ・ステファノプロスからウラジミル・プーチン露大統領は人殺しだと考えるかと問われ、バイデンは「その通り」と答えた。証拠もなく核保有国の大統領を殺人者呼ばわりする意味をバイデンは理解できなかったのか、軍事的な緊張を高めるためなのか、いずれにしろ正気ではない。 ちなみに、ステファノプロスはコロンビア大学時代にローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学、ビル・クリントン政権で大統領補佐官を務めている。 バイデンはその後、ロシアの「縄張り」とも言うべき黒海へ軍艦を入れ、軍用機を飛行させて恫喝、あるいは挑発した。国境近くに数万人規模の部隊を集結させたこともある。アメリカ/NATOに操られたウクライナのネオ・ナチ体制は2014年から22年にかけてドンバスの市民に対する攻撃を続け、約1万5000人が殺されたと言われている。この人殺し行為が西側では問題にされなかった。 そして2022年2月24日にロシア軍はウクライナに対するミサイル攻撃を開始する。航空基地、レーダー施設、生物化学兵器の研究開発施設などを破壊したほか、ドンバスに対する大規模な攻撃を始めるために集結していたウクライナの軍や親衛隊などを壊滅させた。 その攻撃の際にロシア軍が回収したウクライナ側の文書によると、その年の3月からドンバスに対する攻撃を開始することになっていた。住民を虐殺し、ロシア軍を引っ張り込もうとしていたとも言われている。アフガニスタンの時を同じ手口だ。 ウクライナ政府はイスラエルやトルコを仲介役としてロシア政府と停戦交渉に入り、ほぼ停戦で合意、仮調印までしているのだが、それをイギリスとアメリカが潰した。 2022年4月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と国民を脅し、4月30日になるとナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めたのだ。 その戦争でウクラナ兵の戦死者は約50万人に達するとアメリカの有力メディアも伝えている。常識的な見方だ。ちなみに、ロシア側の推計戦死者はその1割、つまり5万人程度である。その結果、ウクライナの若者は減少していく。 イギリスのベン・ウォレス前国防相はウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えているとテレグラフ紙に寄稿した論説の中で指摘、ウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。「学徒動員」や「少年兵」を求めていると言えるだろう。 ネオコンが進めている戦略は1992年2月に国防総省の「DPG(国防計画指針)草案」という形で作成された世界制覇プランに基づく。その当時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。作成の中心がウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 旧ソ連圏を制圧するだけでなく、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐともしている。ネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できる時代が来たと考えたが、潜在的なライバルは存在する。その中にはEUや東アジアが含まれていた。 ネオコンは覇者としての地位を固めるため、NATOを東へ拡大させていく。ソ連の大統領だったミハイル・ゴルバチョフはNATOを東へ拡大させないという条件で東西ドイツの統一を認めたが、それをネオコンは無視したわけだ。 ドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはNATOを東へ拡大させないとロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) また、ドイツの外相だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年2月、ロシアの外相だったエドゥアルド・シェワルナゼに「NATOは東へ拡大しない」と確約、シェワルナゼは無邪気にもゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(前掲記事) 1999年3月にアメリカ/NATOはユーゴスラビアを先制攻撃してた。この時のアメリカ大統領はクリントン。第1期目から有力メディアは戦争を始めるように煽っていたが、大統領はスキャンダル攻勢にあっていたものの、戦争に消極的。状況が変化するのは1997年に国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリーン・オルブライトへ交代してからだ。オルブライトと親しいヒラリー・クリントンも夫にユーゴスラビアを攻撃するよう説得していたという。 そしてネオコンはウクライナ制圧に乗り出す。ロシア革命後にロシアからウクライナへ割譲された東部や南部を支持基盤にするビクトル・ヤヌコビッチの大統領就任を阻止するため、ジョージ・W・ブッシュ政権は2004年から05年にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領に据えた。 ユシチェンコの政策は大多数のウクライナ人を貧困化させ、反発が強まる。そこで2010年の大統領選挙でヤヌコビッチが勝利、その政権を倒すためにバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけての時期にネオ・ナチを使ったクーデターを実行した。 このクーデターをホワイトハウスで指揮していた人物は副大統領を務めていたジョー・バイデンであり、ウクライナで指揮していたのは国務次官補だったビクトリア・ヌランド。そしてバイデン副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていた人物がジェイク・サリバンだ。ウクライナを舞台としてロシアに戦争を仕掛けたのもこの3人だ。 クーデター後のウクライナは「闇の銀行」とも呼ばれるブラックロック、そして巨大銀行のJPモルガン・チェース、石油会社のエクソンモービルとシェブロン、そして穀物を支配している会社はカーギル、デュポン、モンサントだ。すでにウクライナはこうした巨大資本の植民地と化しているのだが、それだけでなく、アメリカ国防総省は生物兵器の研究開発を行う施設をウクライナに建設してきた。ロシアの勝利はその利権を危うくする。
2023.10.08
ウクライナの第113ハリコフ防衛旅団第209大隊で報道官のひとりとして活動していたサラ・アシュトン-チリロ(本名:マイケル・ジョン・チリロ)の言動が話題になっている。ウクライナ軍がナチズムに侵食されていることを再確認させているからだ。 チリロは2022年3月から「LGBTQネイション」の特派員としてハリコフへ入ったが、ハリコフ州の市長から援助団体を擁護する代表として任命される。報道官に就任したのは今年8月だ。 そのチリロにロシアのコメディアンがペトロ・ポロシェンコ前大統領を装って電話をかけ、「ゲイの息子」を話題にした。それに対し、サラはロシア人を人間以下のアジア人だというネオナチのイデオロギーを展開。ロシア人はヨーロッパ人でなく、「モンゴル人種に属す」としたうえで、アジア人は劣等な種だと主張する。そこで、文明を救うためにはロシアをつぶさなければならないというわけだ。 また、チリロは西側の有力メディアを「西側のパートナー」と呼び、自分と立場の違うジャーナリストを殺したいとも主張、戦争を支持しないことは「言論の自由ではない」とも述べている。その後、チリロは自身が作成したビデオの中でウクライナ政府が外国人ジャーナリストをさらに大量に暗殺するつもりだと語り、ウクライナ政府から報道官の職を解かれた。 ヨーロッパにはアングロ・サクソン系、ドイツ系、北方系が優秀な種だとする考えがある。ウクライナのネオ・ナチはナチスの流れだが、その母体は「トゥーレ協会」。その名称は北方神話の土地である「ウルチマ・トゥーレ」に由来している。協会のシンボルはナチスと同じように鉤十字だった。 この神話に「科学」の味付けをして作られたのが優生学。その創始者とされているフランシス・ゴールトンは『種の起源』で有名なチャールズ・ダーウィンの従兄弟にあたる。ダーウィンはトーマス・マルサスの『人口論』から影響を受け、優れたものが勝利するという「自然淘汰」を主張していた。そこからロシア人や有色人種は北欧系の人種に淘汰されるという考え方が出てくる。 1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出し、大儲けしたセシル・ローズはロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてアルフレッド・ミルナーらと支配者グループを形成したが、優生学を信奉していたことでも知られている。 1877年6月にローズはフリーメーソンへ入会し、その直後に書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張していた。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) セシル・ローズの意志で1902年にローズ・トラストが創設され、奨学生として選ばれたオックスフォード大学の大学院生に学費や生活費を支払う奨学制度が作られた。現在、アメリカで国家安全保障担当大統領補佐官を務めているジェイク・サリバンはエール大学時代、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。 このローズ人脈、つまりイギリスの金融資本が明治維新の背後で暗躍していた。そこからスピンオフして誕生したのがアメリカの金融資本であり、両者は深く結びついている。日本は「戦前」も「戦後」も米英金融資本に支配されている。
2023.10.07
木原稔防衛相は10月4日、アメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。つまり、そのようにアメリカで命令されたわけだ。 当初の計画では2026年度から最新型を400機だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルとされている。 日本列島へのミサイル配備はアメリカ側の事情が反映されている。国防総省系シンクタンクの「RANDコーポレーション」のレポートによると、アメリカはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようと計画している。 ところが、インド太平洋地域でそうしたミサイルの配備を容認する国は日本以外にない。日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にすることになったのだが、そうしたことを言っていられなくなったのだろう。 そのASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画のようだ。自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作り、2023年には石垣島でも完成させている。地上発射の改良型ミサイルは2024年度にも配備するとされていた。 RANDコーポレーションがレポートを書いた当時、アメリカの好戦派はロシアとの戦争で簡単に勝てるとたかを括っていたようで、ジョー・バイデン大統領は大統領に就任して以来、ロシアの「縄張り」とも言うべき黒海へ軍艦を入れ、軍用機を飛行させて恫喝、あるいは挑発してきた。国境近くに数万人規模の部隊を集結させたこともある。2022年3月にはドンバスをウクライナ軍に攻撃させ、住民を虐殺、ロシア軍を引っ張り込もうとしていたとも言われている。アフガニスタンの時を同じ手口だ。 ところが、ロシア軍はその直前、昨年2月24日に動く。ドンバス周辺に集結していたウクライナ軍をミサイルで壊滅させ、キエフ側の航空基地、レーダー施設、また生物兵器の研究開発施設などを破壊している。この段階でウクライナ軍の敗北は決定的だったが、ロシアを疲弊させたいアメリカやイギリスはウクライナ政府に戦争を継続するよう命じ、そのために資金や武器弾薬をつぎ込んだ。 ところが戦況に変化はなく、アメリカ/NATOの兵器庫は空になりつつある。しかもアメリカ政府の「制裁」がロシアの国内産業にとって追い風になり、生産力が高まっている。兵器の製造能力も西側の2倍だという。ウクライナでアメリカ陣営は崩壊寸前の様相を呈している。 そうした中、アメリカは東アジアに火をつけようとしている。台湾を発火点にしようと考えているようだが、戦いの拠点は日本。韓国は大陸を攻撃する橋頭堡になりそうだ。 すでにアメリカはオーストラリア、インド、日本と「クワド」を編成しているが、インドはアメリカへの従属度が足りない。アメリカ、オーストラリア、イギリスのアングロ・サクソン系3カ国で「AUKUS」という軍事同盟を組織したものの、東アジアの国ではない。そこで日米韓軍事同盟を組織、7月18日にソウルでNCGの第1回会議が開かれた。 その直後、7月25日にロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が朝鮮を突如訪問した。朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席するためだが、李鴻忠党中央政治局委員を含む中国の代表団とそこで合流している。アメリカが日本や韓国を巻き込んで整備している軍事同盟に対抗することが本当の目的だろう。 ウラジミル・プーチン露大統領の招きで、朝鮮の金正恩労働党委員長は9月12日から17日までロシアを訪問した。9月10日から13日にかけてウラジオストックではEEF(東方経済フォーラム)が開催されていた。 金委員長はプーチン大統領と会談した後もさまざまな要人と会い、さらにSu-35を含むロシアの新鋭戦闘機を生産するユーリ・ガガーリン航空工場を含む工場、あるいは研究所を訪れ、戦闘機の胴体を組み立てる工場では、Su-57などの第5世代戦闘機に関する技術的な特徴について詳しく質問していたと伝えられている。セルゲイ・ショイグ露国防相と太平洋艦隊のフリゲート艦「マーシャル・シャポシニコフ」も訪れている。 アメリカの圧力で日本、韓国、台湾は中国やロシアという重要なビジネス相手を失いつつあり、EUのような惨状が待っているかもしれないのだが、朝鮮はロシアに接近、軍事面だけでなく経済面でも状況は好転する可能性が高い。 ちなみに、西側でしばしば朝鮮の情報源として登場するデイリーNKと密接な関係にあり、スポンサーでもあるNEDはCIAの資金を流している団体。ここから出てくる情報はCIAが作る幻影にすぎない。
2023.10.06
アメリカ下院のケビン・マッカーシー議長が10月3日、216対210で解任された。その前日、共和党のマット・ゲイツ議員が解任動議を議会に提出、民主党の208議員とゲイツ議員を含む8名の共和党議員が解任に賛成、7名が欠席している。 議事を進めるためには新しい議長を決める必要があるのだが、容易ではない。マッカーシーの場合も紛糾したが、次はそれ以上に揉めそうだ。 ゲイツが解任動議を提出した理由はマッカーシーが歳出削減に消極的だということだが、最大の問題はウクライナへの資金垂れ流し。ジョー・バイデン政権はウクライナに対する240億ドルの追加支援を承認するように求めていた。追加支援がないと、ウクライナへ提供する資金は11月に底とつくと言われている。そうした資金の提供を実現するため、マッカーシー議長がホワイトハウスと密約を交わしていたとゲイツ議員は非難している。 バイデン政権と協調関係にあったとみられるマッカーシーの解任はバイデン政権にとって好ましくないはずだが、民主党の議員は解任に賛成した。この行動をいぶかる人もいる。民主党の内部にもウクライナでの戦闘に嫌気が差している議員もいるのだろうか? ウクライナでの戦闘継続に対する疑問はアメリカ国内だけでなくヨーロッパでも広まっている。ポーランドの場合、ウクライナがネオ・ナチ体制にあることを今更ながら懸念し始めたとも言われている。EUを動かしているエリートたちは米英の私的権力に従属しているが、市民の間では不満が高まっているようだ。 すでにアメリカ/NATOの兵器庫は空で、しかも生産力はロシアの半分だとも言われている。アメリカやイギリスがウクライナへ劣化ウラン弾やクラスター爆弾といった問題のある兵器を供給した理由のひとつはそこにあるともいう。 その一方、イギリスのベン・ウォレス前国防相はテレグラフ紙でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、ウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。「学徒動員」したり「少年兵」を投入しろと言っているのだ。 ウォレスの後任であるグラント・シャップス国防相はウクライナ領内にイギリス軍の兵士を派遣してキエフ軍を訓練する計画だと西側メディアに語ったが、そうした部隊も攻撃の対象になるとロシア政府から警告されている。イギリスの軍事企業がウクライナ国内で生産を始めるという考えも表明したが、そうした工場はロシア軍の攻撃目標になる。 アメリカ国内の風向きも変わり、イギリスが前面に出て来なければならなくなっているのかもしれない。
2023.10.05
