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読書日和 ~Topo di biblioteca~
2009年4~6月に観た映画
2009年4月~6月に観た映画
ウォッチメン
トワイライト~初恋~
レッドクリフpart2
フィッシュストーリー
鴨川ホルモー
バーン・アフター・リーディング
スラムドッグ・ミリオネア
グラン・トリノ
重力ピエロ
GOEMON
天使と悪魔
セブンティーン・アゲイン
スター・トレック
ラスト・ブラッド
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン
ターミネーター4
愛を読むひと
剱岳 点の記
トランスフォーマー・リベンジ
○○○○
○○○○
ウォッチメン 4/3
原作&登場人物について前知識のない柊にはなかなかついていきにくいストーリーでした。
*「ウォッチメン」公式HPは→
こちら
過去の歴史的事件にウォッチメンたちが関わっていた…と予告で流れていたけれど
どう彼らが関与していたのか、その影響がどんなものだったのかがいまいち汲み取れなかったです。
しかも何故あのような恰好を???
ヒーローもの…にしてはすっきり感がないし、とってもダーク。
R指定がかかっているだけあって、思わず目を閉じてしまいたくなる場面もあって
柊にはあわなかったかもしれないなあ…。(しかも上映時間が3時間近い)
アメリカンコミックらしいといえばとってもらしい世界観。
アメリカの影の歴史を暗に批判しているのかといえば、そうとも見えるかな…。
米ソ冷戦時代、「いつ戦争が起きてもおかしくない」という不安の中で人々が生活していて
今再びそういう鬱鬱とした時代に突入しつつあるのだろうかと重ねてみることも出来たりして
「うむむ…」と感じたこともたしか。
「誰がウォッチメンを見張るのか?」が宣伝コピー。
人間が神の視点に立つことなんて不可能なんだ、所詮ここまで。ということを
延々説かれたような気がしました。
斬新さを求めて観に行った映画ですが、すっきり感は得られなかったなあ…。
トワイライト~初恋~
吸血鬼もの…ってことで観に行きました。それから
「ハリー・ポッター」シリーズに出ていたロバート・パティンソン、「イントゥ・ザ・ワイルド」で
印象的だったクリステン・スチュワートが出ていることにも興味が湧いて。
*「トワイライト~初恋~」公式HPは→
こちら
本当は原作本を読んでから観に行きたかったのですが、今週末からは「レッドクリフpart2」が公開になるし、
予定が詰まっちゃう前に…と足を運んでしまいました。
本は1の上巻、第六章中間まで読んだところ。映画の冒頭20分相当かなー。
ここまででもエピソードの省略のされ方がすごい。(まあ、当り前か)
やはり吸血鬼ものというよりは恋愛映画でした。
しかもとても初々しく、観ているこっちが照れちゃうような(笑)
少女漫画の王道!みたいな感じで、うーん自分が10代だったらハマっただろうか…
なんて想像しながら観てました。
小説を読んでいると出てくる登場人物が皆美男美女揃いなので、いったいどういう
キャストを組むのだと思いましたが、やはり読んで持ってしまったイメージに勝るものはない…(笑)
主人公の女の子、ベラを演じたクリステン・スチュワートの容姿は
この物語の雰囲気にも似合っていて好き。
小説版のベラはもっと内向的で卑屈な印象も受けるんだけど、映画の進行上あまり
うじうじされてると話が進まないので映画版くらいはっきり意思表示してくれるといいと思う☆
理想の彼氏像(しかも吸血鬼)を演じたロバート・パティンソンくんについては…
こんな歯の浮くような台詞ばかりで大丈夫だったのだろーかとか(爆)
吸血鬼から見たら人間は狩るもの=食料といった台詞があったけれど、
はたして食料と恋愛関係に陥ることが出来るものだろうか…と真剣に考えてしまった。
この物語は人間の側、ベラの視点から描かれているけれど
意外と吸血鬼のエドワードの視点から描いてもらった方が柊には興味深いです。
あ、あれだ!おおかみとヤギの友情物語を描いた「あらしのよるに」。
あの物語の恋愛バージョンだと思えなくもない…??
