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KTM990AdventureとXTZ125で日本を走り回るぞ!!
九州Touring2007 《初日》
「うーん、今回はハードなツーリングになるなぁ」
地図とフェリーの時刻表を眺めての率直な感想だ。
行きは金曜日の夜10:40神戸発
帰りは火曜日の午前5時30分神戸着
行きも帰りも会社の仕事がある日なのだ。
9月は2回も三連休があるので、最初の三連休で愛知、信州、北陸強行ツアー。2回目は今回の「九州ツーリング」。
どうせ、フェリーでお金掛けて九州行くのなら、盛りだくさんにしてしまえ、と考え、土曜日前日にフェリーに乗り、翌朝、大分県の別府港へ到着する。東回りで宮崎県、大隅半島を経由し桜島へ。桜島からはフェリーに乗り、鹿児島につくやいなや熊本目指して北上。熊本には月曜日の朝9時までには着き、知り合いと会う。お昼を一緒に食べたら、すぐ熊本を発ち、阿蘇山を経由して16:20大分港発のフェリーに乗船。火曜日の朝5時半に神戸へ到着し、すぐ自宅に帰って着替えて出社するという休日を最大限に活かしたプラン。
「うーん、完璧」
俺は独りご満悦になった。
この「完璧」は、「時間を最大限、有効に使っている」という意味だ。
出発前日までに荷物のパッキングを完璧にこなし、金曜日は、またしても上司に
「楽しそうだな」
と言われ(当たり前だろ!)、そそくさと帰宅し、颯爽とフェリー乗り場に到着したのだった。
今回の荷物から寝袋は省いている。まだ、夏の暑さが残る九州でテントを張り、中にはいると蒸し風呂状態。さらに寝袋に入ろうものなら、完全にサウナと化してしまうことが予想されたからだ。
さらに、寝袋を省くと荷物のコンパクト化にも貢献するので、思い切って寝袋は置いてきた。その代わり、新しいツールとして、パンク修理セットと、新しい携帯を持って行くことにした。
パンク修理セットを持っていると、山中でパンクした際にも安心。携帯はというと、今まで使用していたのがPHSなため、都市部でしか電波が届かないので新しいものに。
愛車CB1300SBを購入したとき、JAFと同機能のサービスを提供するHONDA Dreamカードなるものを作ってもらったのだが、自分が好んで行く山間部では、PHSの電波が届かないのだ。都市部では、バイクが壊れてもどうとでも対応可能だが、山間部でバイクが壊れ、自力では脱出できない状態の場合、電波が届く携帯があるのとないのとでは大違いだ。
ということで、自分なりにベストな状態で九州ツーリングに望んだのであった。
さて、神戸ポートターミナル駅の乗り場はというと、結構、混み合っていた。バイクの数は、舞鶴港の比ではないくらい少ない(10台くらい?)が、一般の乗船客が異常に多い。
チケット売り場には「22:40発の別府港行きは満席です」という張り紙が貼ってあった。
家族連れ、カップル、集団、独り者大勢が待合室でひしめいている。
関西から大分へ向かうフェリーは2社あり、一つが関西汽船、もう一つがダイヤモンドフェリー。本来はライバル会社のはずだが、今は、共同して運営しているらしい。
俺はインターネットから申し込んだのだが、2社共同のホームページだった。インターネットから申し込むと20%引き。さらに、窓口で1,000円払って「瀬戸内海倶楽部」会員になると、さらに10%引いてくれるという。
もちろん、瀬戸内海倶楽部に入り、30%引きでチケットを購入したのだった。
行きは関西汽船のさんふらわー号。お日様のマークが目印の船だ。舞鶴港から乗った新日本海フェリーと違い、2等船室なのに部屋が決まっていた。さらにびっくりなのは、雑魚寝のくせに雑魚寝場所まで決まっていること。
雑魚寝のようで、雑魚寝っぽくないシステムに新鮮味を覚えた俺だった。
自分の雑魚寝場所に着くと、メッシュジャケットを脱ぎ、Tシャツになり、メッシュパンツも脱ぎ、半ズボンに着替える。
北海道に行ったときの新日本海フェリーには、2等船室の角に更衣室があったのだが、ここにはない。
無いものはしょうがない。女性もいたが、気にせず、5秒で履き替えた。まるで、宇宙刑事ギャバンの赤射蒸着だ(って古すぎて知らないか)。
さらに、エアーピローとエアーマットを敷き、船内をぶらついてみることにした。
ぶらついてみたけれど、すぐ探索が終わってしまった。あまり広くないのだ。
