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2024年05月15日
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カテゴリ: 坂田 博昭
水曜日の担当は、坂田博昭です。

 今回は、先週の 笠松競馬 の開催から。
(取材日:5月9日)



 前回、大型連休の時には、大勢の来場客で喧噪の中にあったこの場所。
 いい意味で「いつもの風景」に戻っていました。

 この日は天気も良くて、気持ちの良い競馬日和。

 前週の名古屋でもお会いしていたのですが…
 笠松で、改めてこの人と話をしてみました。



(この写真は、名古屋競馬場で撮影しました)

 今年4月デビューの新人
明星晴大(みょうじょうせいだい)騎手
 2007年生まれの17歳
 昨日までで4勝を挙げています



「デビューしたばかりの頃は、レースで馬に乗ること自体に精一杯でした。学校で乗っていたときと実戦とは全然違いますし。周りが全然見えていませんでしたね。」

 思い通りに乗れないことが、殆ど。
 そんな風に感じながら、日々の経験を積み重ねているようです。

「毎回、レースが終わって後悔……というか反省ばかりです。『こうすれば良かった』とその都度感じています。」



「デビューから1ヶ月が経って、周りが少し見えるようになりました。それにつれて、レースも楽しいと感じられるようになって来ているような気がします。」

 いまは、ほんとうに色んなことを「はじめたばかり」の彼。
 それでも、わずか1ヶ月の間に、様々なことを感じたり考えたりしながら取り組んでいるようです。これからそういうことが、どんな風に生きてくるのか。半年ぐらい経ったときに、改めて話を聞いてみたいと思いました。



 東海の新人同期のツーショット。
 左が笠松・明星晴大
 右が名古屋・望月洵輝

 ふたりの半年後の姿。そして言葉。
 いまから楽しみです。




 レースのあとの検量室前の風景
 勝った馬、負けた馬
 それぞれの馬の周りの人々の表情と思いがあります。

 ゲームじゃないんだな、競馬は。
 リアルに人々が、様々な思いを込めてプレーしている、プロスポーツ。
 そこを楽しみたいものですね。


 この日のメインレースは、 3歳馬の重賞・新緑賞
 今年から、時期が1ヶ月遅くなり、距離も1400mに短縮。6月に行われるぎふ清流カップのトライアルレースになり、駿蹄賞から東海ダービー(今年から東海優駿)へと繋がる中距離の重賞路線とは異なる、短距離路線の重要ステップレースとなりました。

 が……出走馬が出そろってみると、何と!
 前週に行われた駿蹄賞で注目されながら敗れた、名古屋の ミトノウォリアー とスティールアクターが、中5日でエントリーしてきました。
 これはさすがに驚きました。

 結果的には、スティールアクターは今回も体調が整わず(熱発)競走除外。
ミトノウォリアー と、前走のネクストスター中日本のあとぎふ清流カップに照準を合わせてきている笠松の ワラシベチョウジャ が、注目を集めました。



ワラシベチョウジャ
 減ってしまっていた馬体重も、この日はプラス13kgと回復



​  ミトノウォリアー
 パドックを出るときから元気いっぱい
 馬体重はむしろプラス1kgと、連闘の消耗を感じさせませんでした。​



 スタート直後
 ミトノウォリアーの岡部誠騎手が、出鞭をふるって出して行ったのには、少し驚きました。レース後の取材では、行ければハナに行くつもりだったようです。



 結果、内から主張する馬がいて、 ミトノウォリアー は3番手。
ワラシベチョウジャ は中段より後ろの内ラチ沿い。

 前を交わすタイミングを見計らうミトノウォリアーの動向は注目されましたし
 3コーナー手前から、内ラチ沿いを掬って前へと進出してきたワラシベチョウジャの 渡邊竜也騎手 のプレーも、シビれました。



 先行馬を交わして先頭に立った、 ​ミトノウォリアー​
 この馬にとっては、この形になってからが「正念場」

「とにかくこの馬は、集中力が続くかどうか。駿蹄賞の時は、先行馬を交わす前から馬が嫌気を出して走るのをやめていました。でも今日はいつもほど、やめる面を出しませんでしたね。」

岡部誠騎手 は、レースのあとこのように振り返りました。

 外に持ち出して追いすがった ワラシベチョウジャ の走りも目を惹きましたが、2着まで。



ミトノウォリアー  快勝!