映画の方は続編が作られるらしいですね。
原作を読むときくらい、映画を観に行くときくらい10代の気持ちに戻って楽しもうっと
レッドクリフpart2
「これから赤壁の戦いが始まるぞ!」というところでpart1が終わっていたので
続きを観るのが待ち遠しかったです。
何と言ってもここからが孔明さんの知略が生きる場面だし(笑)
*「レッドクリフpart2」公式HPは→
こちら
柊はpart1よりも集中して観ることができました。
part1よりも剣技など個人個人を際立たせる戦闘場面は少ないかもしれませんが
登場人物一人一人に馴染みが湧いた…というか慣れたというか、
感情移入しやすかったのかも。
とくに後半の炎の場面は圧巻でした。
夏場の撮影で暑かった…とインタビューで言ってましたがほんとに熱そうで。
魏の曹操にしろ、呉の孫権・周瑜にしろ、結局は孔明の計略通り動かされたのだ…
といった描き方はされておらず、それが柊にはちょっぴり不満だったりもするのだけれど
ジョン・ウー監督にとっての三国志はこういう解釈なのだなあと楽しませてもらいました。
長い長い三国志の物語の中で、赤壁の戦いは重要な場面とはいえ
ごくごくちょっとのシーンでしかありません。
もっともっと三国志のいろんな場面を垣間見たかった…というのは贅沢な望みかなー。
フィッシュストーリー 4/13
バラバラな時間、エピソード(しかも何の関係もなさそう)が一点に集約されていく爽快感が
伊坂幸太郎さんの小説の持ち味なら、間違いなくこの映画でもそれが味わえます。
地球に隕石が衝突するまであと数時間しかない…というトンデモナイ設定。
「フィッシュストーリー」という曲がどうやって地球を救うというのだろう??
うう、この結末は確かに奇跡だわ~。
しかもとんでもなく観る側を幸せに、元気づけてくれるパワーを持ってます。
日常の些細な出来事、無意味に感じられることすら、はるか未来にどんな作用を及ぼすかわからない。
どんな奇跡に繋がっているかもわからないじゃないかーと考えたら、
それだけで胸がドキドキしてくるような気がする。
映画中、どのエピソードでも逆鱗が歌う“フィッシュストーリー”が印象深く流れます。
耳について離れません。パンク系は苦手ですがこの曲は好きです
漠然と力が湧いてきそうで。
この曲が、この映画が、観た人を通じて新しい物語や奇跡を生み出すかも。
そんな風に思いながら映画館をあとにしました。
正義の味方、万歳っ!!
*「フィッシュストーリー」公式HPは→
こちら
しかし、原作確かに読んだ筈なのにあまり記憶に残ってない…。
映画とは…きっと違うよね?読み返したくなりました…。
鴨川ホルモー
このばかばかしさをもう一度原作を読み返すことで、味わってみたくなりました(笑)
*「鴨川ホルモー」公式HPは→
こちら
そもそも“ホルモー”なる競技が映像化出来ちゃうところがすごい。
配役にも妙味があって、栗山千明さんの凡ちゃん…コメディエンヌぶりはすごい。
後半の見せ場はド迫力でした…☆
ぼけら…と難しいこと考えず楽しみたいときにはぴったりかな。
京都の桜、菜の花…葵祭と季節感ある映像も盛り込まれていて
京都を訪れてみたくなりました。
バーン・アフター・リーディング 4/25
結末に唖然…とする前に中盤の展開に思考停止という感じでしょうか…。
*「バーン・アフター・リーディング」公式HPは→
こちら
こんだけ豪華な配役を使ってアホなコメディーを!?というような宣伝がなされてますが
嘘だー。コメディじゃないぞ、これ。
コメディというにはブラック過ぎる展開だぞ。
やっぱりコーエン兄弟の作品だ~(=苦手)
出演者一同馬鹿っぽいというより狂気の一歩手前という印象。
その印象が一番強いのはジョン・マルコヴィッチかな…目がいっちゃってて怖い。
ジョージ・クルーニーははまり役という気がするけど、
ブラッド・ピットはよくこの役を引き受けたなあ…(いやこんな役だから引き受けたのか)
うーん、天晴れ天晴れ。
“衝撃の結末”と謳われてますが、この衝撃は「パルプ・フィクション」以来かも。
スラムドッグ・ミリオネア 4/25
映画から伝わってくるエネルギーがとんでもない!
