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公開初日の今日、観てきました。シリーズ中もっとも沈鬱で、つらいお話かもしれません…。柊は原作の最終作である「死の秘宝」まで読了し、結末までも知っているわけですが、それでも非常に気持ちが沈んでしまう展開でした。最終作「ハリー・ポッターと死の秘宝」は前後編の二部構成で、それぞれ2010年、2011年の公開が予定されていますがむしろこの「謎のプリンス」とあわせて三部作構成と考えた方がいい位、“序盤”といった雰囲気が色濃いです。長い原作を2時間弱にまとめるのは大変だと思いますが、どのエピソードを採用し削ってほしいかは意見の分かれるところでしょうねー。あの場面もこの場面も観たいなんて言い始めたらきりがないのはわかってるんですけど(笑)脇役とはいえ重要な役どころの人々が少しずつしか登場してこない(できない)のが残念です。ルーピン先生とトンクスのエピソードとか、原作を読んでいる人にはわかっても、映画だけ観ている人には何が何だかわからない…といった具合に場面がすっとんでいくのがやっぱり悲しい…。うーん、この巻で重要なのはドラコ・マルフォイの苦悩とますます怪しさを増すスネイプ先生、ハリー、ハーマイオニー、ロンらの恋模様にクライマックスシーンと言いきってしまえばそれまでなんだけど…ああ、細かなエピソードも全部観たいと思ってしまう柊です。主人公たちの成長っぷりには観るたび驚かされてしまうけど、脇を固める大人の俳優さんたちの演技にもますます惹かれてしまいます。だから今回まったくレイフ・ファインズが姿を見せてくれなかったのが無念ですー。「ハリー・ポッターと死の秘宝」完結編を観るまでは何があろうと死ねないわー。健康と怪我には気をつけなくちゃ、と決意を固める柊です。くうう、2011年なんて待ち切れないわ *「ハリー・ポッターと謎のプリンス」公式HPは→こちら
2009.07.15
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“恩田陸さんらしい作品だなあ~!”というのが第一印象。一章ごとに理由ありげな登場人物が山荘を訪ねてやってきて閉ざされた場所で起きる事件(事故?)に様々な憶測が波紋を呼んで…?視点が変わる妙味と、いろんな仮説が次々繰り出される高揚感は「これが恩田陸さん!」「こんな恩田陸さんが読みたかったっ!」て気持ちを十分に満足させてくれます。物語が中編くらいの長さなので、結末に腑に落ちないものを感じる…なんて消化不良感も今回は感じなかったし(笑)うーん、でもでもちょっと物足りない(読み足りない)感じはあるかなあ…。読む側はいつだってわがままなんだと思います。多分 柊の読書メーターは→こちら
2009.07.12
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手塚治虫原作ということで観に行きました。予告を観たとき、結城と賀来の配役が逆でもストレートな感じがして面白いんじゃないかと思いましたが…。玉木さん、悪役でもいけますね。一見善人そうに見えるから、やることが残酷であればあるほど画面に映えるかも…(なんて)。 *「MW-ムウー」公式HPは→こちら島民虐殺という状況を目の当たりにした二人であっても、望むものは違ったわけですよね。結城は復讐を、賀来は平穏を…つまり人の本性というのは持って生まれたものである可能性が高いのかもしれない、と思わせます。物語の展開を観ていると、たとえ島民虐殺という事件が起きなかったとしても結城は何か別の出来事をきっかけとして殺人者に変貌していたのではないか、なんて思います。それは決して「MW」のせいばかりではない、と思います。柊は原作未読なのですが、是非是非読んでみたい。映画と異なり、原作では結城と賀来の関係は同性愛らしいので。その点は原作どおりに描いてみて欲しかったなあと思います。賀来は結城の凶行を何とか食い止めよう、説得しようと試みるものの結局彼の望むとおりに動いてしまう。そういう一連の行為はやはり「友情」ではなく「愛情」からくるものじゃないかと想像するからです。善悪は簡単に分けられるものじゃない。相反するようでいて、実は表裏一体なのではないか…。映画はなかなか楽しめましたが、結城にも賀来にもどちらにも感情移入しきれなかったところがストーリーとして弱かったかもしれないなあ…なんて思います。だから、原作を読んでみたいです。 最近読み終えた本は二冊。「RDG2 レッドデータガール~はじめてのお化粧」 荻原規子著前回までのあらすじがうろ覚えとなっていましたが、読み始めれば何とかついていくことができました。この続編もまたまた面白くなりそうなところで終ってしまっているので、『RDG3』がいつ読めるのか気になるところです。主人公の泉水子が非常に内向的なためになかなか物語が進んでいかないのか…と思いきや、この二巻目からは新たなキャラクターも登場したことですし、今後は彼らが物語をぐいぐいひっぱっていってくれるんじゃないかと期待しています。あーそれにしても完結まで一気に読みたい感じがします(笑) 「“文学少女”と死にたがりの道化」 野村美月著“文学少女”の文字と、可愛らしい装丁に惹かれて読んでしまいました。