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「時のうた」

万葉の頃から吹くという 海峡の風に身をゆだねる
母の背中に負われながら 眺めた島の匂いがした
大和の門から昇る朝日が 時の真ん中を照らし出す
島影揺らす真っ赤な夕陽が 金色の帯を海に流す
歌おう 海の歌を 歌おう 時の歌を
流れ続ける時の真ん中で 万葉の風を歌おう

大河のごとき潮の流れを いつも眺めては心に刻む
夏の夜に咲く大輪の花となり 冬の海に打ち寄せる純白の波となる
これからもずっと君と ともに時を紡いで行くのだと 
歌おう 海の歌を 歌おう 時の歌を
流れ続ける時の真ん中で 輝く星を歌おう



「・・・」

播淡汽船で帰る君に 夕陽を見ようと手を繋いだ
赤灯台の足元で 君が乗るはずの船が出て行くのを
二人黙ったまま見送っていた



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