日本に住んでいたら決して目にすることのないインド社会の底辺。
それをこれでもかと見せつけられて。
それでも、そんな中でも否応なく子供たちが身につけていく逞しさに惹きつけられて。
最後にジャマールが手にする賞金2000万ルピー…日本円にしたら4000万円に相当するらしい。
その金額が、この国でどれ程価値を持つものなのか。
どうして国中の人々がこの番組に釘付けになって、彼の答え一つ一つに熱狂したか
「新しい人生を手にしたい」と夢見る人がどれ程多く存在することか…。
だけど、ジャマールがこの番組への出演を希望したのは大金を手にするためじゃなく
1番の理由は初恋の相手ラティカに見てもらうため、もう一度出会いたいためで
彼のそんな一途さに映画のラストは救われるのかも…。
彼が懸命に生きてきた中にクイズの答えがあった…。
うーん、自分の人生を振り返ってみたときに、その軌跡の中に自分なりの価値が
見出せるようだったらいいなあなんて思いました。
アカデミー賞8冠も納得のいい映画でした!
*「スラムドッグ・ミリオネア」公式HPは→
こちら
グラン・トリノ 4/28
ウォルトを演じたイーストウッド監督の、かすれるようなハスキーな声がまだ耳に残っています。
気の置けない友人との悪態を突き合うようなやりとり。
アジア系の隣人たちと少しずつ打ち解けていくときの表情の変化。
街の不良たちと対峙した時の、相手の動きを封じる静かな迫力。
ラストシーンに至るまでに積み重ねられたやりとりの一つ一つが
どれだけ説得力に満ちたものだったか…。
*「グラン・トリノ」公式HPは→
こちら
ウォルトが選んだ選択肢は、今の彼にしか下せなかったものだって伝わってきます。
もはや血気盛んな若者でもなく、心通わせられる家族はいない。
過去の経験から暴力は暴力を呼び、憎しみを断つことが難しいことも知っている。
友人となったタオ少年の未来を守るにはどうすればいいか真剣に悩んだ筈。
彼の選んだ方法が正しいかどうかはわからない。
けれどタオ少年が感じた激しい憤り、報復したいと思う感情を浄化し救ったことは確かなことじゃないか、と思います。
ウォルトの偏屈ぶりは実際身近にいたらしんどい…と感じるかもしれません。
彼の二人の息子とその孫たちがそう感じて彼を避けていたように。
でもこうして映画の画面上で観る彼は偏屈だけど終始ユーモアもあって気安い部分も持っている。
血の繋がりを持たない方が、少し距離がある方が交流出来るなんてせつないな…。
イーストウッド監督作品にはずれなし。
とてもいい映画でした。
「いい映画」なんてありきたりな言葉で括りたくない!…そんな映画でした。
重力ピエロ 4/28
こうして映像化されてみると、何て重いテーマを扱った小説だったんだろう…って感じます。
伊坂さん独特の軽妙な文章が、過去に起きた事件のやり切れなさを軽減してくれてたんだって思います。
事件の重さがが軽くなる…って意味じゃなくて。
言葉だけが救ってくれるユーモアがあったっていうか。
短いシーンでも、映像として見せられるのは痛みが生々しすぎて、
限られた時間の中ではその印象をぬぐいきれない…そんな気がしました。
*「重力ピエロ」公式HPは→
こちら
映画自体はすごくよくまとめられていたと思います。
原作未読の人にもわかりやすいように…と。
(逆を言えば原作読んだ人間には「何故黒澤さんが出てこないっ!」とか
結末の場面はそこじゃなーい!とか削られた場面を惜しむ気持が沸々と湧いたりして。
まあ時間の制約上それは仕方がないのですが。)
なにより配役が良かったです。
原作を初めて読んだとき、柊は泉水を著者である伊坂さん本人を思い浮かべていたんですが、
加瀬さんの何処かのほほんとした印象はそのまま役に重なって見えましたし。
岡田君が演じた春役はとても難しかったと思うんだけど、冒頭のシーンで一気に“春”になっちゃいましたし。
葛城役の渡部篤郎さんは久し振りに観た気がするんですが、とことん「悪く」見えたし。
小日向さんの父親像と、鈴木京香さんの母親像は素敵な存在感を放っていましたしね。
性犯罪を扱った小説等において、被害者(女性)の視点から描かれた作品は目にすることも多いけれど、その家族(夫、息子、或いは恋人などの男性)からの視点で描かれたものはそんなになかったんじゃないかと思います。
“家族”という言葉のイメージから最もかけ離れたものですよね…きっと。
そういう意味でも「重力ピエロ」という作品はとても稀有な作品なのでは、と思います。
葛城みたいな考え方を持った人間をリアルに想像するとぞっとします。
嫌だなあ…「女の敵」だよ、こんなやつは。
でもって、「男の敵」でもあって欲しい…と願います。
うーん、しかし「仙台シネマ第一回認定作品」なんですね。
(なぜ「アヒルと鴨のコインロッカー」じゃないんだろう?)