文学を愛するが故…とはいえ遠子先輩の悪癖はいかがなものかと読んでいて思いましたが物語は太宰治の「人間失格」に対するオマージュ作品とも捉えられ、なかなか興味深かったです。ジャンルはライトノベルに括られていると思うのですが、この作品をきっかけにして太宰治の作品を「人間失格」をはじめいろいろ読んでみたいと思う人は数多いんじゃないかな。そういう柊自身、「人間失格」は高校時代に一読して気味の悪さだけを残して以来再読したことがなかったので、再挑戦してみたくなりましたし(笑)この本を読んで他に読んでみたくなったのはポール・ギャリコの作品です。そういうわけで、今回角川文庫夏の100冊で購入したのはこの「文学少女と死にたがりの道化」とギャリコの「七つの人形の恋物語」です。「七つの人形の恋物語」には恩田陸さんの推薦文(帯)がついていたのでこれは読んでみないと~と思いました。
2009.07.08
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最近読んだ本、観た映画の感想をまとめて。なかなかじっくり本も読めず、感想も残せず、鬱鬱です。『肉体の悪魔』ラディゲ著 【内容情報】(「BOOK」データベースより)第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マルトの新居でともに過ごすようになる。やがてマルトの妊娠が判明したことから、二人の愛は破滅に向かって進んでいく…。 物語のあらすじはきっとありふれたものですよね…。だけどこの比喩を、表現を、文章を二十歳前の青年が綴ったというのがやっぱり衝撃的です。年上のマルトとの恋に溺れ切っているようなのに、主人公の少年がここまで冷静に自己分析しているところにぞくっとするような恐ろしさを感じてしまいます。著者が二十歳で夭逝したというのが惜しまれてなりません。この「視点」に年齢を重ねていったらどんな表現が生まれていたのかと思うともったいないと思うと同時に、その才能に嫉妬してしまいそうです。『恋文の技術』森見登美彦著 【内容情報】(「BOOK」データベースより)京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ─。 今回もまたまた楽しい森見作品でした。森見さん独特の文章に「手紙」という組み合わせはなかなかぴったりな題材ではないでしょうか!「手紙を書く」というのは相手のことを思いながら書き、相手のことを思いながらポストに投函し、相手のことを思いながら返事を待つことすべてをさす…みたいなことが書かれていて「おお!」と感心してしまいました。脱力系な笑いの中にぽつ、と真理を突くような文章を投げかけてくるあたり…やはり侮れません。風船に手紙を付けて飛ばす、というのに小学生だった頃(中学生?)挑戦したことがあるのですが、(確か学校行事の一環だった)重みで飛ばず、風船がずりずり地面を這うように“それ”を引き摺ってたことがあります。あわてて手紙を外して風船だけ飛ばしたんだけど…ちゃんと飛んでいってくれなくて恥ずかしかったなあ…。そんな辛口な思い出を終盤思い出しながら読みました。 柊の読書メーターは→こちら映画「それでも恋するバルセロナ」スカーレット・ヨハンソン&ぺネロぺ・クルスの顔合わせなら観たい!と思いました。どちらも“自由奔放”なイメージがありますが、この映画では(マリアという役柄も手伝って)ぺネロぺ・クルスの存在感は圧倒的でした。前半ほとんど名前だけの登場で姿すら見えないというのに…驚き。三人の女性を相手にして、柊にはバルビム演じるファンという男性が不実にしか見えないのですが、恋をすればそんなことも気にならなくなってしまうのかしらん?恋とはやはり不可解なものなのですね…。この映画を見ていると、ガウディの建築物をはじめ、スペインのあちこちを散歩してみたくなってしまいます。ああでもなんといってもこの映画の一番の魅力はぺネロぺ・クルスだと思いました *「それでも恋するバルセロナ」公式HPは→こちら
2009.07.03
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秋を待ち切れずに読んでしまいました…(笑)とはいえ一年にわたる放火事件を追う内容なので“秋限定”でなくても○です。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ─。 瓜野くんという新しいキャラクターが主人公?しかも小鳩くんに彼女!?小佐内さんに彼氏!?冒頭からそんな展開で、いったいどうなるのかと思ってましたが…。後半の展開はほろ苦いですね…。内容に触れてしまうのであーだこーだ言えないのがまた苦しかったりするのですが☆ラストの小佐内さんの台詞を聞いて、小鳩くんがどんな表情をしたのかが一番気になっていたりします(笑)「小市民」を目指して高校入学した彼ら。数々の事件や人との関わりを通して、少しずつ自分がどういう人間か、自分はどう人と接していきたいのかを考えるようにもなっていく。“小市民”である側からすれば贅沢な悩みだなあ…と(やっかみ半分)思うこともありますが、卑屈になるわけじゃなく、自分を見つめられる余裕を内に形作っていく様子は読んでいて「あ、大人っぽくなってきたな」なんて感慨深く思いました。卒業まで残り数か月。冬期にはどんなスイーツ&事件が待っているのか待ち遠しいです。 柊の読書メーターは→こちら
