ぽっかぽかすまいる

ぽっかぽかすまいる

出発の朝


朝に強いとうさんは、いつも早起きをし、少ししてから私や子どもたちを起こす。
だから私はいつも安心しきって寝ていた。

なのにその日は私の方が先にあわてて起きた。
そういえば、前の晩、とうさんは寝苦しそうだったかも。
なんかうなっていたような気がした。

みんなを起こし、バタバタと支度をする。
「うれしくって、眠れなかったんじゃないの~?」
と、とうさんに嫌みを言いながらいつもより慌ただしく朝食をとり、
出かける用意をした。
その日もとうさんが子どもたちを保育園に送ってくれるというので、
私が先に家を出た。
「じゃ、子どもたちのこと頼むね、がんばってね。」
というようなことを言われ、
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
というようなことを言ったと思う。
玄関から外に出て、子どもと一緒に私を見送ってくれた。


それが、生きているとうさんを見た最後。


笑顔で手を振ってくれた。
あの姿、今でも鮮明に思い出される。


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