ははは。こうして観ると仙台市ってとんでもなく犯罪都市みたいですね(爆)
オール仙台ロケということで、見覚えのある場所も登場しましたが、
青葉城跡近辺の橋とか、定禅寺通りとか“いかにも~”な場所は使われてなかったのが
ちょっと残念な気もしました。あ、でも七ヶ浜近辺の風景はきれいに撮られていましたね。
伊坂幸太郎さんの作品の映画化が続くようで。
「フィッシュストーリー」「重力ピエロ」ときて次は「ラッシュライフ」なのだとか。
あの黒澤さんを堺雅人さんが演じるときいて「是非観たい!」と思ったのですが、
どうも上映館が限られているようで・・・むむ。是非ご近所でも上映してほしいです。
GOEMON 5/8
自分の追及する「画」と「世界観」を作り上げるためならば、史実も時代考証も
二の次、三の次にしてしまう潔さがすごくいい!と思いました。
*「GOEMON」公式HPは→
こちら
CGを全面に押し出してくる映像に抵抗を覚える人もいるのでしょうが、
柊は意外と平気でした。
「CASSHERN」のときよりも抵抗がないというか馴染んだというか。
斬新な色使いと、不思議なデザインの数々に魅了されたというか。
独特な世界観を持っている人なんだなあ…と想像します…紀里谷監督。
配役もとっても魅力的でした。
奥田瑛二さん演じられた豊臣秀吉はこれでもかこれでもかというくらい憎たらしい秀吉で。
これまでも秀吉像にあまりいいイメージがなかったので、小気味よい位の怪演に思いました。
石川五右衛門を演じる江口洋介さんと霧隠才蔵を演じる大沢たかおさんが対峙する場面が映画の一番の見所かな…とにかくどちらも格好良くて
中盤以降の見せ場では霧隠才蔵が主役にとってかわってしまった!と思う位に五右衛門をくっちゃっててびっくりしたし。
きっと彼は影の主役だったのね。
五右衛門の青年時代を演じた田辺季正くんも印象的でした。
それから柊は玉山鉄二さんが演じた又八のキャラクターが好きだったんだけど…
意外と出番が少なくて残念☆
あの不気味な表情が好きだったのに…もっと悪徳役人してほしかったー。
いいなあ…男の人は。天下取りだろうと、なんだろうと野望を持って格好良く生きられて。
時代物にあってはどんだけ頑張っても女であることは枷になってしまって、
突き抜けるような格好良さは体現出来ないもんなー…羨ましいです。
天使と悪魔 5・15
原作を読まずに観に行ったことで「ダ・ヴィンチ・コード」より物語を楽しめたような気がします。
本を読んでいれば秘密結社や宗教、教会、彫刻…など様々な蘊蓄をもっと楽しめるのでしょうが。
それらを詳しく盛り込むには上映時間二時間という制約は厳しいと思うから。
(字幕でそれらを追うのは結構大変でした☆せっかくの背景を見逃してしまう~)
それを知りたくて原作にも手を伸ばしてしまいそうな気がする…。
*「天使と悪魔」公式HPは→
こちら
物語も楽しんだけど、何といってもこの映画はロケーションが素晴らしいです。
ヴァチカン公国なんて訪れたことがないので、「ああもっとじっくり映してほしい…」と思う
場面が満載です。
「神を信じるか」といった問いには胡散臭さしか感じられない柊ですが、学問として
宗教を学ぶのは面白いだろうなと思います。
神の存在、というより神を信じるという人間の強い思いを結集したような建造物の数々に
圧倒されてみたい…という気持ちになりました。
イタリア、ヴァチカン辺りの教会巡り、してみたいなあ~。(夢のまた夢だ)
17again 5/20
観始めたときは、「うーん…どうかなあ」と思ったんです。
だって自分の将来これからってときに彼女が妊娠したので結婚、それからは転落?人生まっしぐら、なんて自分にも彼女にも、生まれてくる子供に対しても何だか失礼な設定じゃないかなーって気がして…。
いくらツキをなくしてしまったようだといったって、「結婚しなければ」なんて奥さんに言っていい言葉じゃない。
この台詞を聞いた時点で俄然観る方は奥さんの方に肩入れしたくなっちゃうじゃない!