2009.06.25
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ひええ…。なんていうかもう、映像の凄さにただただ圧倒されちゃいます。ロボット映画もここまできたか~みたいな。こんな躍動感あふれるロボットなんて観たことない。(厳密にいえばロボット…ではないですが 笑)なんだか頭の中のどこかが麻痺してしまうような感覚を味わいました。この映像に慣れちゃったら生半可なSF映画なんて今後観られなくなってしまいそう…それはそれで怖い。 *「トランスフォーマー リベンジ」公式HPは→こちら前作と同じキャストが揃っているのが何と言っても嬉しいです。特に主人公サムのご両親(笑)ユニークで、コメディの要素を一手に引き受けてる感じですが、後半ほろりときちゃいます。サムの恋人、ミカエラを演じるミーガン・フォックスの青い目は本当に印象的。登場するたび目に惹きつけられてしまった柊です…。それにしてもオートボットたちの映像が凄まじい(とにかく動きが速い!!)のでもっとじっくり観たい!もっといっぱい観たいなんて思ってしまいます。続編が作られる予定があるみたいなので、それもまた楽しみです
2009.06.24
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人は何故山に登るのか。前人未到の山を征服する、競争相手に先んじて頂点に立たねばならない…そういう考え方はいかにも男性的だなあ、なんてちょっと反発心が湧きました。それは柊が登山に対してふだん関心を抱いたことがないからなのかな…うーん。柊は登山に対して「どうしてそこまでして登らなくちゃならないの!?」と常々感じている人間なので、実際に登る経験を積み重ねている人からすれば、何を言う資格もない人間です。それは分かっているつもりです。だけど…。地図を作るため、初登頂に成功するため、陸軍測量部と山岳会は剱岳を目指す。死の山、登ってはならない山として信仰されている場所を命かけて登ることにどんな意味があるだろう…って…なんだかぐるぐる考えてしまいました。…いろいろ考えてしまったのは今現在の剱岳がひどく観光地化されているという話を聞いてしまったからだと思います。山を登るのに便利な軽量化された道具や装備、頑丈な靴を使い誰でも頂上を目指せてしまう。「挑戦したい」という意欲に水を差したいわけじゃないけれど、そこには自然を畏れたり、敬ったりする気持ちもまた軽量化されてるんじゃないかと疑ってしまいます。ゴミを持ち帰らなかったりするマナー違反の人のことです!登頂した、征服したなんて言うけど自然を敬う気持ちが薄れていないかな。「挑戦したい」といえば聞こえはいいけど、山をただの自己啓発の道具と見なしてるんじゃないかな。人間が足を踏み入れてはならない場所、汚してはならない場所がそこにはあるんじゃないのかな。足袋にわらじ、蓑に笠、ものすごい大荷物を背負って地図にない場所、道なき道を行く人々を画面上に観ていたら、ますますそんな思いが募ってしまって困りました。彼らには意義があったかもしれない。だけどそこに道を拓いてしまった…というのはどういう結果を招くことなのか。登らなければならないのか、或いは登ってはならない場所なのか…どれだけ葛藤しても柊にはわかりません。柊には山を登る人の気持ちはわかりません。映画は別にそういうことを言いたい訳じゃないと思いますが、柊はそんなことばかり考えてしまいました。ああだけど、CGを使わなくても、こんなに美しくて迫力のある映像が撮れるんですね…。自然だけは「素」のままで、雄大さが伝わってくるものなんだな…と思いました。撮影するにはものすごい忍耐と努力が必要だったと思います。だからこそ、自然は自然のままにしておいて欲しい…なんて思ってしまうのか。山を登る人はこの映画を観てどう思われるのでしょうか。 *「剱岳 点の記」公式HPは→こちら
2009.06.22
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近頃、読書量減退中…生活の変化?精神的疲労?それともただのスランプか…。そんな中読んだ有川さんの『三匹のおっさん』。ああ、久しぶりに活字が進みました。面白かったです。何より、登場人物たちの活躍に、人情に、元気を分けてもらえたみたい。ありがとう~!って感じです。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)「三匹のおっさん」とは…定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。 自衛隊、或いは「図書館戦争」シリーズから離れて、どんな作品になっているんだろう~と読む前は溶け込めるか不安だったりもしたんですけど。そんな心配全然要らなかったです。有川さんの文章は読みやすい♪このお話もシリーズ化して続いてくれたら嬉しいです 柊の読書メーターは→こちら
2009.06.20