デッキにも出てみたが、あいにくの曇り空で何も見えず、面白くない。
今回の航路は、本州と四国の間を通る航路なので、北に本州、南に四国の街がずっと見えている。
もし、天気が良かったとしても、星はそんなに見えないかも、なんて考えながらしばらく夜風に吹かれていた。
ちょっと寒くなったので雑魚寝部屋に戻り、寝ることにした。
寝る前のお決まりごととして、俺は必ず、i-Podをセットする。こうすると、他人のいびきや歯ぎしりやその他もろもろの音が遮断され、快眠をえることができるのだ。
疲れていたのか、曲を1曲聴くか聴かないかのうちに深い睡眠へと落ちていった。
朝8時くらいに眼がさめ、デッキに出てみると、まぶしいくらいの晴れ間が見えていた。空を眺めると、いくつもの羊雲が大分の空に掛かっており、ところどころに積乱雲になりかけの雲も見受けられた。
「まだ、夏の空だなぁ」
独り言をいいながら、デッキにでたり船内をぶらついたりしながら、別府港につくまでの時間をつぶした。
デッキに出ると、携帯の電波が入るのにたいそう感動した。海の上で電波が入るなんて、PHSではあり得ないことだからだ。
思わず、うれしくて妻に大分の写真を添えてメールをしてしまった。
別府港も近くなったので、雑魚寝部屋へ戻り着替えることに。短パンを5秒で履き替えメッシュパンツを装着する。Tシャツの上にはメッシュジャケットを羽織る。ポケットに携帯と財布を移動し、CB1300SBのキーがあることを確かめる。
右ポケットに小銭入れ、左ポケットにキーケース。左ポケットに、、、あれ、無い。
先ほど脱いだ短パンのポケットもまさぐるが、何もない。メッシュパンツの左右のポケットを交互に探ってみる。さらに、メッシュジャケットの左右のポケット、インナーも探る。
無い、、、、。
まいった。家を出るときに、立体駐車場を持ち上げて、、、、そのまま、カギを指したまま出てきてしまったのかもしれない。
急いでデッキに出て、妻に電話を掛ける。
「ねぇ、昨日の夜、バイクを出したときに、カギを指したままにしてきちゃたかもしれない。今すぐ見てきてくれない」
「はい、はい。今起きたばかりなのよ、そんなにせかさないでよ」
妻は俺の電話で起こされて、少々不機嫌気味だ。
間もなく、切迫した声で電話が掛かってきた。
「どうした、あった?」
「大変なことになってるわよ。あなたが立体駐車場を上げたまま、カギを出したまま行ってしまったので、上に駐車している人が車仕舞えなくて困ったみたい。私が、管理人に電話したら、もの凄い勢いで怒られたわよ」
そうか、あの管理人が絡んだか。
俺の住んでいるマンションと、目の前の立体駐車場の管理を任されている管理人のオヤジ。年の頃は60くらいか。いつも旧式のグロリアに乗ってやってくるが、遠目に見て運転が下手。そして、話し方は横柄そのもの。俺の右隣の奥さんは、あの管理人がやってくると走るようにして逃げるという。
なんか、妻が罵倒されたの目に浮かぶようだ。
「もう、本当に、いきなり怒られたわよ。あんたはいったいどれだけ周りに迷惑を掛ければ気が済むのか、なんて言われて。さんざん、悪し様に罵倒されたの。これからカギを取りに行かなければならないんだけど、その前に、あたなからも電話して謝っておいてよ。連絡先メールするから」
うーん、気が進まないけど、電話するか。これから楽しみな九州ツーリングが待っているというのに、あの管理人か、、、。
意をを決して、会社人生で学んだ、「必殺謝罪モード」で電話を掛ける。
「あ、管理人さんですか。この度は本当に申し訳ありませんでした」
「はい、はい。あなた、周りの人に散々迷惑かけたんだからね」
「分かっております。本当に申し訳ございません。その駐車場の上の方のお名前と号室もお聞きしたいのですが、、謝罪するために、、、」
「当然です。奥さんがカギとりに来たときに教えます」
「本当にすいません、ご迷惑おかけしてしまって、、、、。暗くて見えなかったのと、時間に間に合わないかもと、気が焦っていて、、、」
「それは、あたの事情でしょ。関係ないです。迷惑掛けたんです、あなたは」
「・・・・」
相変わらずの管理人だ。ま、とりあえず、謝るだけ謝ったので、妻に再度連絡をする。
「あ、今、謝ったよ。あまり怒ってなかったけどね」
「私を罵倒し尽くして気が済んだのかしら」