だけどここからがザック・エフロン演じる“中身は37歳の高校生”の頑張りどころなのです。
「17歳の頃に戻れたら…」
どういうわけか、体(外見)が若返り、人生新たに選び直すことも可能になった!のに…
心の方はしっかり現実を見据え始める。以前は過去ばかり見ていたのに。
あり得ない設定の筈なのに、ザック演じるオドネルの中身がしっかり37歳に見えるとこが可笑しい。
同じ高校に通う息子や娘にあれこれ世話を焼き、心配する姿があったかい。
ただ一人正体を知り、父親役をかってでてくれた親友ネッドとのやりとりが面白い!
この辺はある映画のパロディがかっていてすっごくいいです。
柊自身は例えば10代の頃に戻りたいかと問われたら「否」と答えると思います。
精神的にしんどかった気がするし、むしろ今より不自由だったと思えるから。
この映画を観たら「やっぱり今をしっかり生きなきゃ!今を謳歌しなくちゃ!」て気持ちになります。
元気がもらえた気がします。またいつか観てみたいなー。
*「17again」公式HPは→
こちら
スター・トレック 5/29
テレビドラマ版のスター・トレック(物語や登場人物)を知らずに観に行っても楽しめるかな…?と不安でしたが思っていたよりずっと面白かったです!
むしろ何の先入観もなかったから単純に楽しめたのかも?
「クローバー・フィールド」のJ・J・エイブラムス監督がどんな映像を観せてくれるのかが柊には一番の楽しみでした。
*「スター・トレック」公式HPは→
こちら
何と言ったらいいんでしょうね…。
SFであり、未来ものであり、宇宙を舞台にした物語ではあるんだけれど、
他の星に住む住人たちの姿がすごーく地球人に似ていたり、同じ言語を話していたりするところが昔懐かしいレトロな雰囲気を感じるのです。
それでいて宇宙船やブラックホール、ワープする瞬間の映像なんかはすごくハイテクだったりするので、その奇妙なアンバランス感覚が心地よい(笑)
惜しむらくは悪役の扱い方かな。
せっかくエリック・バナが悪役ネロ艦長を演じるのなら、台詞で語らせるだけでなく
彼の不幸な境遇にもうちょっと深みを与えてくれても良かったのになあなんて思うのです。
悪役に思わず肩入れしたくなっちゃうような魅力があってこそこういう物語って生き生きしてくるものじゃないですか~。
物語の焦点はカークとスポックの二人の確執から友情へ…だったからブラしたくなかったのかもしれませんが。
宇宙を舞台にした…となると「スター・ウォーズ」シリーズ等の映像とどうしても比較して観てしまうのはいたしかたないですよね…。
それにしても不気味な形態をした生き物が登場してくる場面には「さすが上手いな」と思ってしまいました。(笑)
ラスト・ブラッド 6/3
チョン・ジヒョン=アクションというイメージはまったく湧かなかったんだけど、
息をつかせぬシーンの連続に「うわー…よく撮ったなあ…」と感嘆してしまいました。
日本刀を使ってのアクションなので血飛沫とぶわとぶわ、なのですが
残酷~というより蹴りの数々に見惚れてしまった…という印象が強いです。
*「ラスト・ブラッド」公式HPは→
こちら
原作のアニメは観たことないけど、実写版でこうならさぞ何でもありな展開なんだろうなー。
1970年代の東京が舞台だけど、日本語英語が飛び交う異世界めいた設定は
何だか不思議な映像を醸し出してます。
これだけチョン・ジヒョン演じるサヤが活躍した後に登場するのは不利では…と思えた
小雪さん演じるオニゲン。
アクション、という点ではチョン・ジヒョンに一歩二歩譲ってしまうのは致し方ないとしても
少ない出番ながらすごい印象強かったのでは…と思います。
何故ならオニという言葉からは連想つかない程に美しかったから。
名前からの連想ではないけれど、「雪女」のような妖しさ、魔的なものを感じてしまいました。
