曹操注解 孫子の兵法

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Apr 30, 2009
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カテゴリ: 戦略
次の文章は戦前の東京商科大学、現在の一橋大学の元助教授だった杉村廣蔵という経済哲学者が、敗戦直後、昭和20年11月30日に出版された『世界経済』というパンフレットに書きとどめた所説である。





今次大戦(第二次世界大戦)の終末と同時に、しきりに提唱されている世界政治の方式は「民主主義化」であるが、これは市民社会の要請をつよく国家の運営に反映せしむる様式だといってよい。
したがって、従来とも民主主義政治を建前とした国民にあっては、市民社会の要請がたえず国政を動かす契機であったわけであるが、ただその要請の内容が時代の推移とともに著しい変化を遂げていたことを看過してはならない。
すなわち資本主義経済の発達の初期にあっては、市民社会の要請を代表して国家の運照(方針)をつよく左右したものは、資本家的経営の利害であった。
それに次いで、労働者階級の休威(ストライキ)が市民社会の要請を代表するものとしてとり上げられた時代が来た。
しかるに、今日にあっては資本家も労働者も市民社会を全面的に代表する資格はなくなった。
彼らは互いに対立することがあるとしても、いずれも生産者の「内訳」にすぎないので、市民社会の全体という観点からいえば局部的な代表性を有するにすぎないものだと見られることになった。
そこで市民社会の全面的な要請は、従来のごとく生産面によってではなく、むしろ消費面、すなわち国民の生活自体から発生したものでなければならぬということになった。
われわれの場合としては、八千幾百万の人口を擁する(日本の)市民社会の生存と進歩の必要こそ、国家の運営をつらぬく基本要請でなければならぬ。
日本の民主化というのも、経済の民主化も、これに他ならぬであろう。
この基本動向は、全世界を通じて、来るべき時代を指導するもので、ひとり日本だけに課せられた問題といふのではない。
アメリカもイギリスもさうしなくてはならぬところに立ち至っているのである。
新しい世界に処する、いかなる国民も例外たりえぬ一筋の道だといわねばならない。

世界経済の究極の安定は、国々の市民社会の消費面を基礎とした機構をつくるのでなければ達し得られぬであろう。
資本主義生産に出発点(原料)と到達点(商品)とをもった往年の世界経済なるものは、それ自体、不安定のものであり、また一つ(単体)の機構として存在するものではなかった。
各国の資本主義経済が、おのれの利益のための活動の場として選んだ「世界市場」以外に、世界経済を具象化する何ものも存在しなかった。
したがって、世界経済の安定といふ問題も、価格の安定とか、為替相場の安定とかいふ以外には具体的な手がかりもなかったのである。
われわれが、いまここに考へる世界経済といふのは、全世界の市民社会の生存と進歩との必要から割り出された消費を基底とし、この消費を充足するための生産の管理経営を高さとする立体的組織である。
したがって、これまでの如くに、生産と消費とを各国ごとに閉じ込めた国民自足体制といふ封鎖方式とはまったく異なって、開放的に、消費は全世界的な計画と計算のもとにまとめ上げられ、生産もまた、これに応ずる如くに全世界的考慮をもって管理経営されるべきものと考えられるのである。
各市民社会はみずからの゛生産能力を十分に働かせて、みずからの消費をあがなひ、また余剰をつくって資本形成をはかるべく拮据勉励しなくてはならぬことに変わりはないが、単に資本そのものの増殖のため、あるいは国家の増嵩のために、他国の犠牲において増殖をはかる趣旨のものであってはならない。
各市民社会の生活水準をたかめ、文化の進歩を促すに足るだけの余裕をつくるといふ目標が国民の努力を指導することになるであろう。
そのためには、特に生産面においては、これまでと異なった世界的管理機構が確立され、その中央の指示が各国の生産経営に規制を与へ、進歩の手引きをなすことになる。
したがって各市民社会は、その能力に応じて十分な就業の機会が与へられ、雇用の完全性が確保されるやう配慮せられるであろう。
(後略)



これは今回の消費者庁設立法案の基本理念にとどまらず、1945年の時点から南北問題、食糧危機、地球環境問題のような世界経済の分裂と調和の問題を指摘したこと、
現在の石油生産諸国首脳会議(OPEC)や国連の世界食糧計画機構(FAO)のような国際組織の必要性を予言し、それらが民主的な国際的な市民社会の監視におかれることを要請している。

まさに驚嘆すべき世界思想といわねばならない。








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Last updated  Apr 30, 2009 07:27:00 PM
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