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原作本の『朗読者』(B・シュリンク著)を読んだのはもう随分前のことです。その時もそれなりに感銘を受けた覚えがあるのですが、記憶に残っていたのは中盤以降の展開とハンナという女性が隠していた秘密について、だけだったのでもしかして当時自分はこの小説をまったく読み込めていなかったんじゃないか…という気がしてきました。何故ならこの映画がすごく良かったから。ハンナが終世抱え続けた孤独、マイケルの心の痛み…原作を読んだ時にはそれほど意識を払わなかった(と思う)登場人物たちの心情が、画面を通して溢れんばかりに伝わってきたからです。ハンナが過去に犯した罪が消えるわけでは決してないけれど、それと同様に彼が彼女を愛した気持ちも消えるわけじゃない。「ひと夏の恋が、永遠の愛に変わる」なんて、いつもなら「陳腐だ」の一言でけっ飛ばしたくなるのに、この映画を観ていたら本当にそんな相手に出会える人がこの世にはいるかもしれない、なんて信じてみたくなってる。映画を観ている間ずっと、胸が締め付けられるようなせつなさを味わいました。素晴らしかったのはハンナを演じたケイト・ウィンスレット、マイケルを演じたディヴィッド・クロス、レイフ・ファインズらそれぞれの演技でしょうね…。ハンナの孤独、寂しさ、押し殺してきた過去への心情…物語を求め安らぎを得ようとした気持ち。美しくて、けれど次第に老いていく様といい…ハンナはこういう女性だったのだと体現してくれたケイトの演技は圧倒的です。少年期のマイケルを演じたディヴィッド・クロスも新人とは思えません。初々しくハンナに焦がれている場面から一転、彼女の過去を知り傷つき表情に影を帯びていく様は観ていてとても痛々しいです。そしてレイフ・ファインズ…傷ついて、彼女を憎んだ時もあったろうに、すべての感情を受け入れて忘れられない人としてハンナに向き合おうとしたときの表情ときたら…物語はこう締めくくられるべき、という感じがします。それから音楽。登場人物たちの心情を代弁するような情緒に満ちた音楽がずっと耳に残っています。原作本の訳者あとがきにこんな一文を見つけました。「ジョージ・スタイナーはこの本を二度読むように勧めている。(中略)一読したときにはインパクトの強い事件ばかりが印象に残るが、二読目に初めて登場人物たちの感情の細やかさに目が開かれる、という体験を翻訳者もしている。」なるほど…。そう言われてみると柊は一読しかしてなかったです。二読目は“映画”ということになるのかな…。もう一度、原作本にも向き合いたくなりました。 *「愛を読むひと」公式HPは→こちら
2009.06.19
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こうして比較してみると…前作の「T3」って(言っちゃなんですが)ホントに駄作だったなあ…。最高作は「T2」でこれはもう不動のものなんだろうけど。人気があるからといって、キャラクターだけを動かすような安直な作り方でシリーズものを製作しちゃいけないのね…としみじみ思いました☆ *「ターミネーター4」公式HPは→こちらターミネーターはやっぱりアーノルド・シュワルツネッガーでしょう!って強い思い入れがある分、今作にしてもどうかなあ…って正直思っていました。でもって、彼(T-800)がメインで登場してこないのは確かに寂しいものがあるんだけど。それでもかなりシナリオ頑張ったんじゃないかと思います。映像にしても、何だか「T2」のシーンと重なって見える部分があって、このシリーズに対する製作者の“愛”みたいなものが感じられたように思います。ターミネーター・シリーズの面白さって、「こんな凄まじい機械相手に生身の人間がかなうわけないじゃないかーっ!」って思うのに、それでも人間は最後まで絶対にあきらめないって意志の強さを見せてくれる部分じゃないかなと思ってます。人間と機械の違いは何か…。どんどん人の形に近づいていくマシーンたち。その境目が曖昧になっていく中で、人間って何なのか考えさせられます。戦争のさなか、自暴自棄になって、自分のことしか考えられない人間もいるし「人間」という言葉でひとくくりにしてしまうのも抵抗がないともいえない…。ターミネーター4はこれまでのシリーズとはまた少し別の視点を得たような、違う世界の広がり方を見せてくれたんじゃないかなあと思っています。ラストはちょっと強引にまとめ過ぎた気がしないでもないけれど、ここからまた「1」に戻って観てもいいし、或いは更に世界を広げて「5」に繋げても面白そうだし、何だか次を期待してしまいます…(笑)
2009.06.17
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人間の体は苦痛と、血と肉とで出来てるって延々見せつけられるよう。その内側に「聖性」を宿すか「狂気」を宿すかはその人次第だけど…。ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホン競演という謳い文句にだけ惹かれて観に行くとえらい目にあいそうです。ううう、血に酔った。気持ち悪いよう。PG-12の指定がかかってるけどR-15、18でもいいんじゃないかと柊的には思いました。(実際途中で席を立つ方もいました。