ベン・ウォレスは2019年7月24日から今年8月31日までイギリスの国防大臣を務めていた。その人物がテレグラフ紙に寄稿、その中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、ウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。 昨年2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めて以来、約50万人のウクライナ兵が戦死したと言われている。ちなみに、ロシア側の推計戦死者はその1割、つまり5万人程度だ。 ウォロディミル・ゼレンスキー政権は当初から18歳から60歳の男子が出国することを禁止、動員の対象にしていた。45歳以上の男性だけでなく少年兵も前線へ送り込んでいると言われていたが、最近は60歳程度の男性が街角で拘束され、前線へ送り込まれていると報告されている。 兵士の平均年齢が40歳を超えているのは当然だろうが、それを理由にしてウォレスは若者に「バンザイ突撃」をさせろと言っているように聞こえる。残っている若者は動員が免除されている大学の学生や研究員、あるいは年少者だ。「学徒動員」や「少年兵」を求めていると言える。 ウォレスはウクライナが勝っていると主張しているが、ならば「学徒動員」や「少年兵」などは必要ない。ウクライナ軍は昨年2月24日にロシア軍が攻撃を始めた直後に負けているのだ。 ロシア軍は最初にドンバスに対する大規模な攻撃を開始するために集まっていたウクライナの軍や親衛隊などを壊滅させ、そして航空基地やレーダー施設などを破壊した。その段階でウクライナの敗北は決定的だった。だからこそ、イスラエルやトルコが仲介役になって停戦交渉が行われ、停戦でほぼ合意、仮調印もされているのだ。それを潰したのがイギリスとアメリカにほかならない。 ゼレンスキー政権が6月4日に始めた「反転攻勢」が失敗したことをアメリカの有力紙も認めている。例えばワシントン・ポスト紙は自分たちが宣伝していた「反転攻勢」で進展はないことを認めた。ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できず、ウクライナ側は死傷者を増やしているだけだ。この「攻勢」で8万3千人以上のウクライナ兵が死亡したと考えられている。それにもかかわらず、ウォレスはウクライナが少しずつ勝利を収めていると言い張っているのだ。 現在、ロシア軍は守りを固め、突入してくるウクライナ軍にダメージを与えている。その結果、ウクライナ軍に武器弾薬を供給しているアメリカ/NATOの兵器庫は空になりつつある。この状況をキンシャサでモハメド・アリとジョージ・フォアマンの間で行われたボクシングの試合に準える人もいる。 アメリカ政府が計画していた経済戦争も機能せず、EU諸国が大きな損害を受けているだけ。アメリカもダメージを受けている。歴史的に反ロシア感情が強いポーランドもウクライナに対する批判が強まり、EU諸国ではロシアとの戦争継続に反対する声が高まってきたようだ。アメリカ議会とバイデン政権の関係も悪化してきた。 それに対し、ロシアと中国の団結が強まり、アフリカをはじめ「グローバル・サウス」と呼ばれる国々が中露の周辺に集まり始めた。昨年2月以来、アメリカ政府の「制裁」がロシアの国内産業にとって追い風になり、生産力が高まっている。 また、ロシア軍は昨年秋に部分的動員で約30万人を集め、すでに訓練は終わったようだが、戦線に投入されたのは数万人だと言われている。しかもウクライナ軍とは違い、十分な装備がある。 ここにきてロシア政府は旧ソ連圏諸国を除く国々にガソリンやディーゼルを輸出することを禁止したが、国内で不足しているとは思えず、元CIA分析官のラリー・ジョンソンはロシア軍が大規模な軍事作戦を計画している可能性があると語っている。
2023.10.04
今年の「ノーベル生理学医学賞」はBioNTechのカタリン・カリコとペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン教授に授与すると発表された。「mRNAワクチンの開発を可能にした塩基部修飾ヌクレオチドに関する発見」が理由だという。「mRNAワクチン」によって深刻な副作用を引き起こされ、多くの人が死亡しつつあるが、その「功績」が認められたようだ。 アメリカ大統領として「棍棒外交」を打ち出し、侵略、殺戮、略奪を繰り返したテディ・ルーズベルト、核兵器を保有したがった佐藤栄作、チリやカンボジアでの大量殺戮の黒幕的な役割を果たしたヘンリー・キッシンジャー、イルグンという「テロ組織」のリーダーだったイスラエルのメナヘム・ベギン、CIAの傀儡として活動したポーランドの労働組合「連帯」のレフ・ワレサ、やはりCIAから支援を受けていたダライ・ラマ、CIAと連携していた人脈に周りを囲められ、西側支配層の計画に協力したミハイル・ゴルバチョフ、ドローン(無人機)を利用して暗殺を実行、ムスリム同胞団やサラフィ主義者を利用して侵略戦争を展開したバラク・オバマなどは「ノーベル平和賞」を受賞している。今年の生理学医学賞もノーベル賞らしい選定だったと言えそうだ。 一般的に「mRNAワクチン」と呼ばれているが、実際は遺伝子操作薬であり、ワクチンではない。人間の細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させ、抗体を作るという理屈になっているが、このスパイク・タンパク質が病気の原因になる。 そのため、人間の免疫システムは細胞を病気の原因だと認識して攻撃し、炎症を引き起こす。そうした炎症を免疫の低下が抑えている。いわばAIDS状態にするわけで、VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めている。接種が始まる前から懸念されていたADE(抗体依存性感染増強)も引き起こされているようで、「ワクチン」を接種した後、それまで感染したことのない、さまざまな細菌性の病気にかかることになる。 また、DNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入といった問題も指摘されている。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性があり、人類の存続を危うくしかねない。 ノーベル賞授与の理由になった「mRNAワクチン」はインフルエンザ程度の危険性と言われていたCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を予防するとされていたが、体に炎症を引き起こし、免疫力を低下させることで、接種した人はさまざまな病気に罹りやすくなり、死亡したり障害が残る人が少なくない。 WHO(世界保健機関)や各国の政府機関と同様、COVID-19を口実にしたロックダウンを推進、「mRNAワクチン」の接種を進めてきたWEF(世界経済フォーラム)。その中心的な理論家で顧問でもあるユバル・ノア・ハラリはAI(人工知能)の発達によって不必要な人間が生み出されるとしている。仕事、特に専門化された仕事で人間はAIに勝てないというわけだ。 WEFは1971年にクラウス・シュワブが創設した団体。この人物はアメリカのハーバード大学でヘンリー・キッシンジャーから学んでいるのだが、ロドニー・アトキンソンによると、シュワブの父親であるオイゲン・シュワブはナチスを支援していたスイスのエンジニアリング会社のエッシャー・ビスを率い、ノルウェーの工場でナチスの核開発計画のための重水生産を支援していたという。 エッシャー・ビスは1960年代に合併、スルザー・エッシャー・ビスになる。1967年から70年までクラウスが取締役を務めた同社は核兵器を開発していた南アフリカへ核技術を供給する仕事に関わっていたと言われている。なお同社は現在、スルザーに名称を変更している。 ハラリが引用したオックスフォード大学の研究によると、2033年までにさまざまな職業がAIに乗っ取られる可能性が高いそうだ。スポーツの審判は98%の確率で、レジ係は97%、シェフは96%、ウェイターは94%、法律事務員は94%、ツアーガイドは91%、パン職人は89%、バスの運転手は89%、建設労働者は88%、獣医助手は86%、警備員は84%、船員は83%、バーテンダーは77%、記録係は76%、大工は72%、監視員は67%などだ。日本でもバスを無人で走らせる実験が始まるようだ。 アルゴリズムよりも優れている仕事につけなければ人間は失業する。雇用されていても、変化についていけなければ職を失う。技術の進歩によって身につけた能力が役に立たなくなることも想定される。テクノロジーの進歩によって人口の大部分を必要としないくなるというわけだ。 かつて、イギリスではエンクロージャーによって共有地などが私有化され、土地を追われた農民は浮浪者や賃金労働者になった。労働者の置かれた劣悪な状況はフリードリヒ・エンゲルスの報告『イギリスにおける労働者階級の状態』やチャールズ・ディケンズの小説『オリバー・ツイスト』などでもわかる。 ロンドンのイースト・エンドで労働者の集会に参加したセシル・ローズは「パンを!パンを!」という声を聞く。その状態を放置すれば内乱になると懸念、植民地を建設して移住させなければならないと考えたようだ。つまり、社会問題を解決する最善の方法は帝国主義だというわけである。 ハラリは「有機的な領域から無機的な領域へと脱皮する」ため、人間より洗練された新しいタイプの機械人間の創造を考えているというが、彼を雇っているシュワブは2016年1月、スイスのテレビ番組でマイクロチップ化されたデジタルIDについて話している。最終的にはコンピュータ・システムと人間を連結、つまり人間をコンピュータの端末にするというのだ。 現在、世界の人口は約80億人と言われているが、AI、ロボット、端末化された人間で構成される世界に生身の人間はさほど必要ない。そこで西側の富豪たち、つまり私的権力は人口を削減するべきだと主張してきた。 2009年5月、マイクロソフトを創設したビル・ゲイツが音頭を取り、マンハッタンで富豪たちが秘密会合を開き、「過剰な人口」が優先課題であることで合意した。参加者にはデビッド・ロックフェラー・ジュニア、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、マイケル・ブルームバーグ、テッド・ターナー、オプラ・ウィンフリーも含まれている。 テッド・ターナーは会合の前年、2008年の4月にチャーリー・ローズの番組に出演し、そこで人口が問題だと主張している。人が多すぎるから温暖化も起こるのだというのだ。ターナーは1996年に「理想的」な人口を2億2500万人から3億人だと主張したが、2008年にはテンプル大学で20億人に修正している。 ゲイツも人口を削減するべきだとも発言している。2010年2月に行われたTEDでの講演では、ワクチンの開発、健康管理、医療サービスで人口を10~15%減らせると語っている。「COVID-19ワクチン」で人口は減っているようだが、これは古典的な意味でのワクチンではなく、遺伝子操作薬だ。 2020年のWEFのパネルで「国連平和大使」のジェーン・グドールは世界人口を「500年前」、すなわち5億人に戻すよう呼びかけた。それが最適な数字だというのだが、その目標を達成するためには現在の人口の約95%を消滅させなければならない。 1798年に『人口論」を出版、人口削減を主張したトーマス・マルサスはイギリスのエリート層に大きな影響を及ぼした。「自然選択(自然淘汰)説」で有名なチャールズ・ダーウィンはマルサスの人口論やレッセ・フェールの影響を受けていたとも言われている。そのダーウィンの従兄弟にあたるフランシス・ゴールトンは優生学の創始者だ。 彼らの考え方に従うと、社会的な強者は優秀なのであり、弱者は劣等だということになる。そして人口を削減するためには劣等な人びとを処分するということになる。 セシル・ローズもそうした考えの持ち主で、彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会した直後に『信仰告白』を書いたが、その中で彼はアングロ・サクソンを最も優秀な人種だと位置づけ、その領土が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するというのだ。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) イギリスで生まれた優生学はアメリカの支配層へ広まり、イギリス以上に社会へ大きな影響を与えることになる。支援者の中心はカーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてマリー・ハリマンで、優生学に基づく法律も作られた。 マリーは鉄道で有名なE・H・ハリマンの妻だが、ハリマン家は金融の世界でも有名。ハリマン家の銀行で重役を務めていたジョージ・ハーバート・ウォーカーの娘と結婚したのがプレスコット・ブッシュだ。プレスコットはウォーカーの下でブラウン・ブラザーズ・ハリマンやユニオン・バンキング・コーポレーションの重役を務めていたが、いずれもウォール街からナチスへ資金を供給する重要なルートだ。同僚のひとりにW・アベレル・ハリマンがいる。 そうした考えに引き寄せられたひとりがアドルフ・ヒトラーであり、ウクライナを支配しているネオ・ナチもその神話を信奉している。
2023.10.03
ウクライナで2014年から始まった内戦でキエフのクーデター体制が敗北したことは明らかだ。つまりアメリカ/NATO軍がロシア軍に負けたわけだが、その事実をアメリカの有力メディアも否定できなくなっている。 そのクーデターはアメリカのバラク・オバマ政権が2013年11月からネオ・ナチを使って開始、14年2月にはウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功したのだが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部の住民はクーデター体制を拒否、東部では内戦が始まる。 クーデター体制には世界中からネオ・ナチが集まったが、その背後にはアメリカ/NATOがいた。武器弾薬を提供、軍事訓練を実施、軍事情報を提供、昨年夏頃からは作戦を指揮していたとも言われている。 ヨーロッパでアメリアやイギリスが最も恐れてきたのはドイツとロシアが手を組むこと。ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ体制はドイツと友好的な関係にあったが、それはナチスの台頭で壊れた。そのナチスに資金を提供していたのはシティとウォール街、つまり米英の巨大金融資本だ。その一員であるウィンストン・チャーチルを「最初のネオコン」と呼ぶ人もいる。 ウクライナはドイツとロシアの中間にある。ドイツを中心とするEUはロシアからパイプラインで天然ガスや石油を輸送していたが、その多くがウクライナを通過している。そのウクライナを抑えてエネルギー資源の輸送をコントロールできれば、EUとロシアの接近を阻止できる。 ウクライナ自体も資源国で、穀倉地帯もある。すでに穀物生産はカーギルなど西側の巨大企業が支配、金融は「闇の銀行」と呼ばれるブラックロックが動かしている。西側から供給される兵器や「復興資金」の使い道についてアドバイスしているのもブラックロックだという。 ウクライナはロシアへ軍事侵攻するための通り道でもある。オバマ政権がクーデターを実行した目的のひとつは侵攻の通り道を抑えることにあった。その際、反応が鈍かったロシアのウラジミル・プーチン大統領が批判された理由もそこにある。 そのオバマ政権でクーデターを指揮していたチームの中心は副大統領だったジョー・バイデン、国務次官補だったビクトリア・ヌランド、副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンだったと言われている。その周辺にはネオコン人脈がいた。 ウクライナでロシアに敗れたアメリカは東アジアで軍事的な緊張を高めている。その東アジアにおけるアメリカの軍事戦略で最も重要な役割を果たしている国は日本にほかならない。 アメリカのJCS(統合参謀本部)が1949年に出した研究報告にはソ連の70都市へ133発の原爆を落とすと書かれている。1954年にSAC(戦略空軍総司令部)は600から750発の核爆弾をソ連に投下、118都市に住む住民の80%、つまり約6000万人を殺すという計画を作成、57年初頭には300発の核爆弾でソ連の100都市を破壊するという「ドロップショット作戦」を作成している。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) こうしたアメリカの戦略に合わせ、沖縄では1953年に布令109号「土地収用令」が公布/施行され、暴力的な土地接収が始まる。1955年の段階で「沖縄本島の面積の約13%が軍用地」になっていた。 1955年から57年にかけてライマン・レムニッツァーが琉球民政長官を務めているが、その間、56年6月に「プライス勧告」が公表された。この勧告の中で沖縄は制約なき核兵器基地として、アメリカの極東戦略の拠点として、そして日本やフィリピンの親米政権が倒れたときのよりどころとして位置づけられている。なお、レムニッツァーはドワイト・アイゼンハワー時代の1960年にJCSの議長に就任する。 この勧告が伝えられると沖縄の住民は激怒、「島ぐるみ闘争」が始まるのだが、それに対して民政府は琉球政府の比嘉秀平主席の更迭を含む事態収拾策を画策している。そうした混乱の中、1956年10月25日に比嘉長官は55歳の若さで急死した。