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(17)青色LED:ノーベル物理学賞2014受賞
(17)青色LED:ノーベル物理学賞2014受賞 日本人3氏
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高原の青い空白い雲&チューリップ祭
posted by
(C)エージロー
(2011年5月8日 14: 09 撮影)
■
ノーベル物理学賞に赤崎・天野・中村氏 青色LED発明
-nikkei.com 2014/10/7 21:13 (2014/10/8 0:48更新)
【パリ=竹内康雄】スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大学教授(85)、
天野浩・名古屋大学教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大学教授(60)に授与すると発表した。
少ない電力で明るく青色に光る発光ダイオード(LED)の発明と実用化に貢献した業績が認められた。
照明やディスプレーなどに広く使われている。
世界の人々の生活を変え、新しい産業創出につながったことが高く評価された。
日本のノーベル賞受賞は12年の生理学・医学賞の山中伸弥・京都大教授から2年ぶり。
計22人となる。
物理学賞は素粒子研究の08年の南部陽一郎(米国籍)、小林誠、益川敏英の3氏以来で計10人となった。
日本の物理学の高い実力を示した。
授賞理由は
「明るくエネルギー消費の少ない白色光源を可能にした高効率な青色LEDの発明」
で、
「20世紀は白熱灯が照らし、21世紀はLEDが照らす」
と説明した。
LEDは1960年代に赤色が開発された。
緑色も実現したが、青色は開発が遅れた。
あらゆる色の光を作り出せる「光の3原色」がそろわず、「20世紀中の実現は不可能」とまでいわれていた。
その壁を破ったのが赤崎氏と天野氏だ。
品質のよい青色LEDの材料を作るのが難しく、国内外の企業が取り組んでもうまくいかなかった。
両氏は「窒化ガリウム」という材料を使い、明るい青色を放つのに成功した。
中村氏はこれらの成果を発展させ、安定して長期間光を出す青色LEDの材料開発に乗り出し、素子を作製した。
▲おめでとう!ノーベル物理学賞=NHKのサイエンスZEROで青色LEDの解説をする天野博士=
量産化に道を開き、当時在籍していた日亜化学工業(徳島県阿南市)が93年に青色LEDを製品化した。
赤崎氏は7日の記者会見で
「半分サプライズで、こんな名誉なことはない」
と語った。
中村氏は同日、大学構内で記者団に対し
「ノーベル賞は基礎理論での受賞が多い。実用化で受賞できてうれしい」
と語った。
天野氏については
「海外出張中で、帰国後記者会見する」
と名大側は説明した。
日本の強みである材料技術がLEDの光の3原色をそろえることに貢献し、LEDによるフルカラー表示が可能になった。
電気を直接光に変えるLEDはエネルギー損失が少ない。
素子そのものが光るので電子機器の小型・軽量化に役立つ。
薄くて省エネのディスプレーなどデジタル時代の幕開けにつながった。
3原色を混ぜ、自然光に近い白色光も再現できるようになった。
省エネ照明として家庭にも浸透し始めている。
現在、産業社会で消費するエネルギーの20~30%は白熱灯や蛍光灯などの照明が占めるといわれ、これらがLED照明に置き換われば
地球温暖化を防ぐ切り札のひとつになる。
青色の光は波長が短く、デジタルデータの書き込みに使えば大容量化できる。
中村氏は青色LEDの後に青色レーザーの基盤技術を開発した。
ブルーレイ・ディスクのデータの書き込みに青色レーザーが使われているように、大容量の光ディスク実現につながった。
授賞式は12月10日にストックホルムで開く。
賞金800万クローナ(約1億2000万円)は3氏で分ける。