「き、気持はわかる…」と思いました。) *「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」公式HPは→こちら映画館を出て、自分の住む日常・現実の世界に戻ってこられてほっとした…なんてそんな思いをしたのは久しぶりじゃないかと思います。多国籍…というのは無国籍のようでもあって、ファンタジーとも狂気の世界とも異なる不思議な世界観がそこにはありました。うーん、やっぱり非現実的な世界なんだけど…狂気という共通項で持って現実と繋がっているような感じ?上手く言えませんが。結局観る側に何を伝えたかったんだろう…よくわからない。後半、キリスト教色が強くなっていきますが、この多国籍な雰囲気に固定の宗教…ってなんか腑に落ちない。ざらざらとした違和感がずっと首筋あたりに残っていて、妙に気持ちを引き摺ってしまってます。シタオという人物が持つ、他人の傷を自分の体に引き受ける力…その設定は乙一さんの短編「傷ーKIDS」を思い出しちゃうなあ…なんて観る前は思ってたんですが、そういった不可思議な能力以上に死体に施される装飾なんかが「黒」乙一作品を彷彿とさせる映像で「うげげ」でありました…。(夢にみてしまいそう)いつか「黒」乙一さんの作品が映像化されることがあれば是非この監督さんにお願いしてはどうかしら…期待以上のものを撮ってくれそうな気がします(爆)あ、話が横に逸れてしまった×××柊の目的は(実は)ジョシュ・ハートネットでした。だけど、主要三人以外の登場人物たちもそれぞれ意味深で印象深かったです。刑事を演じたショーン・ユーとか、リリという女性を演じたトラン・ヌー・イェン・ケーなどなど。細かいところ「何で」「どうして」と問いたくなる部分もいろいろあることはあるんですが、うーん、観終わる頃には「まあいいか」なんて気持ちになってしまいました。
2009.06.11
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はっきり言葉にしない、出来ない想いの方がずっと尾を引くものなのかもしれないですね…。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)帝都に忍び寄る不穏な足音。ルンペン、ブッポウソウ、ドッペルゲンガー…。良家の令嬢・英子の目に、時代はどう映るのか。昭和十一年二月、雪の朝、運命の響きが耳を撃つ─。 ベッキーさんのシリーズもこれで完結編と思うと寂しいです。北村さんの穏やかな語り口、美しい文章が、物語の終わりに一層の愁いを添えていました。これは…このあとの登場人物たちの行く末がどうしたって気になってしまいますね。他の方の感想を読むと「消化不良」なんてご意見もありましたが、そこまで描いてしまうときっと“無粋”なものになってしまうんじゃないかな…とも思います。以下結末に触れてしまうので(白文字)に。英子さんやベッキーさんは身分も資産もあるし、精神面においても打たれ強く真摯に生き抜いていったろう…と想像できます。可哀想なのは若月さん。2.26事件後、生きていたとしても事件に参加した下士官の多くは中国の最前線に送られ戦死したそう。自分が大切にしていた詩集を、恐らくは形見として英子に送った時の気持ちはどんなだったろう。事件の渦中にあって、偶然英子の声を耳にした時の驚きはどんなものだったろう…。ああ、やりきれない。英子さんや、ベッキーさんの視点で見たら、現代はどう映るんだろうな…。あまりにも忙しなく、それでも平和と映るんだろうか。久しぶりに吉本ばななさんの『キッチン』(福武文庫・初版のもの)読み返しました。柊の子供たちが図書館から『はじめての文学 よしもとばなな』を借りてきて読んでてそのなかに「キッチン」が収録されてて懐かしくなったので。「それ、文庫で持ってるよ。「キッチン」には続きがあるよ」と言ったら「読ませて」と催促されました。うーん、まさか子供と『キッチン』を読むことになるとは全然想像していなかった~。久しぶりに読んだら…泣けてきました。刊行当時、親しんで読んだ吉本さんの文章は今でも一つ一つが自分の心に体に細胞に浸み込んでくるようです。すごーくすごーく親しい感触に、言葉の響きに感動しました。疲れたとき、思わず台所に寝転んでしまうのも、ときどき無性に“おいしい”カツ丼やかき揚げ丼が食べたくなるのもみんなこの小説の影響です(笑)持っている文庫はすっかり紙が黄ばんでしまって、「買い換えようか」と思うこともあるけれどうーん、やっぱりこの本がいいです。 柊の読書メーターは→こちら
2009.06.07
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チョン・ジヒョン=アクションというイメージはまったく湧かなかったんだけど、息をつかせぬシーンの連続に「うわー…よく撮ったなあ…」と感嘆してしまいました。日本刀を使ってのアクションなので血飛沫とぶわとぶわ、なのですが残酷~というより蹴りの数々に見惚れてしまった…という印象が強いです。 *「ラスト・ブラッド」公式HPは→こちら原作のアニメは観たことないけど、実写版でこうならさぞ何でもありな展開なんだろうなー。1970年代の東京が舞台だけど、日本語英語が飛び交う異世界めいた設定は何だか不思議な映像を醸し出してます。これだけチョン・ジヒョン演じるサヤが活躍した後に登場するのは不利では…と思えた小雪さん演じるオニゲン。