(中野好夫、新崎盛暉著『沖縄戦後史』岩波書店、1976年) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、JCSのライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込んだ。 アメリカの軍事戦略上、日本は重要な位置にあるわけだが、その関係を中曽根康弘は的確に表現している。 1982年11月に内閣総理大臣となった中曽根は翌年の1月にアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとるが、その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと言ったと報道された。 中曽根はそれをすぐに否定するが、発言が録音されていたことが判明すると、「不沈空母」ではなく、ロシア機を阻止する「大きな空母」だと主張を変えた。このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。 ワシントン・ポスト紙は「大きな空母」発言以外に、「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」と主張し、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語っている。こうした発言はソ連を刺激した。 それから間もない1983年4月から5月にかけてアメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖で大規模な艦隊演習「フリーテックス83」を実施。この演習には3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加した。 演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したとされている。米ソ両軍は一触即発の状態になったのだが、この演習を日本のマスコミは無視した。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年) そした中、大韓航空007便はソ連の領空を侵犯、しかも重要な軍事基地の上空を飛行したのだが、NATO軍はその年の11月、ヨーロッパで大規模な演習「エイブル・アーチャー83」を予定していた。これを軍事侵攻のカモフラージュだと判断したソ連政府は核攻撃に備える準備をはじめるように指令を出し、アメリカのソ連大使館では重要文書の焼却が始まったと言われている。 NATOが軍事演習を計画していた1983年11月、レーガン政権は戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備、作業は85年の終わりまで続いた。 ソ連は1991年12月に消滅するが、その当時、アメリカの国務省や国防総省はネオコンに支配されていた。ネオコンのポール・ウィルフォウィッツで国防次官(当時)は1992年2月にアメリカの国防総省はDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成した。その時の国防長官はディック・チェイニーだ。 旧ソ連圏を乗っ取るだけでなく、EUや東アジアを潜在的なライバルと認識、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐともしている。 このドクトリンに日本を従わせるため、1995年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表したが、それと前後して奇怪な出来事が相次いだことは本ブログで繰り返し書いてきた。 日本がアメリカの軍事戦略において、中国やロシアを攻撃するための重要な拠点であるという事実は現在も同じだ。
2023.10.02
厚生労働省は9月20日から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の追加接種を始めた。名称の中に「ワクチン」という国が含まれているものの、古典的な意味のワクチンではなく、これまで存在しなかった遺伝子操作薬だと指摘されている。 この新薬にはDNAが混入している問題のほか、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入も懸念されているのだが、そもそも薬の仕組みそのものが危険だ。 人間の細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させるため、人間の免疫システムは細胞が病気の原因だと認識、炎症を引き起こす。精巣の細胞にmRNAが入り込み、精子でなくスパイク・タンパク質を作り続けるケースも報告されている。免疫システムを混乱させ、ADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすだろうと接種前から指摘されていたが、そうしたことが現実になったようだ。 炎症を抑えているために免疫力を低下させなければならない。いわばAIDS状態にするわけで、「COVID-19ワクチン」はAIDS誘発薬だとも言えるだろう。VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めた。必然的にさまざまな病気が蔓延する。そのほか血栓が作られ、乳癌、子宮癌、悪性リンパ腫などが誘発されるともいう。 この危険な薬物を鼻から肺へ送り込む空中投与法をエール大学の研究チームが開発したようだ。PACEポリプレックス(ナノ粒子)にmRNAを封入することで送達が可能になったとされている。その結果、本人が知らないまま薬物を投与されることもありえる。強制的な集団接種を秘密裏に行えるわけだ。 その一方、蚊を利用して「ワクチン」を接種するという研究も行われている。例えば、2010年3月18日にはサイエンス誌にその問題が取り上げられた記事によると、自治医科大学(栃木県)の准教授だった吉田栄人の研究グループはマラリア蚊のゲノム上に唾液の中だけで遺伝子をオンにするプロモーターと呼ばれる領域を特定、そのプロモーターに皮膚のただれや臓器障害を引き起こすリーシュマニア症のワクチン候補であるSP15を結合させる実験を行っているのだ。その蚊をマウスに食べさせたところマウスはSP15に対する抗体を獲得したという。 蚊を利用したワクチンの接種に近づいたと言えるかもしれないが、蚊に刺される回数には個人差があり、接種されるワクチンの量が違ってくる。勿論、「インフォームド・コンセント」なしに人々接種するということであり、倫理的に許されないのだが、「COVID-19ワクチン」ではそうした手続きが行われていない。 また、イギリスのオキシテック社は2010年11月11日、2009年秋にカリブ海のグランド・ケイマン島で遺伝子組み換えイエネコ蚊を用いた世界初の小規模屋外試験を実施、その後、同島で大規模な試験を実施したと発表した。この実験も十分な情報公開があったとは言えない。 オキシテック社が主要メンバーとする遺伝子組換え蚊の開発とテストを行う国際プロジェクトが存在するのだが、そのプロジェクツはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から助成金を受けていた。同財団はNIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長だったアンソニー・ファウチと同様、遺伝子操作薬で中心的な役割を演じてきた。 財団は1994年に「ウィリアム・H・ゲイツ財団」として設立、2000年にビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団になった。その前、1993年にビル・ゲイツはアンゲラ・メルケルやトニー・ブレアらと一緒にWEF(世界経済フォーラム)の第1期メンバーに選ばれている。 WEFを率いるクラウス・シュワブはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団などと共同で2000年にGAVIワクチン同盟を設立、こうした私的権力の「企業舎弟」的な団体は資金力でWHO(世界保健機関)を支配するようになったという。 WHOは創設当初からロックフェラー財団と協力関係にあることを表明しているが、実際はデイビッド・ロックフェラーの命令で創設されたとも言われている。 ロックフェラー財閥の祖はデイビッドの祖父に当たるジョン・D・ロックフェラー。その父親はウィリアム・エイブリ・ロックフェラーだが、この人物は19世紀のアメリカでインチキ薬を売っていた。 その時に使っていた名前は「ウィリアム・レビングストン」。本人は癌の専門家だと名乗り、その薬は癌にも効くと言っていた。その薬を1瓶25ドル、その当時における平均的な収入の2カ月分に相当する金額で売っていたという。 レビングストンの本名は1849年に発覚した。少女をレイプしたとして起訴され、本名が明らかになったのだ。彼が起訴される10年前に生まれた息子がジョン・D・ロックフェラーにほかならない。ロックフェラー家は石油の前にインチキ薬で儲けていた。 COVID-19騒動では行動がロックダウンなどによって制限され、監視システムが強化され、収容所を建設した国もあったが、突如、こうしたことが起こったわけではない。 アメリカでは1950年9月に「1950年国内治安法(マッカラン法)」が成立、マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された後には暴動鎮圧を目的として2旅団(4800名)が編成されている。 1970年には戦争に反対する人びとを取り締まるため、令状なしの盗聴、信書の開封、さまざまな監視、予防拘束などをFBIやCIAなどに許す法案が作成された。ヒューストン計画だが、これは司法長官のジョン・ミッチェルが拒否して実現していない。 ヒューストン計画は1979年にFEMA(連邦緊急事態管理庁)として現実化、1984年には「国家緊急事態」の際に多数の人びとを拘束するというRex 84が作成され、訓練も行われた。これは憲法の規定を停止、地下政府を樹立することを定めたCOGにつながる。COGは当初、核戦争が想定されていたのだが、1988年に対象は「国家安全保障上の緊急事態」に拡大された。 そして1991年12月にソ連が消滅、92年2月に国防総省の「DPG(国防計画指針)草案」という形でネオコンは世界制覇計画を作成した。当時のディック・チェイニー国防長官、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官はいずれもネオコンだ。 彼らはアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できる時代が来たと考えた。そして手始めにユーゴスラビアを軍事侵略した。ゲイツの財団やWEFの動きも1990年代から活発化。そして2001年9月11日に「国家安全保障上の緊急事態」が引き起こされ、「愛国者法」が成立、憲法の機能は停止した。 こうした一連の動きはアメリカが唯一の超大国になったという前提から始まったのだが、21世紀に入ると状況が一変する。ロシア国内で西側の正体が明らかになり、反米感情が高まったのだ。そして登場してきたウラジミル・プーチンたちはロシアを曲がりなりにも再独立させることに成功、2014年にはネオコンによるウクライナでのクーデターが逆効果になり、ロシアと中国を接近させてしまった。現在、中露は戦略的同盟関係にある。 こうした状況の変化にネオコンは対応できていない。
2023.10.01
すでにウクライナ軍は武器弾薬も兵士も不足、ロシア軍に勝てないことを西側の有力メディアも認めている。そうした中、ウクライナ軍はアメリカ軍のP-8ポセイドンと連携、セバストポリを「スカルプ(イギリス版の名称はストーム・シャドウ)」とS-200でロシア黒海艦隊の「司令部」を攻撃したのだが、本ブログでも繰り返し書いているように、そこには保守要員と警備員しかいない。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下にあり、その場所を特定するのも攻撃するのも難しいとされている。 ところが、ウクライナ軍の特殊部隊は9月25日、ロシア黒海艦隊のビクトル・ソコロフ司令官と33名の将校を殺害したと発表した。そのソコロフ司令官は発表の翌日、ロシア軍のリモート会議に登場し、ウクライナ側の情報が間違っていることを示した。その情報は西側の情報機関が提供していたはずで、その西側情報機関も赤っ恥をかいた形だ。 その会議でロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、9月だけで戦死したウクライナ兵は1万7000人に達すると発表した。6月4日にウクライナ軍がアメリカ/NATOの命令で始めた「反転攻勢」は破滅的な失敗に終わり、ロシア政府の推計によると、ウクライナ軍の戦死者数は7万5500人に達する。アメリカ側の推計でも、昨年2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めてから約50万人のウクライナ兵が戦死したという。ちなみに、ロシア側の戦死者はその1割、つまり5万人程度だと考えられている。 これだけの犠牲を払っているにもかかわらず、ウクライナ軍は前に進めていない。ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できていないのだ。 すでにアメリカ/NATOの兵器庫は空で、生産力はロシアの半分だとも言われている。アメリカやイギリスがウクライナへ劣化ウラン弾やクラスター爆弾といった問題のある兵器を供給した理由のひとつはそこにあるともいう。 アメリカ/NATOはウクライナ軍に「バンザイ突撃」を繰り返させ、ウクライナ人全体に「総玉砕」を命じている。そこで必死に兵員を集めているのだが、必要な人数の約半数しか集められず、訓練もできていないという。ウクライナ国内で訓練できないため複数の国に分けられているという問題もある。強引に兵士を集めても社会が機能しなくなる。 ここにきてロシア政府は旧ソ連圏諸国を除く国々にガソリンやディーゼルを輸出することを禁止、注目されている。国内で不足しているとされているのだが、元CIA分析官のラリー・ジョンソンはロシア軍が大規模な軍事作戦を計画、その準備を進めている可能性があるとしている。
2023.09.30
昨年12月までNIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めていたアンソニー・ファウチが現役時代、CIA本部でCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の分析に参加したと指摘されている。本部へ入る際、彼は記録を残さなかった、つまり秘密裏に入ることができたという。 ファイザーやFDA(食品医薬品局)が75年間隠そうとしていた「ワクチン」に関する文書を医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは分析、アメリカの国防総省はバラク・オバマ大統領の時代から「COVID-19ワクチン」の接種計画を始めているという結論に達した。 この「ワクチン」の実態は遺伝子操作薬で、人間の細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させ、抗体を作るというもの。このスパイク・タンパク質が病気の原因になるため、人間の免疫システムは細胞を病気の原因だと認識して攻撃、炎症を引き起こす。そうした炎症を抑えているのが免疫の低下にほかならない。いわばAIDS状態にするわけで、VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めている。 接種が始まる前からADE(抗体依存性感染増強)を懸念する人は少なくなかったが、懸念された通りになっているようだ。「ワクチン」を接種した後、それまで感染したことのない、さまざまな細菌性の病気にかかる人がいるとイゴール・チュドフは指摘しているが、そうした状態がVAIDSだ。 また、DNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入といった問題も指摘されている。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性があり、人類の存続を危うくしかねない。 CIA本部を秘密裏に訪れたファウチが所長を務めていたNIAIDは「エコヘルス連合」会長のピーター・ダザックを介し、武漢病毒研究所(WIV)の石正麗を中心とするチームへ資金を提供していた。エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)にアドバイスする立場にもある。 このチームは、SARSに似たコロナウイルスの「スパイク・タンパク質」が人間などの細胞の「ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)」と結びつくメカニズムを研究、石はノースカロライナ大学のラフル・バリックとも協力関係にあった。 WIVはテキサス大学のガルベストン・ナショナル研究所やカナダのNML(ナショナル細菌研究所)と共同で細菌に関する研究を行い、タミフルやレムデシビルを開発したアメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズともつながる。 そのほか、武漢大学はデューク大学と共同で2013年に昆山杜克大学を設立しているが、デューク大学はアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)と関係している。