んどるぁしの茶店

んどるぁしの茶店

JIDAIGEKI

JIDAIGEKI

 我「鼻田虫 定昌」なり。時は二の月三十なり。江戸の2番地3丁目3-5-63に住んでいる。郵便番号は「はー53-ま」である。
 あれは1539年の事だった。

 町の行灯の灯り家々から漏れ出した頃、我と、ともひこは忍んで旅に出ることにした。先日オープンした、水戸ディズニーランドに朝から行きたいのである。なにせよ朝から並ばないと入れないほど大人気なのだそうだ。
 江戸から水戸方面に新幹線で約3時間乗って行くと、そこは一面の銀世界、珍しく雪が降っていたのである。大雪と言うものは、2人とも初めて見るので、新幹線から飛び降りて、浴びてみる事にした。着地の瞬間、相当なスピードで走っていたので、かなりの衝撃が走る。我は鎖骨を、ともひこは、骨盤をやったそうである。とても痛い。雪はあまり冷たくは無かったが、しもやけが一瞬でできた。ともひこは、関西から随分離れた土地なのに、四日市ぜんそくにかかってしまったそうだ。
 雪としばらく戯れた後、さて、どうやって水戸に行こうかという話になった。新幹線は行ってしまったし、はて・・どうしよう。バスは通ってないかと探しても無かったが、タクシーがちょうど着たので乗せてもらうことにした。
 「水戸までお願い!」我が言う。
 「あいよ。琵琶湖までだね。」運ちゃんが言う。
 「いやいやいや・・・ちゃいやすって!」のぶひこが言おうとしたが、喘息にかかってしまっていたので、かすれた声が少し出ただけであった。そう察した我はすかさず
 「水戸やで!」と大声で言う。タクシーの運ちゃんが、
 「ハハハイ・・ごめんなさいねー耳が遠くてね~水戸までね。」と。やっと分かってくれた。
 「そうです。」ぶっきらぼうに答えた。
 そして、やっとタクシーが動き出し、6時間でやっと水戸に着いた。
 「や~苦労してやっと着いたな~。」我が言う。
 「ん?何処にディズニーランドが?」我が言うと、
 「じゃぁそこのおじさんに聞いてみようよ。」と、ともひこが言う。
 「すみません。ディズニーランドって何処ですか?」聞くと、
 「あぁ~あの埼玉にある東京ディズニーランドだんべ?」行ったほうがいいよ~。たしか「埼玉5-3-はーみー2-ぶ」って住所だったと思うよ。あくまで。うん、あくまで私の記憶だけどね。」おじさんが言う。
 「えっ。水戸には無いんですか?」我が言う。
 「うん。無いよ」おじさんが言う。
 「えっ えぇえーー!うっそ!嘘!」ともひこが言う。
 「のぶゆきだよな。たしか。水戸にあるって教えてくれたの。」我が言う。
 「そうだよ。のぶゆきのやつ!帰ったら、ぶってやる!」ともひこも怒る。そこへ、おじさんがゆっくりと口を開いた。
 「君達。憎しみからは何も生まれないよ。そこは一つ大人になって、我慢しなさい。」と。夕日が眩しく、風で髪がなびく。
 僕らは、走りすぎて、大事な何かを忘れていたのかもしれない。信じると言う、何よりあたたかい、そして愛があふれている大事な事を。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: