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結婚契約書とは
結婚契約書
<<婚姻に関する契約とは>>
○結婚契約書…
結婚というと一般的には、役所に
婚姻届
を出し、
挙式
をして、男女が
共同生活
を始める
といったことを意味しているものです。もちろん、これらのうちどれかをまだしていないとか、順
番が多少違っていたりすることはあるでしょう。しかし
結婚
に際して
契約書を作成
しなければ
ならないと考える人は多くはありません。
それは、日本においては、役所に婚姻届を提出し、これが受理されれば
婚姻が成立
した、す
なわち結婚したといえるからです。民法では、「婚姻は、戸籍法の定めるところによりこれを届
け出ることによって、その効力を生ずる。」と規定されています。つまり法律上、結婚のための
要件とされているのは
婚姻届の届出
及び
受理
であって、結婚契約書の作成は義務ではない
ということです。
では
何のために結婚契約書を交わすのでしょう。
実際に結婚して共同生活を始めると、結婚前には考えなくても済んだ数々の問題に直面する
ことがあります。家事の分担、子供の教育方法、親との同居、夫婦の財産の管理、配偶者の
浮気等々です。これらの諸問題については、もちろん現実の生活の中で生じたときにその都
度話し合う必要がありますが、問題が起きてから初めて話し合うのと、あらかじめ問題を想定
して一定の約束を決めておくのと、どちらが解決の近道でしょうか。
ですから、
結婚契約書とは、結婚生活において生じるであろう諸問題について、その夫
婦にとって大事だと思われる事柄に関して約束を取り交わしておき、あらかじめ解決の
糸口を見つけやすくするもの
だといえるのです。
もちろん契約書を交わすということは、当事者間ではこれを遵守する義務が生じるということ
です。しかし、経済行為の契約書を締結するのと異なり、
結婚契約書を取り交わす目的
は、
夫婦が互いを理解し、尊重することによって、円満な婚姻関係を継続することにあるのです。
約束を守るということは人として基本的な行為であって、夫婦だからどうでもいいというもので
はないはずですね。口約束だとつい気軽に破ってしまいがちですが、約束を破られたほうは、
傷つくものです。ですから、夫婦間の大事なテーマに関しては書面にしておいて、普段から確
認できるようにするべきでしょう。
○契約事項…
夫婦の財産関係についての契約には、別の項目で示すように一定の法律上の決まりがあ
ります(夫婦の承継人及び第三者に対抗する目的でなければ考慮しなくてもかまいません)。
しかしそれ以外の契約事項については、特別の決まりはありません。違法な内容でなく、夫婦
の平等や婚姻共同生活の本質、公序良俗に反していなければ、
基本的には何でもいい
こと
になります。ただ、わざわざ書面にして約束するわけですから、例えば毎日事情が変わるよう
なことは、たとえ結婚生活に関係することであっても、結婚契約書にする意義はあまりないか
もしれません。具体的には、
家事の分担、子供の教育方法、親との同居、夫婦の共有財
産及びそれぞれの特有財産の管理(別項目参照)、配偶者の浮気
等々が契約事項とし
て考えられます。
<<夫婦財産制>>
○法定財産制…
婚姻前の男女が夫婦財産契約を結ばなかった場合の、夫婦の財産については、法律の
規定に従うことになります。つまり、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、
婚姻から生ずる費用を分担」します。また、夫婦の一方が婚姻前から所有する財産及び婚姻
中自分の名義で得た財産は、その人の特有財産となります(但し、離婚時には、名義は別途
考慮されます)。さらに帰属不明の財産は夫婦の共有財産となります。その他日常の家事に
関して第三者と法律行為をしたときは、原則として生じた債務について
夫婦で連帯責任
を負
います。
○夫婦財産契約…
夫婦財産制は、婚姻前の夫婦財産契約締結の自由と法定財産制の併存によって、
成立しています。
婚姻届を提出する前であれば、原則として法定財産制と異なる内容の夫婦財産契約を自由
に締結することができます。
但し、夫婦の承継人や第三者にその内容を対抗するためには、戸籍筆頭者となる者の住所
地を管轄する法務局において、
夫婦財産契約登記
をする必要があります。この場合、婚姻
届出後は、原則としてこれをすることができませんし、また特別の手続によって変更するとき
も、その変更を登記しなければ、やはり第三者に対抗することができません。
<<夫婦間の契約の取消し>>
○契約の取消し…
民法では、「夫婦間で契約をしたときは、その契約は、
婚姻中、何時でも
夫婦の一方
からこれを取り消すことができる。」と定められています。したがって第三者の権利を侵害しな
い限り、夫婦間では自由に契約を取り消すことができます。ただし、この意味での夫婦とは、
名実ともに良好な婚姻関係を継続している夫婦のことであって、戸籍上は夫婦でも実質的に
婚姻関係が破綻している夫婦には適用されません。
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