アメリカと中国との関係は2014年頃まで良好で、センシティブな研究を共同で行えたのだろう。DARPAは2018年からコウモリからヒトへコロナウイルスを伝染させる研究を開始、中国との国境近くに研究施設を建設している。 エコヘルス連合は2014年以来、メタバイオタのパートナーで、アメリカのUSAID(国際開発庁)のプロジェクトに参加。つまりCIAの資金を受け取っていた。このプロジェクトは世界規模の新しい疾病の脅威を予測し、予防することが目的だという。メタバイオタは2014年にエボラ出血熱に関して研究していたが、状況を悪化させたと非難されている。アメリカ国防総省はウクライナでも生物兵器の研究開発を行なっているが、その研究開発施設の運営にエコヘルス連合も参加しているという。 ウクライナでアメリカの生物兵器の研究開発施設を建設するという話が流れたのは2013年のことだった。アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれたのだ。実際、建設されたとされている。 ジャーナリストのディリヤナ・ゲイタンジエワによると、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも施設があるのだが、各研究所はハリコフより前の2010年から13年の間に建設されたという。こうした研究所はCBEP(共同生物学的関与プログラム)の下でDTRA(国防脅威削減局)から資金提供を受けていた。 アメリカ国防総省はウクライナだけに研究施設を建設したわけではない。中東、東南アジア、アフリカ、そしてジョージアを含む旧ソ連諸国にもある。 特に注目されているのはジョージアにあるルガー・センター(国立疾病管理公衆衛生センター)で、近くにアメリカ軍のバジアニ空軍基地がある。センターで軍事プログラムを担当しているのはアメリカ陸軍医療研究ユニット・ジョージアの生物学者と民間業者で、CH2Mヒル、バテル、そしてメタバイオタが含まれる。 彼らは外交特権を与えられているため、ジョージア政府の直接的な支配下に置かれることなく、外交特権のもとに米国政府のために仕事をすることができる。他の国でも同じ仕組みになっているようだ。その研究内容は生物兵器(炭疽病、野兎病)やウイルス性疾患(クリミア・コンゴ出血熱など)の研究、将来の実験のための生物試料の収集など。 バテルはアメリカの国土安全保障省の契約に基づき、メリーランド州のフォート・デトリックでバイオ研究所を運営、極秘実験を行なってきた。 この基地はアメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な役割を果たしてきた。日本の医学界が第2次世界大戦中に行った生物化学兵器の開発で生体実験を担当していた第731部隊の資料はここに持ち込まれ、研究者が派遣されている。同部隊の責任者だった石井四郎中将をはじめ、生物化学兵器の関係者の責任をアメリカ政府は問わなかった。 エコヘルス連合やメタバイオタはRSTP(ローズモント・セネカ・テクノロジー・パートナーズ)という投資ファンドから資金を得ていた。このファンドは2009年にハンター・バイデンとジョン・ケリーの連れ子によって設立されたローズモント・キャピタルの下部組織で、ハンターが率いていた。言うまでもなく、ハンターはジョー・バイデン大統領の息子である。RSTPの共同設立しゃであるニール・キャラハンはメタバイオタの顧問委員会メンバーでもある。 ロシア軍は昨年2月24日から巡航ミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃、機密文書を回収した。その中に含まれていた生物化学兵器に関する約2000文書の分析を行った結果、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したという。 回収文書の分析を指揮してきたロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRAが管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱とし、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDCを含むアメリカの政府機関だ。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日の3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官(当時)はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 COVID-19騒動を操ってきたのはアメリカの国防総省とCIAであり、その背後には両機関を動かす強大な私的権力が存在していると考えるべきだろう。マンハッタン計画と似た構図に見える。その私的権力を直視している日本人が多いとは思えない。
2023.09.29
厚生労働省は9月26日、7月分の「人口動態統計速報」を発表した。それによると死亡者数は12万0524人。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種が始まる前に比べるて大幅に増えている状況に変化はない。ファウチとCIAの連携 9月26日にはアメリカ下院コロナウイルス委員会のブラッド・ウェンストラップ委員長が保健福祉省の監察総監へ書簡を提出しているが、その中で、昨年12月までNIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めていたアンソニー・ファウチがCIA本部へ出向き、同局の分析に参加した指摘している。その際、入局の事実は記録されなかったという。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を引き起こすとされるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に関する分析を行ったのだろうが、この問題では早い段階から中国湖北省のWIV(武漢病毒研究所)が注目されていた。SARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が2019年12月の終わりに発見された場所の近いことがその一因だ。 中国のアカデミーやビジネス界はアメリカ支配層の影響下にあり、中国科学院のWIVへはNIAIDがコロナウイルスの研究費として2014年からエコヘルス連合を介してピーター・ダスザクの「エコヘルス連合」へ数百万ドルを提供、その一部は武漢病毒研究所の石正麗へ渡っていると伝えられている。NIAIDの上部機関であるNIH(国立衛生研究所)からWIVの石正麗へ研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられた。ちなみに、エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)にアドバイスする立場にもある。 石正麗はノースカロライナ大学のラフル・バリックと共同で2015年11月にSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替え、新しいウイルスを作り出すことに成功している。コウモリのコロナウイルスを操作してほかの種を攻撃させる方法をバリックは石に教えたともいう。その後石正麗はWIVへ戻った。 WIVで石正麗を中心とするチームはSARSに似たコロナウイルスのスパイク・タンパク質が人間などの細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と結びつくメカニズムを研究している。 WIVと同じように注目されている武漢大学動物実験センターはアメリカのデューク大学を関係が深く、両大学は2013年に昆山杜克大学を創設した。デューク大学はアメリカ国防総省の「DARPA(国防高等研究計画局)」と協力関係にあり、そのDARPAは2018年からコウモリからヒトへコロナウイルスを伝染させる研究を開始、中国との国境近くに研究施設を建設している。 2019年12月に武漢で発見された肺炎患者と同様、翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で現れた患者の症状もSARSと似ていたようだ。非常に危険な伝染病が出現したような印象を持った人は少なくないだろう。そしてWHO(世界保健機関)は2020年3月11日に病原体が特定されないままパンデミックを宣言、騒動が始まる。 しかし、世界規模で武漢やクルーズ船のような患者が出てくるようなことはなかった。例えば、ドイツではSARS-CoV-2の危険性は通常のレベルを超えていないと指摘し、戒厳令的な政策を推進したことは間違いだとする内務省の報告書がリークされた。シュピーゲル誌によると、内務省はこの文書についてステファン・コーンという内務省の官僚が個人的に書いたものにすぎないと弁明しているが、実際は同省のKM4というチームが作成したとものだという。 イギリス政府もSARS-CoV-2に過剰反応するべきでないと考え、3月19日にCOVID-19をHCID(重大感染症)から外している。エボラ出血熱のようなウイルス性出血熱やペスト、天然痘などとは違うと宣言したわけである。 WHOやアメリカのCDC(疾病予防管理センター)はパンデミック宣言を正当化するため、2020年4月、医学的な矛盾がなく明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、COVID-19を死因としてかまわないと通達した。 また、パンデミックを演出するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。 ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40。Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。この検査技術を開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRをウイルスの検査に使ってはならないと語っていた。 実は、PCRを診断に使う危険性をアメリカの有力紙も指摘している。例えばニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で、PCRのような高感度の簡易検査は、伝染病が蔓延していると誤って判断させる原因になりうると警鐘を鳴らしている。 「パンデミック」と聞き、黒死病のように人びとが次々と死んでいく光景を連想する人もいたかもしれないが、そうした事態にはなっていなかった。パンデミックを宣言できたのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前に定義の変更があったからだ。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られていたのだ。 パンデミック騒動を利用し、少なからぬ国が監禁政策(ロックダウン)をとり、社会の収容所化が進んだ。生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化し、倒産に追い込まれるケースも少なくない。サプライ・チェーンはダメージを受けた。 また個人を監視、管理する仕組みの導入も図られている。その核になるシステムはデジタルID。欧州委員会は2019年に公表した指針の中でEU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に導入する計画を立てている。 こうした騒動を利用してWEF(世界経済フォーラム)は資本主義の「大々的なリセット」を主張している。そのWEFを率いるクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。まずチップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。一人ひとりの感情を監視するだけでなく、思想や記憶の管理も考えている。 しかし最大の問題は、COVID-19を口実にして人びとが接種させられた「COVID-19ワクチン」にほかならない。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワの分析によると、「COVID-19ワクチン」の接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めている。 この「ワクチン」計画は、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と関係している。「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。 「将来の『疾病X』の発生は避けられない」と「予測」し、将来のウイルス侵入に対する永遠の警戒を呼びかけているCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)は今後、「ワクチン」計画で中心的な役割を演じると考えられている。 この団体はWEF、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラストなどによって設立された。ウェルカム・トラストの理事長だったジェレミー・ファラーは現在、WHOの主任科学者だ。 ウェルカム・トラストは2020年5月、ウェルカム・リープなる会社を創設しているが、そのCEOに選ばれたレジーナ・デューガンはアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)で長官を務めていた人物である。 ジョー・バイデン政権は今年7月21日、生物学的脅威や病原体に対する備えと対応を指揮するというOPPR(パンデミック対策対応室)の発足とポール・フリードリックス退役少将のOPPR初代室長就任を発表している。これもCOVID-19とアメリカ国防総省との関係を示していると言えるだろう。
2023.09.28
ウクライナ軍の特殊部隊は9月25日、セバストポリにあるロシア黒海艦隊のビクトル・ソコロフ司令官と33名の将校を殺害したと発表したのだが、その翌日、ロシア軍のリモート会議に殺されたとされた軍幹部が登場、ウクライナ側の主張が間違っていたことを示した。 ウクライナ軍はアメリカ軍のP-8ポセイドンと連携、セバストポリを「スカルプ(イギリス版の名称はストーム・シャドウ)」とS-200で攻撃したと見られている。 しかし、本ブログでも書いたように、破壊された「司令部」には保守要員と警備員しかいない。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下にあり、その場所を特定するのも攻撃するのも難しいとされている。 過去の実績からするとロシア軍の防空能力は7割から8割のミサイルを撃墜でき、アメリカ軍の防空システムに比べると性能は格段に良いのだが、完全ではない。撃墜を免れたミサイルやドローンが命中する可能性もある。そこで、地下施設へ移動していたのだ。こうしたことをウクライナ軍もアメリカ/NATO軍も知っていたはずで、すぐにバレるであろう嘘をなぜついたのかは謎だ。
2023.09.27
