1
いきなり汚い言葉でごめんなさい~。ちょっと不思議に思ったもので。両方とも英語でよく使われるswear words(汚いスラングのような言葉)ですが、微妙に意味が違うんですねぇ。Shit!というのは何か失敗したり、痛い思いをしたり、間違ったときなんかによく言いますよね。「しまった!」というのをもうちょっと汚くしたかんじでしょうか。北の人はシャイッと言ったりもしますね。ほとんどいつも名詞として使われますが、イギリス人はShittyという形容詞にして使ったりもします。Shitty jobなんていうとどうしようもなく酷い仕事な感じがします。 I don't give a shit.というフレーズになると、「そんなことどうでもいい」といった感じの投げやりな意味になります。普段は「shit!」とは言わない私もなぜかこのフレーズになると使ってしまいます。それはさておき、最近不思議に思ったのはBullshitという単語のほう。意味を考えてしまうと牛のshitということで、なんだかグレードアップ(?)しただけのような感じですが、実は違うんです。こちらも名詞として感嘆詞のように使ったりもしますが、まずほとんど「しまった!」と言う意味にはなりません。どっちかというと、他人の言ったことに対して「そんなばかな!」とか「ありえない」いう疑いの気持ちを表す気がします。そして大抵は不快な感情がこもってます。「今日は地下鉄がストで動いてないらしいよ」「Bullshit!」という状況は想像できます。That's bullshit.と言うこともあります。それよりも面白いのが、動詞として使う場合。たぶん疑いの気持ちを表す意味合いが強まって、「信用の置けない(適当な)ことを言う」と言うような不思議な意味になります。He's just bullshitting.なんていうと、「あいつは口からでまかせを言ってるだけだ」なんていう意味になります。それがさらに名詞化して、bullshitterなんていう派生をしたりもします。でまかせばかり言う人なんでしょう。ぺらぺらと口先で調子のいいことばっかり言う人(イギリス人には多い)のことも言います。He's just shitting.ではそんな意味にはなりません。言葉どおりの意味になってしまうでしょう。なんだか汚い話ばかりのようで恐縮ですが、英語には色々swear wordsがあって面白いです。よく「日本語にはないの?」と聞かれますが、とても英語のののしり言葉に張り合えるようなものは見つかりません。そしてテレビなんかでも平気で使いますね。番組の冒頭で「strong language」を警告することはありますが、誰もそれほど気にしてるようには見えません。あ、でもBBCの「家族向け」番組では絶対に汚い言葉を避けるものがあって、逆に面白い。イーストエンダーズというドラマでは(ロンドンの下町と言うラフな設定なのに)誰もののしりません。でも、I don't give a shitと言う代わりにI don't give a monkeyと言ったりして、なんとなくののしってるような印象を与えたりもします。一般的なものを避けて、代わりに勝手に新しいののしり言葉を作ってはやらせた番組もありました。英語ではswear wordsも言葉の一部、言葉遊びの一種のようなものじゃないかと思うこともあります。なんとなく後ろめたい気持ちがありながらも、いらいらしたり怒ったりしたら使うことでなんとなく気持ちがすっきりするような。余談ですが、言語学でシラブルと言う単位を探すときはネイティブに「この単語にfXXkingを入れれるとしたらどこに入れるか」と聞くことで単語の音の切れ目を探すのが常套手段です。absolutely が abso-fXXking_lutely になるので、シラブルの切れ目が分かる。真面目な言語学の授業中にこの方法を持ち出すときは、先生も生徒も笑わずにはいられません。
May 9, 2006
閲覧総数 1240
2
今週の月曜日から、毎日夜中に「人体解剖番組」をやっている。このシリーズは(私が知る限り)二回目で、前回も結構見ていた。番組の趣旨は、有名なドイツ人の解剖学者が観客の前で死体を解剖し、人体のつくりを説明するという過激なもの。前回のシリーズでは基礎知識的な人体構造の解説だったが、今回のシリーズは様々な病気に焦点を絞っているようだ。そもそもこの解剖学者が有名になったのは、Plastinationとか呼ばれる特殊な方法で死体の水分を抜き、血管や皮膚、筋肉、臓器等を保存した人体標本を見せる展示会のようなもので、随分前に私も見に行ったことがあった。献体されたというたくさんの人体が、血管やら臓器が丸見えの状態で、それでも人の形をして飾られている。