いやぁ~2007年!
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今年も、去年に続きよろしくお願いしますね(。-`ω´-)
では、お待ちかね(?)の小説、続きです。
三話
学校の中庭。
さくらはベンチに座り、俺は立っている。
「母さんから聞いたよ。・・・おばさん、倒れたんだって・・・?」
「・・・・」
さくらはうつむいたまま黙っていた。
「とにかく、ここは寒いから俺んちに行こう。」
「え・・・そんな・・・悪いよ・・・」
「いーの。気にすんなって。さっきは俺が願いを聞いたんだから、次はさくらが聞く番だろう?」
「でも・・・」
俺はさくらの手を引いた。こうでもしないと、俺の気持ちは伝わらないだろう。
さくらは弱々しく立った。いつもの元気いっぱいのさくらでない事は一目瞭然だ。
雪が降りしきる中、俺とさくらは、家へと向かった。
家に着くと、母さんが心配そうに俺の元へと寄ってきた。
事情を話すと、母さんは怪訝そうな目で俺とさくらを見た。
が、俺の説得が通じたのか、しぶしぶさくらを家に上げることの許可をくれた。
二人で俺の部屋へ行くと、ようやく落ち着いて話せる環境ができた。
部屋は寒く、すぐさま電気ストーブのスイッチを入れた。
「なぁ、さくら。良かったら、おばさんの事聞かせてくれないか?」
「・・・・・うん。」
さくらはうつむいた顔をようやく上げた。
悲しみにあふれ、それでもどこか美しさのある、綺麗な顔だった。
「お母さんは、疲れていた。私を養うために体は決して丈夫じゃない方だけど、毎日働いてくれ てる。私も部活で疲れてるけど、家事はできるだけやってるんだ。お母さんの負担を少しでも減らしたくてさ。でも・・・昨日、お母さんが倒れた。救急車で病院に運ばれて、そのまま入院することになった。疲れから来るお腹の病気だって・・・」
さくらは泣くのをこらえるように、声を震わせながら話してくれた。
さくらにとっておばさんは唯一の家族であり、唯一の心のよりどころだ。
その人がいない家など、さくらにとって帰っても意味のないところなのだ。
「さくら、きっとおばさんはすぐに良くなるよ!な!」
この言葉で果たしてさくらが救われるかどうかは疑問だったが、心からの願いだった。
「・・・そうだよね。私がうじうじしてても始まんないもんね。」
「さくらは笑顔と元気がお似合いなんだからさ。しっかりしてくれよな!」
「ありがとう、高橋・・・なんだかちょっと元気が出たかも。」
「おう。まぁ明日にでも二人でおばさんの見舞いでも行こう。土曜日で休みだしな。あ、部活があるか・・・?」
「ううん。明日はちょうど休みなんだ。だから行くつもりだったよ。けど、高橋も来てくれるの?」
「何言ってんだよ。ここまで心配させといて、お見舞いぐらい行かせてくれよ。」
なんとなく明るい雰囲気に、さくらが笑った。なんだかつられて俺も笑った。
「さくら・・・今日は泊まっていけよ。」
「え・・・?」
「今日はもう遅いし、明日一緒にお見舞いにも行く。夕食も今日はカレーだから、こんなおいしい話はないなw」
「いいのか・・?高橋・・・」
「任せろって。母さんにもちゃんと言っとくから。」
「・・・ありがとう・・・」
この日一番びっくりした事は、さくらに誘われた事でも、おばさんの入院を聞いた事でもない。
初めて、さくらの涙を見たことだ。
さくらは人一倍負けん気が強く、たとえ絶体絶命と思われるような場面でも決して弱音を吐くような性格ではない。
そのさくらが、泣いている。
俺はその時、なぜだかちょっと、さくらを愛しく思った。
カレーを台所から持ってきて、自室で一緒に食べた。
食べ終わるころ風呂をすすめ、先にさくらが入り、続いて俺が入った。
外を歩き回ったせいか体は冷えており、湯船につかると心から暖まるような気がした。
さくらの布団は来客用のを一式持ってきた。
部屋に布団を二つ敷くと、それだけでいっぱいになった。
「おやすみ、高橋。今日はありがとね。」
電気を消した。
暗闇の中、俺は考えをめぐらせた。
俺はなんて贅沢なんだろう。
父さんも母さんもいる。
それに欲しいものは何でも買ってもらえるし、お小遣いも多い。
ましてや家事なんてしたこともない。親に任せっきりだ。
それに比べ、さくらは立派だ。
部活で疲れているのに、家事をして、それが終わったら勉強もしなくちゃならないだろう。
さっき見た涙のときと同様に、さくらを愛おしく感じた。
なんて健気なんだ。
俺はさくらの方へと手をやり、さくらの手をぎゅっと握った。
さくらも、俺の手に反応して握り返してきた。
雪が降る静かな夜。
二人の男女は熱く手を握り、夜を明かした。
つづく
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