アクション、という点ではチョン・ジヒョンに一歩二歩譲ってしまうのは致し方ないとしても少ない出番ながらすごい印象強かったのでは…と思います。何故ならオニという言葉からは連想つかない程に美しかったから。名前からの連想ではないけれど、「雪女」のような妖しさ、魔的なものを感じてしまいました。オニゲンの台詞に「オニの仲間を殺すことには罪悪感を感じないのか」みたいな台詞がありましたがうーん…確かにそうだよなあ…。人を喰らうオニはとことん“悪”みたいに描かれているけれど、オニにはオニの仁義なるものがあるかもしれないじゃないですか…。オニばかりが人を殺すわけじゃない。人が人を殺めることがあるとすれば、人の内側にもオニの性分があるということじゃないですか。サヤは人とオニとのハーフという設定ですが、身体的な強さのみならず、そういう心の葛藤みたいなものがもっともっと描かれていたら話にも深みが出たんじゃないかと思います。余談ながら…鬼狩りをテーマにしたお話ということで、赤石路代さんが描かれた「アスターリスク」という漫画を思い出しました。
2009.06.03
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人が内側から壊れていく瞬間を目撃してしまった…ような息苦しさ。自分で消化出来ないもどかしさや憤りを他者にぶつけていく、それがエスカレートしていく様は怖くて、痛くて、悔しくて、もうどうしていいかわからない。公開当時(2001年)からずっと観たいと思っていた映画、でも怖くて観られなかった映画です。もし自分が10代の頃にこの映画を観ていたら…共感して呑み込まれていたかな。自分と周囲に翻弄される10代…誰も傷つけず、傷つかずに過ごすことは出来ないのかな…。あの息苦しさから逃れられるなら、心が鈍感になった方がずっとまし…に思えた。物語に救いはないです。だけどこの映画に惹きつけられてしまうのは岩井監督にしかつかまえる事の出来ない感性みたいなものがここに焼きつけられているから。撮影は岩井監督の作品を撮り続けた篠井昇さん。故人になってしまわれたのがすごく惜しまれます。印象に残るのは緑鮮やかな田園風景と窓から降り注ぐ白い光…なんてきれいなんだろう。この美しい風景を直視出来る年齢にいながら、どんどん心を病み、汚していこうとする少年少女たちを観ているといたたまれない気持ちになります。痛い作品だけど…でも観て良かったと思います。 *公式HPは→こちらP・S 岩井俊二監督、新しい作品をそろそろ観たいです~。
2009.05.30
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テレビドラマ版のスター・トレック(物語や登場人物)を知らずに観に行っても楽しめるかな…?と不安でしたが想像していたよりずっと面白かったです!むしろ何の先入観もなかったから単純に楽しめたのかも?「クローバー・フィールド」のJ・J・エイブラムス監督がどんな映像を観せてくれるのかが柊には一番の楽しみでした。 *「スター・トレック」公式HPは→こちら何と言ったらいいんでしょうね…。SFであり、未来ものであり、宇宙を舞台にした物語ではあるんだけれど、他の星に住む住人たちの姿がすごーく地球人に似ていたり、同じ言語を話していたりするところが昔懐かしいレトロな雰囲気を感じるのです。それでいて宇宙船やブラックホール、ワープする瞬間の映像なんかはすごくハイテクだったりするので、その奇妙なアンバランス感覚が心地よい(笑)惜しむらくは悪役の扱い方かな。せっかくエリック・バナが悪役ネロ艦長を演じるのなら、台詞で語らせるだけでなく彼の不幸な境遇にもうちょっと深みを与えてくれても良かったのになあなんて思うのです。悪役に思わず肩入れしたくなっちゃうような魅力があってこそこういう物語って生き生きしてくるものじゃないですか~。物語の焦点はカークとスポックの二人の確執から友情へ…だったからブラしたくなかったのかもしれませんが。宇宙を舞台にした…となると「スター・ウォーズ」シリーズ等の映像とどうしても比較して観てしまうのはいたしかたないですよね…。それにしても不気味な形態をした生き物が登場してくる場面には「さすが上手いな」と思ってしまいました。(笑)家に帰ってから公式HPを見たら、ウィノナ・ライダーが出演していたらしい…。ええ!?全然気付けなかったっ!…そのことに一番ショックを受けていたりして************************本日初日を迎えた映画はこの「スター・トレック」と「ラスト・ブラッド」の二本で、どっちを観ようか迷ったのですが、先にSF大作ものから。「ラスト~」の方はR-15指定がかかっているので体調の良いときに観に行きたいなあと思っています。
2009.05.29
