じゅびあの徒然日記

じゅびあの徒然日記

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

じゅびあ

じゅびあ

カレンダー

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

ぱぴりお @ がんばってください!精神科医! 精神科医の先生ってなんだか虐げられてい…
じゅびあ @ Re[1]:厳しいです(11/16) ぱぴりおさん 「階段を上り下りするの…
ぱぴりお @ Re:厳しいです(11/16) 体力勝負ですね。 私も、祖母がなくなる3…
じゅびあ @ Re[1]:Stop PEG(胃ろう)!?(10/06) あどらむさん 私の患者さんで介護を仕…
あどらむ @ Re:Stop PEG(胃ろう)!?(10/06)  前に働いていた特養が「とにかく口から…

フリーページ

2008年10月06日
XML
何らかの事情で食事が摂れなくなった時、末梢からの点滴を行うことが多いが、これで補えるのは水分だけだ。
中心静脈栄養(IVH)であれば、高カロリーの輸液を行うことができるが、カテーテルからの感染などの問題もあるし、何より、消化管を通して摂る栄養には絶対に敵わない。
消化管が長期に使えない状況であれば、もちろんIVHが第一選択になる。

長期間にわたって食事が摂れないということになってくると、低タンパクなどにより褥瘡もできやすくなってくるし、どうしても腸管から栄養を吸収させる必要が出てくる。
そうなると胃まで管を通して、流動食を入れるのだが、これには経鼻(N-Gチューブ)と、経皮(PEG)の二つの経路がある。

N-Gチューブは、鼻から喉の奥を通して、胃の中に先端が届くように管を入れる。
盲腸の手術後なんかに入れられた経験のある人も多いだろう。
「消化管に物を入れてはいけない」状態の時は、唾液すらも邪魔になるので、必ずしも栄養剤を入れなくても、管だけ入れて留置し、排出させるのである。
反射が強い人だと、唾液をのみこむたびに喉の奥で「ウエッ」となって苦しい。
N-Gチューブは抜いてしまえばそれまでなのだが、誤って気管に入れてしまうケースがしばしば起こりうる。
もちろん、管から空気を送って上心窩部の聴診をしたり、胃液が吸引できるか確認したりしているのだが、再挿入のたびに毎回X線を撮影するわけにもいかず(もちろんするのが望ましいが、いつも技師がいるとは限らない)、特に肺自体に喀痰が多い場合など、判別困難なことがある。
反射の強い若い人なら、気管にこんな管が少しでも入ればすぐにむせるし、まず心配要らない。
誤挿入が起こるのは、たいてい高齢者や、衰弱して反射が低下している場合である。
管を入れた時点で気付けば問題ないが、そこに栄養剤を流してしまうと、重症肺炎をきたし、死に至る可能性もある。

その結果、今は圧倒的にPEG(胃ろう造設)を行うケースが増えてきている。
これは簡単に言えば、いきなり腹壁に穴を開けて、外から胃に管を入れる方法である(内視鏡的に行うので、外から穴を開けるのではなく、中から開けるのではあるが)。
在宅で介護を行う場合、施設で介護を行う場合でも、比較的安全に栄養剤の注入ができるので(もちろん、腹腔内に栄養剤が入るなどの事故が絶対ないわけではない)、いい方法だとは、思う。
昔、私の患者さんで引き継いだ時にすでにPEGになっていた女性がいたが、この女性、お腹に刺さっている管が何なのか、まったく理解していなかった。
....何回引き抜かれただろう。
PEGのチューブはバルーンを膨らませてあるので、簡単には抜けないようになっているが、それでも力いっぱい引っ張れば抜ける。
何度かオペをしてくれた病院に再挿入を依頼したが、1週間に3回目ともなった時、明らかに嫌な返事をされた。
簡単だから、自分で入れたらどうですか、みたいなことを言われたのである。
しかも患者さんは、PEGの刺入部位をかきむしってしまうので、いつも浸出液とびらんでベタベタだった。
彼女は、うつで食事量が低下したことでPEGになっていたが、引き継ぎ前の担当医の治療内容を見ると、薬物療法で最善を尽くした末とは言いきれず、本当に「もう口から食べられない」という判断をしてしまってよかったのか、疑問に思えてならなかったのもある。
それが初めて付き合ったPEGだったので、以来私はPEGに対してあまりいい印象を持ってなくなってしまった。

先日、しばらく診ていた患者さんの入所先施設が、「調子が安定しているから外来通院を止めさせたい、施設に来る嘱託医にまとめて診てもらうようにしたい」と言ってきた。
「安定しているから来ません、困った時だけ来ます」というのは本来私の治療の中にはないのだが、相手が施設となると、いたしかたない。
最近は介護業界も厳しい(潰れるケアセンターも次々ある)。
限られた人員で介護をするのに、職員を割いて外へ受診させるのは、それはそれで負担が大きいことなのだ。
仕方なく紹介状を書いて持たせたが、それから数週間後、施設から「本当に申し訳ないが、どうしても先生にもう一度診てもらいたい」と電話が入った。
「患者さんの口のモグモグがひどくなってしまい、介助で食事を入れても舌で押し出してしまう。脱水で熱も出てきており、嘱託医にはPEGですねと言われた。だが、本人はまだ食事をする気持ち自体は持っており、家族もまだそんなすぐにPEGは...と躊躇している」というものだった。
口のモグモグは遅発性ジスキネジアだが、原因薬剤の想像はついた。
高齢者だから微量しか使っていない薬剤だったが、少量でも出る人は出るのだ。
病状の変動に応じて私が半年ほど前に追加した薬剤だった。
「原因はこれだと思いますので、すぐに抜いて新しく調剤します。PEGを入れるよう勧められているようですが、家族も二の足を踏んでいるなら、その結果を見てからにしたらどうでしょう?薬は完全に出ていくのにタイムラグがあるのですぐというわけにいきません。せめて、1週間、待ってもらえませんか?」
数日後にはまだ食べられない、嘱託医の指示が切れた、と一度点滴に来たが、その後ぽつんと音信が途絶えた。
大丈夫かな、と心配していたが、3週間後、彼女は施設職員に連れられて現れた。
「もう介助なしで、自力で食事を摂っています」とのこと。

こんなふうに、他の手を尽くさずに安易にPEG、という話が出てくるケースをちらほら耳にする。
訴訟を避けるためや、介護の都合、医者の都合が優先されているケースも、少なからずあるんじゃないだろうか。
自分が患者さんの立場でしっかり意識があったら、お腹に穴を開けて管を入れることをそんなにすぐに望むだろうか。
もちろん、半恒久的に口から食事が摂れないことがはっきりすれば別だが。
自分の胃袋の上にタトゥーで「ストップ、胃ろう!」とか、「他の方法はないか、もう一度よく考えて」とか、書いておこうかね、と他の先生と話題になった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年10月06日 22時06分26秒
コメント(2) | コメントを書く
[いろいろなお医者さん] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: