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2010.02.04
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昨年秋に、ヒッポのシニアフェロウ(研究協力者)になられた東大の酒井教授が12年前に『脳を創る、脳を見る』と言うタイトルで対談された内容が面白いので皆さんに紹介します。

酒井 邦嘉 Sakai Kuniyoshi 東京大学大学院総合文化研究科准教授。

合原 一幸 Aihara Kazuyuki 東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻准教授

<脳とは複雑系そのものである。>
<カオスから見た脳と認知脳科学から見た脳、接点はどこにあるだろうか。>
<対話の中から新しい視点が生まれる。>

<非線形理論と脳研究の相互作用>



合原 僕は21世紀は脳の世紀であるとともに、非線形科学の世紀でもあると言ってるんです。20世紀の科学技術の根底を支えてきた線形の理論にたいして、その後半になってカオス、フラクタルなどの非線形理論が大きく進歩してきた。この非線形理論は21世紀には産業領域にまで広く影響を及ぼすようになると思います。他方で、脳の研究が著しく進む脳の世紀でもあると思うんですよ。
非線形理論は脳の研究にもちろん寄与しますが、逆に、脳のモデルを作りたいというモチベーションで非線形理論、複雑系の科学は進歩していけるという可能性があります。複雑系で良い仕事をしている人の多くは脳に興味があって、どうやって脳のモデルを作るかという研究自体が、見方を変えると複雑系研究のコアになってきてるという側面がある。この2つは21世紀にかけて、非常に重要な相互作用をすると思います。

私はあえて複雑系の科学とは呼ばなくて非線形科学と呼んでいます。現在の表面的な複雑系のブームと一緒にされるのが嫌なんです。今の一部のブームの何が悪いかと言うと、複雑系の科学でなんでもかんでも説明できるかのように喧伝しているところなのです。そんなことはないわけで、昔のカタストロフィー理論が出て来たときとよく似ています。カタストロフィー理論というのは世の中の全ての不連続現象を説明できるというふれこみでしたよね。なんでも説明できる理論というのは実はなんにも説明していないんです。複雑系の科学もそうなってしまう恐れがあって、複雑系の科学が健全に伸びていくためには地道に研究する人が増えないといけないですね。

酒井 複雑系の科学にも限界があるということですね。

合原 ええ、例えば、非線形なシステムというのは解析的に解を求めることがほとんどの場合できない。コンピュータが発達したから非線形システムを研究できるようになったわけですけれども、コンピュータで非線形システムを解析するということは、実は非線形システムの本当の振る舞いではなくて、その影、近似を見てるんですよ。その問題が常について回るんですね。カオスに関しては特にそれが深刻な問題になりうるのです。そういった非線形特有の難しさがあるということを忘れてはいけないのです。

ただ、非線形科学が現在の学問分野のあらゆるものと関連するのは間違いない。僕は昔“カオス大学”を作るべきだと騒いだことがありました(笑)。カオスは工学的な応用も可能です。カオス工学と呼んでいるのですが、実はカオス理論が工学の基礎理論に大きなインパクトを与えています。例えば、予測、制御、計算、情報理論などですね。こういったものがカオスによって大きく変わろうとしているんです。そうすると、これらは産業や工学のベースとなる基礎理論ですから、ベースが変われば応用は山ほど出てくる。そういう意味では、カオス、複雑系のような非線形科学を、工学の立場できちんと体系づけて、既存の理論体系に対するインパクトを整理しておくことによって、いろいろな応用ができると思います。

実際、具体的に始まってるんですね。例えば今まで予測できなかったことができるようになってきています。電力需要予測もありますし、また溶鉱炉は何百年も使われてきているのですが、いまだにモデルがない。そういったものをどう制御するか、どう挙動を予測するかという問題に実際カオス理論が使われています。いくつか具体的な応用例が実用段階に近づいてきてます。

『異分野の科学から認知脳科学が生まれる』

酒井 私は複雑系の科学がもたらした1つの功績というのは、サイエンスとしての総合力だと思うんですね。1つの学問分野だけで解こうとするのではなく、いろいろなアイデアや手法を持ち込んで、問題を掘り下げるというやり方を、複雑系は非常に分かり易く提示していると思います。私はこれからの脳研究は、今までのさまざまな脳研究の学問が統合された、新しい学問体系を作るべきだと考えています。それを、認知脳科学と呼んでいます。それを構成する今までの学問分野として、物理学、人工知能を含めた情報科学、それから生理学、神経科学、そして心理学から哲学ももちろんそうですし、言語学も入る。そこで、複雑系の科学のアプローチの豊かさは非常に参考になるわけです。複雑系の方法論が直接的に使えるということもありますが、それ以外にも波及効果として、サイエンスとして活性化する鍵を複雑系が提示するとすれば、非常に面白いですね

合原 さまざま分野の人を集めて大きな問題に挑戦する。脳なんか正にそうですね。そういうチームで初めてわかることが多い。





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最終更新日  2010.02.05 08:20:57
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