血管だけが残るように保存された人体や、筋肉が見えるように保存された人体は、驚くほど綺麗で、不思議と気持ち悪くは見えなかった。テレビの手術シーンでは目を覆いたくなることも多いのに、いったん死んでしまうと人間もただの「物」になるようだ。自分も含めて辺り中にいつも人間はたくさんいるのに、ほぼ絶対に見ることのない部分を見せられる。帽子をかぶってたり、馬に乗ってたり(もちろん馬も展示品)バスケットボールをしてたりと、ちょっと悪趣味な展示の仕方が笑えた。日本でも展示会をしたという話なので、見た人も多いかもしれない。そんな解剖学者が、観客(解剖学の学生や献体希望者らしい)の前で人体を解剖していく。昨日のテーマは「癌」だった。大腸癌で亡くなったという女性の死体を解剖し、腸を引っ張り出しては「ほら、ここに癌がある!」、リンパに乗って転移しやすいと言う肝臓と肺にも癌を見つけ、「ここにも見つけた!」と、かなり強いドイツ訛りの英語で興奮気味に説明する解剖学者の姿はちょっと異様だった。それでも(イギリス人の医者の助けで)普通の腫瘍と悪性の腫瘍の違いなどをとても判りやすく説明し、どういう経緯で癌が転移するのかを解説し、最後には乳がん等の自己診断の仕方などまで教えてくれた。説明を受けてしまえば、なんていうことはない、簡単な理屈に見える。世の中にはアレルギーや花粉症なんていう生死に関わらない病気に関する情報はあふれかえっているのに、一体どれだけの人が癌に関する正確な情報を知っているだろう。生死に関わることとなると、むしろ知りたくない、自分には関係ない、と思う気持ちが強くなるのかもしれない。触れてはいけない「謎」のようなものにしておいて、普段は考えない。養老孟司もよく言っているが、脳化社会と呼ばれる現代では「身体」が重視されない。死体を隠し、死ぬ事実から目をそらし、脳だけで生きてるような錯覚を持つ。うちでも家族に癌が出て初めて、パニックに陥り、本を読み漁り、情報収集をするようになった。「今までは忘れてたかもしれないけど、やっぱり身体が大事でしょ」と、急に事実を突きつけられるようなものだ。そんな時代だからこそ、身体の実感を与えることのできるこういう展示会や番組が必要になるのかもしれない。
Jan 18, 2006
閲覧総数 765
3
昨日は日本人の友人と2人で飲み会。久しぶりにセントラルロンドンに行きました。インディアンを食べ、彼女の職場に近い行きつけパブへ。しばらく2人でしゃべっていると、隣に座っていた男2人が話しかけてきました。私の友人が巻きタバコをしていたのが気になった様子。「君みたいな女の子が巻きタバコするなんて見たことない」と。(イギリスはタバコが異常に高い-1パック千円位する-ので、彼女は最近安い巻きタバコに切り替えたのです。)そのアクセントがあまりにもなまっているので、すぐにスコットランド人と分かりました。聞いてみたら2人ともグラスゴー出身。グラスゴーというのはスコットランドの二番目に大きな都市で、そのなまりはテレビなんかでも意外によく耳にします。有名どころではイアンマクレガーとか、トラビス、ビリーコネリーなんか。特徴としては二重母音が単母音になり長音化すること。グレイトという代わりにグレーートと言う感じ。2人のうち1人は日本に住んだことがあり、それなりに日本語をしゃべれるようでした。でも、実際これはそんなに意外じゃない。イギリス人は、他のヨーロッパ人に比べるとそんなにナンパはしません。パブなんかで話しかけてくる男がいたら、外人か、日本好きかどちらかといっていい。「日本で英語教師をしてました」という人は意外に多いし、とにかく日本人の女の子と見ると話しかける人もいます。大抵は「ニホンジンデスカ?」と聞き、「ロッポンギ」、「シブヤ」なんていう知っている単語を並べ立てる。そういう中にはかなり変な人も多いので要注意。昨日の人たちは、まぁ普通でした。日本へは音楽関係の仕事で行っていたそうで、単語の羅列だけじゃなく文を作れる日本語力はなかなかでした。日本に着いた日が(スコットランド人には)想像を絶する猛暑で、生まれて初めて地震を経験し、それから北朝鮮が攻撃をするとか言ってた日で、俺は日本で死ぬのか、と思ったそうです。それから何も知らずかなりの軽装備で富士山の頂上まで登ったときも死にそうな思いをしたとか。もう1人はなぜか札幌に異常な憧れを抱いていて、「死ぬまでに一度札幌に行きたい。氷のフェスティバルを見てビールを飲むんだ」と繰り返していました。やっぱりスコットランドという北の出身だから、北の町にあこがれるのかしら?酔っ払うと北の人らしくswear words(f**kとか、汚い言葉)が増えてました。「よく俺達の英語がわかるね」といっていましたが、きっと日本では通じなくて苦労したんでしょうね。それなりに楽しい時間をすごし、(いつの間にか友人は番号交換までして)わかれました。