オニゲンの台詞に「オニの仲間を殺すことには罪悪感を感じないのか」みたいな台詞が
ありましたがうーん…確かにそうだよなあ…。
人を喰らうオニはとことん“悪”みたいに描かれているけれど、オニにはオニの仁義なるものが
あるかもしれないじゃないですか…。
オニばかりが人を殺すわけじゃない。人が人を殺めることがあるとすれば、
人の内側にもオニの性分があるということじゃないですか。
サヤは人とオニとのハーフという設定ですが、身体的な強さのみならず、
そういう心の葛藤みたいなものがもっともっと描かれていたら話にも深みが出たんじゃないかと思います。
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 6/10
人間の体は苦痛と、血と肉とで出来てるって延々見せつけられるよう。
その内側に「聖性」を宿すか「狂気」を宿すかはその人次第だけど…。
ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホン競演という謳い文句にだけ惹かれて観に行くとえらい目にあいそうです。
ううう、血に酔った。気持ち悪いよう。
PG-12の指定がかかってるけどR-15、18でもいいんじゃないかと柊的には思いました。
(実際途中で席を立つ方もいました。「き、気持はわかる…」と思いました。)
*「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」公式HPは→
こちら
映画館を出て、自分の住む日常・現実の世界に戻ってこられてほっとした…なんて
そんな思いをしたのは久しぶりじゃないかと思います。
多国籍…というのは無国籍のようでもあって、ファンタジーとも狂気の世界とも異なる
不思議な世界観がそこにはありました。
うーん、やっぱり非現実的な世界なんだけど…狂気という共通項で持って
現実と繋がっているような感じ?上手く言えませんが。
結局観る側に何を伝えたかったんだろう…よくわからない。
ただざらざらとした違和感がずっと首筋あたりに残っていて気持ちを引き摺ってしまってます。
シタオという人物が持つ傷を自分の体に引き受ける力…
その設定は乙一さんの短編「傷ーKIDS」を思い出しちゃうなあ…なんて
観る前は思ってたんですが、そういった不可思議な能力以上に死体に施される装飾なんかが
「黒」乙一作品を彷彿とさせる映像で「うげげ」でありました…。(夢にみてしまいそう)
いつか「黒」乙一さんの作品が映像化されることがあれば是非この監督さんに
お願いしてはどうかしら…期待以上のものを撮ってくれそうな気がします(爆)
あ、話が横に逸れてしまった×××
柊の目的は(実は)ジョシュ・ハートネットでした。
だけど、主要三人以外の登場人物たちもそれぞれ意味深で印象深かったです。
細かいところ「何で」「どうして」と問いたくなる部分もいろいろあることはあるんですが、
うーん、観終わる頃には「まあいいか」なんて気持ちになってしまいました。
ターミネーター4 6/18
こうして比較してみると…前作の「T3」って(言っちゃなんですが)ホントに駄作だったなあ…。
最高作は「T2」でこれはもう不動のものなんだろうけど。
人気があるからといって、キャラクターだけを動かすような安直な作り方で
シリーズものを製作しちゃいけないのね…としみじみ思いました☆
*「ターミネーター4」公式HPは→
こちら
ターミネーターはやっぱりアーノルド・シュワルツネッガーでしょう!って
強い思い入れがある分、今作にしてもどうかなあ…って正直思っていました。
でもって、彼(T-800)がメインで登場してこないのは確かに寂しいものがあるんだけど。
それでもかなりシナリオ頑張ったんじゃないかと思います。
映像にしても、何だか「T2」のシーンと重なって見える部分があって、