カナダのアンソニー・ロタ下院議長は9月22日、議会にウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領のほか、ヤロスラフ・フンカなる人物を招待していた。下院議長はフンカを「ウクライナの英雄、カナダの英雄」と呼んで功績に称え、議場にいたゼレンスキーを含む人びとは一斉に立ち上がり、拍手するのだが、その光景を見て抗議の声を上げる人が現れた。 フンカは第2次世界大戦中、ソ連軍と戦ったとロカ議長は讃えているのだが、彼の所属部隊は第1ウクライナ師団(親衛隊ガリシア師団)、つまりナチスのSS(武装親衛隊)だったのだ。この師団は1943年半ばにハインリヒ・ヒムラーが8万人のウクライナ人志願者で編成したという。この師団はユダヤ人、ポーランド人、ベラルーシ人、スロバキア人に対する残虐行為でも知られている。 こうした背景をロタが知らなかったとは考えにくい。正体不明の人物を招待するとは思えず、常識的に考えて、カナダ政府は事前にチェックしたはずだ。 抗議を受け、ジャスティン・トルドー首相の事務所はフンカとナチス親衛隊の関係を知らず、全て下院議長が決めたと主張、下院議長は全て自分の責任だとして謝罪した。大戦中、ソ連軍が戦った相手はナチス体制下のドイツ軍とその同盟者である。何の情報も持っていなかったとしても、ロタ議長はフンカとナチスの関係に気づかなければおかしい。 そもそもトルドー政権で副首相と財務大臣を兼任しているクリスティア・フリーランドの家系はナチスと関係が深い。彼女の母方の祖父にあたるマイケル・チョミアックはポーランドで発行されていたファシスト系新聞の『クラキフスキー・ビスティ』で編集長を務めていた人物。ドイツに占領されていた当時のポーランド政府の要人と一緒に撮影された写真も残っている。チョミアックとドイツ軍の関係は、ワルシャワにあるポーランド政府公文書館でドイツ軍の記録から判明している。彼はウィーンでドイツのスパイ活動やプロパガンダ活動の訓練を受けたという。カナダは第2次世界大戦後、約2000名のナチス親衛隊を受け入れ、保護したと言われている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ナチスはウォール街やシティ、つまり米英の金融資本から資金援助を受けていた。そうした金融資本が作った情報機関がイギリスのMI6やアメリカのCIAだ。 ナチス政権に率いられたドイツ軍は1941年6月にソ連に対する奇襲攻撃「バルバロッサ作戦」を開始。西側には約90万人だけを残し、310万人を投入するという非常識なものだが、これはアドルフ・ヒトラーの命令で実行されたという。 1941年7月にドイツ軍はレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達。ヒトラーはソ連軍が敗北したと確信、再び立ち上がることはないと10月3日にベルリンで語っている。 また、ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測しながら傍観していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) しかし、ソ連軍の抵抗でこうした予想通りにことは進まず、ドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入する。ここでソ連軍に敗北、1943年1月に降伏した。この段階でドイツの敗北は決定的。ここからアメリカやイギリスは慌てて動き始める。 1943年1月にフランクリン・ルーズベルト米大統領とウィンストン・チャーチル英首相はフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談、「無条件降伏」という話が出てくるが、この条件はドイツの降伏を遅らせる一因になった。米英にはソ連対策を講じるための時間的な余裕ができたわけだ。 その年の7月に両国軍は犯罪組織の協力を得てシチリア島へ上陸、ナチスの幹部はアレン・ダレスたちと接触し始めた。「サンライズ作戦」である。ダレスは戦時情報機関OSSの幹部だったが、その前はウォール街の弁護士だった。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させ、保護、そして雇用する。「ラットライン」、「ブラッドストーン作戦」、「ペーパークリップ作戦」などだ。 1943年春、ウクライナのステパン・バンデラ派OUN-BはUPA(ウクライナ反乱軍)として活動し始め、その年の11月には「反ボルシェビキ戦線」を設立した。UPAは「民族浄化」に乗り出し、ユダヤ人やポーランド人の殺戮を始める。その方法は残虐で、妊婦の腹を引き裂いて胎児や内蔵を取り出し、脅しのために灌木に引っかけるといったことをしたという。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 反ファシズムのフランクリン・ルーズベルト米大統領は戦争終結後、ウォール街とファシストとの関係を追及する姿勢を見せていたと言われているが、1945年4月12日、ドイツが降伏する直前に急死する。必然的に彼が率いていたニューディール派の力は弱まり、ウォール街がホワイトハウスの実権を取り戻した。 ドイツが降伏するとOUN-Bを含む東ヨーロッパの反ソ連勢力はアメリカやイギリスへ接近、オーストリアのインスブルックへ逃げ込んでいる。1945年夏になると、バンデラたちはドイツの情報法機関を統轄することになるラインハルト・ゲーレンの機関に匿われることになる。当時、ゲーレンたちはアメリカの配下に入っていた。 反ボルシェビキ戦線は1946年4月にABN(反ボルシェビキ国家連合)へ発展、APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)と共にWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)の母体になった。 こうした背景を考えると、カナダの議会でナチス親衛隊の元隊員がたたえられるのは必然であり、ウクライナを舞台とした戦闘は第2次世界大戦で米英が行ったナチスを利用した対ソ連戦の続きだということがわかる。バラク・オバマ政権がウクライナにネオ・ナチ体制を成立させたのも必然なのだ。
2023.09.27
岸田文雄首相は9月20日、大西洋評議会から「グローバル市民賞」を授与された。今年5月に広島で開催されたG7サミットで、議長国として「功績があった」と評価されたという。授賞式では欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長も話をしているが、彼女は広島や長崎に原子爆弾を投下したのはロシアだと思っているようで、話題になっている。
2023.09.26
セバストポリのロシア海軍基地に対する攻撃で使われた兵器はイギリスとフランスが共同で開発した空中発射型ステルス長距離ミサイル「スカルプ(イギリス版の名称はストーム・シャドウ)」のようだが、地上攻撃用に改造された相当数のS-200も発射されていたようだ。 9月13日の攻撃では潜水艦が損傷を受け、穴の空いた船体の写真がインターネット上を流れた。修復不能だとコメントする「専門家」もいたが、船体に変形がないことから損傷は表面的で修復は容易だと指摘されている。その損傷が軽微だったことから、命中したミサイルは450キログラムの爆薬を搭載したスカルプでなく小型ミサイルだと見られている。 9月22日にはセバストポリの「司令部」にミサイルが命中したが、ウクライナでロシア軍が戦闘を始めた段階でその「司令部」に常駐している人間は保守要員と警備員だけになったとされている。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下へ移動したのだ。 こうした攻撃は窮地に陥っているジョー・バイデン政権の戦争推進グループとウクライナ政府の宣伝に使われているだけで、軍事的な意味はほとんどないだろう。むしろ問題は射程300キロメートル、最大マッハ3のATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)にある。ATACMSはMLRS(多連装ロケットシステム)とHIMARS(高機動砲兵ロケットシステム)から発射できる。 アントニー・ブリンケン国務長官は9月10日、ABCニュースのインタビューの中で、この兵器を近いうちにウクライナへ引き渡すと発言、しかも目標の決定はウクライナが決めることだとした。この兵器でウクライナ軍がロシア領深くを攻撃することを容認しているということだ。ジョー・バイデン大統領もウクライナ側へそのように伝えたという。 すでにNATOはロシアとの国境近くにISR(情報、監視、偵察)のネットワークを構築、それらやP-8やRC-135、あるいはRQ-4Bのような無人機などとATACMSをリンクさせてロシアを攻撃する体制ができている。 ロシア外務省は昨年9月15日、ウクライナへのATACMS引き渡しは「レッドライン」を越す行為であり、ワシントンを「紛争の当事者」にするとアメリカ政府に警告している。ロシア軍の補給線やロシア領の奥に住む人びとを攻撃できるからだ。 ATACMSがウクライナへ供給された場合、ロシア軍はNATOのISRを破壊せざるをえない。もしロシア政府が戦闘のエスカレートを恐れて逡巡した場合、ウラジミル・プーチン政権は厳しい状況に陥る可能性が大きい。 一方、来年の大統領選挙で敗北すると予測されているジョー・バイデン政権は何らかのショッキングな事態を作り出そうとしているだろう。パンデミックで選挙どころではないという状況を作る可能性もあるが、今の様子を見ていると、ロシア軍にNATO加盟国を攻撃させようとしている。 戦争を推進してきたネオコンは核戦争で人類が死滅する道を選ぶか、ウクライナでの敗北を認めて自分たちが破滅するかという選択を迫られている。彼らはすでに「ルビコン」を渡ってしまったのだ。
2023.09.26
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はニューヨークへ乗り込み、9月19日に国連総会で演説した。ゼレンスキー政権の主張と事実の乖離を西側の有力メディアも認めざるをえなくなり、会場は冷たい雰囲気だった。 その演説の翌日、パンデミックの予防、準備、対応(PPPR)に関する宣言を国連総会のダニエル・フランシス議長が承認した。この文書を起草した人物はパンデミック条約やIHR(国際保健規則)改正案を書いた人物と同じで、パンデミックを口実にして世界各国から主権を取り上げ、WHOを支配している私的権力が世界を支配する仕組みを作り上げようとしている。 こうした計画を立てている人びとはPPPR宣言を全会一致で採択しようとしたようだが、9月17日には宣言に反対する書簡がフランシス議長宛に出されている。署名した国はベラルーシ、ボリビア、キューバ、朝鮮、エリトリア、イラン、ニカラグア、ロシア、シリア、ベネズエラ、ジンバブエの11カ国だ。こうした国々の反対を無視、強引に議長が承認したのである。 こうした政策を推進する勢力はしばしば「グローバル主義者」、あるいは「全体主義者」などと呼ばれるが、実態はシティやウォール街を拠点とする私的権力であり、1970年代から進められた「民営化」や「規制緩和」など新自由主義的な政策で急速に力を強めたのである。 アメリカの第32代大統領、フランクリン・ルーズベルトは1938年4月29日、ファシズムについて、私的権力が国を凌駕する力を持ち、政府を所有している状態だと定義した。 また、ベニト・ムッソリーニが1933年11月に書いた「資本主義と企業国家」によると、巨大資本の支配するシステムが「企業主義」で、それは資本主義や社会主義を上回るものだとしている。これが彼の考えたファシズムである。 ルーズベルトやムッソリーニの定義によると、TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)とはファシズム協定だと言える。私的権力が支配するWHOに各国政府を凌駕する権力を与えるPPPRも世界をファシズム化する一環だ。「資本主義の大々的なリセット」も目的は同じである。 強大な私的権力が支配する世界では強者へ富は流れていく。「富める者が富めば貧しい者にも富がしたたり落ちる」という「トリクルダウン理論」なるものは人びとをファシズムへ導く虚言にすぎない。 この仕組みを成立させるため、全人類を監視、そして管理する仕組みを彼らは作り上げてきた。第2次世界大戦後、アメリカでは情報操作を目的とした「モッキンバード」プロジェクトは開始、市民を監視するためにFBIは1950年代からCOINTELPRO、CIAは1967年からMHケイアスを始めた。 電子技術が飛躍的に進歩、アメリカの電子情報機関NSAが全ての通信を傍受、記録、分析するシステムを築く。そのNSAはイギリスの電子情報機関GCHQとUKUSA(ユクザ)を組織、その下にカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関を従えた。いわゆる「ファイブ・アイズ」だ。イスラエルの8200部隊(ISNUとも呼ばれている)はNSAやGCHQと同等の立場で手を組んでいる。 1965年4月に本格的な商業衛星インテルサット1号が打ち上げらたが、66年にNSAはPROSTINGというプログラムを始める。その中で西側の通信を傍受するためにNSAやGCHQが開発した地球規模の通信傍受システムがECHELON。ソ連の通信衛星をターゲットにしたプログラムはTRANSIEMTだ。(The Northwest Passage, Yakima Research Station (YRS) newsletter: Volume 2, Issue 1, January 2011 & Volume 3, Issue 7, July 2012) ECHELONの存在が明るみに出たのは1988年。ロッキード・スペース・アンド・ミサイルで働いていたマーガレット・ニューシャムが議会でそのシステムについて議員に話したのだ。彼女によると、NSAは共和党のストローム・サーモンド上院議員の電話を盗聴対象にしていたという。(Duncan Campbell, 'Somebody's listerning,' New Statesman, 12 August 1988) 現在、米英の私的権力は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)パンデミック」を演出、それを口実にしてデジタルIDを世界に広めて人びとを監視する計画だ。チップ化し、将来的には脳に埋め込んで外部の巨大コンピュータと交信させると公言している。人間の端末化である。 この計画の背後には、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」がある。その中で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになったのだ。 2016年5月には国連本部でどのように導入を進めるかが話し合われ、ID2020というNGOが設立される。このNGOにはマイクロソフトも関係している。 WHOはPPPRの目的を「COVID-19のパンデミックから学んだ教訓を生かすこと」だとしているが、ロックダウンや「COVID-19ワクチン」の強制接種に失敗したことを反省しているのだろう。ロックダウンはソフトな戒厳令であり、監視システムの強化や生活のデジタル化は社会の収容所化にほかならない。強制接種は人びとに毒物を注入し、免疫システムを破壊することを意味する。 PPPRによって各国政府、もちろん人びとの意思に関係なく、私的権力の計画通りにことを進めたいのだろう。こうした彼らの計画を「カネ儲け」の視点だけから見ることは危険だ。
2023.09.25
クリミア半島のセバストポリをロシア海軍の黒海艦隊は拠点にしている。そこにある艦隊の「司令部」に対する攻撃に使われた2機の長距離巡航ミサイルはフランスから供与された「スカルプ」だと報道されている。これはイギリスとフランスが共同開発した空中発射型ステルス長距離兵器で、輸出版の射程距離は250キロメートルだという。なお、フランスで配備されているタイプの射程距離は500キロメートル以上。このミサイルはアメリカ軍のP-8ポセイドンと連携したウクライナ軍のSu-24爆撃機によって発射された。 戦闘状態にある現在、破壊された「司令部」は使われていなかったと言われている。本ブログでも書いたように、建物には保守要員と警備員しかいないのだという。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下にあり、その場所を特定することも攻撃することも難しい。軍の幹部がわざわざ地上の「司令部」に集まったとする話には疑問がある。 しかし、メディアの扇状的な報道もあり、ロシア国内ではウクライナ人をロシアとの戦闘に使っているNATO諸国に対して強い姿勢で臨むべきだという意見が強まっているという。 アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は9月10日、ABCニュースのインタビューの中で、射程300キロメートルのATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)を近いうちにウクライナへ引き渡すと発言、しかも目標の決定はウクライナが決めることだとした。ジョー・バイデン大統領もウクライナ側へそのように伝えたという。その計画はバイデン政権の総意だと言えるだろう。 ロシア外務省は昨年9月15日、ウクライナへのATACMS引き渡しはロシアが設定した「レッドライン」を越す行為であり、ワシントンを「紛争の当事者」にするとアメリカ政府に警告している。 ATACMSをアメリカ政府がウクライナへ引き渡してもウクライナがロシアに勝つ可能性を高めるわけではないが、ロシア軍としてはNATOの標的を攻撃せざるをえなくなる危険性が高まると考えられている。そうした事態が1年以内に引き起こされたなら、大統領選挙どころではなくなるだろう。来年の大統領選挙でバイデンが勝利することは難しいとみられている。
2023.09.24