■
LED普及「予想外の早さ」 ノーベル物理学賞座談会
2014/10/9 2:01日本経済新聞 電子版
2014年のノーベル物理学賞は青色発光ダイオード(LED)を発明した名城大学の赤崎勇教授と名古屋大学の天野浩教授、米カリフォ
ルニア大学の中村修二教授に贈られる。
今回の受賞は環境問題の解決につながる科学技術の重要性を示した。赤崎教授との電話インタビューを織り交ぜながら、日本学術振興会
の安西祐一郎理事長(元慶応義塾塾長)、総合科学技術・イノベーション会議の久間和生議員(元三菱電機副社長)、日本科学未来館の
毛利衛館長による座談会を開いた。
(司会は編集委員 滝順一)=文中敬称略
電話で座談会に参加する赤崎勇氏(8日午後、名古屋市天白区の名城大学)
――7日の記者会見で、受賞を知らせる電話について「半分サプライズ」と話していました。予感はあったのでしょうか。
赤崎 みんなにささやかれていたので、10年ぐらい前からそんな雰囲気はあった。
だから私は受賞もあるかと思っていた。
ただ、ノーベル賞のことなので、本当に受賞できるかわからない。
グラフェン(2010年に物理学賞を受賞した炭素素材)のように発見から数年で受賞する事例もある。
だから半分サプライズと言った。
――発光ダイオード(LED)はエジソンの電球発明以来の照明革命を起こし、21世紀で最高の発明だとノーベル財団は称賛してい
ます。
赤崎 エジソン以来の照明革命だとは思うが、21世紀最高の発明かどうかはわからない。
今後、もっとすごい発明が出てくるかもしれない。
個人的には青色LEDがこんなに早く普及するとは思っていなかった。
特に90年代以降が早かった。
久間 青色LEDはエネルギー効率が高く、まさにイノベーション(技術革新)だ。
新しい市場をつくり、いずれ数十兆円に成長するだろうと予想されている。
日本学術振興会の安西祐一郎理事長
安西 基礎的な研究成果からイノベーションが起きた理想的なモデルだ。
窒化ガリウムはLEDに適している半面、加工しにくく、カギとなるきれいな結晶を作るのも難しい。
様々な研究者が撤退する中、赤崎先生が『荒野を一人歩く』形で道を切りひらき、天野先生が大きな成果を出した。
そして中村先生が実用化に筋道をつけた。
多くの研究者が窒化ガリウムをあきらめた時期に、赤崎先生の研究に助成金を出すようバックアップした人がいたと聞いている。
撤退する研究者が多くなると、その分野への研究費もつきにくくなる。
それらをバックアップする文化をつくらなければならない。
――今回の3人は個性的で多様です。
毛利 科学技術政策の基本方針を示す第4期科学技術基本計画で、政府はライフイノベーションとグリーンイノベーションなどを掲
げた。
ノーベル賞でいうと12年受賞の山中伸弥先生がライフイノベーション、今回受賞の赤崎先生たち3人でグリーンイノベーションに当て
はまる。
――赤崎教授は大学と企業の両方で研究しました。受賞が企業研究者に与える影響をどうみますか。
赤崎 企業でも私は強引に我が道をいく方だったが、組織は寛容だった。
企業は目先だけではなく、もう少し将来を見据えたところに目を向けてもらいたい。
大学でさえ、最近は目先だけを見る傾向が強まっている。
毛利 本当に好奇心に基づく研究をする研究者にきちんと研究費を与えるべきだ。
その中で目立つものを、将来的に役に立つというところを見据えて育てられるかどうかが大事だ。
赤崎教授と共同研究した豊田合成は社長を含めて、熱心に研究開発を支援していた。
――ノーベル賞を受賞した日本の成果は80年前後のものが多い。喜んでばかりはいられないのではないでしょうか。
久間 ノーベル賞候補といわれる日本人研究者はたくさんいる。
ただ気になるのは最近、一部の研究者は目先の研究にとらわれている点だ。
赤崎教授も「課題解決型」だったが、将来を見据えていた。
毛利衛・日本科学未来館館長
安西 強い危機感を持っている。
基礎分野でトップレベルの論文をきちんと出すことは重要だ。
