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ぜったいあけちゃダメッ! アンディ・リー 作 林木林 訳 ヒース・マッケンジー 絵 永岡書店この題にひかれてかりてきました。ぜったいあけちゃダメッ!といわれてつぎつぎとページをめくっていくと最後は・・・・・。 2018年2月発行の新しい絵本です。楽しんで読めますよ。中くらいの大きさの絵本です。ぜったい あけちゃダメッ! [ アンディ・リー ]価格:1296円(税込、送料無料) (2018/8/27時点)
August 27, 2018
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こうして また 時が経ちました。 こすずめくんはある日 ひいらぎくんの根元に横たわると目を閉じました。 そして めざめることはありませんでした。 「こすずめくん こすずめくん どうしたの?」 心配して ひいらぎくんは呼びかけます。 でも 返事はありません。 何度も 何度も 呼びかけたあと、 ひいらぎくんは わかったのです。 そして 涙のように ヒイラギモクセイの木の葉をこすずめくんに そっと落としてあげました。 こずずめくんがみえなくなるほど 落としたあと、小声でいいました。 「いままでありがとう こすずめくん」 それから また 沢山の時間が経ちました。 いつの頃か ひいらぎくんのところにすずめたちが集まるように なりました。 すずめたちが 眠った頃 ひいらぎくんは こすずめくんにいつもそっと 話しかけます。 答えてはくれないけれど ひいらぎくんは こすずめくんが いつもきいてくれていると知っています。 この頃 ひいらぎくんの声がひいらぎじいさんに似てきました。 それを 知っているのは こすずめくんとそらのお星様たちだけです。 人里離れた山のなか 日当たりのいい場所に 大きなひいらぎもくせいは立っています。 そばに行ってみて下さい。 すずめたちの声で かしましいでしょ。 そう いまその木は すずめたちにひいらぎじいさんと 呼ばれているそうです。 山に行ったらおおきなひいらぎもくせいをさがしてみてください。 きっとあなたもひいらぎじいさんに 会えますよ。作者より ひいらぎもくせいをを知っていますか? ヒイラギににた葉っぱの常緑の木です。 ヒイラギのようなはが密に生えた木なので、タカやカラスは近づけず、すずめのお宿に最適です。 作者の近所にも大きな木があり すずめのお宿になっています。 近くに行くとたくさんのすずめさんの声がきこえてきますよ。
January 29, 2018
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「さようなら ひいらぎじいさん いままでありがとう」 こすずめは 小枝を加えて 飛び立ちました。 小さいからだには 小枝はとても 重いものでした。 でも 悲しさで こすずめはなにも感じません。 一生懸命 飛んで 飛んで 飛んで。 ふと 目の前に ひいらぎじいさんが昔話してくれた景色に 似たところを見つけたのです。 こすずめは そこに降りました。 そして 小枝を埋めました。 疲れたこすずめはそのまま 眠ってしまいました。 朝になりました。 こすずめはいいました。 「ひいらぎじいさん おはよう。ぼくも ここでくらすよ。 寂しくなんか ないからね」 来る日も 来る日も こすずめは ヒイラギじいさんのそばにいました。 秋が終わり、冬が過ぎ 春になりました。 ある日 こすずめは若い緑の芽を見つけました。 少しずつのびています。 こすずめは 話しかけてみました。 「きみは誰?」 「僕は ひいらぎぼうや」ひいらぎじいさんの小枝から 新しい命が育ったのです。 こすずめはうれしくなりました。 また ともだちが 出来る。 そうして、毎日 こすずめはひいらぎぼうやと暮らしていきました。 ある日 ひいらぎぼうやがいいました。 「もう 僕はぼうやしゃない。僕はヒイラギモクセイの若い木だ」 「ひいらぎくんとよんでほしい。それからこすずめくんはぼくよりとしうえだから こすずめくんもなまえを変える?」 「わかったよ ひいらぎくん。 でも 僕はこすずめくんと呼ばれるのが すきなんだ。ずっとこすずめくんと呼んでおくれ。」
January 29, 2018
