Episode 6 『主張』




 さて、我らが王子はご存知の通り、大変に紳士であらせられます。そんな王子もフォワードである以上、得点するのが仕事、紳士のままではいつまで経っても得点できません。そこで、王子のゴールお膳立て作戦を立案しました。周りの者で、かっちりお膳立てをして、王子に得点して頂こうという作戦です。

 チャンスが巡ってくるのに、それほど時間はかかりませんでした。予てからの打ち合わせ通り、ゴールお膳立て作戦が繰り広げられました。ゴールを演出するのにそれほど時間はかかりませんでした。それは、シミュレーションがしっかりできていたからなのか、偶々運が良かったのかは分かりませんが…。

 作戦は、次の通りです。先ずセンターバックがボールをキープしながら上がる。ボランチがそのボールを受けられるように一定の距離を保ちながら上がり、ハーフライン辺りでパスを受ける。トップ下が真ん中に切れ込んで、ディフェンスを引き付ける。フォワードの僕はサイドに開いてボールを受ける。トップ下と僕で、サイドよりにディフェンスを引き付けて、中央の空いたスペースに王子を呼び込んで、ラストパスを出す。王子は当てるだけでゴール!かつてこんなに戦術について考えたことはありませんでした。気分はすっかり山本監督…。

 王子のゴールに僕らチームもベンチも親たちも、盛り上がらない筈がありません!(二重否定は強意表現)コーチも大いに興奮して大喜び♪王子は、あまりの皆のはしゃぎように、最初は圧倒されていましたが、次第に王子にも歓びが湧き上がり、彼も大いに喜んでくれました。あー、チームスポーツって素晴らしい♪と強く感じた瞬間でもありました。\^o^/

 ここで終われば、それなりの美談なのですが、そうはいかないのが王子伝説。彼は試合後コーチに
「池!お前いけるやないか!!」
などと背筋も凍る様なおやじギャグも手伝ってか、彼はすっかりゴールする喜びにハマってしまいました。とは言え、先ほども申し上げたとおり、彼の出場機会というのは、なかなかに難しいのでございます。


王 子「なぁ、コーチ、今度いつ出してくれるん?」
コーチ「まぁ、待っとけ。お前はうちの秘密兵器やからな。そんなにしょっちゅう出したら秘密ちゃうやろ?」
王 子「俺が出たら絶対点決めたんで!」
コーチ「おう、分かった分かった。また頼むわな。」
王 子「なあ、ほんなら今度いつ出してくれるん?」
コーチ「また出したるから、おとなしく待っとけ。ほんでちゃんと試合見とけ。」
王 子「俺は天才やからこんな試合見んでもええねん。なぁ、また出してーや。」
コーチ「もーうるさい。黙って見とけ。」
王 子「俺が出たらこんな試合ちょちょっと決めたるやんかー」
コーチ「ええかげんにせぇ!(*o☆)ヾ( ̄皿 ̄メ)!!」


やってしまいました。とうとうやってしまいました。王子は、チームの調子もよく、王子の得点とその王子を生かす働きをしたチームを見てすっかり上機嫌だったコーチを、怒りのエクスタシーに至らしめたのです…( ̄□||||!!

 その後、試合での彼の出番は激減し、ってか、しばらくの間まったくなく、おとなしくなった頃に、ようやくチャンスが巡ってきたのですが、その間約3ヶ月。チームにとっても、コーチにとっても、そして王子にとっても辛い3ヶ月でした…(_ _;)


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