GOlaW(裏口)

2006/03/07
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カテゴリ: 西遊記
 可笑しさが込み上げる。

──…馬鹿だ。己と相手の詭弁を、こうも容易く信じるとは。
──所詮、人間は妖怪を憎むもの。妖怪は人間を搾取するもの。
──それ以外に何がある?

 邪妖は押し殺していた笑みを、解き放った。


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 まずその一では、対『混世魔王』戦と、『美人花』から考察していきましょう。


 いつもなら、
「だから、そこの描写を何とかしてくれーーっ!」
と心の中で叫んでたりするんですが、今回はあまり(…やっぱり、少しはあるんです)それがありませんでした。
 しかし、今回は“これまでの不満分子がかなり改善された”事、何より『悟浄や三蔵の命がけの賭け』や『完全な悪の理論に直面する悟空の表情』、『八戒の真っ直ぐさとバックアップ』などの個人的ツボ要素がたっぷりだったんです。

 後半、彼らの強い意志に、瞳が潤みました。…ファンタジーに、これらの要素が詰め込まれたら、私は弱いんですって…。

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 薬草関連の知識、及び使役獣や虫などは『巫蠱』術の領域になります。
 しかし、『美人花』は薬として鍛錬した訳ではなく、現物をそのまま持ち歩いていただけです。なので、『巫蠱』を修めているとは限らないようです。
 むしろ武術や体の鍛練を主としていたようですね。

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 虫の群れに変化し、どこからとも無く現れるシーンはすごく良かったと思います。
 これに関しては、多分彼の本性による先天的な能力なのかな?
 “世の中を腐らせるハエの悪魔”ならば、ものすごく有名にして強大な“蝿の王”ベルゼバブ(“ベルゼブブ”等、いろんな亜名がある)がいますね。元ネタにはこれもいるのかな。
 “腐臭がする詭弁”を振りかざす混世大王の本性としては、これほどぴったりな物はいないと思います。

 『虫の群れ』が本性ならば、ぜひラストの戦いでそれを使って欲しかったですね。
 『虫の群れ』による攻撃としては、
・“群れに飲み込んだ相手を、羽で切り裂く。”
・“相手の視界を塞ぐ”
・“毒針や猛毒の燐粉で、相手を麻痺させたり、体を腐らせたり、病気にする。”
 などがあります。

 また、“体を虫の群れにして、攻撃を交わす”という防御も良かったかな? ただ、これは体を元に戻す時に狙われるから使えないか。

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 しかし混世魔王が悟浄を掻き口説く理論は『外に対して完全に閉じられた、我利亡者の思考』そのものでしたね。
 役者さんがかもし出す“イっちゃってます”オーラと相俟って、外道っぷりをまざまざと見せ付けられました。

「いずれ、滅法国も俺の物になる!」
という台詞も、ベタながらキャラを端的に示していましたね。

 初回の頃からはまったく想像がつかないほどの、残虐性を見せる敵の登場にはかなり驚きました。
(椅子が布製だったことに、少しホッとしました。
 混世魔王が椅子について触れた時、『まさか、(管理人自己検閲により削除)なのか!?』と心の中で叫びました。大正時代の怪奇小説のようなシチュエーションまで、目に浮かんでじゃいましたよ。
 それを連想する時点で、私の方が邪悪だな…。目逸)

 椅子のエピソードもすごかったですね。

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 今回、結局混世魔王を下したのは悟空でした。
 …ただやっぱり、これは“トラウマを持つ悟浄”にこそ、倒させるべきだったと思います。…第四話の頃は、『金魚とのコンビで撃破』を私は夢見ていたんですけどね…(無念)。

 その場合、悟空の殺陣も入れる必要があるでしょうね。
 セオリーならば、『五万の軍勢に飛び込み、八戒と一緒に血路を拓き、悟浄を送り出す』かな。…それはそれで、すっごく見たかったです(残念)。

 ただ、このドラマにおける悟空は、あくまで百人力。五万の妖怪の軍勢に飛び込むのは無茶なんですよね…。

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 ただ、どうしても悟浄ではなく悟空に混世魔王を倒させたいのならば。
 次の演出のいずれかを入れてくれると、良かったと思います。
 悟浄の決死の覚悟を、何らかの形で相手に報わせて欲しかったです。