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なんにちもあそんで 帰ってくると ヒイラギじいさんの まわりに 見知らぬ機械が置かれています。 仲間のすずめに聞いてみました。 「あれは なにをする機械なのかい」 「あれは ひいらぎじいさんを掘る機械さ。 ひいらぎじいさんがおおきくなりすぎたと人間がいうんだ。」 「大変じゃないか」 他のすずめたちも 心配そうに見ています。 人間の声が聞こえます。「立派な木だな。惜しいが こんなにおおきいと危ないからな」「明日 木を切ってから掘り出そう」 すずめたちにはどうすることもできません。 すずめたちは みんないつのまにか いなくなっていました。 こすずめは悲しい気持ちで ずっとそばにいました。 夜になって こすずめはヒイラギじいさんに声をかけました。 「ひいらぎじいさん。ぼくだよ。こすずめだよ」 「おお、よかった。もう君にお別れも言えないと思っていたよ」 「そんなの やだよ。 僕は小さくてなにもできない。 でも なにかできることはない?ひいらぎじいさん」 「昔 住んでいた山にかえりたかったなあ そうだ、 わしの枝を持っていって おまえの好きなところに 埋めておくれ。君の好きな場所でいいから」「わかった。昔ひいらぎじいさんが話してくれたところと似た場所に うめるよ。 それで いいかい」 「いいとも。夜が明けたら さよならだ」 「わかったよ。 ひいらぎじいさん」 2人はあとはなにもいいませんでした。 朝になり、空が光を写しはじめました。 ひいらぎじいさんの姿をしっかり 覚えておこうとこすずめが 見つめます。 「さようなら。こすずめくん たのんだよ」
January 29, 2018
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ふるい農家の庭に 大きなヒイラギモクセイが植わっていました。夕方近くに立つと すずめたちの声で かしましいほどです。すずめたちがここをねぐらにしているのです。すずめたちは 彼をひいらぎじいさんと よんでいました。葉っぱが ヒイラギと似ていましたから。この葉っぱ ヒイラギのように とげがいっぱい。すずめたちには おおきな敵をよせつけないので安心して ここで暮らすことが出来ました。ある年 こすずめが生まれました。このこすずめ 最後に生まれたので いつも出遅れてしまいます。怖い鷹にねらわれることもあり、いつも ひいらぎじいさんに助けてもらっていました。「ありがとう ひいらぎじいさん。怖かったよ。でも ここは いいな。あんしんするよ」「な~に。たいしたことないさ。こすずめくん おまえさんも おおきくなればそんなにこわくなくなるよ」 そうして ひいらぎじいさんはいつも こすずめを励ましていました。 こすずめとひいらぎじいさんは仲良しになり よくおはなしするようになりました。 やがて こすずめはおおきくなり とおくのもりまで でかけるようになっていきました。
January 29, 2018
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どうしてなのか わからないのですが ヒイラギモクセイの木は すずめたちが集まってかしましいのです。 それを 題材にして おはなしをつくりました。 これが 二作目です。 いつのまにかすこし悲しくなってしまいました。 これは はなしが勝手に出来上がった気がしています。 ヒイラギじいさんとこすずめ ヒイラギモクセイを知っていますか? ふるい農家の庭に 大きなヒイラギモクセイが植わっていました。近くに立つと すずめたちの声で かしましいほどです。すずめたちがここをねぐらにしているのです。すずめたちは 彼をひいらぎじいさんと よんでいました。葉っぱが ヒイラギと似ていましたから。この葉っぱ ひいらぎのように とげがいっぱい。すずめたちには おおきな敵をよせつけないので安心して ここで暮らすことが出来ました。ある年 こすずめが生まれました。このこすずめ 最後に生まれたので いつもビリッコです。怖い鷹にねらわれることもあり、いつも ヒイラギじいさんに助けてもらっていました。「ありがとう ヒイラギじいさん。怖かったよ。でも ここは いいな。あんしんするよ。」「な~に。たいしたことないさ。こすずめくん おまえさんも おおきくなればそんなにこわくなくなるよ。」 そうして ヒイラギじいさんはいつも こすずめを励まして くれました。 こすずめとヒイラギじいさんは仲良しになり よくおはなしするようになりました。 