里の種

里の種

2006/06/26
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カテゴリ: 短歌
子供の頃はよく川で遊んだ。少し大人になってきてからは、一冊文庫本を持って、川の土手を歩いては、適当なところを見つけると、そこに座って川を見ていた。本は毎回持っていったが、ほとんど読まなかった気がする。その川に行くには、田んぼのあぜ道を通っていかなければならない。三方を山に囲まれた小さな谷の町だから、田んぼはそんなに広くない。けれど、人家は三方の山側にそれぞれ固まっていて、土地のほとんどを田んぼが占めていた。その中央を川が流れていた。ちょうど今頃の季節。そろそろ暗くなってきたので帰ろうと土手を降りた。あぜ道はまだ目が利く明るさだったが、しばらく進むとあぜ道の脇がぼうっと明るくなっているのに気づいた。蛍の群れだった。名前の知らない丈の高い草に鈴なりに蛍火が点滅していた。

名も知らぬ草の葉叢に群がりし蛍火の記憶今なお静か





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最終更新日  2006/06/26 09:34:24 PM
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