1.“悟浄、過去の記憶を振り絞り、一瞬の隙を突いて傷を負わせる(もしくは装甲を削る)。
   悟空との戦いで“その場所”が露出。悟空はその場所を打つ。”

2.“悟浄、倒れる前に混世魔王の手の内をばらす。もしくは弱点を教える。
   悟空、そのアドバイスを受け入れる”

3.“悟浄、倒れつつも遠くから“妖術”で混世魔王の虫変化を封じる”

4.“悟浄のサイを持ち出す(もしくは本人の意思に従って持っていく)。
   そして棒を弾き飛ばされた段階で、そのサイで攻撃を凌ぎ、彼の得意とする格闘動作で敵を倒す。”

5.“悟空、悟浄の『お前は百人力なら、奴は三百人力だ』という言葉に反論する(もしくは呟く)。
   「悟浄。お前や八戒やお師匠さんはその手に、二百一人分の力を俺に持って帰ってきただろ?」”

 このいずれかがあるか無いかで、少しずつ感じが変わってきたと思います。
 ちなみに4番は『死んだ仲間の敵討ち』での黄金パターンですよね(←勝手に悟浄を殺すなっ)。

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 『美人花』の設定はすごく良かったですね。映像的にもすごく幻想的でした。
 こういった“特殊な病気や、生態系や文化を描写したり、持ち出す”のは、ファンタジーらしさを強調する意味でも有効な手段です。


 “人に寄生する花”というキーワードでは、自分の知識ではすぐに思い出せませんでした。原著や『山海経』あたりをひっくり返したら、似たものが出てくるのかな。
 そのかわり、ちょうど今読んでいる小説の後書きに、“魔術的植物”という文章が出てきましたので、情報のみを転記します。

“植物が何によって育つか。それは魔術的例題としてよく取り上げられる。
 死刑台に育つマンドラゴラ、食したものを仙人と為す冬虫夏草。また、ケルト魔術におけるヤドリギも、魔術的植物である”
『レンタルマギカ - 魔法使い、集う!』 P266)

 ここでは中国のものである冬虫夏草のみに触れます。
 現実の 『冬虫夏草』 は、昆虫とかに寄生して育つ300種類以上の茸の総称です。実際に漢方に使われるものも、茸です。
 ですが想像上では普通の草花の姿をしており、霊薬になると伝えられているんです。

 このように、中国にも不思議な力を持つ草花の話が伝えられているようですね。

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 今回の敵は、物語を見事に盛り上げてくれました。
 歴代の敵妖怪の中でも、すごく見ごたえがありましたね。

 今回はすっごく良かったです。

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追記1:

 『JUNON』4月号のP37から、ドラマのプロデューサーによるドラマの裏設定解説があります。
 各メンバーの特技などを整理し、理解している様子も伺えました(個人的にはかなりホッとした)。

 このドラマのファンならかなり読み応えのある内容になっています。チェックしてみてください。

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追記2:『サウンドトラック』&『SMAP×SMAP』

 『サウンドトラック』、なんとか購入しました。すっごくいい感じです。
 この中の『夢幻』がなぜか『TEAM』(フジテレビ系)のサントラを連想させる事は置いておいて(をひっ)。
 でも『夢幻』、『雫』、『空』あたりが個人的にヒット。『Nirvana』も、ドラマの場面を彷彿とさせて胸を躍らせますね。
 番組開始当時はもっと『中華色ゴテゴテ』を希望していたのですが、今は現代的な部分も含めてお気に入りです。


 『SMAP×SMAP』での主題歌熱唱も観ました。
 第八話の出来も良かった(嬉)ので、その相乗効果で、ぐいぐいと惹き込まれました。
 歌唱に合わせて、香取君が棒を振り回してくれたのも嬉しかったです。

 なんだかんだ言いつつも、このドラマが気になり、心のどこかではがっちりと掴まれているのを感じました。





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Last updated  2006/03/07 09:25:30 PM


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