やがて こすずめはおおきくなり とおくのもりまで でかけるようになっていきました。 なんにちもあそんで 帰ってくると ヒイラギじいさんの まわりに 見知らぬ機械が置かれています。 仲間のすずめに聞いてみました。 「あれは なにをする機械なのかい。」 「あれは ヒイラギじいさんを掘る機械さ。 ヒイラギじいさんがおおきくなりすぎたと人間がいうんだ。」 「大変じゃないか。」 他のすずめたちも 心配そうに見ています。 人間の声が聞こえます。「立派な木だな。惜しいが こんなにおおきいと危ないからな。」「明日 木を切ってから掘り出そう。」 どうすることもできません。 すずめたちは みんないつのまにか いなくなっていました。 こすずめは悲しい気持ちで ずっとそばにいました。 夜になって こすずめはヒイラギじいさんに声をかけました。 「ヒイラギじいさん。ぼくだよ。こすずめだよ。」 「おお、よかった。もう君にお別れも言えないと思っていたよ。」 「そんなの やだよ。 僕は小さくてなにもできない。 でも なにかできることはない?ヒイラギじいさん。」 「昔 住んでいた山にかえりたかったな~。 そうだ、 わしの枝を持っていって おまえの好きなところに 埋めておくれ。君の好きな場所でいいから。」 「わかった。昔ヒイラギじいさんが話してくれたところと似た場所に うめるよ。 それで いいかい。」 「いいとも。夜が明けたら さよならだ。」 「わかったよ。 ひいらぎじいさん。」 2人はあとはなにもいいませんでした。 空が光を写しはじめました。 ヒイラギじいさんの姿をしっかり 覚えておこうとこすずめが 見つめます。 「さようなら。こすずめくん たのんだよ。」 「さようなら ヒイラギじいさん いままでありがとう。」 こすずめは 小枝を加えて 飛び立ちました。 小さいからだには 小枝はとても 重いものでした。 でも 悲しさで こすずめはなにも感じません。 一生懸命 飛んで 飛んで 飛んで。 ふと 目の前に ヒイラギじいさんが昔話してくれた景色と 似たところを見つけたのです。 こすずめは そこに降りました。 そして 小枝を埋めました。 疲れたこすずめがそのまま 眠ってしまいました。 朝になりました。 こすずめはいいました。 「ヒイラギじいさん おはよう。ぼくも ここでくらすよ。 寂しくなんか ないからね。」 来る日も 来る日も こすずめは ヒイラギじいさんのそばにいました。 秋が終わり、冬が過ぎ 春になりました。 ある日 こすずめは若い緑の芽を見つけます。 少しずつのびていきます。 こすずめは 話しかけてみました。 「きみは誰?」 「僕は ひいらぎ坊やさ。」 ヒイラギじいさんの小枝から 新しい命が育ったのです。 こすずめはうれしくなりました。 また ともだちが 出来る。 そうして、毎日 こすずめはひいらぎぼうやと暮らしていました。 ある日 ひいらぎぼうやがいいました。 「もう 僕はぼうやしゃない。僕はヒイラギモクセイの若い木だ。」 「ひいらぎくんとよんでくれ。」 「こすずめくんもなまえを変える?」 「わかったよ ひいらぎくん。 でも 僕はこすずめくんと呼ばれるのが すきなんだ。ずっとこすずめくんと呼んでくれ。」 こうして また 時が経ちました。 こすずめくんはある日 ひいらぎくんの根元に横たわると目を閉じました。 そして めざめることはありませんでした。 「こすずめくん こすずめくん どうしたの?」 心配して ひいらぎくんは呼びかけます。 でも 返事はありません。 何度も 何度も 呼びかけた ひいらぎくんは 悟ったのです。 そして 涙のように ヒイラギモクセイの木の葉をこすずめくんに そっと落としてあげました。 こずずめくんがみえなくなるほど 落としたのです。 「ありがとう こすずめくん。」 それから また 沢山の時間が経ちました。 いつの頃か ひいらぎくんのところにすずめたちが集まるように なりました。 すずめたちが 眠った頃 ひいらぎくんは こすずめくんに 話しかけます。 答えてはくれないけれど ひいらぎくんは こすずめくんが いつもきいてくれていると知っています。 この頃 ひいらぎくんの声がヒイラギじいさんに似てきました。 それを 知っているのは そらのお星様たちだけです。 人里離れた山 日当たりのいい場所に 大きなヒイラギモクセイは立っています。 そばに行ってみて下さい。 すずめたちの声で かしましいでしょ。 そう いま その木は すずめたちにヒイラギじっさまと 呼ばれているのです。 あなたも 会えますよ。