岡部誠騎手 の勝利騎手インタビューの模様は、​ 笠松競馬オフィシャルYoutube映像のこのあたり。



​  角田輝也調教師 (馬のすぐ左)の話

「(中5日で)このレースに出していいのか、葛藤がありました。自分もスタッフも、神経質でストレスのかかる日々を今日まで送っていました。」

 それでも、前走の走り振りを見れば、使うべきと考えたのでしょう。
 それほどまでに、駿蹄賞がこの馬の力を全く発揮していないレースだったということが、話から伝わってきました。

「(東海優駿に向けては)少し距離が長いかと感じるところもありますが、オーナーの期待を考えたら、長い距離を使っていくことを考えなければなりません。前回は完敗だったフークピグマリオンにどうやったら勝てるか、考えていきます。」

 東海優駿は、5月29日水曜日。
 大きな目標に向けての戦いは、まだまだ続いていきます。



 楽天競馬日替わりライターブログ。
 私は、このブログが始まった17年半前からずっと担当させて頂いて来ました。
 この稿が、909本目。もうちょっとで1000本でしたか。

 この17年半の間、競馬の有様は大きく変わりました。
 当時の競馬業界は「平成の底」の時期で、浮上できずにあえいでいました。
 昔の自分自身の記事を読むと、その時の競馬場の様子が所々に記されています。見ると本当に、隔世の感があります。

 楽天競馬の馬券発売サービスは、このブログが始まった直後の2007年の冬にスタート。その楽天競馬を初めとした、インターネット投票の力で競馬が「浮上」するまで、随分時間がかかってきたような気がします。


 私自身の競馬との関わりも、大きく変わりました。

 グリーンチャンネルの中央競馬中継や海外競馬中継のキャスターとして、毎週競馬に深く関わりながらも、当時も今と変わりなく、競馬の現場を訪れてはその様子をお伝えしてきました。海外も、あの当時から数年間は、毎年の香港だけでなく、アジア、オーストラリア、ヨーロッパと、あちらこちらに努めて出かけて、物事を見聞きしていました。
 そうしたことが、競馬キャスターとして活躍するためにどれだけの意味があったのか、今となってはもうわからないことなのですが……私にとっては現場に出て見聞きしてきたこと全てが、今に繋がる貴重な経験でした。

 いま、JRAの競馬場には取材に行くことが出来なくなり、海外競馬に出かける機会も殆どなくなりましたが、それらに代わって地方競馬の競馬場に足繁く通い、場所やそこにいる人々の様子をお伝えしています。馬券という賭け事の面で言えば、例えばJRAの競馬と地方競馬とでは、売り上げ規模にも差があるし、馬の質やレースのあり方も異なります。しかし、地方競馬であっても、競馬という競技そのものは変わらない。そこには、馬に携わる人々の思いと、そこから出る人々のプレーと、そしてそれに応える馬の頑張りがある。そういうことのかけがえのなさが、競馬ということの面白さの源泉なのだと、いま改めて感じています。

 グリーンチャンネルで競馬の仕事を始めたときから、ずっと言い続けてきたことがあります。

​「競馬に、中央も地方も海外もない」​

 競馬は、競馬なんですよね。
 その面白みがリアルに伝わることこそが、競馬が長く続いていくために必要なことなのだと、このブログのための取材とか執筆とかで学んできたような気がします。
​ 

 これからも、恐らく関わり方は変化しながら、それでも競馬という物事そのものの「リアルな面白み」を丁寧に伝えて行ければ良いなと、心から思っています。

 来週からは、場所を楽天競馬サイト内の​ 「UMA+ウマプラ」 ​内に移してお伝えしていきます。
 同じような情報の形になるかどうかはわかりませんが、いまの競馬の世の中でとかく見過ごされている、リアルな競馬の姿、リアルな競馬の興味面白みを、引き続きお伝え出来ればと思っています。


 17年半の長きにわたりこのブログを書かせて下さった楽天競馬関係者の皆様方と、執筆のための取材に応じてくださった全てのプレイヤーや関係者の方々、そして何より、拙文にお付き合いくださった読者の皆様方に、心から感謝申し上げます。

 ほんとうに、ありがとうございました。





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最終更新日  2024年05月15日 18時11分39秒


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