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2022.03.31
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カテゴリ: 古文現代語訳
さて、この九条の屋敷の東には、一群れの呉竹だけを隔てた別の屋敷がありました。そこには左大臣の長男の乳母が幾月か病を患い、世をはかなんで尼になっていました。この日中納言はこの尼のお見舞いに、人目を忍んでおいでになっていました。尼が名残を惜しみ悲しむのも見過ごしがたく、ほどなく辞するのも気の毒に中納言は思われて、その夜そこに泊まることにしました。
 夜も更けて人々が寝静まったころ、近くに吹き通る風にのって琴の音がみごとに合奏されて美しく聞こえてきます。中納言は驚かれて「ほう。これは思いがけない。この西にどなたが澄んでいるのか」とお聞きになりますと、乳母子《めのとご》で少納言行頼《ゆきより》と申す者が、「法相寺の僧都が所領するところで、この六月より今の但馬守時明の朝臣《あそん》の娘が、移り住んでいるそうでございます。月の美しい折にはこのように管弦の遊びをしております」と申し上げます。「但馬守の娘たちでもこのような遊びを好むのか。意外だな」と中納言が言われますので、行頼は「このように橋近に出て時々管弦の遊びをするのを拝見しますと、どの娘も美しく、中でも源大納言の子の弁少将《べんのしょうしょう》と婚約して大切に育てらrている三女は、身につけた教養も全て本格的で上品そうです。式部卿宮《しきぶきょうのみや》のご子息の中将殿は石山寺の参詣の折に、その女をほのかに見て手紙などを送ることがございました。女はこれに返事などをして惹かれる様子がございましたが、中将が『人目を忍んで時々通わせてください。あなたの親には私の身元が知られないようにして』と言うことでございましたので、両親は『そんな了見では仕方がない』と思って、弁少将と婚約させたのでございます」と申します。中納言は笑われて、「それじゃあ、女の方は本望ではなかろう。その女は恋というものを解する心があるね。きっと今でも中将に心を寄せているのだろう」とおっしゃいました。合奏の中に箏の琴の音が時々加わるのが際だって美しく聞こえるのでした。





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最終更新日  2022.03.31 11:14:12
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