日本では国際共同研究の質の高い論文が減っている。
中国も基礎研究分野で追いかけてきている。
まだ日本が上だが、追いつかれつつある。基礎研究という土壌がなくなればその上に育つ応用研究も枯れる。
企業などと比べて、国は様々な分野に目配りできる。
国は横断的に支援できる。
それは大事だ。
若い人を幅広く支援すれば知恵が生まれ、育っていくだろう。
久間 中国などと競争するには戦略的にある程度の分野を決める必要がある。
産学官の連携を強めるのも重要だ。
産学はともに優秀な人材を受け入れ、人材の流動化を進める必要がある。
――若い研究者の育成をどうすればよいのでしょうか。
赤崎 やはりリーダーがしっかり信念を持って行動、仕事をすることが大事だ。
リーダーは絶対ぶれてはいけない。
若い研究者によくいうことだが、はやりにとらわれず自分の好きなことをやってほしい。
毛利 理系、文系にこだわらずバイタリティーを育てる。
おもしろいということ、好奇心をどう育てるか。
研究者にいく人、ビジネスにいく人、芸術にいきたい人と、その可能性を見いだせることが重要だ。
総合科学技術・イノベーション会議の久間和生議員
久間 大学にとって基盤的な経費となる運営費交付金と、テーマを募って助成する競争的資金のバランスが少し崩れているのではない
か。
運営費交付金は減り、競争的資金の対象も一つ一つの粒が大きくなった。
1つのテーマあたりの助成額が年間10億~20億円ほどになるものもある。
自分の分野以外は認めないという人がトップになると、若い研究者も自由に能力を発揮できないのではないか。
安西 若い人に与えるポストが必要だ。
学術の世界では、年齢にかかわらず評価することも重要で、研究者を個別評価する必要があるだろう。
多額の研究助成を受けているボスの大きな傘の下に、多くの研究者が入ろうとする状況が起きている。
研究者はやりたいことを貫き、それを周囲が支援する仕組みをもう少し考えるべきだ。
久間 昔は若い人は海外に行きたがった。
そこから海外との共同研究につながった。
今はそういうことをしたがらなくなり、国際協力もできないのも問題だ。
安西 海外へ出ると、自分のポストがなくなると思う人が増えている。
それで海外へ行かなくなる人が多くなった側面もある。
毛利 痛しかゆしだ。
日本の生活レベルも高く、あえて海外に挑戦しなくても十分になった。
若手の育成には小中高校の教育ともつながっている。
若い人にはエネルギーはある。
それを充足させてやる必要がある。
■
ノーベル物理学賞に日本人研究者3人
ことしのノーベル物理学賞の受賞者に、青い光を放つLED=発光ダイオードの開発に成功し、フルカラーの大型画面の実現などさま
ざまな応用への道を開いた名城大学教授の赤崎勇さんと、名古屋大学大学院教授の天野浩さん、カリフォルニア大学教授の中村修二さ
んの日本人研究者3人が選ばれました。
▲インタビューに答えるノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二氏=17日午後、東京都新宿区、関田航撮影
■
ノーベル賞級の発明を増やすには 中村修二さん一問一答
-asahi.com 2014年10月18日03時27分
ノーベル賞に値する発明を日本で増やしていくには、どうしたらいいのか。
研究者への報奨や大学教育のあり方はどう見直すべきなのか。
ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)に聞いた。
■「米国、優秀な科学者はみな起業」
――特許の権利を「会社のもの」にする政府の方針をどう評価しますか。
「反対というより、猛反対。
サラリーマンがかわいそうじゃないですか。
(青色LEDめぐる)私の裁判を通じて、(企業の研究者や技術者への待遇が)良くなってきた。
それをまた、大企業の言うことをきいて会社の帰属にするのはとんでもないことです」
――なぜですか?