「ま、あんな人だから気にすること無いけれど、上の駐車場の人には謝罪しないと行けないから、菓子折買って持って行ってくれるかな。こっちはここからじゃどうしようもないし」
「分かったけど、、、。嫌だな、あの管理人と会うの、、、」
「ま、そういわず。ね、お願い。頼むよ」
「分かった」
妻にクレーム処理を一任し、無事(!?)別府港へ到着。朝っぱらから、あの管理人のことを思い出しちまったぜ。
気を取り直して、フェリーから降車する。バイクは一番最初に入れてくれるが、出るのは必ず最後だ。
待っている間、他の車の排ガスにまかれて、気分が悪くなる。
別府港に降り立つと、そこは、まだ夏の九州だった。日差しが強く、じりじりと照りつけてくる。メッシュジャケットの内側がすでにじっとりと汗ばんできた。
10時半についたのに、一番最後に降車だったので、ほぼ11時近く。もうお昼だ。
とりあえず、大分市まで走り、そこで、ハイドレーションシステムにポカリスエットを入れよう。その際に、携帯食も買ってしまおう。
アスファルトからの日光の照り返しが、かなりきつい。街中なので、少しは走ってはすぐ赤信号で止められる。その度に、じっとりと汗が流れるのが分かる。
メッシュジャケットは走り出すと涼しいのだが、信号待ちなどで止まっていると普通に暑い。さらに、ヘルメットも通気性の高いジェットヘルメットだが、適度にシールドを跳ね上げて風を入れないと、すぐメット内が蒸し風呂と化す。
そして、蒸し風呂と化したヘルメットを放置しておくと、あるタイミングで居ても立っていられないほどのかゆみを覚える。思わず、グローブをしたままヘルメットの上から頭をかいてしまい、「あっ」と気づき、ヘルメットの上からコンコン叩いてみるが、効果無し。結局、路肩に止めてヘルメットを脱いで頭をかくまで治まらないのだ。
とりあえず国道10号線を南下し20分ほどで大分市に着く。めぼしいスーパーを探すが見あたらない。が、こだわって探し続ける。
ポカリスエットなどを購入するときはスーパーに限る。コンビニとスーパーでは2Lで100円ほど違うことが多いからだ。
なるべく低コストで旅行することを旨としている俺ならではのこだわりだ(笑)。
大分市内で国道10号から197号に道を変更し、今度は海岸線沿いに東に進み始める。この197号線沿いに、「関サバ」で有名な佐賀関がある。ライダー御用達の道の駅で昼食にするか、その前にスーパーにするか、迷いながら運転し、ふとCBのパネルを見ると、デジタルの表示ではもうすでに12時になっている。
1日で下道330km平均として計算してプランニングしたけれど、失敗したかな、と思う。いつもは遅くとも8時には出発しての平均300kmだ。11時に出発したとしたら、いつもより3時間はビハインドしている計算になる。
今日の予定は宮崎県の最南端串間市だが、このペースだとかなり難しいな、なんて考えながら走っていると、左手にMaxValueが見えてきた。躊躇せず左にウィンカーを出し、駐車する。大型バイクは俺の1台だけだ。真っ先に、メットを脱ぐと、涼しい風が頭を冷却する。
この一瞬がなんとも言えない爽快感をもたらす。なんていうか、我慢に我慢してようやくサウナから出るあの一瞬に近いかも知れない。
ヘルメットを右ミラーとハンドルの間に引っかけ、グローブをリアの荷物に掛かっているネットにねじ込む。
バリバリライダーの服装のまま、スーパーに突入。一瞬だけ、普段と違った人が入ってきた的な視線を身体全身で感じる(笑)
さすがに、スーパー安い。さらに、食料は地元で仕入れ居ることにより、新鮮、ご当地ものは神戸で買うより安い。地方によっては、その土地ならではの食べ物も売っている。
とりあえず、これといったご当地ものが見つからなかったおで、発芽玄米、カレーレトルト、ハヤシライスレトルト、ポカリスエット1.5L、ミックスナッツ、むき甘栗、そして、携帯食に赤いきつねとカロリーメイトを購入。
昼飯はどうるすか、ここで買うか、関サバを食べるかしばし悩んだ挙げ句、
「貧乏旅行にしなきゃ」
と思い直し、サラダとコロッケとおいなりさんを購入。
スーパーの駐車場で早速、ポカリスエット1.5Lをハイドレーションシステムに注入。カラの容器を捨てるかどうか迷って、とりあえず水筒代わりに持って行くことに。
購入した物を、昼食とそれ以外の2つ二分け、リアのネットにしまい込む。
さぁ、昼飯も買ったことだし、出発だ!
