時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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January 30, 2009
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「象と耳鳴り」 (恩田陸:祥伝社)は、恩田陸のデビュー作「六番目の小夜子」の主人公・関根秋の父親である多佳雄が謎解き役の主人公を務める短編ミステリー集だ。多佳雄は退職判事と言う設定で、話によって、息子で検事の春や娘で弁護士の夏も謎解きに加わっている。収録されているのは標題作「象と耳鳴り」をはじめ合計12編の短編。

 いずれも、多佳雄が遭遇した事件の謎を推理するというものだが、前半と後半で傾向が分かれている。前半の推理は、一つの仮説を提示しているが、それが本当の答なのかどうかまでは書かれていない。だから、読者は推理の翼を広げて、作者に挑戦し、全く別の結論を出すことも可能だろうと思う。これに反して、後半は、事件の結末まで書かれている話が多いが、いずれにしても、鋭い切れ味で謎を解き明かしている。私は、ミステリーをよく読む割には、ミステリーのジャンルのようなものには無頓着なのだが、巻末の解説によれば、このような論理で謎を解き明かしていくような小説を狭義の格ミステリーもしくはパズラーと呼ぶようだ。

 面白いと思ったのは、曜変天目茶碗をモチーフにした、友人の死の謎を推理する「曜変天目の夜」と三十年前の従妹の死に隠された秘密を推理する「廃園」。標題作の「象と耳鳴り」は、最後の部分がよく分からなかった。


○「象と耳鳴り」(恩田陸:祥伝社)


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Last updated  January 30, 2009 07:48:52 AM
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