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えーとえーと、このラスト、いったいどう解釈すれば…?で、たみおのしあわせって何。何だったのー!? このキャスト、スタッフの顔合わせならばごくごく“フツー”にコメディが観たかったかなあ、なんて。柊はドラマ「時効警察」好きでしたし(笑)「たみおのしあわせ」というタイトルの割にたみおってすごーく印象薄いですよね。オダギリさん演じてなかったら薄すぎてホント捉えようがないほどに。でもってむしろ主人公?って思える位インパクト放ってたのがたみおのお父さんの伸男で。不思議だ。不思議な映画過ぎる…。映画の本筋とは関係ないけど、先日亡くなられた忌野清志郎さんが出てらして映像の中では元気な姿がずっと残っていくんだなと思ったらちょっとほろりときました。ラストが腑に落ちなかったので、コメンタリーONにして再度観ました。監督&オダギリさん&麻生さんの和気あいあいとした雰囲気が可笑しくて、本編より楽しかったかもしれない…。
2009.05.28
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うー、なんか面白くなりそう!ってとこで終っているなあ…。けれど『極北クレイマー』は地方医療が抱えている問題をわかりやすくあくまでフィクションとして提示してくれているだけ、現実においてはこの問題現在進行中なわけで、この続きは「現実の、医療の行く末をしっかとみてくれ!」ということなのかな、とも感じます。治療の限界と遺族感情って難しいな…。ただ、どちらかに偏った見方だけはしちゃいけないって思います。 シリーズものは立て続けに読まないとやっぱりきつい(笑)特にこのシリーズは時系列もバラバラだし、「この名前は以前何処かで…」といううろ覚えの記憶を抱きつつ読むのは結構ジレンマがあります。記憶鮮明なうちにがががーっと読み進められないとせっかくの面白さが半減してしまうかも。『極北クレイマー』以後の展開は『ジーン・ワルツ』→『医学のたまご』に載ってたと思うのですがそれすら記憶があやふやなのよー手元に本がすべて揃っていれば即気になる部分を読み返せるのですが、図書館から借りて読んでいる身にはそれが出来ません。借りて読んでるので文句は言えませんが(笑)うーんうーん、でもってあの登場人物の背景には『螺鈿迷宮』も関わっているのかな。ああ記憶カムバ~ック!!海堂さんの作品に登場する人物は強烈なキャラクターが多いけれど、今作の中心人物今中医師はそれに比べるとすごく薄味ですね。途中活躍を見せる姫宮さんや、名前だけひょこっと登場する速水医師、清水医師らの方がよほどインパクト残しているかも…。極北市民病院は果たしてどうなっていくのかな。今後の展開が気になります。 柊の読書メーターは→こちら最近観たDVD…「バンテージ・ポイント」 様々な視点を体験出来るのが面白かったです!視るもの、その感じ方によって情報が交錯する感じがリアルだったなあ…。最後までスピード感溢れる展開で惹きつけられました。カーチェイスの迫力は映画館の大画面で体感したかったです!シガニー・ウィーバーの登場が意外に少なくて残念でした☆
2009.05.28
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どの作品も、“怖い”と思わせるものの共通点は自己暗示、思いこみの強さかな…と。こうと思い込んでそれしか見えなくなると、人間視野が狭くなり自分のことしか考えられなくなる。そこに潜む落とし穴や、或いは救いの手が見えないまま破滅していってしまう。不幸な行為に至るまで、じわじわと湧きあがってくる念みたいなものにぞくりとするものを感じます。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)古事記に登場する坂と同名の坂。そこには不気味な言い伝えが…。表題作他、奇妙な味わいに満ちた全12編を収録。 【目次】(「BOOK」データベースより)見知らぬあなた/ささやく鏡/茉莉花/時を重ねて/ハーフ・アンド・ハーフ/双頭の影/家に着くまで/夢の中へ/穴二つ/遠い窓/生まれ変わり/よもつひらさか どの作品も奇妙な味わいがあって好みですが、特に好きなのは表題作の「よもつひらさか」、それから「家に着くまで」「遠い窓」「穴二つ」でしょうか。どれも話のオチの付け方がうまいですよね。「もしかしてこうじゃないか」と予測のつくもの、逆にまったく想像つかないものもちゃんとそこに至るまでの過程を描き切ってくれてるので、すとんと腑に落ちる。今邑さんは短編も上手いんですね。他の著作もどんどん読んでみたくなります~! 柊の読書メーターは→こちら
2009.05.23
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「百万円と苦虫女」蒼井優さんが観たくて借りてきました。 【ストーリー】ひょんなことから前科持ちになってしまった鈴子が、バイトで100万を貯めて実家を出る。いろんな場所を訪れては100万を貯め、次の土地へと旅立つが……。放浪ヒロインの出会いと別れと恋とを、蒼井優主演で描き出す。*「百万円と苦虫女」公式HPは→こちら定住しない。百万円たまったら別の土地に移動する。その潔さ…憧れます。若かりし頃にこの映画を観ていたら、真似してやってみよう!と思ったかもしれません。人と深く関わることから逃げる…みたいで賛同できない人も多いかもしれませんがでも合わない人とはどうしたって合わないし、こじれたものを修復しようとするエネルギーってすごい不毛かも…って後ろ向きかもしれないけど、でもだったらいっそ縁を切って新しい居場所を求めることにエネルギー費やす方が健全では!?…なんて。だけどね…このラストシーンはあんまりにもせつないです。