子供の頃祖父は認知症になった
離れに祖母と暮らしていたが
一升瓶に入った醬油を
ラッパ飲みしたり町を徘徊したりして
家族を困らせた
もっと幼かった頃は
僕は祖父に可愛がられていた
相撲が好きだった祖父は
テレビで相撲中継を観るのを
楽しみにしていた
その膝に乗って一緒に
ぼくも見ていた
贔屓のお相撲さんが勝つと
祖父は髭をグリグリと僕の頬にこすりつけてきた
くすぐったくて笑って
痛い痛いと言いながら僕は喜んでいた
晩年祖父はオムツをしていたけれど
その姿を見たくなくて
僕は目をそらしていた
月光に照らされ歩く徘徊の祖父の記憶は斑に醒める