LovelyDogの部屋

メリーさんのはなし


姉がお友達の家から貰ってきたシェパードの混じったメスの雑種犬です。
茶と黒の混じった毛並みは短毛で、とても頭の良い犬でした。
子供にはよくありがちな事ですが、
メリーさんを飼いたい!と両親にお願いした際、
「ちゃんと世話ができるなら」
という約束を私と姉はしました。
が、例にもれず、世話の大半が母と祖母でした。
それでも、愛想が良く気の良いメリーさんはいつも学校から帰る私達を、
ちぎれんばかりに尻尾を振って迎えてくれていました。

今のように犬の避妊が飼い主に定着していた訳で無いので、
メリーさんは毎年のようにたくさん子犬を産みました。
出産の最初の歳は7匹産んだと思います。
お腹の大きかったメリーさんに朝
「行って来ます!」と挨拶して学校に行き、
帰宅したら犬小屋にかわいい子犬がたくさんいたのを覚えています。

犬の交尾というものを間近で見たのも初めてでした。
祖母が
「はよ、水かけなさい!ほじゃないとまた子ができるやろ!」
と怒りながら、つながった2匹の犬に水をかけたり、
ほうきで叩いたりしていました。
それでも、離れないのは愛の力だったのだろうか・・。
(痙攣をおこしていただけか?)

私達姉妹はメリーさんの世話はさぼりがちでしたが、
産まれた子犬の貰い手はすべて自分たちで探し、
1匹たりとも不幸な思いはさせませんでした。
(母に何度も”もう捨てる!”と言われ、泣きながら”絶対探すけん、捨てんといて!”とすがった記憶があります。)
手書きでちらしを作ったり、知らない家のピンポンを鳴らして、
「犬を貰ってくれませんか?」
とお願いもしました。
(番犬として飼ってくれるところがまだまだあった頃でした)

じゃれまわる子犬達のいる時期はいつも家族を楽しくさせてくれました。
私も友達を呼んで、自分ちの子犬を見せて自慢したりしてました。

最後はフィラリアによる腹水で死にました。
5歳くらいだったと思います。
フィラリアの予防接種を犬に受けさせる事など思いもしない、
無知な飼い主でした。
お腹が大きいのは妊娠しているからだと思っていました。

亡骸は父が山の畑のシロの隣に埋めました。
小さな命を育むということ、産まれた命に責任を持つということを教えてくれたと思います。



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