「米国はベンチャー企業の起業が盛ん。
科学者であっても、ベンチャーやって、ストックオプション(新株予約権)でお金を稼いでいる。
優秀な科学者はみな起業する。
日本にはベンチャーの『ベ』の字もない。
起業しやすいシステムがないことが問題ですね。
米国では、ベンチャー企業に大企業の優秀な研究者もくる。
ところが日本では、大手企業からベンチャーにはこないのが実情です」
――「会社のもの」は経済界が強く求めました。
「企業の発明者の待遇は良くなってきたのに、ここで法律を変えてしまっては厳しい。
起業のシステムをちゃんと整えてからでないと。
首相の安倍(晋三)さんは、大企業ばかりを優遇しているように思う」
――報酬を払うことは義務づける方針です。
「報酬を会社が決められるようになっているのは、問題です。
会社が決めたら、会社が決めたことに日本の社員は文句を言えない。
みな、おとなしいから。
社員は会社と対等に話ができないから、会社の好き放題になりかねません」
――企業側からは、訴訟を起こされるおそれがあるから国際競争力低下につながるとの指摘もあります。
「そんなことはない。
それがあるから、企業は発明者にかなり良い待遇をしようとする。
私の裁判でどんどん良くなっているんです。
これがなくなれば、サラリーマン研究者は最悪です。
目的達成のための動機付けを取ってしまうわけですから」
■「日本はガラパゴス化」
――米国の技術者や研究者の報酬は高いのですか。
「ベンチャーはストックオプションです。
株ですから、上場したら、何十億、何百億になるんですから。
できの悪いのが大手企業に残っている。
優秀な人はみんな、スカウトでベンチャーにいくし、自分から進んでベンチャーに行くんですよ」
――企業を移るたびに報酬も良くなっていく。
「米国では、4、5年でどんどん会社を変わります。
移動するたびに報酬は良くなりますよ。
必ず増える条件で行きますからね」
――日本の研究者はお金ではなく知的好奇心でやっているとの調査結果もあります。
「それ、プロスポーツ選手に聞いてください。
ヒットを打った、ホームランいっぱい打った。
好奇心だけで野球をやっていますなんて、だれも言いませんよね。
米国のサラリーマンもだれも言いません。
だから、私は若い人には最低5年以上海外にいなさいと言います」
――よく、日本は文系社会だと指摘されていますが。
「会社では良い仕事したら昇進する。
でも昇進して、課長とか部長とかが担う仕事は管理で、文系の仕事です。
理系の人は理系の仕事だけをしたいのに、文系にならないと偉くなれない。
だから文系社会と言っているんです」
――日本と比べて米国の研究環境はいいですか。
「いいですよ。
自由です。
責任はもちろんついてきますけどね。
非常に自由、何をやっても良いという感じです。
米国の工学部の教授だったら、みんなコンサルティングやベンチャーをやっている。
日本でそういうこと、今はやれって言っているけど、ほとんどできないでしょ?
いろんな規制がまだあって」
――ベンチャーが日本で広がらないのには、日本の文化の影響もありますか。
「昔、でっち奉公と言った時代がありました。
死ぬまで長く勤めることが正しいような風潮もあった。
私は会社を辞めることは悪いと思っていた。
そういう洗脳教育を受けているので。
ずっと同じ会社に勤めることを、正義のように教えられたんですよ」
――ほかに日本へのメッセージはありますか。
「日本はグローバリゼーションで失敗していますね。
携帯電話も日本国内でガラパゴス化している。
太陽電池も国内だけです。
言葉の問題が大きい。
第1言語を英語、第2言語を日本語にするぐらいの大改革をやらないといけない」
■「個性伸ばす教育を」
――独創的な研究を生むには何が必要ですか。
「私も、日亜化学でできたというのは、入って十数年は良いベンチャー企業だったから。
創業者がお金を出し、一切干渉しないという理想の環境だった。
大手企業では発明はまずできない。
個人で自由にできるから独創的な発明ができる」
――今どのような研究に取り組んでいますか。
「製品化されたLEDは、投入電力に対して光として出力する効率が50~60%。
これをなるべく100%に近づける研究をしています。
装置の構造を変えるなどに取り組んでいる」
――開発から受賞まで約20年かかりました。
「過去のノーベル物理学賞の対象はほとんどが理論。
物づくりは少ない。
今年もらえなかったら、ほとんどないに等しい。