昨日の会話で勉強になったことと言えば、パブでsupersonicと言えばジントニックのことだということ。これはオアシスの歌supersonicからきてるとか。I'm feeling supersonic, Give me gin and tonicとかなんとかいう歌詞があるので、パブでsupersonicをくれ、というとジントニックが出てくるそうです。それから、rottweilerというドイツの犬の種類の話。凶暴な犬種で飼うのにはライセンスが要るとか。過去に子供をかみ殺したりしてイギリスでは話題になったそうです。まぁ、普段話すことがないような人たちと話すと、それだけで勉強になることも多いですね。
Jun 17, 2005
閲覧総数 1009
4
そうそう。この間はいかにも「イギリスのテレビ番組はすべて素晴らしい」というように書きましたが、「BBC番組」と置き換えたほうが良いかもしれません。イギリスの地上波放送はBBC1,BBC2,ITV,Channel4,Channel5の5つで、民放も3チャンネルあります。ただ、書き込みの返事にも書きましたが、BBCは一世帯から100ポンド近いライセンス料を取っているので、良い番組を作る義務があるのです。NHKの受信料と違ってBBCのテレビライセンスは法的な義務だし、BBCはいつも「ライセンスを持っていない家を把握している!」とか「見つかって1000ポンドの罰金を払いたいのか!?」なんて脅迫的なCMをうって、テレビ探知機を載せた車で住宅地を徘徊しています。数年前にデジタル放送を始めた会社がつぶれ、それを買い取った民放のITVがやりくりに失敗し、BBCがデジタル放送権を持つことになると言う経緯がありました。BBCは国営なのでもちろんデジタル受信料はただ(というか、ライセンス料の一部)。今では50ポンドくらいの受信機さえ買えば、何十ものデジタルチャンネルが見られます。BBCがそのうちのいくつものチャンネルを持っているので、「テレビ=BBC」という気がしてしまうのです。そして、民放はやっぱり民放ですね。日本のような番組も多いし、最近では「Reality TV show」というのが大流行です。どう訳すのかは分かりませんが、人をどこかに閉じ込めて住まわせて、日常生活を観察する覗き見趣味的な番組です。5年位前に、世界中でヒットしたBig Brotherと言う番組(男女10人をひとつの家に2ヶ月近く住まわせて、24時間カメラで観察し、毎週末視聴者投票でひとりずつ家から追い出され、最終的に残った一人が優勝賞金を得る。)から火がつき、今は他のチャンネルも似たような番組だらけです。売れない芸能人をオーストラリアのジャングルに住まわせる、アイドル志望者を合宿させてひとり選び出す、モデル志望者、美容師、料理人、等々…数えればきりがありません。こういった番組の怖いのは、見始めると続けて見たくなっちゃうことですね。どんな素人でも毎日見ていると知り合いのような気がしてくるし、やっぱり誰かに肩入れしたくなる。本気のけんかが起きたりカップルが出来たりもするので、話題性も大きい。そうやって一躍有名人になった素人が、芸能界に持ち上げられ、一晩の栄光の後一瞬にして忘れられる。だって何の芸も無い素人なんだから、面白いはずが無い。そして次の番組の次の優勝者がまた一躍有名になる…そんなことが繰り返されています。でも、こういう番組って、たぶん日本のほうが前からあった気がします。電波少年なんてもっとずっと古いですよね。素人の男女グループが旅行に行くなんていうのも見たことあるし、やってることはあまり変わらない。あと、4チャンなんかが好きなのが、順位をつける番組。「Best CD singles ever」、「100 greatest Films」、「Best 50 songs」等々、昔のフッテージを集めただけの似たような番組が次々と出てきます。あれ、これこの間見た気がする、と思うと、「ベスト100曲」が「ベストCDシングル」に名前を変えてたりする。日本の「懐かしのアニメ」みたいな番組に似てますね。きっとコストが安くて済むからなんだろうけど、いい加減飽きてくる。でも、私のように10年前、20年前にイギリスにいなかった人間にも「昔の話題」についていく機会を与えてくれるので、ありがたいとも言えます。5チャンは性的な番組が多い。「ポルノ女優の実態」、「ソーホーの深夜2時」みたいな番組を結構早い時間から流します。土曜の夜なんかにはエロティックスリラー、エロティックコメディなんていうタイプのどうしょうもない18禁映画も多い。まぁ、視聴者獲得の方向性ははっきりしているでしょう。まったくぼかしをかけないのはどうしたものかと思いますが。そんな感じなので、イギリスのテレビも色々です。たまに民放でも面白いドキュメンタリーをやったりもするし、ドラマは大抵どのチャンネルのものも良く出来ている。最近ではBBCまでがReality TV Show的な番組を作り始めたりして、大いに非難を浴びていました。イギリス人は権利を主張するのが得意なので、「こんな番組を見るためにライセンス料を払っているんじゃない!」と言う声がすぐにあがるようです。だからBBCは番組のクオリティコントロールが大切だし、良い番組を作らざるを得ないんでしょうね。わたしも今のレベルの番組を作ってくれている限りは100ポンドのライセンス料を払うのも仕方ないかな、と思っています。