ロシア海軍の黒海艦隊はクリミア半島のセバストポリを拠点にしている。そこには艦隊の司令部があるのだが、そこをウクライナ軍は巡航ミサイルで攻撃、建物を破壊したようだ。ミサイルは、アメリカ軍のP-8ポセイドンと連携したウクライナ軍のSu-24爆撃機が発射したという。 この攻撃を絶賛したアメリカ軍の退役将軍もいたようだが、ロシアの軍事専門家アンドレイ・マルチャノフによると、破壊された建物には保守要員と警備員しかいない。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下にあり、その場所を特定するのも攻撃するのも難しいとされている。 過去の実績からするとロシア軍の防空能力は7割から8割のミサイルを撃墜できる。アメリカ軍の防空システムに比べると性能は格段に良いのだが、完全ではない。そこで本当の司令部は地下にあり、所在地は公表されていないわけだ。 こうしたことはアメリカ軍もウクライナ軍も知っているはずで、今回の攻撃は宣伝が主たる目的で、ロシア軍の動きもP-8が調査していたとされている。 ウクライナ軍はアメリカ政府やイギリス政府の命令でロシアとの戦闘を続けてきたが、昨年2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めた直後にウクライナ軍の敗北は明らかだった。ドンバスを攻撃するために集結していた部隊がロシア軍の攻撃で壊滅してしまったからだ。 アメリカ側の推計でも、ロシア軍の攻撃開始から現在に至るまでに約50万人のウクライナ兵が戦死、ロシア側の戦死者はその1割、つまり5万人程度だと考えられている。 ウクライナ軍は必要な兵員数の約半数しか集められず、訓練もできていないという。ウクライナ国内で訓練できないため複数の国に分けられているという問題もある。強引に兵士を集めても社会が機能しなくなる。 追い詰められたウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「支援国」を怒らせるようは発言をするようになった。地上戦を続けることは難しくなっている。ジョー・バイデン政権は地上戦を諦め、中長距離ミサイルによる攻撃に切り替えるとも推測されていたが、そうした方向へ動き始めているようだ。 アントニー・ブリンケン国務長官は9月10日、ABCニュースのインタビューの中で、射程300キロメートルのATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)を近いうちにウクライナへ引き渡すと発言、しかも目標の決定はウクライナが決めることだとした。つまり、ロシア領深くを攻撃することを容認するということである。ATACMSはアメリカがすでに供給済みのHIMARS(高機動ロケット砲システム)で発射できる。 ロシア外務省は昨年9月15日、ウクライナへのATACMS引き渡しは「レッドライン」を越す行為であり、ワシントンを「紛争の当事者」にするとアメリカ政府に警告している。 元CIA分析官のラリー・ジョンソンによると、セバストポリ攻撃の拠点になったクレメンチュグ空港はロシア軍が巡航ミサイルで報復攻撃、Su-24やストームシャドウ・ミサイルが破壊されたという。
2023.09.24
アメリカ空軍のAMC(航空機動軍団)を率いるマイク・ミニハン大将が書いた2月1日付けの覚書の中で、自分の直感では2025年に中国と戦争になると書いている。アメリカはロシアだけでなく中国を攻撃する準備を進めてきたこともあり、無視できる主張ではない。その覚書が知られるようになり、ミニハンはその内容について弁明した。指揮下の部隊に危機感を持たせることが目的だったというのだ。 イギリスの金融資本は19世紀後半から帝国主義的な政策、つまり侵略と略奪を本格化させる。いわゆる「グレート・ゲーム」だ。この戦略を進化させ、理論化したのがイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるというもの。この戦略をアメリカが引き継いだ。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」もズブグネフ・ブレジンスキーが書いた「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づいている。 この理論をより攻撃的にしたのがネオコン。1991年12月にソ連が消滅、国防総省を支配していたネオコンは92年2月に「DPG(国防計画指針)草案」という形で世界制覇計画を作成した。 当時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。「唯一の超大国」になったアメリカは他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できる時代が来たと考えたのだ。 そのドクトリンの中でドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れると宣言、そして「新たなライバル」の出現を阻止するとしている。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないというわけだ。 しかし、アメリカの戦争マシーンに組み込まれることを嫌った細川護煕政権は国連中心主義を掲げる。細川政権は1994年4月に潰されたものの、同年6月に自民党、社会党、さきがけの連立政権が誕生した。 日本側の抵抗に怒ったネオコンはジョセイフ・ナイ国防次官補に接触し、同次官補は1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表して戦争マシーンへ日本を誘導する道筋を示した。 そうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)た。その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。 その年の8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。日本政府に対する恫喝になっただろう。 結局、日本は戦争への道を歩み始め、自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作った。2023年には石垣島でも完成した。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられているが、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。 しかし、ミニハンの「直感」では2025年までに中国やロシアを攻撃するための中距離ミサイルを準備しなければならない。昨年10月、日本政府が、アメリカ製巡航ミサイル「トマホーク」の購入をアメリカ政府に打診しているとする報道があったが、日本のミサイル開発を待っていられなくなったのかもしれない。 岸田文雄政権は昨年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額し、「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。
2023.09.23
ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相はウクライナへび武器供与をやめると9月20日に発言、注目されている。ポーランド国内の事情や穀物取引をめぐる対立も要因だと言われている。 ウクライナの穀物生産は西側の巨大資本が支配、生産物の大半は欧米に売られ、アフリカなどへ穀物を供給しているのはロシアだ。それに対し、ポーランド政府は自国の農家を守るためだとして、ウクライナからの穀物輸入を禁止、両国の関係は緊張している。 EUは5月、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキアに対するウクライナ産穀物の輸出制限で合意したが、ここにきてその禁止措置を解除すると発表、ハンガリー、ポーランド、スロバキアは反対を表明した。 しかし、ポーランドとウクライナの対立が表面化した根本的な原因はウクライナでの戦闘でアメリカ/NATOがロシアに負けたことにあるだろう。アメリカ/NATOの勝利を前提として描かれたビジョンが崩れた結果だ。 ポーランドはウクライナの西側を併合する計画だったのではないかと言われているが、ビジョンの基本はネオコンが描いている。ウクライナを米英巨大資本の支配地にしてEUとロシアを分断、資源がある東部や穀倉地帯を奪う一方、ロシア海軍の黒海艦隊が拠点にしているクリミアのセバストポリを抑え、NATOをウクライナへ展開してロシアに対する軍事的な圧力を強める予定だったのだろう。 ウクライナ情勢を理解するためには歴史を理解する必要がある。ドンバスを含む東部やクリミアを含む南部は革命後にロシアからウクライナへ割譲された地域で、住民の約7割はロシア語を話し、東方正教会の文化圏にある。そのためロシアへ戻りたいと希望する人はソ連が消滅するころにも少なくなかったが、西側資本の影響力が強まり、ロシア語文化圏に対する弾圧が強まるにつれ、そうした感情も強まった。 そうした東部や南部に住む人びとの思いは2004年の大統領選挙で形になる。ビクトル・ヤヌコビッチが当選しそうになったのだが、それを西側はひっくり返す。米英金融資本と関係が深い新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領の座につけるため、アメリカ政府は反ヤヌコビッチの宣伝と運動を展開、実現した。「オレンジ革命」だ。 ビクトルの妻、カテリーナはウクライナからアメリカへ移民した両親の子で、アメリカの民主主義人権労働担当国務次官補の特別補佐官などを務め、1998にふたりは結婚した。アメリカ政府はユシチェンコを操る強力な仕掛けを持っていたと言えるだろう。 しかし、ユシチェンコの新自由主義的な政策で国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になる一方、大多数の庶民は貧困化した。そこでウクライナの有権者は2010年の選挙でもヤヌコビッチを大統領に選ぶ。 この結果を米英の私的権力は受け入れられない。そこでバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターを実行、ヤヌコビッチ政権を倒した。 ネオ・ナチは2004年以降、つまりオレンジ革命当時からバルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を受けたと言われ、ポーランド外務省は2013年9月にクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練を受けたと伝えられている。 東部や南部の人びとはクーデターを拒否、クーデタの翌月にロシアとの統合を求める住民投票を実施したクリミアでは95%以上が加盟に賛成(投票率80%以上)し、ロシアの保護下に入った。南部の港湾都市オデッサでは2014年5月2日にネオ・ナチが反クーデター派の市民を虐殺、ドンバス(ドネツクやルガンスク)の住民は2014年5月11日に住民投票を実施、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)している。 クーデター後のネオ・ナチ体制はロシア語系住民を弾圧する一方、アメリカ/NATOは8年かけてキエフ政権の軍事力を増強、昨年3月にはドンバスに対する大規模な軍事作戦を計画していた可能性が高い。 その計画を実行するため、ウクライナ軍は地下要塞が建設されていたドンバス周辺に集結するが、その部隊が動く前にロシア軍がウクライナに対する攻撃を開始した。この段階でロシアの勝利は明らかだった。 そこでイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットを仲介役とする停戦交渉が始まり、双方とも妥協して停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めた。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつける。その足でベネットはドイツへ向かい、シュルツと会った。ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。4月にはイギリスの首相やアメリカの下院議長がウクライナへ乗り込み、停戦交渉をやめてロシアと戦い続けるように命令した。 今年6月4日に始まった「反転攻勢」が破滅的な失敗に終わったが、そもそも昨年2月末の段階でウクライナは負けていた。それを受け入れられない米英やその属国は武器や資金を供給、ロシアと戦わせてきたのだが、その結果、約50万人のウクライナ兵が死亡している。
2023.09.22
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領を含むウクライナ政府の代表団が国連総会に出席したが、その際、メンバーは笑顔を見せなかった。アメリカのジョー・バイデン政権との間に亀裂が生じているとも言われているが、その推測を確認させる光景だと言う人もいる。 すでにゼレンスキー政権とバイデン政権との関係がギクシャクしていることは9月6日のミサイル攻撃でも指摘されていた。この日、ドネツクのコンスタンチノフカがミサイルで攻撃され、十数人が死亡し、30人以上が負傷したとされている。 ゼレンスキー政権は攻撃の直後からロシア軍によるものだが宣伝、西側のメディアはその主張を垂れ流していたが、同政権の代表団がニューヨークに到着した9月18日、ニューヨーク・タイムズ紙は、この攻撃がブーク発射システムによって発射されたウクライナの防空ミサイルによるものである可能性が高いとする分析を掲載している。これまでネオコンの広報紙的な役割を果たしてきたニューヨーク・タイムズ紙が伝えていることに注目する人は少なくないだろう。 ウクライナ政府が公開した映像を見ると、ミサイルはウクライナ軍がいる北西から飛来している。それは自動車のルーフに映っていたミサイルの動き、また通行人が北西の方向を見ていることからもわかる。また映像には発射音と爆発音が記録されているが、その間隔から発射地点が近くにあることがわかる。ロシア軍がいる場所はそこから20キロメートル以上離れているのだ。 アメリカでは有力メディアだけでなく映画界もゼレンスキー政権を支援してきた。ハリウッドのスターのひとりであるショーン・ペンはアーロン・カウフマンと共同で「スーパーパワー」と題するドキュメンタリー映画を監督した。これはゼレンスキーを英雄視する映画だ。 ペンもアメリカ政府の姿勢が変化していると感じているようで、CBSニュースの番組「フェイス・ザ・ネイション」に出演した際、バイデン政権が早い段階にF-16戦闘機を提供しなかったと不満を口にしている。 F-16は古いタイプの戦闘機で、「空飛ぶダンプカー」と呼ばれているF-35より戦闘能力があっても、ロシアの最新鋭機の敵ではない。その旧タイプの戦闘機を投入して意味があるとするならば、核ミサイルを発射できることだ。つまり、F-16を引き渡すということは核戦争の準備をすることに等しい。ペンは核戦争の危険性を認めているものの、可能性は低いと主張している。 ペンと同じようなことを主張していた軍人も存在する。2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務め、ネオコン/シオニストと強く結びついているフィリップ・ブリードラブ大将は核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと主張していた。 ペンたち以外にもゼレンスキーに関するドキュメンタリーを制作した人がいる。アメリカ海兵隊の元情報将校で、UNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めた経験のあるスコット・リッターだ。 彼は2部構成のドキュメント「エージェント、ゼレンスキー」をフランスの元情報機関員エリック・デネーゼと共同で制作、その中でゼレンスキー大統領はイギリスの対外情報機関MI-6の命令で動いていることを明らかにしている。(パート1、パート2)
2023.09.21
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9月18日にアメリカのニューヨークへ到着した。国連総会に出席するほか、ホワイトハウスを訪問、議会指導者と会談する予定だ。9月6日にはアントニー・ブリンケン国務長官がウクライナを訪問、戦況について協議したようだ。 西側の有力メディアはウクライナでの戦闘を煽り、ロシアは簡単に負けると宣伝してきた。バラク・オバマ政権からジョー・バイデン政権まで戦争を推進してきたネオコンの拡声器としての役割を果たしてきたわけだが、限界が近づいているようだ。 ウクライナのセルゲイ・クリヴォノス退役少将もゼレンスキー政権の「楽観的見通し」を批判している。6月4日に始まった「反転攻勢」が破滅的な失敗に終わったではないかと言っているのだ。 実際、ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できないことは明白で、ロシア政府の推計によると、6月4日以来、ウクライナ軍兵士の戦死者数は7万5500人に達する。アメリカ側の推計でも2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めてから約50万人のウクライナ兵が戦死したという。ロシア側の戦死者はその1割、つまり5万人程度だと考えられている。 この50万人という数字について欧州議会で質問されたNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「簡単なことだとは約束していない」と答えた。これは「50万人」という数字を暗黙のうちに認めたのだと解釈する人もいる。 ブリンケン国務長官がウクライナを訪問、数百万ドルの新たな援助を発表した9月6日、ドネツクのコンスタンチノフカがミサイルで攻撃され、十数人が死亡し、30人以上が負傷したとされている。ゼレンスキーはロシア軍に攻撃されたと主張、西側のメディアはその主張を垂れ流していた。 しかし、ゼレンスキー自身が公開した映像を見ると、ミサイルは北西から飛んできているが、そこにはウクライナ軍がいる。駐車していた自動車のルーフに映っていたミサイルからも発射地点の方向がわかるが、通行人も北西の方向を見ている。また映像には発射音と爆発音が記録されているが、その間隔から発射地点が近くにあることがわかる。ところがロシア軍がいる場所はそこから20キロメートル以上離れているのだ。 これまでネオコン色が濃いニューヨーク・タイムズ紙でさえ、この攻撃はブーク発射システムによって発射されたウクライナの防空ミサイルである可能性が高いと分析している。ゼレンスキーのアメリカ到着に合わせて出されたことから、キエフ政権とアメリカ政府との間に対立が生じていると推測する人もいる。 ゼレンスキー政権にロシアとの戦闘を命令した米英両国政府だが、アメリカ/NATOの命令で「バンザイ突撃」を繰り返してきたウクライナ軍は戦闘員が足りず、勝つことは無理だろう。それでもゼレンスキーはカネを寄越せとアメリカに要求しているが、バイデン政権は別のことを考え始めているように見える。地上戦を諦め、中長距離ミサイルによる攻撃に切り替えると推測する人もいる。