公園か日陰で食べよう、お腹も空いたし。公園、公園、日陰、日陰、、、、。197号線を進めど進めど適当な場所はなく、昼食を悩んだ佐賀関の道の駅もすぎてしまい、諦めかけたところで、右側に休憩所を発見。
ちょっと南国チックに椰子の木っぽい木が周りに植わっていて、イスにはしゃれたデザインの蜘蛛の巣が張っていたけれど関係ない。軽く手で蜘蛛の巣を払い、昼食タイムに。
ふと時計を見ると、すでに1時を回っていたが、進んだ距離は50kmほど。
あと250km進まないと目的地に着かないか。無理せず行こうっと。マイ箸をバッグから取り出し、ご飯を食べながらツーリングマップル2007で道を確認する。
いつでも自分がこのマップの編集をしてあげるのに、、、と思いながら眺めていた。
今の時間と距離を考え、今日の目的地を日南市に変更と決めたところで、ちょうど昼食を食べ終えた。
この昼食、スーパーで買ったので500円以内で済んだのだ。これが道の駅で関サバ食べたら1000円はいっただろうな、なんて考えながら、節約した自分に満足し、片付けを始める。
先ほど購入した「今すぐ食べない食」をダッフルバッグに入れ、リパッキングをしてすべて完了。エンジンを始動し、日南市を目指して国道197号線を南下 し始める。
左手に海、右手に山を見ながらひたすら海岸線を走る。山は生命力溢れる緑、海は本当に青い。日本海も青かったが、やはり九州の海は南国の青だ。青の濃さが違う。ここに海水浴に来たら最高だろうな、なんて思いながらひたすら海岸線を走る。
途中から197号線の名称が217号線に変わり、ひたすら走ってようやく佐伯市についた。まだ、宮崎県に入ってないのか、などと思いつつ休まず走る。
長距離ライダーの俺もさすがに疲れてきたと思ったところで、道の駅 北浦に着いた。
道の駅につくと、必ずと言っていいほど、ライダーを見かけるのだが、駐車場に一台もバイクが無い。ここ九州でこの時期にはツーリングする人いないのかな、なんて思いながら店内に入ろうとすると、自動ドアの入り口には「そのまんま東氏」がアップルマンゴーの宣伝をしているイラストが。
ああ、宮崎県なんだな。
店内を見渡すと、ところどころに知事のイラスト付き土産物が。
すごい経済効果があったとは聞いていたけれど、ここまでとは、、、。
もう、東国原一色である。ひがしこくばるグッズ以外は意外と平凡な商品構成だったが、売店カウンターの「ソフトクリーム」に思わず眼がいってしまった。
というのも、途中から薄曇りになったとはいえ、ポカリを適度にチューチューしないと脱水症状になりかけるような暑さのため、バイクから降りた後も身体がほてっているのだ。
「ソフトください」
210円という微妙に安い値段に驚いたが、さらにソフトが大盛りなのにまたびっくり。
いいな~宮崎って。単純な俺は、もう、宮崎が好きになってしまった。店内を抜け、海岸側のテラスに抜けると、車で来た旅行客の家族がベンチに座っていた。
ライダーが珍しいのか、ちらっ、ちらっとこちらを見てる。
そんなに、珍しいかな、ツーリングライダーって。ライダーが珍しいのではなく、おいしそうにいい大人がソフトクリームをなめているのが珍しいのかも。
ま、気にしない気にしない。ゆっくりとソフトクリームを食べながら身体のほてりを覚ましていった。
そういえば、学生時代、夏休みを利用して土方のアルバイトをしたとき、現場のおっちゃんが、
「夏の休憩はこれに限るな。汗がすーっと引くわ」
と言ってかき氷アイスを食べていたのをなぜか思い出した。なるほど、汗は引くな、なんて考えながらぼーっと海岸線を眺め疲れを取る。10分ほど休憩して、また出発。
海岸線の道もまっすぐになり、景色にも飽きてきたが、まだ日向市。宮崎まであと90kmだって。遠いなぁ~っ。
唯一の救いは、バイクに乗っていると時間の感覚が薄れること。俺にとってバイクは瞬間移動の道具に近いとも言える。バイクに乗っているときだけ、時間の感覚が飛ぶのだ。
あっという間というわけでもないのだが、いくら乗っていても、時間を感じない。気づいたら目的地に着いていて、身体の疲れで、ああだいぶ乗っていたようだとあらためて思う。
