つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

2007年02月13日
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カテゴリ: アート
鈴木鵞湖展.jpg

鈴木鵞湖(がこ)は幕末の江戸で活躍した日本画家。出身地が、
我が家の近くということで驚きました。小学校や中学校で、
郷土の偉人について習ったのですが、今日の今日まで、まったく
その名前を聞いたことのない画家でした。

おまけにチラシも地味な文人画で、まったく期待していなかった
のですが、どうしてどうして、見応え充分の素晴らしい展覧会
でした。

この画家、チラシには文人画しか紹介されていませんが、実際
に展覧会を見ると、文人画以外にも、水墨画、花鳥画、風俗画・・・
と、とても幅広い作風の絵を描いているのです。

「日の出に鶴図」は、若冲も真っ青な濃厚・濃密な色彩に圧倒さ
れます。どちらかというと地味な文人画からは想像できないほ
どダイナミックな作品です。

「富士昇竜図」は、気力あふれる筆致で描かれた富士山と龍の
墨絵。この迫力は横山大観の絵にも匹敵すると思います。

また、中国の奥深い山々に登る文士を描いた文人画は、前回の
浦上玉堂の展覧会を思い起こします。玉堂の作品でも見られた、
細かいタッチで描いた作品、ダイナミックな筆致で深山幽谷を
描いた作品と、これだけでも幅広い作風なのです。

白隠和尚の描いた禅画のような「天狗図」や「ヘマムショ入道
図」もやはりユニークな作品です。

水墨画でも、単純な線で描いただけのもの、ぼかし・滲みをう
まく使ったものと楽しめます。

最後に展示されていた「両国橋納涼図」のように市井の人々の
生活風景を描いたやさしいマンガのような絵もありました。

とにかく、いろいろな種類の画風の絵を楽しめ、思いがけない
収穫がありました。夢二展の影に隠れて、まったく存在感のな
い展覧会ですが、一見の価値は充分にあります。





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最終更新日  2007年02月14日 05時39分42秒
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鵞湖  
はろるど さん
こんばんは。
私も先日、夢二展に合わせて拝見してきました。
鵞湖は船橋の方だったのですね。全く知りませんでした…。

とても精緻に描かれた花鳥画なども印象に残っています。
若冲や大観のイメージは私も感じました。
もっと紹介されて良い画家かもしれません。 (2007年02月16日 21時37分31秒)

はろるどさん  
まったく初めて知った江戸の絵師ですが、
楽しめました。こういう人ってきっとまだまだ
たくさんいるのでしょうね。 (2007年02月17日 06時00分55秒)

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