ドレの新人作家への道のり

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2014年01月19日
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カテゴリ: 童話
グリム童話賞に投稿した童話です。
落選作品ですが読んでくださいませ。

猿とワニ


そこで何かを思いつきました。「そうだ!川辺に行ってみよう。きっと、水も魚も沢山あるぞ。面白いこともあるかもしれない。いつものように、動物を言いくるめてしまおう!」
川辺には一頭の大きなワニが岸に体を押し上げて昼寝をしていました。口を大きく開けていびきをしています。そこへ、小鳥が飛んできて、ワニの大きな口の中に入って、残り物の魚や、歯の間に詰まったものを食べています。
猿はワニをなんとも遅い動物だと思いました。「あのワニは本当にのんきだなあ、口の中の小魚を、まんまと小鳥に取られてしまうなんて。」
そして、小鳥が行ってしまった後、猿は何食わぬ顔でワニに近づいて行きました。
「こんにちは。空のお日様がニコニコして、ぽかぽか気持ちのいい日ですね」サルはワニに挨拶をしました。
「フワー」ワニは大きく開けた口を更に大きく開け、あくびをしました。その拍子に、ワニのお腹の中が丸見えでした。その中には、大小さまざまな魚が沢山いて、まだ元気に跳ねているものまでいました。猿はそれを見て、ごくりとつばを飲み込みます。
「朝ごはんを、お腹いっぱい食べたから、お昼寝をしていたんだ」ワニが答えました。
「お腹いっぱい何を食べたんですか」と猿。
「川にいる魚だよ」とワニは言いました。
「魚?魚とはいったいなんですか」猿がたずねました。
「魚はおいしい食べ物だよ」ワニは言いました。
「ワニさん、私は木の上にずっと住んでいて、魚を見たことがありません。食べ物は、すっぱい木の実や、苦い葉っぱばかりです。それに、食べ物がおいしいと思ったことなど一度もありません。そんなに魚がおいしいなんて、食べてみたいなあ」
ワニは猿を黒くまんまるな目で見つめました。
「猿さん、どうですか、今から大きく口を開けますから、お腹の中から魚を好きなだけ取って食べてください」
「そんなあ、ワニさんできないよ」猿は断りましたが、ワニがどうしてもといって聞かなかったので。猿はワニのお腹の魚を何匹か取り、むしゃむしゃ食べました。
「魚って何て、おいしいんだろう」猿はワニにお礼を何度も言いました。ワニはその日から毎日猿にお腹の魚を分けてやりました。すると、どんどん猿は丸々と太っていきました。
ある日、ワニが猿に言いました。
「猿さん、私のお腹の中に住んでみてはどうですか。だって、私が魚を食べたら、猿さんもすぐに魚を食べられますよ」ワニの思いつきにサルは、どうしたものかと考え込みました。
「ありがとう、ワニさん。でも、もし貴方が間違って、私までも食べてしまったら・・・」
「そんなこと気にしてないで。私は水の中に住んでいて、魚を食べるんだよ。それにほら、小鳥にだって優しくしていただろ。猿さんに、快適に暮らして欲しいんです」ワニは熱心に猿を説得しました。
猿はこんなにうまく、ワニを騙せるとは思っても見なかったので、喜んで、ワニの言うとおりにすることにしました。猿は自ら、大きく開けたワニのお腹の中に入っていきました。
「よいしょっと」
「猿さん、お腹の中はどうですか」ワニは猿に聞きました。
「そんなに狭くないし、ちょうどいいかな」猿が言い終らないうちに、ワニは口を閉じてしまい、お腹の中は真っ暗になりました。おまけに今日は魚が一匹もいません。
「ワニさん、お腹がすいてきたので、魚を3,4匹飲んでもらえないですか」猿はワニに言いました。
しかし、ワニはのそのそと陸に上がったかと思うと、ごっくんゴロン、ごっくんゴロンと大きくてとがった石をいくつも飲み込みました。
「あいたたた」猿は頭や手や足など体のあちこちをぶつけました。「痛い!ワニさんこんなことをするなんて、ひどいじゃないか」猿はワニにいいました。
「猿さん、私は食べ物を噛まずに飲み込むんだよ。だから、消化するためには、こういう石がお腹のために必要なんです」ワニはそう言って川の中へ戻っていきました。「しめしめ、猿はちょうどいいくらいに太っていて、疑いもせずにお腹の中に飛び込んできたぞ。」とワニは呟きました。
よく見ると川辺の周りに丸まった石がいくつも落ちています。ワニが動物を食べた時に使った石が、長い時をかけて、削れて丸くなったのでしょう。
「いやだ!だしてくれ。お願いします。ワニさん、私を助けてください」猿は必死にお願いをしました。
ワニは知らん振りで川を泳いでいます。そこへ、お日様が雲から顔を出して、猿を探しました。この間、猿にほめられたことがうれしかったのです。ぽかぽかとワニを照らすと、ワニは陸に上がり、眠ってしまいました。そして、いつものように口を開けたとき、猿は一目散にワニのお腹から逃げ出しました。樹によじ登り、下りてくることは無くなりました。そればかりか、心を入れ替えて、今まで意地悪をした動物たちに謝りました。





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最終更新日  2014年03月27日 05時49分21秒
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