February 23, 2006
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(続きです。)この国は王様がこの国を治めていました。 小さな国、子どもは王女ひとりでした。 ある日 悪い魔法使いが 王女に恋をしました。 とても美しく 聡明な王女でした。 魔法使いは 裕福な王に姿を変えて 王女に結婚を申し込みました。 王女は 自分の心が命じることに従いました。 断ったのです。 悪い魔法使いの心はゆがんでいました。 おこった魔法使いはのろいを国にかけて 立ち去ります。 のろいが説いて欲しくば 王女の結婚と王位を寄こせと。 困った王様は国中におふれを出します。 こののろいをといたものに王位を譲り、王女と結婚させると。 聡明な王女は ひとつの約束を加えました。 もし 失敗すれば、そのものの命以外で一番大事なものを差し出すことと。 国中の 腕に覚えのある男達が やってきて ことごとく失敗に終わった。 若い貴族はその身分を奪われ、 勇敢な将軍はその軍隊を離れ、 裕福な商人は全財産を失った。 何人も 何人も 試みた。 でも 悪い魔法使いののろいは解けない。 この話はこの遠く離れた村にも届いた。 アロカもこのはなしを聞いた。 アロカは思った。 私はなにも持たない。命以外は。 おじじに話すと、わたしを差し出すがよい。 そうすれば 可能だ。 その答えに驚いたアロカはおじじにいいます。 わたしに あなたの命をかけてくれるのか? そうだ。そうしなければ みんなが苦しむだろう。 おまえなら 悪い魔法使いののろいがとけるかもしれぬ。 アロカは きこりのハームと家族に別れを告げた。 アロカとおじじは 都にやってきた。 城につくと 王様に面会した。 大広間にたったアロカとおじじ。 王様と王女はふたりを見た。 質素ながら、稟とした雰囲気のもの達。 そして、命より大事なものがおじじだと聞いたとき 王女は この若いきこりに 王の姿を見た。 王様は うさんくさく思いながら、公平な心で 若者に機会を与えた。 悪い魔法使いは 自分がどうしても勝てなかった魔法使いがおじじだと 気がつく。 だが、長い歳月が過ぎ、、年取ったおじじはもはや敵ではない。 悪い魔法使いの前に現れたのは 若いきこりのアロカ。 とても長い戦いが続いた。 悪い魔法使いの魔法は邪悪なもの。 こころの弱さを攻撃する。 だが、アロカのこころは澄んだ湖。 なにも持たないアロカは与えることが全てだった。 ついに 悪い魔法使いはその力を失った。 アロカは城へと戻った。 アロカの心にあったもの なんだったのだろう? ふと 王女の美しい笑顔を思い出す。 だが、アロカはきこりだ。 アロカは それが気に入っていた。 王女はきこりのところにはよめにはこないだろう。 城につくと 家臣達があわただしく働いている。 王様に会おうと広間に着くと そこは婚礼の準備が出来上がっていた。 誰かが結婚するんだな アロカは思った。 おじじとむらに帰ろう。 アロカが王様と話そうと入っていくと 美しい花嫁衣装の王女が王様のそばに。 王様がひと言。 これより 婚礼と戴冠式を行う。 まだ 何のことかわからないアロカ。 おじじがにこにこしている。 王女がアロカに近づいてきた。 「おかえりなさい アロカ。」 「ただいま帰りました。王女様。結婚おめでとうございます。 わたしはこれより むらに帰ります。お幸せに。」 「わかりました。それでは ついて参ります。」 周りのみんながほほえんで見ている。 そこで アロカはこれが自分の結婚式だと気がつく。 「王女様 わたしはきこりです。わたしのところにきてくれるのですか?」 「はい、王様ときこり どちらをしてもかまいません。 あなたであることにかわりありませんから。」 こうして アロカは 王様として この国を治め 城で暮らすこととなった。 でも いつもは城の近くの森できこりをしている。 きこりのハームと家族もここに移ってアロカのそばにいる。 このもりは いつのまにか アロカ王の森と呼ばれるようになった。 王者の心を持った男のはなしはこれでおしまい。 でも あなたもこのこころをもつことができます。 だって あなたの人生で あなたが 王様です。 何年かたったある日、遥か彼方の国より訪れた貴族の夫婦。 その顔をみた人達は不思議に思った。 よく知っている誰かにとても似ていたからだ。 しあわせはおのが心を鏡にうつすがよい。 さすれば 見つけ出せるかもしれない。 あるもの 感ずるもの 双方が必要だ。 ーいにしえよりの言葉ー 全部 創作です。
