GOAL通信

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2008.01.17
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カテゴリ: 教育全般

 どうやら、調査書が悪いとアウトらしい。


 平成22年、現中1生から改正される入試制度のことだ。



 今の 「内申」 と 「学力検査」 の相関関係による選抜は廃止され、

 「学力検査」 「内申」 をすべて得点化し、合計点で選抜するのだと言う。


 しかも、合否における内申の比重を上げ、学力検査と同等にするらしい。

 教育委員会のトップページに、改正内容が固まったとなっているので、

 これで確定のようだ。



 具体的に、基本となる例まで掲げている。

 例によると、前期試験では、

 学力検査=500点。

 内申点=500点。

 その合計の1000点で合否を決める。


 内申点の内訳は、

 学習の記録=360点。

 特別活動の記録(生徒会・学級活動・部活動)=60点。

 その他(選択教科・総合学習・資格取得・出欠記録)=80点。

 となっている。




 何を考えているのか。


 内申よりも本番の試験を重視する流れの中で、

 時代に逆行した、とんでもない選抜基準だ。

 そもそも内申が不透明だから、7対3という、

 本番のペーパー重視の高校が増えてきたのではないか。

 それを何故、旧態依然の形に戻そうとする。


 しかも第二次選抜では、むしろ内申を重視すると言う。



 県が出した例をまとめてみよう。

 ( )は配点である。

 前期第一次選抜・・・・・定員の52%
 学力検査(500)
 学習の記録(360)
 特別活動の記録(60)
 その他(80)  
  *計1000点満点

 前期第二次選抜・・・・・定員の約10%
 学力検査(500)
 学習の記録(540)
 特別活動の記録(90)
 その他(120)
  *計1250点満点

 前期第三次選抜・・・・・定員の約3%
 特別活動の記録(60)
  *計60点満点


 後期第一次選抜・・・・・定員の28%
 学力検査(300)
 学習の記録(180)
 特別活動の記録(30)
 その他(40)
 面接(50)
  *計600点満点

 後期第二次選抜・・・・・定員の約5%
 学力検査(300)
 学習の記録(288)
 特別活動の記録(48)
 その他(64)
 面接(100)
  *計700点満点

 後期第三次選抜・・・・・定員の約2%
 特別活動の記録(30)
  *計30点満点


 前期は定員の65%、後期は35%となっていて、

 前期・後期とも、第二次・第三次選抜の合格者は、まとめて一括で発表となる。



 一体、何だか良く分からない制度だ。


 ひとつ言えるのは、

 特別活動とその他の比重が、極めて大きいことだ。

 前期の第二次選抜では、本番の試験2教科分を上回る配点である。

 これは、受験の中核をなす要素として、蔑ろにできない。


 しかし、生徒会にしても学級活動にしても、

 あるいは部活の成績にしても、出席日数にしても、

 性格や運不運、あるいは体力といった問題が絡んでいる。


 部活も、全国大会や県大会で成績を残せば加点するとなっているが、

 文化部などにはそんな大会などないものが多い。

 放送部、茶道部などの全国大会など、聞いたことがない。

 進路に係わるとなると、公教育の平等性に触れる問題だ。



 委員の決定なども、熱心な親が絡んで複雑にならないだろうか。

 様々な面で、普段の学校での生活に、

 何らかの歪みを生まないか心配だ。



 そして肝心な 「学習の記録」 だが、

 今回の配点で計算すると、定員の65%が決まる前期募集では、

 評定が8~12倍に掛け算されることを意味する。


 8倍だとしても、

 3ポイント違えば8×3=24点である。

 学力検査24点と同等の価値があるということだ。

 5ポイント違えば、もう本番で1教科では取り返せない開きである。




 要するに全体をまとめると、

 入試の前にもう6割方勝負が付いているということだ。


 定期テスト、提出物、積極的な姿勢、学校活動、部活、資格・・・・・

 普段からあらゆる手段を尽くして、ポイントを稼いでいく。

 そしてその貯金を持って、出願する。

 貯金が少なければ、志望校のランクを見直さなくてはならない。


 まるでセンター併用の大学入試みたいだ。

 センターは一発勝負だからいい。

 だが、この子たちは3年間数字や記録に縛られ、

 ジワーッと進路を限定されていく。


 一所懸命やっても、担当の先生が評価してくれなければ、日の目を見ない。

 1、2年がうまく行かなければ、次第に投げやりにならないか。

 そんな心配までしてしまう。


 現に、今の1年生の成績は、2学期まで付いているのだ。

 初めから分かっていれば、

 委員会や資格検定への取り組みも違っていたかも知れない。

 塾に通っていない生徒も、春からやっていたかも知れない。




 どこが改善なのだろう。

 当事者である子どもたちと、親御さんの不安を考えれば、

 メリットなどない。


 いっそ不透明な内申点など参考程度にしてしまい、

 県としての、センター試験のようなものを導入すればいい。

 共通一次試験の得点結果を持ち、出願する。

 全県統一ならば、内申のような学校間格差もなく、本当の実力がはかれる。

 また、その日のために学び続け、

 向上しようという意欲が持続できるだろう。


 そして二次試験で合否を決める。

 今回の改正よりスッキリしていて、数段ましだと思うが。




 県の基本方針に、

 「学力検査と調査書の記録に大きな差を設けずに選抜することとする」

 という明記がある。

 各高校が、これに対する選抜基準をどう出してくるか。

 それが最後の望みとも言える。





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最終更新日  2008.01.17 05:22:22


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