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深夜棲息虫
久々に怖い話。
これは私が日本の女子大に通っていたときの話。
といっても、三流四流の馬鹿女子大で推薦で受かった私は、当然真面目に授業を受けるわけでもなく「学生という名を語った無職」としてあっちをふらふら、こっちをふらふら、していたわけである。
ついでに言うと、怪しげなコンパニオンの仕事まで始めてしまい家族とはもともと相性の良くない私はさらに家族の中で疎外感を感じていた。
なんというか私の家族は深いのだ。私はなんか小さな時から羊の群れの中に一匹だけ牛が混ざったような妙な疎外感を受けながら育った気がする。
父、母、姉は「家族」というものに対して異常にこだわるのだ。
対して、私は全くそういった気持ちが無かった。いえいえ。言い訳させてもらいますと、全く無かった訳ではないですよ。ただね。私はそういうものに関してまぁ集まる時は集まったで仲良くすれば良いし、年がら年中あつまる必要もないだろうってな考えもある訳なんですよ。友達だって大事だし、やりたい事もあれば外に出たいときだってある。
それでもなんでも毎日集まろうとする家族に私は新興宗教の信者達を団体で目撃したくらいの恐怖を味わいました。いや。向こうは向こうで何が何でも出て行こうとする私が恐ろしかったでしょうが。つまり、同じ基盤に立っていながら私と家族は思いっきりすれ違っていた訳です。
それもあるけれど。
18,19、20位の時って、なんでも体験したーい。みたいな気持ちになるでしょう。いや、私は絶対なった(笑)。
特に私の親が「白木屋」→「お水」と豪語するくらい超がつくお堅い人間だったため、なおさら私と家族との溝は深くなってしまった。(因みに姉はそういった悪い冒険心なぞ全くない。)
だからなんですかね。超悪友から誘われて軽くコンパニオンを始めてしまいました。
そこは、それはそれはイリーガルなところでした。
私は電車で一時間位かけてそこに向かうんですが、そこはすんごい田舎。田舎とくれば、全く常識の通らぬ地帯であるわけであり、暴力団とのつながりはもちろんの事、警察との癒着、ドラッグ、偽物ブランド、レイプなど現実としてコンパニオンをしていて目の当たりにしました。
まぁ、「何でもあり」ってこういうことを言うんだなって思いました。
そういう事を目の当たりにしていると、誰でもそうだと思うけど人を見る目が異様に厳しくなってくる。
大抵この人はこういう人だ、という憶測が当たるようになるのね。
どうしてそんな技術を身につけてしまったかというと。
つまりは、私は何もやりたくなかった。私は別に脱ぎたい訳でも脱がされたい訳でもなく、そこでウン万稼ぎたいわけでもなく、ただその報酬をもらっていればいいと思ってたわけなんですよ。だってね。割りにあわないじゃないですか。隣にいた女の子なんて全裸にされて、三千円ですよ。んな、馬鹿な。
しかし、そこは無法地帯。脱がすヤツが悪いのじゃなくて、脱がされるヤツが悪いのだ。
つまりはそんな席についたヤツが悪いのだ。
コンパニオンは色んな席に回るという規則があり、私は危険な目にあいそうな場所はさっと飛びのき飛びのきで、その場をしのいでいた。そして最終的には穏やかそうな人たちの席に着くのね。
そして喋り倒す。「お仕事大変ですねー。」とかなんとか言って。
その後、小声で「%&#さんって私のお父さんみたい。(ここ重要。この一言で大抵の40代の男性はだそうと思っていた手も引っ込めます。)私この仕事あんまり経験なくって。だから%&#さん。私の事守ってね☆」とかなんとか言って、手を軽く握り、周りの人に軽くアピールします。
大抵、40代くらいの人って管理職についていることが多いし、そうすると周りの若者どもは手が出せなくなるのよ。うっひっひ。
上手くすると彼らは金を持っているので、かわい子ぶりっこしているだけでおこぼれがもらえたり、皆が野球拳をしなくてはいけないときも、「この子だけは抜かせ」と言ってもらえるので、一石二鳥。
って、こんな事を考えていた十代の頃の私って一体・・・。
本題から思いっきり外れてしまいましたが、えーそうそう怖い話。
そんな事をやって忙しかった、大学一年の夏。私は久しぶりに実家に帰っていた。といっても会っては喧嘩の絶えない私の家族には思いっきり無視され、私はそうそうにベッドで寝ることにしました。
日ごろあまり寝ないで色々しているからか、睡眠はすぐにやってきました。
ふと、周りの虫の声がフッとなくなる――――――。
私はその時自分が金縛りで体が動けなくなっていることに気がついた。
でもね。私はけっこう金縛りにはなれていて、もう日常茶飯事くらいの勢いだったので、解き方はもう知っていた。そのまま、抗わないで、大人しくしていればいつかはその金縛りが解けるのね。
でもその晩の金縛りは違った。
耳元で女の人が歌うような不気味な協和音が流れてきたのだ。
そしてさらに沈み込む体。
やばい。
なんかいつもと違う気がする。
どこかに連れ去られそうな恐怖で、私は目を開けてしまった。
そこには。
その薄暗い灰色の空間には。
私と壁の間に女の人が立っていた。
何故そんなところに人がいるんだろう、なんて答えられないし、考えられもしなかった。
今から考えればそんなところに人が入り込む隙間なんてない。だって私のベットは一人用で壁に沿う形で配置されているのだ。そこに人が入り込む隙間なんてない。
私の胸の位置辺りに立っている女の人は身長が高くて何故かオカッパの女の人だった。
寝ているのにわかるか。という人がいるかもしれませんが、この奇妙な空間の中では不思議にわかってしまうんですよ。
私のほうを全く向いていない顔も何故か整っているとわかりましたから。
ふいに。
今まで動かなかった顔が私に向かって向こうとしているのがわかった。
ぐ。
ぐぐぐぐ。
さらに私に強い力が加わる。
私はなんとなくこのままこのおかしな重力に逆らえなかったり、目が合ったらどこかに連れて行かれるんだろうと強く思った。
それに、私はその女の人の顔を何故だかすごく見たくなかった。
強く目をつぶると、激しくこの場から離れられるように必死になって体を動かそうとした。
不意に聞こえる女の声の不協和音。
戻ってくる虫の声。
ミーンミンミンミンミーン・・・・。
暑い――――――。
気がついたら朝だった。
・・・。
いえいえ。これだけではないんですよ。
恐る恐る母親にこの話をしてみた後。
母はなんとなく神妙に。
「戦時中におばあちゃんの兄弟の中で結核で亡くなった子がいるんだよ。その子だよ。兄弟の中で一番背が高かったし、器量よしだった」
「・・・・。」
「お彼岸だからね。」
「んなことないって。絶対。」
ますます神妙になる母。
「その子はね19歳で亡くなったんだよ。自分がこれ以上生きられなかったのにちゃらちゃらしてるあんたが恨めしく思ったんじゃないの?あんたをあの世まで引っ張っていこうとしたんだよ。」
同じ年だ・・・。私と。
すいませんでした
と、必死になって仏壇に命ごいしたのは言うまでもない。
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