2023.09.20
10月20日午後7時から「としま区民センター」7階会議室で行う「櫻井ジャーナルトーク」のテーマは「土壇場を迎えたアメリカ帝国主義」にする予定です。興味のある方は東京琉球館までEメールで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:dotouch2009@ybb.ne.jp アメリカの支配層は自由、人権、民主主義という看板を掲げながら国外で侵略戦争を仕掛け、国内では管理体制を強化し、富を独占するための支配システムを世界に広げようとし、その切っ先をロシアや中国の喉元に突きつけています。1991年12月にソ連が消滅、「唯一の超大国」になったアメリカは好き勝手に行動できると考えるようになった結果だと言えるでしょう。その帝国主義的な姿勢が中露の反撃を招き、アメリカの支配層は窮地に陥りました。次回の「櫻井ジャーナルトーク」ではそうした状況について考えたいと思います。 アメリカにも憲法があり、人びとの権利が定められていますが、憲法の規定を無効にするためのプロジェクトCOGが1982年にスタートしました。ソ連が消滅した直後の1992年にはアメリカが「唯一の超大国」になったという前提で世界制覇プロジェクトが国防総省の「DPG草案」という形で作成され、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれています。 そのCOGとウォルフォウィッツ・ドクトリンは2001年9月11日から本格的に始動、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ウクライナというように火をつけ、今、東アジアの軍事的な緊張を高めています。アメリカはイギリスやオーストラリアとAUKUSなる軍事同盟を組織しましたが、彼らは相手が弱小国でない限り、基本的に自分たちが最前線に出て来ることはなくなっています。東アジアにおけるロシアや中国との戦争では日本や韓国が矢面に立たされそうです。 ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」にしろ、ズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」にしろ、ハルフォード・マッキンダーが1904年に発表した理論に基づいていますが、その理論のベースはイギリスが19世紀に始めた「グレート・ゲーム」、つまりロシア制圧プロジェクトです。 19世紀の終盤、イギリスは1899年から1902年にかけてのボーア戦争(南アフリカ戦争)で金やダイヤモンドを産出する南アフリカを奪い取ることに成功、アメリカは先住民を虐殺しながら西海岸に到達、1898年のアメリカ・スペイン戦争で南アメリカやフィリピンを奪いました。 イギリスは1839年から42年にかけて「アヘン戦争」、56年から60年にかけては「第2次アヘン戦争(アロー戦争)」で中国(清)に勝利しますが、内陸部を占領する戦力がありません。イギリスが日本で明治維新を仕掛けた理由はそこにあるのでしょう。 1853年にマシュー・ペリーが指揮する艦隊を江戸湾に送り込んだアメリカは67年にアラスカを手に入れ、ハワイも占領していますが、アメリカ支配層が最も欲しがっていた場所はカリフォルニアのはるか西にある「新たな西部」、つまり中国東北部だったと言われています。 ボーア戦争で重要な役割を果たしていたセシル・ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出し、大儲けした人物。そのローズはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレットらと支配者グループを形成、アルフレッド・ミルナーはその後継者です。 ローズは優生学を信奉していました。1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』で彼はアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張してます。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務だというのです。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) イギリスでは19世紀にハーバート・スペンサーが適者生存を主張、競争で強者が生き残ってその才能が開発され、その一方で弱者は駆逐されるとしています。弱者に無慈悲であればあるほど社会にとっては「優しい」のだというのです。イギリスの人類学者、フランシス・ゴルトンは「遺伝的価値の高い者を増やし、遺伝的価値の低い者を減らす」ことで社会を改善できると主張していました。このゴルトンは優生学の創始者とされていますが、彼の従兄弟は『種の起源』で知られているチャールズ・ダーウィンです。 こうした思想はローズなどイギリスの支配者グループに影響を与え、アメリカの支配層にも影響を及ぼし、カーネギー研究所、ロックフェラー財団、ハリマン家のマリー・ハリマンらの支援を受けて優生学を広める運動が展開されました。そうした運動に感銘を受け、自国で実践したのがアドルフ・ヒトラーにほかなりません。 アメリカが掲げる自由、人権、民主主義という看板を支えているのはそうした思想なのです。
2023.09.19
アメリカのフィラデルフィアを拠点にするFIRE(個人の権利と表現財団)は9月6日、言論の自由に関する248大学のランキングを発表した。 トップはミシガン工科大学、最下位はハーバード大学、247位は同じアイビー・リーグのペンシルベニア大学だ。「名門校」とされるサウス・カロライナ大学が246位、ジョージタウン大学が245位、ノースウェスタン大学が242位、ダートマス・カレッジが240位、テキサス大学オースティンが239位。エリートを輩出する大学が下位に並んでいる。 アイビー・リーグに含まれる大学は初年度の学費が約6万ドルだとされている。出世の道が開かれているこうした私立大学へ入るためには多額の授業料を支払う資産とコネが必要だ。資産とコネがあれば相当愚かな人物でも入学が認められる。日本でも学費が高騰しているが、その比ではない。 そうした大学へ入るためには有名な進学校へ通う必要があるのだが、そうした学校の授業料も日本で想像できないほど高い。トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重い。低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態だ。 大学へは入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。 体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば2012年11月イギリスのインディペンデント紙は学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介するビジネスの存在を明らかにした。日本では「援助交際」と表現されている行為だ。 こうした状況を改善するためには法律面からの働きかけも必要になるが、そうした問題に取り組むような弁護士が出てきにくいシステムに変えられている。司法試験を受けるまでに多額の資金が必要になり、試験に受かっても司法修習生に対する給付制が廃止になって新人弁護士の多くは借金まみれ。カネになる仕事、カネを出せる人物や組織の仕事を弁護士になってからせざるを得ない。 学資ローンを利用すると卒業時に多額の借金を抱えることになり、その借金を返済するためには高収入の仕事、つまり富裕層のために働かなければならない。その仕事を失えば破産だ。医師や弁護士が権力者の不正に沈黙する理由のひとつはここにある。奨学金を得るには富裕層への従属が認められなければならない。 高等教育を受けようとすれば債務奴隷にならざるをえず、その結果としてアメリカでは教育水準が低下、日本もその後を追っている。かなり前から日本でも技術系学生のレベルが落ち、企業は中国やインドの学生に目をつけているという声を聞く。こうした西側の状況を反面教師にしたのか、中国やロシアではアメリカ方式の教育システムから離脱、成功したという。
2023.09.18
厚生労働省は9月20日から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の追加接種を始める。この「ワクチン」の実態は遺伝子操作薬にほかならない。東京理科大学名誉教授の村上康文、そして東北有志医師の会の後藤均と駒野宏人は今回の接種について、メカニズムの上からもタイミングの上からも、これまで以上に危険だと警鐘を鳴らしている。 MRNAを細胞の内部へ送り込み、細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させる「mRNAワクチン」は人間の免疫システムに細胞が病気の原因だと認識させるため、炎症を引き起こす。自己免疫疾患だ。精巣の細胞にmRNAが入り込み、精子でなくスパイク・タンパク質を作り続けるケースも報告されている。接種前からADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすのではないかと懸念する人は少なくなかったが、その通りになっているようだ。 免疫システムの「誤作動」による炎症を抑えているために免疫力を体は低下させるが、「ワクチン」にも免疫を抑える仕組みが組み込まれているようだ。いわばAIDS状態になるわけで、「COVID-19ワクチン」はAIDS誘発薬だとも言えそうだ。 VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めた。「ワクチン」を接種した後、それまで感染したことのないさまざまな細菌性の病気にかかる人がいるとイゴール・チュドフは指摘しているが、そうした状態がVAIDSだ。 この危険な「ワクチン」を接種する口実に使われているコロナウイルスが現れた時期は紀元前8000年と言われ、人類との付き合いは長く、深刻な病気を引き起こすとは認識されていなかった。 ところが2003年に重症肺炎を引き起こすSARS-CoV(SARSコロナウイルス)が出現、19年に似た症状を引き起こす病気が中国湖北省の武漢で見つかり、翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者現れた。 武漢で患者が見つかった後、WHO(世界保健機関)は2020年3月11日に病原体が特定されないままパンデミックを宣言、騒動が始まるのだが、世界規模で武漢やクルーズ船のような患者が出てくるようなことはなかった。 ドイツではSARS-CoV-2の危険性は通常のレベルを超えていないと指摘し、戒厳令的な政策を推進したことは間違いだとする内務省の報告書がリークされた。シュピーゲル誌によると、内務省はこの文書についてステファン・コーンという内務省の官僚が個人的に書いたものにすぎないと弁明しているが、実際は同省のKM4というチームが作成したとものだという。 イギリス政府もSARS-CoV-2に過剰反応するべきでないと考え、3月19日にCOVID-19をHCID(重大感染症)から外している。エボラ出血熱のようなウイルス性出血熱やペスト、天然痘などとは違うと宣言したわけである。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は2020年4月8日に放送されたFOXニュースの番組で、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話していた。COVID-19の患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるからだという。当局は利益誘導でパンデミックを演出したわけだ。 実際、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら、死因をCOVID-19として良いと通達、同じ時期に同じ趣旨の通達をWHOも出している。 パンデミック宣言を正当化するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRをウイルスの検査に使ってはならないと語っていた。 PCRを診断に使う危険性をアメリカの有力紙も指摘していた。例えばニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で、PCRのような高感度の簡易検査は、伝染病が蔓延していると誤って判断させる原因になりうると警鐘を鳴らしているのだ。 COVID-19騒動が始まった頃から、死亡者は深刻な複数の持病を抱えている人が多いと指摘されていた。ヨーロッパの中で早く感染が始まったイタリアの場合、死亡した感染者の平均年齢は81歳を上回る。90%は70歳以上。しかも80%以上は複数の慢性的な病気、例えば心臓病、糖尿病、癌などを抱えていたのだ。SARS-CoV-2が死因だと言える人は1%未満にすぎなかったという。 本ブログでは以前にも書いたが、イタリア健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディは、SARS-CoV-2が直接的な原因で死亡した人数は死者全体の12%だとしていた。またこのウイルスが原因で死亡したとされる患者の中で96.3%の死因はこのウイルスではないとビットリオ・スガルビ議員は主張している。 イタリアにおける感染状況は過大に評価されている可能性が高いわけだが、逆に過小評価されている疑いがある国がアメリカ。CDC(疾病管理予防センター)で所長を務めるロバート・レッドフィールドは3月11日、アメリカ下院の公聴会で、COVID-19で死亡した患者がインフルエンザに感染していたと見なされていた可能性があることを認めた。 そのほか「COVID-19ワクチン」にはDNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入などだ。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性が指摘されている。 COVID-19はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)によって引き起こされるとされ、その変異株が発表されてきた。京都大学の宮沢孝幸准教授と大阪医科薬科大学助教の田中淳はその変異株の遺伝子配列を調べ、結果を発表しているが、その論文が世界的な話題になっている。 宮沢らによると、変異の蓄積や相同組換えといった自然界で一般的に観察されるようなゲノム進化の産物ではなく、全く新しいメカニズムで形成されたという結論に達したという。人工的に作り出された可能性が高いということだ。 少なからぬ人が指摘しているように、「COVID-19ワクチン」と名付けられた新薬はすでに多くの人を深刻な副作用で苦しめ、死亡させてきた。生殖能力を破壊するとも考えられている。この「COVID-19ワクチン」接種プロジェクトの中枢はアメリカの国防総省だ。 すでに大半の国では「ワクチン」の危険性を悟り、接種をやめた。いまだに接種を推進している国は日本だけである。次の接種が始まると、「ワクチン」による副作用が現れ、死亡者が増えるだろうが、AIDS化によって様々な病気に感染する可能性がある。そうした状況を利用し、再び「パンデミック」を宣言、選挙どころでなくしてしまうことも考えられる。
2023.09.17
