時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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February 22, 2009
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「探偵は今夜も憂鬱」 (樋口有介 :東京創元社)、なかなかいいタイトルだ。そもそも、名探偵というのは、多くの事件に関わり、様々な人間の人生の裏側まで見ている。だから、どこかに屈託を抱えていて、憂鬱な表情になりがちなのであろう。いつもニコニコ、明るくさわやかな探偵なんてどうも胡散臭い。

「探偵は今夜も憂鬱」(樋口有介 :東京創元社)



 この作品は、樋口有介氏による柚木草平シリーズの一つである。樋口有介氏は、1988年にデビュー作「ぼくと、ぼくらの夏」でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞した作家だ。1990年には、「風少女」が直木賞候補にもなっている。

 主人公の柚木草平は、元警察官だ。ある事件をきっかけに警察を辞め、刑事専門のルポライターをしているが、生活の糧を得るために、事件調査などの探偵業もアルバイトで行う。そして彼の絡む事件は、いつも美女が絡んでくる。美女を相手にして、普通は喜びそうなものだが、女好きのくせにどこか女性に辟易している柚木は、事件の真相に近づくにつれどんどん憂鬱になってくるのだ。

 この本に掲載されているのは、以下の3篇の中編。

・雨の憂鬱
 元上司で草平の不倫相手である吉島冴子を通じて、冴子の同窓生でエステクラブのオーナーをしている園岡えりから、義妹に関する調査を依頼される。ところが、その園岡が殺される。

・風の憂鬱
 芸能プロの社長から、人気女優沢井英美の失踪についての調査を依頼される。英美の私生活は、不思議なほどベールに覆われていた。

・光の憂鬱
 雑貨店の美人オーナー外村世伊子から、三年前に山で遭難した夫について調査を依頼される。死んだはずの夫から、今になって、手紙が送られてきたのだ。

 相変わらず、草平の女性たちと交わす、ちょっとひねくれたような、斜に構えた感じで独特のテンポのある会話が面白い。しかし、美女にもてようと、草平を真似て、女性たちにこの作品中のようなセリフをしゃべると、大抵は嫌われてしまうと思うのでご用心ご用心。

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Last updated  February 22, 2009 09:46:05 AM
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