May 8, 2005
閲覧総数 3373
5
初めて会うイギリス人と話をするときは、まず「どこの人か」と考えてしまいます。これは私の中でゲームみたいなもので、その人のアクセントから出身地を当てられれば合格。想像した後で「グラスゴー出身でしょ?」等と言い当ててみると、驚かれることも多い。でも、もちろん当てられないことも多いですが。一番簡単なのは、スコットランド人。もともとアクセントが強い上に、自分達の国に誇りを持っているから隠そうとしない。エディンバラとグラスゴーの区別くらいならつく。同じ理由でアイルランド、北アイルランド、ウエールズなんていう地方色の濃い訛りも分かりやすい。次にリバプールやバーミンガム、ニューキャッスルなどの北方の訛り。イングランドだけど聞き取りにくい英語を話す人は北のほう出身なことが多い。語彙や態度も違うことがある。(基本的に北の人はroughだと思われているようです。)難しいのが南の方の人。比較的綺麗な(強いアクセントのない)英語をしゃべるので、「北じゃない」としか分からないことが多い。その上、アクセントには階級差もある。地域×階級の数だけアクセントがあると思っていい。そんな感じに、イギリスは小さい国だけど、地方、階級によってしゃべり方が違います。口を開けばどういう人なのか(出身地、階級、仕事など)ばれてしまう。日本ではイギリス英語のことをよく「Queen's English」と言うけれどそれは大きな間違いで、実際クイーンのしゃべる英語はロイヤルファミリー独特の不思議なアクセントがある。じゃぁ標準のイギリス英語とは何かというと、RP(Received Pronounciation)というのが一般に「訛りのない綺麗な英語」として海外などで教えられるもので、一部のBBCアナウンサーなんかが使うもの。でも、実際は国民の3%しかこのRPをしゃべる人はいないとも言われています。ようするに、作られた標準英語なのです。日本では首都である東京アクセントが標準的な日本語とされているけれど、イギリスは違います。RPに近いのはロンドンよりも南の地域の英語で、ロンドンでしゃべられているのはロンドン訛り。労働者階級の英語だという印象があります。一般にコックニーと言われるような強い訛りばかりでなく、Estuary Englishと言われるテムズ川周辺(ロンドンを中心に何回りか大きいエリア)でしゃべられるコックニーと標準英語の中間のような英語が一番多く耳にするタイプのアクセントだと思います。海外でRPばかりを勉強してきた外国人が、ロンドンに来てまったく聞き取りが出来ないという状態に陥るのもそのせいです。「BBCニュースなら聞き取れるのに」と言う人も多いけど、実際そんな英語を巷で話す人はいないんだから仕方がない。じゃぁイギリス英語に耳を慣らすのにはどうしたらいいのか。たくさん聞くしかないのです。出来る限り「生の」英語を聞いて、様々なバリエーションのそれぞれのアクセントを身につけていくしかない。時間がかかることだし、私もいまだに聞き取れないアクセントがいくつもあります。私は身の回りの友人、または俳優、テレビ司会者、ミュージシャンなどメディアで良く目にする特定の人を地域のアクセントと結びつけて覚えることにしています。例えば、イアン・マクレガー(Trainspotting)はグラスゴー、オジー・オズボーン(The Osbournes)はバーミンガム、オアシスの2人はマンチェスター、ガブリエル・バーン(The usual suspects)はアイルランドというように。映画によっては俳優もアメリカ英語を話そうとしたりもするので注意が必要ですが。また、一本でもある地域に根ざした映画を見ると、見終わった頃にはその訛りが地域と結びついて覚えられる。例としてはグラスゴー英語を身につけたいなら"Trainspotting"。コックニーを身につけたいなら"Lock, Stock and Two Smoking Barrels"。リバプール英語を身につけたいなら"A Hard Day's Night"。ウエールズ英語を身につけたいなら「ウエールズの山」。