時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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February 23, 2008
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 ちょっと異色のミステリーを見つけた。北森鴻による、蓮丈那智フィールドファイルと銘打ったシリーズである。以前紹介した東野圭吾による 「ガリレオ」 シリーズを物理学ミステリーと呼ぶなら、こちらは 民俗学ミステリー と言ったものである。

 主人公は、蓮丈那智という民俗学の大学助教授。年齢不詳だが、中性的で日本人離れした容貌の美女であり、その特異な研究方法で、「異端」の民俗学者と言われている。ちなみに、かなりの変わり者だ。そして、この那智の ポチ もとい 下僕 、いや 助手 として働いているのが内藤三國である。いつも研究室の予算を早々と使い果たしてしまう那智のため、教務のキツネ目の担当者と交渉するのに胃の痛い思いをしているが、那智に独特のイントネーションで「ミクニ」と呼ばれると、パブロフの犬よろしく、頭に閃くものがある。

 この二人、民俗学の実地調査に訪れたところで、殺人事件が発生する。そして、民族学上の謎と殺人事件の両方を同時解決すると言うのが、基本的なパターンである。その点、高田崇史のQEDシリーズのように莫大な薀蓄を述べ、それが現実の事件と乖離しているということはない。

 今日は、紹介するのは、その第1作目に当たる 「凶笑面」 (新潮社)だ。このシリーズは全部で3作出ているが、いずれも短編集である。本作に収録されているのは以下の5編。


★★能面 小面 今村祥韻作★★


「鬼封会」 :那智の授業を受講している学生から、岡山県の旧家に伝わる「鬼封会」という奇妙な祭祀のビデオが届けられる。

「凶笑面」 :民俗学者から蛇蝎のように嫌われている骨董屋から「凶笑面」という禍々しい笑いをたたえた面の資料が届けられる。

「不帰屋」 :ワイドショーでも活躍している女性社会学者から、実家にある「女の家」を調べて欲しいと言う依頼がある。

「双死神」 :地方史家からの依頼で、三國は、製鉄の遺跡を調査に出かける。

「邪宗仏」 :山口県のある村に伝わる秘仏について、二人の郷土史家からレポートが届き、興味を持った那智たちは調査に出かける。

 いずれも、民俗学上の出来事と、実際の殺人事件がうまくマッチングして展開されており、非常に面白い。あと2冊も追々紹介していこう。


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「凶笑面」(北森鴻:新潮社)



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Last updated  February 23, 2008 03:41:36 PM
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