お昼休みに一度教室から外へ出てくるのだが、
母は、クラスメイトの保護者の方々とともに
試験の終了まで別な場所で待っていた。
「自分で戦わせることに意味があるのです。」
塾の先生の言葉に従った。
試験終了より少し前に戻った母に先生が告げたのは、
最初の教科でコブが
とんでもないケアレスミスをしたことだった。
先生がいつもと同じ口調で話されたので、
さほどショックは受けなかった。
とは言え、かなり心配はした。
先生は、このミスは合否に関わらないと説明されるが、
母は昨年、同じミスをしたという話を聞いていたので、
「去年こんなことを聞いたのですが・・・。」
と尋ねた。
「いえ、このミスは本当に受験結果には
直接関係しないのです。」
「ただ、このミスを気にして
ほかの教科の試験に影響することはあり得ます。」
試験が終了しコブを迎えると、
全くそのミスのことは気にしていない様子だった。
自宅の近くの駅まで迎えにきてくれた夫に
このミスのことを話すと、
強いショックを受けたようだった。
母も結果が出るまでは不安であったが、
塾の先生の話のとおり、
あのミスは合否には無関係であった。
「この初戦に向かうことに、どのような意味があるのだろう。」
当初、母はこう考えていたが、
ひとつの経験を積むことの高い価値を
改めて認識することとなった。