我王

母の泣き顔



小学校高学年の時だろうか
母は初めて泣いた
誰の前でもない
僕の目の前で泣いた

そのときの僕には
どうする事もできなくて
ただ黙っていることしか出来なくて
目をそらす事もできなくて
僕の母親だという事が信じられなくて

どうして母は弱くなった?
どうして僕の前で泣く?
父は一体どこにいる?
何度も問いかけたが
答えは返ってこなかった
いや、答えは無いのかもしれない

泣き止んだら
母は必ず笑った
涙の意味も笑顔の意味もわからず
ただ僕は見ていた

高校に入った頃か
母は泣かなくなった
僕の目の前では

母の泣き顔
僕の一番不得手なもの


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