そういう意味では今年は可能性があると思っていました」
――なぜ米国籍を取られたのですか。
「米国の大学教授の仕事は研究費を集めること。
私のところは年間1億円くらいかかる。
その研究費の半分は軍から来る。
軍の研究費は機密だから米国人でないともらえない。
米国で教授として生きるなら、国籍を得ないといけない」
――初等教育はどう変えれば良いですか。
「小さいときから、何が好きかを見て、個性を伸ばすべきです。
でないと、発明でもビジネスでもリーダーシップを取れません」
◇
〈中村修二氏と特許法〉 中村氏は2001年、青色LEDの発明に対する対価を求め、日亜化学工業を提訴。
一審で日亜側に200億円の支払いが命じられ、企業に衝撃を与えた。
これを契機に、同様の訴訟が相次ぎ、企業が社員の発明への報奨を見直したり、産業界が特許法改正を求めたりすることになった。
◇
〈ノーベル物理学賞と青色LED〉 中村氏は、赤崎勇・名城大教授、天野浩・名古屋大教授とともに今年のノーベル物理学賞の受賞
が決まった。
授賞理由は「明るく省エネルギーな白色光源を可能にした効率的な青色LEDの発明」。
青色LEDの開発、実用化で光の三原色がそろう道筋がつき、LEDの爆発的な普及につながった。 (了)
■
特許は会社のもの「猛反対」ノーベル賞の中村修二さん
-asahi.com 西尾邦明 2014年10月18日03時28分
ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)は17日、都内で朝日新聞の単独
インタビューに応じた。
授賞理由になった青色発光ダイオード(LED)の効率をさらに高める研究を進めており、省エネルギーに貢献したい考えを明らかにし
た。
ノーベル賞に値する発明を日本で増やすには、研究環境を大きく見直す必要があるとも指摘。
社員が発明した特許を「会社のもの」にする特許法改正には「猛反対する」と述べた。
LEDは白熱電球と違い、電気を直接光に変えるので効率がよく、劣化も少なくて寿命が長い。
このため、照明だけでなく、薄型テレビの部材などにも幅広く利用されている。
いま取り組んでいる自らの研究については、
「製品化されたLEDは、投入電力に対して光として出力する効率が50~60%。これをなるべく100%に近づけたい」
と語った。
具体的には、装置の構造や素材の製造方法を変えることで、効率アップをめざしているという。
中村氏は、LEDの発明の対価が少ないとして、研究員として勤めていた日亜化学工業(徳島県阿南市)を相手に訴訟を起こし、約8
億円で和解した。
中村氏は
「私の裁判を通じて(社員の待遇が)良くなってきたのに、大企業の言うことをきいて会社の帰属にするのは問題だ」
と述べた。
政府の改正方針では、発明に対する報奨の支払いを企業に義務付けるが、
「会社が(報奨を)決めたら会社の好き放題になる」
と語った。
自らが研究活動をしている米国については、
「科学者もみんなベンチャー企業を起こす。そういう機会が与えられている」
と述べ、日本と米国とでは、科学者らの研究環境が大きく異なることを強調した。
そのうえで、日本でノーベル賞級の発明を生むためには、研究者が米国のようにベンチャー企業を起こしやすい仕組みづくりの重要性
を指摘。
具体的には、ベンチャー企業が開発した技術を守る司法制度の改革や、ベンチャー企業に投資する投資家の育成、企業間で研究者が転職
しやすい環境づくりを挙げた。
日本の教育制度については
「小さいときからどんなものが好きかを見て、個性を伸ばすような教育にした方が良い。日本だと小さいときから全科目、均等にできな
いといけない」。
中村氏は、12月10日にストックホルムで開かれる授賞式に出席する。
記念講演では、
「LEDは省エネになるということを訴えたい」
と語った。(西尾邦明)
◇
〈なかむら・しゅうじ〉 1954年、愛媛県瀬戸町(現・伊方町)生まれ。
徳島大大学院修了。79年に日亜化学工業(徳島県阿南市)入社。
青色LEDの材料になる窒化ガリウム結晶の新製法を開発し、実用化につなげた。
00年米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授に就任。
01年、発明の対価をめぐって日亜化学を提訴。
高裁勧告を受け、05年に約8億円で和解した。 (了)
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