なんかが比較的間違いない。映画によっては役者がその地方出身者じゃなかったり、アクセントのまねが下手だったりもするのでやっぱり要注意ですが。(ブラピのアイリッシュ(デビル)、メルギブソンのスコティッシュ(ブレイブハート)なんかは酷い)こんな感じに、イギリス英語の色々なアクセントはこちらに住んでいても習得するのが大変です。イギリス映画を見て「何を言っているか分からない!」なんて自信喪失する必要はありません。特に日本ではアメリカ英語を教えるのが主流なので、イギリス英語に触れる機会は多くないはず。逆に、私はアメリカ英語に自信がありません。その昔、パルプフィクションを映画館で見て、話の半分も分らずに帰ってきたことがありました。次はアメリカ英語の習得を始めなければいけないかも…。役に立つサイト:BBCが各地の訛りを聞かせてくれます。http://www.bbc.co.uk/voices/wil/
Aug 24, 2005
閲覧総数 6248
6
オックスフォード英語辞典(OED)に今年6月新しく追加されたのが、この"Chav"という単語。確かに、ここ数年メディアでもよく取り上げられ、耳にすることが増えている。説明としては"a young working class person who dresses in casual sports clothing"(カジュアルなスポーツウエアを着る労働者階級の若者)と言うことだが、これではなんだか説明し切れてない。Chavは怖い。見つけると避けて通りたくなる。居場所としては、ショッピングセンター、マクドナルド、公園、道端、カウンシルフラットの周辺、など。服装は、とにかくブランド志向。バーバリーのキャップにピンクのトラックスーツ、ルイビトンのバッグにリング型の大きなイヤリング。男ならキャップにナイキのトラックスーツ、金のチェーンというところ。そして若い。12歳くらいから始まる。集団で行動する。酒、たばこに年齢制限なし。うるさい。反社会的とされる。労働者階級。ろくに学校に行ってない。学校に行かないでその辺でたむろする。男女合わせて6、7人はいる。そして10代のうちに妊娠したりする。こんなところだろうか。こういういわゆる反社会的な反抗期の若者の集団のことだと思っている。イギリスにはカウンシルフラットと言う収入の低い人が安価でで住めるアパート(大抵はイギリスに似つかわしくない背の高い醜い箱型の建物)がある。シングルマザーや生活保護を受けるような人も多く住む。そういうアパートが何棟もまとめて建っているので、忙しい親に構われずにそこで育つ子供は自然と群れをなすようになるんだろう。学校で出会うわけじゃないから学校にも行かず、皆でたむろして昼間から街中をうろうろするようになる。そんな風に考えると、chavは社会が必然的に生み出したものだとも言える。初めてchavを見かけ始めたころは、不思議だった。どう見ても、お金のない若者の集団が、全身ブランドにつつまれている。それも、バーバリーとかアルマーニとか、それまではポッシュな人々のみが着ていたようなものを好んで着る。それも、いかにもセンスのないこれ見よがしな着方をする。どこにそんなお金があるのか不思議。そして口を開くと、労働者階級のアクセントと若者語で、何を言っているか分からない。そのアンバランスさがおかしい。それがChavなのだ。そんなchavを上手くまねてバカにしたのが、去年BBCで爆発的なヒットとなったLittle Britainと言うコメディ。コメディアンの男2人が男女含めて何役ものキャラクターを演じる。その中に、今ではこのchavの代名詞にもなったVicky Pollardというキャラクター(写真右。実際は男性)がいる。ピンクのトラックスーツにフェイクブロンド。大きなイヤリングに濃い化粧。独特の語彙を交えてやたら早口でまくしたて、何を言っているか分からない、と言うのが売り。ちょうどおとといの日記で紹介したようなしゃべり方をする。"this fing wot you know nuffin about" と言う感じ。よく特徴を捉えたものだなぁ、と感心する。こんなChavだが、よく考えてみると、日本にも似たようなのがいる。渋谷の女子高生だ。ブランド大好きで集団でうろつき、よく分からない言葉をしゃべる。日本はイギリスほど貧富の差がないから、「労働者階級」という条件は当てはまらないし、そこまで反社会的じゃないかもしれない。でも、印象として似ている。忙しい親に構われずに子供同士でつるむようになる状況が似てるのかもしれない。どうしてブランド志向につながるのかは不明だけど。文化を超えて、同年代の若者が考え付くことなんて似たようなものだということかも?
Aug 25, 2005
閲覧総数 1669