February 21, 2006
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今日は誕生日。いままで 一度も書いたことがない童話です。ふと つくってみたいと思いました。せっかくですから ここに出してみます。読むのと書くのは 全然違っていました。人は自分が好きな物語ならつくれるのですね。楽しんで読んでもらえたらいいのですが・・・・。 王の心を持った男(前編) あるところに きこりがすんでいた。 このきこりの名はハーム いつもより奥深いもりで しごとをしたあと 帰ろうとしたとき 子どもの声をきいた。 「ふしぎなこともあるものだ。こんなところにこどもがいるとは。」 ハームは急いでいってみることにした。 男の子がひとり 木の下にいた。 まわりには誰もいない。 「親はどこだろう?」 探したのだが、姿もなければ 持ち物もない。 このままおいておけば 困ったことになる。 ハームは男の子を連れて帰ることにした。 「おれはハーム。おまえの名はなんていうんだ?」 男の子がぽつりとひと言。 「アロカ」 聞いたこともない名だったが、その澄んだ瞳は自分を真っ直ぐ見ていた。 ハームは思った。 「おじさんと一緒に来るか?」 アロカは 男を見た。 怖い男達に連れ出されたあと、この森に来るまで何日か 置き去りにされたあとも何日か過ぎた。 もう 食べ物もない。 男の目はやさしそうだ。 「どこに?」 「おれはきこりだ。いつもはもっと村近くでしごとをするのだが 今日は こっちにきたんだ。 おれについてくれば なんとかなるさ。 あとは おいおい かんがえればいい。 どうだ?」 アロカが少し考えて 「いく。」 とこたえた。 きこりはアロカを家に連れて帰り、 息子達と一緒に育てた。 このむらは この国のはずれにあり あまりよそ者はこない。 村には おじじと呼ばれる男が住んでいた。 おじじは ある日 村に現れた。 どこからきたのかだれもしらない。 おじじはおのが知識を使い 村で医者の代わりをしていた。 おじじは 昔 遠い国で 賢者として 王に仕えていた。 年老いた王のあと、王位についたのは 思慮ない愚かな若者だった。 政事は 至福を増やす欲深な側近によって 進められ おじじはその公明さゆえ、疎まれた。 身の危険を感じたおじじは 身をやつして国を去り この村にたどり着いたのである。 裕福ではないが 人情豊かな 村人達は おじじをやさしく向かえた。 この村で暮らしていると ある日男の子がひろわれてきた。 孤独なもの同士。 おじじは男の子を不憫に思い、なにくれとなく 助けてやった。 誰にも気づかれることなく。 だが、 アロカはすぐ きがついた。 だれかが 自分を助けてくれている。 大きくなると、その存在に気づき、自分ができることはないか 考えるようになった。 そうして、アロカはおじじに 自分が出来る手伝いをした。 おじじは アロカが好きだった。 年老いたおじじは、自分の知識を全部アロカに 教えることにした。 おじじは 魔法使いでもあった。 この力は “選ばれたもの”に受け継がれてきたものだった。 必要な時使うこと、それが引き継ぎしものの約束。 この魔法は自分のために使うことができない。 それも 使うことが限られて来たのであろう。 いままで、過去の魔法使いたちも 使うことがないまま 受け継がれてきたのである。 この魔法 魔法が人を選ぶのである。 魔法の言葉とこころの調和が力を持つと言われている。 おじじは試してみることにした。 アロカは おじじの言葉を繰り返す。 音か言葉かわからない奇妙で調和のある響き。 アロカの周りが光り、透明な空気の波がうねる。 おじじはこの光景が信じられない。 これは初歩の言葉で 今まで こんな変化をみたのは初めてだった。 驚いたおじじは アロカの成長が楽しみになった。 時が過ぎた。 アロカはもうすぐ二十歳になろうとしていた。 十年の月日は アロカの心をかえることなく、 より 優れた資質を育てた。 英知 思慮深さ 判断力 感知力を持った 知恵者として 魔法使いとして 一人前、またはそれ以上になっていった。 だが、だれも知らない。 アロカは村人達には若いきこりだった。 ( 続く)
February 21, 2006
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