このシリーズに対する製作者の“愛”みたいなものが感じられたように思います。
ターミネーター・シリーズの面白さって、「こんな凄まじい機械相手に生身の人間が
かなうわけないじゃないかーっ!」って思うのに、それでも人間は最後まで
絶対にあきらめないって意志の強さを見せてくれる部分じゃないかなと思ってます。
人間と機械の違いは何か…。
どんどん人の形に近づいていくマシーンたち。
その境目が曖昧になっていく中で、人間って何なのか考えさせられます。
戦争のさなか、自暴自棄になって、自分のことしか考えられない人間もいるし
「人間」という言葉でひとくくりにしてしまうのも抵抗がないともいえない…。
ターミネーター4はこれまでのシリーズとはまた少し別の視点を得たような、
違う世界の広がり方を見せてくれたんじゃないかなあと思っています。
ラストはちょっと強引にまとめ過ぎた気がしないでもないけれど、
ここからまた「1」に戻って観てもいいし、或いは更に世界を広げて「5」に繋げても
面白そうだし、何だか次を期待してしまいます…(笑)
愛を読むひと 6/19
原作本の『朗読者』(B・シュリンク著)を読んだのはもう随分前のことです。
その時もそれなりに感銘を受けた覚えがあるのですが、記憶に残っていたのは
中盤以降の展開とハンナという女性が隠していた秘密について、だけだったので
もしかして当時自分はこの小説をまったく読み込めていなかったんじゃないか…という気がしてきました。
何故ならこの映画がすごく良かったから。
ハンナが終世抱え続けた孤独、マイケルの心の痛み…
原作を読んだ時にはそれほど意識を払わなかった(と思う)登場人物たちの心情が、
画面を通して溢れんばかりに伝わってきたからです。
ハンナが過去に犯した罪が消えるわけでは決してないけれど、
それと同様に彼が彼女を愛した気持ちも消えるわけじゃない。
「ひと夏の恋が、永遠の愛に変わる」なんて、いつもなら「陳腐だ」の一言でけっ飛ばしたくなるのに、この映画を観ていたら本当にそんな相手に出会える人がこの世にはいるかもしれない、なんて信じてみたくなってる。
映画を観ている間ずっと、胸が締め付けられるようなせつなさを味わいました。
素晴らしかったのはハンナを演じたケイト・ウィンスレット、マイケルを演じたディヴィッド・クロス、
レイフ・ファインズらそれぞれの演技でしょうね…。
ハンナの孤独、寂しさ、押し殺してきた過去への心情…物語を求め安らぎを得ようとした気持ち。
美しくて、けれど次第に老いていく様といい…ハンナはこういう女性だったのだと体現してくれた
ケイトの演技は圧倒的です。
少年期のマイケルを演じたディヴィッド・クロスも新人とは思えません。
初々しくハンナに焦がれている場面から一転、彼女の過去を知り傷つき表情に影を帯びていく
様は観ていてとても痛々しいです。
そしてレイフ・ファインズ…傷ついて、彼女を憎んだ時もあったろうに、
すべての感情を受け入れて忘れられない人としてハンナに向き合おうとしたときの表情ときたら…
物語はこう締めくくられるべき、という感じがします。
それから音楽。
登場人物たちの心情を代弁するような情緒に満ちた音楽がずっと耳に残っています。
原作本の訳者あとがきにこんな一文を見つけました。
「ジョージ・スタイナーはこの本を二度読むように勧めている。(中略)一読したときにはインパクトの強い事件ばかりが印象に残るが、二読目に初めて登場人物たちの感情の細やかさに目が開かれる、という体験を翻訳者もしている。」
なるほど…。そう言われてみると柊は一読しかしてなかったです。
二読目は“映画”ということになるのかな…。
もう一度、原作本にも向き合いたくなりました。
*「愛を読むひと」公式HPは→
こちら
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