燃料系を見ると、結構減っていた。上に乗っている人もお腹減っているが、お前もか。では、宮崎に着いたらガソリンを入れることにしよう。
宮崎市に近づくにつれて、車が多くなってくる。
地方都市の場合、これが顕著で、いままで快調に進んでいたのに、市内に入ったとたんプチ渋滞に遭遇することがままある。これが嫌で嫌で、山間部を好んで走るのだが、距離を稼ごうと思うと国道を走らざるを得ない。
あまり時間に制限がなく走れたら、なるべく都市部は避けて通るのになぁ。
右に曲がったり左に曲がったりしながらプチ渋滞のままトロトロと進んでいると、ようやく宮崎市内に到着した。
とりあえず、市内のスタンドに入る。
「レギュラー、カード、満タンで」
バイトのお兄ちゃんは、夜目に見ても真っ黒。こんがりと日焼けしている。九州の人って若い人ほどこんがりと焼けているように感じる。特に、小中学生は真っ黒だ。
俺のバイクを見て、しきりにうんうんうなずいている。バイクに興味があるのかな、と思い、声を掛けてみることに。
「バイク、好きなんですか?」
店員はちょっととまどった顔で、
「あぁ、いや、普段、みんながウチに乗ってくるバイクと全然違うなぁと思って、、、」
「君もバイク乗ってるの?」
「あ、はい。スクーターですけど」
ここで、会話が終わってしまった。また、店員に視線を戻すと、俺のボルドールを見ながら、しきりとウンウンやっている。うなずくのが癖なのかもしれない。気にしないことにした。
話題を変えて、ここから日南市までどのくらいかかるか聞くと、空いていれば1時間半くらいとのこと。
今の時間は19時でちょうど混雑が収束する頃合いだ。とりあえず、ここでしばらく休息することにした。
1時間ほど休息して20時すぎに出発する。
うーん、ナイトランだぁ。
ナイトランはいいのだけれど、ここ宮崎では、いったん市街地を離れると、本当に真っ暗。なーーーにも見えないのだ。
ただでさえ、ボルドールのライトはしょぼ目なので、ハイビームにしないと前のカーブが見えない。道的には高速ワインディングで昼間来たらかなり楽しめそうな道なのだが、いかんせん、前が見えない。
地元の車はバンバン飛ばしてくるし、こっちは、前見えないしでちょっと面白くない。
日南市の手前にキャンプ場が2つほどあるので、どちらかに寄ろうと考えながらバイクを走らせる。
「あっ」
という間に、2つのキャンプ場を通り過ぎてしまったようだ。だって、本当に真っ暗で何も見えないんだもん。これだけ、真っ暗だと、下手なところでキャンプできないなぁ、そうだ、砂浜にしよう。
途中で、なんとか海岸方面という標識を目にし、国道から左へ進路を変更。ズンズン進んでいくと、道路が途中で通行止めに。
20mほど下が岩場の海岸、右が小高い丘といったシチュエーションの道途中に、どかんと通行止めのサインが。
鉄パイプが溶接してあり、
「絶対に通さんぞ!」
という意気込みが感じられた。バイクがすり抜ける隙間もなく、しょうがないのでここでテントを設営することに。
鉄パイプの防止策の手前に、展望所兼駐車場になっているところがあり、一台、バンが止まっているのが気にかかったが、気にせずテントを設営し始めた。
まず、デイバックからヘッドライトを取り出し、頭に装着。そのあと、80LのMont-bell製ダッフルバックより、テントとマットそして、ブルーシートを取り出す。
この防水用ブルーシート(通称:ドカシート)を下に敷き、その上にテントを張る。今回はアスファルトの上なので、平らは平らだが、ペグが打てないのが難点。雨が降らないことを祈りながら、設営を続ける。
今のテントは、一昔前と違って、本当に設営が楽だ。ワンタッチとまではいかないが、3つの構成要素だけで成り立っている。
(1)支柱・・・文字通りテントの骨組み。ワンタッチで組み上がる仕組みになっている。
(2)インナー・・・テントの内側の部屋。薄いレースとナイロンの組み合わせでできており、下の部分が防水処理が施されている。
