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2019年10月24日
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174:クレオパトラの鼻
北大リーグが、開幕した。恭二たちのクレオパトラは、初戦でシーラカンスと対戦した。前期準優勝の、強豪である。恭二は、九番投手で出場した。
クレオパトラは、後攻めだった。マウンドには恭二が立ち、捕手には柴田が抜擢された。主将の大迫は、四番で一塁手だった。スタンドはまばらだったが、そのなかには留美の姿があった。
抜けるような青い空には、小さな雲が水玉模様に浮かんでいた。かすかに吹く風には、甘さが混ざっている。

 恭二は、第一球を投じた。どよめきが起こった。ど真ん中の、ストライクだった。二球目は柴田のミットが、内角を要求した。直球を投じた。バッターは、もんどり打って倒れた。「ストライク」がコールされた。三球目は、外角へのカーブのサインだった。恭二は、そのとおりに投げた。空振り三振。

クレオパトラは柴田のポテンヒットで、七回に一点を入れた。恭二の投球は、完璧だった。八回までヒットを、一本しか打たれていない。外野へは一度もボールが飛んでいない。
 最終九回のマウンドは、これまでエースだった坂井に譲った。坂井は四球でランナーを出したが、ゼロ点で締めくくった。整列してあいさつを終え、メンバーはベンチに戻った。
「歴史的な快挙だ」
 大迫は恭二の肩を叩いて、叫んだ。
「瀬口、完璧なピッチングだった」
柴田はそう伝えて、クールダウンのためにミットを構えた。恭二はゆるいボールを返し、探しものが見つかったかもしれないと思った。

祝勝会には、留美も同伴した。ほとんどのメンバーは、彼女を連れてきた。ビールジョッキが、運ばれてきた。大迫が立ち上がり、あいさつをした。
「昨年は一勝しかできなかった弱小チームが、みごとに初戦を完封勝利しました。これは今期から加入した、瀬口くんの力投のお陰です。今日でクレオパトラの鼻は、少し高くなりました。
それと万年ベンチウォーマーだった柴田が、みごとなポテンヒットを打ってくれました。それでは初勝利を祝って、乾杯したいと思います。カンパイ!」
 豪快にジョッキが、打ち鳴らされた。どの顔も、喜びに満ちていた。

「恭二、すごかったね。ほれ直しちゃった」
 留美はジョッキを口に運び、泡のついた口を恭二に向けた。
「楽しかった。おれがやりたかったのは、野球だったと実感したよ」
「私ね、恭二のユニフォーム姿、好き。似合っているよ」
「あのさ、今晩背中、流してくれる?」
「うん」
 留美は、少し照れながら答えた。





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最終更新日  2019年10月24日 03時57分41秒
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