ウクライナで大統領顧問を務めるミハイロ・ポドリャクはインド人や中国人について知的能力が低く、自分たちの行動の結果を分析しないと語ったようだ。科学的な成果を達成していても、世界情勢を理解できていないという。両国がウクライナの思い通りに動かないため、ポドリャクは苛立っているのかもしれない。 インド人や中国人だけでなく、ウクライナ政府には有色人種を差別する傾向がある。今年4月29日には、ウクライナ国防省がツイッターにヒンドゥー教の女神カーリーを嘲笑する絵を投稿して問題になった。 昨年2月24日にロシア軍がドンバス周辺に集結していたウクライナ軍のほか、キエフ側の軍地基地や生物兵器の研究開発施設などをミサイルで攻撃し始めた直後、インド人やアフリカ系の人びとはの国外への脱出を妨害されたり、棍棒で殴打されたり、差別されたりしている。 こうした差別は西側メディアも報道の中で行っていた。「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」、要するに北欧系の難民は助けなければならないと叫んでいた記者が何人もいたのだ。 ウクライナで2013年11月から14年2月にかけてクーデターを実行した集団はステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチだが、この人びとはドイツのナチスと同じように北欧神話を信じ、アジア人の血が入っているとしてロシア人を蔑視している。 1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出し、大儲けしたセシル・ローズはロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてアルフレッド・ミルナーらと支配者グループを形成したが、優生学を信奉していたことでも知られている。 優生学の創始者とされているフランシス・ゴールトンは『種の起源』で知られているチャールズ・ダーウィンの従兄弟にあたる。ダーウィンはトーマス・マルサスの『人口論』から影響を受け、優れたものが勝利するという「自然淘汰」を主張していた。 1877年6月にローズはフリーメーソンへ入会し、その直後に書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど、それは人類にとって良いことだと主張していた。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) セシル・ローズの意志で1902年にローズ・トラストが創設され、奨学生として選ばれたオックスフォード大学の大学院生に学費や生活費を支払う奨学制度が作られた。現在、アメリカで国家安全保障担当大統領補佐官を務めているジェイク・サリバンはエール大学時代、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。 2009年にバラク・オバマ政権の上級顧問になり、中東から北アフリカにかけての地域で実行された体制転覆工作に加わったマイケル・マクフォール、ビル・クリントンもローズ奨学生としてオックスフォード大学に留学している。マクフォールは2012年1月に駐在大使としてロシアへ赴任した。この年の3月にはロシアで大統領選挙が行われ、ウラジミル・プーチンが当選している。この選挙で反プーチンの工作をマクフォールは指揮、「ロシアのリセット」を目論んだ。ちなみに、1993年1月から2001年1月までアメリカ大統領を務めたビル・クリントンもローズ奨学生だった。
2023.09.16
天然資源に関する問題を調査し、キャンペーンを実施しているNGOの「グローバル・ウィットネス」の発表によると、今年1月から7月までの間にEU諸国がタンカーで輸入したロシア産LNGは昨年の同時期に比べて40%増加したという。スペインはロシア産LNGの世界第2位の買い手であり、ベルギーがそれに続く。勿論、第1位は中国だ。 アメリカはウクライナをクーデターで手に入れ、ロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプラインをおさえた。昨年9月26日にはウクライナを迂回する「ノード・ストリーム」と「ノード・ストリーム2」が爆破されたが、アメリカ政府が実行した可能性が高い。スペインのテレサ・リベラ・エネルギー相は4月、EUの制裁協議にロシアのLNGも加わるべきだと語ったようだが、EU市場を必要としないロシアは傷付かず、ロシアの天然資源が必要なEUは壊滅する。 アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から翌年の2月にかけてウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを実行、10年の選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除した。 しかし、クーデターではヤヌコビッチの支持基盤でロシア語を話し、東方正教会の文化圏にあるクリミアや東部ドンバスを制圧に失敗した。アメリカ/NATO/ウクライナ西部の支配層はかつてパレスチナやユーゴスラビアで行ったように住民を虐殺し、追い出し、自分たちにとって都合の良い人々を移住させるつもりだったようだが、成功していない。ロシアにとってウクライナがNATOの支配地になるということは、ナチスが始めたソ連に対する軍事侵略、「バルバロッサ作戦」の新たなバージョンにほかならない。 ウクライナのクーデターには別の目的もあった。ロシアとEUを分断し、双方を弱体化させようということだ。ロシアとEUの接近はアメリカやイギリスの支配層にとって脅威である。 ロシアとEUを結びつける最大の要因は石油や天然ガス。EUの経済はロシアが供給していた天然資源なしには維持できない。つまり、ロシアの天然資源をEUから取り上げてしまえば、EUは米英資本に従属せざるをえない。 アメリカでは1970年代から新自由主義を導入、商品の製造を放棄して金融を軸に据えた。金融マジックだが、このマジックは人びとがドルを信仰することで成立する。その信仰を支えてきたのが軍事力と情報力にほかならない。 1991年12月のソ連消滅で新自由主義を推進していた勢力はアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、世界制覇プロジェクトを本格化させた。そのベースが1992年2月に作成された「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。ウォルフォウィッツの仲間であるネオコンはNATOを東へ拡大、旧世代の「タカ派」も懸念する事態になる。そうした旧世代のひとりがリチャード・ニクソンだ。 ニクソンは1994年の段階でアメリカの傀儡だったボリス・エリツィンの政治的な影響力が低下していると指摘、ロシア議会で反米機運が高まっていると警鐘を鳴らし、そうした機運の高まりはエリツィンの後継者として反欧米の大統領候補を連れてくる可能性があるとしている。そして登場してきたのがウラジミル・プーチンにほかならない。 2001年9月11日の出来事でアメリカにはそのドクトリンに抵抗する勢力が消滅するのだが、プーチンを中心とする勢力はロシアを再独立させることに成功、状況は一変した。 アメリカの政策はドイツをはじめとするEUの経済を破壊し、人びとの生活は成り立たなくなる。生産活動を維持できなくなる企業に対し、アメリカは拠点の移動を働きかけているようだ。新自由主義で破壊した自国の製造業をEUの企業で補填しようというのだろう。
2023.09.15
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が朝鮮を突如訪問したのは7月25日のことだった。朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席するためだが、李鴻忠党中央政治局委員を含む中国の代表団とそこで合流している。アメリカが日本や韓国を巻き込んで整備している軍事同盟に対抗することが本当の目的だろう。 フランクリン・ルーズベルト大統領が信頼していたヘンリー・ウォレスが1945年1月20日に副大統領の座から引き摺り下ろされた後、同年4月12日にルーズベルト自身が急死、シオニストを後ろ盾にするハリー・トルーマン副大統領が昇格した。 トルーマン政権は大戦後の中国を国民党に支配させる予定で、20億ドルを提供しただけでなく軍事顧問団も派遣している。ところが1947年の夏になると農民の支持を背景として人民解放軍(1947年3月に改称)が反攻を開始、48年の後半になると人民解放軍が国民党軍を圧倒するようになり、49年1月に解放軍は北京に無血入城した。 大戦の終盤、米英金融資本がレジスタンス対策で組織したジェドバラの流れを汲むOPCは中国で国民党を支援する工作をしていたが、状況の悪化を受けて拠点を上海から日本へ移動する。その中心は厚木基地だった。 中国がコミュニスト体制になることが不可避になり、OPCを動かしていた金融資本は「反転攻勢」を目論む。その兵站拠点は日本であり、朝鮮半島が橋頭堡として想定された。物資を輸送するためには鉄道や港を抑える必要があり、戦争に反対するであろう労働者を抑え込まなければならない。 1949年10月に中華人民共和国が成立するが、その直前、国鉄を舞台とした怪事件が相次ぐ。7月5日から6日にかけての下山事件、7月15日の三鷹事件、そして8月17日の松川事件だ。共産党が実行したというプロパガンダが展開され、組合活動は大きなダメージを受けた。 1950年6月22日、ニューズウィーク誌の東京支局長だったコンプトン・パケナム宅で夕食会が開かれ、アメリカ側からはパケナムのほか、ニューズウィーク誌の外信部長だったハリー・カーン、ドワイト・アイゼンハワー政権で国務長官に就任するジョン・フォスター・ダレス(つまりアレン・ダレスの兄)、ダレスに同行してきた国務省東北アジア課長ジョン・アリソンが、また日本側からは大蔵省の渡辺武、宮内省の松平康昌、国家地方警察企画課長の海原治、外務省の沢田廉三が参加している。その段階で朝鮮半島では軍事的な小競り合いが始まっていたが、朝鮮戦争の開始日とされているのは夕食会の3日後、6月25日だ。朝鮮戦争は米中戦争の第1幕だと考えるべきである。 朝鮮戦争は1953年7月27日に休戦が成立、今年はそれから70年目にあたる。4月26日に韓国の尹錫悦大統領はアメリカのジョー・バイデン大統領と会談、ワシントン宣言を発表した。そこでは「核協議グループ(NCG)」の創設が謳われている。 アメリカは韓国のほか日本をメンバーにする軍事同盟を編成しつつある。すでにアメリカ、オーストラリア、インド、日本で「クワド」を編成しているが、インドはアメリカへの従属度が足りない。オーストラリアやイギリスと3カ国でアメリカは「AUKUS」という軍事同盟を組織したが、東アジアの国ではない。そこで日米韓軍事同盟なのだろう。7月18日にソウルでNCGの第1回会議が開かれた。ショイグの朝鮮訪問はこの直後だ。 勿論、アメリカを中心として軍事同盟国は「防衛」を主張するが、大戦後、アメリカは先制攻撃を繰り返してきた。 朝鮮の場合、ソ連が1991年12月に消滅する前にミハイル・ゴルバチョフから見捨てられていた。それに対し、アメリカ軍は1998年に金正日体制を倒す目的でOPLAN-5027-98を作成、99年には朝鮮の国内が混乱して金体制が崩壊した場合を想定した「概念計画」のCONPLAN-5029が作られ、2003年には核攻撃も含むCONPLAN-8022も仕上げられている。 2010年3月には米韓両軍が合同軍事演習「フォール・イーグル」を実施している最中、韓国の哨戒艦「天安」が爆発して沈没する。韓国と朝鮮で境界線の確定していない海域での出来事だった。 この沈没に関して5月頃から李明博政権は朝鮮軍の攻撃で沈没したと主張し始める。この主張には疑問が多く、CIAの元高官でジョージ・H・W・ブッシュと親しく、駐韓大使も務めたドナルド・グレッグもこの朝鮮犯行説に疑問を投げかけた。 そして11月には問題の海域で軍事演習「ホグク(護国)」が実施され、アメリカの第31MEU(海兵隊遠征隊)や第7空軍が参加したと言われている。そして朝鮮軍の大延坪島砲撃につながった。 日本も中国に対する攻撃の準備を着々と進めている。日本は1995年にアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ、アメリカの戦略に基づいて軍事戦略を立てている。 自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作った。2023年には石垣島でも完成させたが、こうした軍事施設もアメリカの戦略に基づいている。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 これでは間に合わないと判断されたのか、昨年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。
2023.09.14
アントニー・ブリンケン国務長官は9月10日、ABCニュースのインタビューの中で、射程300キロメートルのATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)を近いうちにウクライナへ引き渡すと発言、しかも目標の決定はウクライナが決めることだとした。つまり、ロシア領深くを攻撃することを容認するということである。ATACMSはアメリカがすでに供給済みのHIMARS(高機動ロケット砲システム)で発射できる。 ロシア外務省は昨年9月15日、ウクライナへのATACMS引き渡しは「レッドライン」を越す行為であり、ワシントンを「紛争の当事者」にするとアメリカ政府に警告している。ブリンケン発言はアメリカがロシア政府の設定したレッドラインを越えるという宣言だと見なされている。 アメリカはロシア壊滅を目指して2014年2月に戦闘を始めたが、その思惑は外れ、勝者はロシアだ。この戦闘の結果、兵士の能力、兵器の能力、生産力、資源量などでロシアがアメリカを圧倒していることが確認された。しかも戦闘の過程でロシアは弱体化するどころか、力をつけている。 アメリカやイギリスはウクライナに対し、劣化ウラン弾やクラスター爆弾といった問題の多い武器を供給しているが、その理由のひとつは兵器庫に通常の武器弾薬がなくなったからだとも言われている。 ウクライナでの戦闘でロシアの勝利が確定的な現在、ロシア領に対するテロ攻撃や長距離ミサイルでの攻撃で「戦っている」ことをアピールするしかなくなっている。ウクライナの敗北はジョー・バイデン政権の破滅につながる。破滅を受け入れられないブリンケン国務長官が妄想の中へ逃げ込むのは必然かもしれない。
2023.09.13
朝鮮の金正恩労働党委員長は9月11日、ロシアのウラジオストクに到着した。EEF(東方経済フォーラム)に出席し、ウラジミル・プーチン露大統領と会談するためだ。 アメリカは日本や韓国を引き連れて東アジアの軍事的な緊張を高めているが、そのために朝鮮を利用してきた。朝鮮が相手なら少々のことをしても大丈夫だと高を括っていたのだろうが、これからはそれなりの覚悟が必要になる。 しかし、日本人の大半はそうした覚悟ができていないだろう。ネオコンやその後ろ盾に従属することで自らの地位と収入を維持している日本の「エリート」はアメリカの強さを演出し、そのアメリカに従っていれば日本は心配する必要がないと日本の庶民に思わせたいのだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、ネオコンはソ連が消滅した直後の1992年2月にアメリカの国防総省はDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成。その中でドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐとしている。 このドクトリンに日本を従わせるため、1995年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表したが、それと前後して奇怪な出来事が相次いだ。 例えば、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。 アメリカの戦争マシーンに組み込まれた日本は必然的に戦争への道を歩み始める。そして自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作った。2023年には石垣島でも完成させている。 この軍事施設はアメリカの戦略に基づくもの。アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 ところが、昨年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。日本のミサイル開発を待っていられなくなったのだろう。 トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルとされている。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されている。 このミサイルを使う自衛隊の戦力は約25万人、予備役は約5万6000年、日本と同盟関係にある韓国軍の戦力は約50万人、予備役は310万人ということになる。アメリカ軍はオーストラリアを拠点にし、航空兵力は太平洋の島に分散させると見られている。 アメリカはユーラシア大陸の東岸で十分の手下を見つけられなかったようで、AUKUSなる軍事同盟を組織した。オーストラリア(A)、イギリス(UK)、アメリカ(US)のアングロ・サクソン同盟だ。そこへ日本は近づこうとしている。 明治維新、そして明治体制の東アジア侵略の背後にはアングロ・サクソン系のイギリスとアメリカが存在していた。琉球併合、台湾派兵、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争と続くが、いずれも米英の戦略に合致している。 日露戦争で日本に戦費を用立てたのは、ロスチャイルド系金融機関のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。戦争の調停に乗り出したセオドア・ルーズベルト米大統領はハーバード大学出身だが、その先輩にあたる金子堅太郎と親しかった。ちなみに、関東大震災以降、日本に大きな影響力を及ぼすことになった金融機関は親ファシズムのJPモルガンだ。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語った。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びついた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) アラスカ、ハワイ、フィリピンを手に入れ、東アジア侵略を視野に入れていたアメリカにとって日本の韓国併合は願ってもないことだった。アメリカが最も欲しがっていた場所はカリフォルニアのはるか西にある「新たな西部」、つまり中国東北部だった。その場所に日本は「満州国」を建国することになる。
2023.09.13
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