(3)フライ・・・雨よけ風よけの、家で言うと屋根にあたる部分。このフライをしっかり張らないと、風で飛ばされたり、雨の侵入を許したりしてしまう。
何回も組み立てているので、暗闇でも簡単に設営できる。まず、袋から支柱を取り出し、十字につなぎ合わせる。といっても、接続部分にゴムがついていて、勝手にシャキーンと組み上がるようになっている。
次に、インナーの四隅の穴それぞれに、十字の支柱を通して固定する。すると、ちょうど十字がしなって、テントの骨格になるようになっている。その支柱をインナーについているガイドフックで固定していくと、長方形のテントが出来上がり。
これにフライをかぶせ、フライの四隅についているフックを、インナーの四隅のヒモに掛けていく。ペグが打てないので、多少、風でバタつくが、やむを得ない。
しかし、街頭もない海岸沿いのみちは、本当に真っ暗だ。空も、雲がかかっているようで月も星も見えず、真っ暗闇に拍車をかけている。波が岩場にあたる
ザッパーーーン
という音と、
コオロギの
リリリリリ・・・
が、かろうじて暗闇に色彩を与えている。この音がなかったら、本当に虚無の世界かも、、、。
とりあえず、テントの中に移動して、明日の道を考え、ノドが渇き、ハイドレーションシステムのポカリをストローごしに吸う。
しばらく吸うと、ズズズゥゥッという音とともに空になった兆候が。むぅ、1.5Lもあったのに半日で飲みきったか。やはり、9月の終わりとはいえ、九州は暑かったってことだ。
しばし、マップを眺めながらうつらうつらと夢の世界へ。
ふと、バタバタバタっという風がテントを煽る音と、尿意で目を覚ました。
やはり、海岸沿い崖上の道は風が強いのかな、なんて考えたが、尿意には勝てず、むっくりと起きて外に出た。
「WOW(わーお)」
そこには、近年見たことのがないくらいたくさんの星が、、、、、。
満点の星空とは、このことか。天の川付近は、本当に星が密集しており、川のように見える。風に吹かれて雲が飛ばされたようだ。
なんか、風が星空を見な、とわざわざ俺を起こしてくれたかのような錯覚を覚えた。
思わず、ため息がでるほどの綺麗さ。街灯がまったくないのが幸いして、本当に星がよく見える。
うっとりと空を眺めていると、
ちくっ ちくっ
ぶぅ~~ん
う、モスキート編隊が襲ってきた。一瞬にして手と足の4箇所を攻撃された。暗闇なので、追い払おうにも狙いが定まらない。
星は眺めたい、けれど、モスキート編隊の攻撃がうっとうしい。
そうこうしているうちに、俺は本題を思い出した。
そうだ、俺は小便をしに起きたんだった。放尿しようにも、この攻撃。
苦肉の策で、俺は手と足をぶるぶる振るわせて歩きながら小便をした。気になって駐車場を見ると、さっきのバンは家に帰ったようで、もう停車してなかった。
良かった、お星様とモスキート以外は誰も見てないや。
9月末に蚊がいるとは想定していなかった俺は、蚊よけ対策、虫さされ対策を何もしていなかった。
もう、これ以上の攻撃を凌ぎきれないと判断した俺は、すごすごと基地(テント)に引き返した。
いったん、テントと反対側にモスキート編隊を引きつけておいて、いそいで急反転、テントに戻り、最新の注意を払ってジッパーの開け閉めしたのだが、ヘッドランプを回してテント内を見ると、侵入警報が鳴っていた。
むぅ。大きなガガンボくん(ビックサイズの蚊みたいな姿の虫。草の液を主食としており、人を刺したりはしない)が、止まっているではないか。
まぁ、無害だから一緒に寝ようか、それとも外にご退出願おうかちょっと思案した結果、ご退出していただくことに。
ビニール袋を、そぉーっと近づけ、ガガンボに悟られないように真下に配置。気配を消しながら、エイッっとばかりに袋をかぶせ、捕獲に成功。
そのまま、袋と手だけをテント外に出し、ビニール袋の口をあけると、ぶぶぶ~んと飛んで行かれました。
ほっと一息つき、再び夢の世界に突入。
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