せつなすぎます。現実って意外とこうかも、なんて清々しさも感じられないことはないけどだけどやっぱりせつないよー。「天然コケッコー」「重力ピエロ」に出演されてた岡田将生くんが観たくて借りてきました。 【ストーリー】小中校合わせて6人の生徒しかいない田舎の分校に、東京から都会派のイケメン少年が転校してきた。そんな彼に、そよは密かに心を寄せていくが……。くらもちふさこ原作コミックを山下敦弘監督が映像化した青春ストーリー。 *「天然コケッコー」公式HPは→こちら田舎の学校にやってくるイケメンの転校生…ああ、なんて少女漫画な設定!柊もそのシチュエーションに幾度も期待を抱かされたけれど、現実にそんな転校生がやってきてくれたことは一度もなかった…この設定はやはりフィクションの世界のみに通用しているものなのかしら…。主人公の女の子そよを演じてた夏帆さんがすごく可愛らしかったです。(岡田君が演じてた)大沢君に対する気持ちの繊細さとか、態度の純朴さとかとても素朴で好印象でした。
2009.05.22
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観始めたときは、「うーん…どうかなあ」と思ったんです。だって自分の将来これからってときに彼女が妊娠したので結婚、それからは転落?人生まっしぐら、なんて自分にも彼女にも、生まれてくる子供に対しても何だか失礼な設定じゃないかなーって気がして…。いくらツキをなくしてしまったようだといったって、「結婚しなければ」なんて奥さんに言っていい言葉じゃない。この台詞を聞いた時点で俄然観る方は奥さんの方に肩入れしたくなっちゃうじゃない!だけどここからがザック・エフロン演じる“中身は37歳の高校生”の頑張りどころなのです。「17歳の頃に戻れたら…」どういうわけか、体(外見)が若返り、人生新たに選び直すことも可能になった!のに…心の方はしっかり現実を見据え始める。以前は過去ばかり見ていたのに。あり得ない設定の筈なのに、ザック演じるオドネルの中身がしっかり37歳に見えるとこが可笑しい。同じ高校に通う息子や娘にあれこれ世話を焼き、心配する姿があったかい。ただ一人正体を知り、父親役をかってでてくれた親友ネッドとのやりとりが面白い!この辺はある映画のパロディがかっていてすっごくいいです。柊自身は例えば10代の頃に戻りたいかと問われたら「否」と答えると思います。精神的にしんどかった気がするし、むしろ今より不自由だったと思えるから。この映画を観たら「やっぱり今をしっかり生きなきゃ!今を謳歌しなくちゃ!」て気持ちになります。元気がもらえた気がします。またいつか観てみたいなー。 *「17again」公式HPは→こちら
2009.05.20
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「荒野」桜庭一樹著 【内容情報】(「BOOK」データベースより)恋愛小説家の父をもつ山野内荒野。ようやく恋のしっぽをつかまえた。人がやってきては去っていき、またやってくる鎌倉の家。うつろい行く季節の中で、少女は大人になっていく。 さらさらと読みやすい分、期待した“毒”が感じられなくて拍子抜けしちゃったような。ところどころにある、桜庭さんを感じさせる言葉のセンスにどきっとさせられなかったら途中で読むのをやめてしまったかもしれません。荒野という女の子が魅力的なんだか違うんだかよくわからない。13歳~16歳のごく普通の女の子の感性・・・ああ記憶の彼方(笑)「懐かしい」とも思えず、読み続けるのがしんどかったなあ…。今度桜庭さんを読むときはライトノベル系ではないのを選んでみよう、と思います。内容が恋愛onlyのものは柊には向かない(爆)「夢見る黄金地球儀」海堂尊著 【内容情報】(「BOOK」データベースより) ふるさと創生金で作られた金の地球儀を盗まないか? 久々に顔を見せた非常識な友人の一言が、すべての騒動の始まりだった。『チーム・バチスタの栄光』の俊英が放つ新境地! 医療問題とは全く関わらない海堂さんの小説。こういうのも書かれるんですね…。海堂さんの作品の面白さを支えているものの一つはそのネーミングセンスだと思います。登場人物のあだ名にしても、小道具にしても、妙にはまっていてにんまりしてしまいます。 中盤の展開は予想出来ちゃったものの、そのオチの付け方まとめ方はすっきり爽快で読後感はとても良かったです。「ナイチンゲールの沈黙」にはあまりいい印象が残ってなくて内容がうろ覚えなんですが小夜さんと瑞人くんのその後の様子が伺えてそれも良かったな。主要登場人物に影響を与えたという厚生労働省の人物って…きっとあの人なんだろうな、なんてにんまりさせられる場面も。「チーム・バチスタ…」シリーズを読んでいる方が楽しめる作品ではあります。 柊の読書メーターは→こちら
2009.05.20
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久しぶりに観ました。「ダ・ヴィンチ・コード」。公開当時、教会からの批判がニュースになったり、マグダラのマリアについて特集番組が組まれていたのを懐かしく思い出します。その論説が正しいか否かは横に置いておいて。一般とは異なる考え方、異端とされる考え方…に柊は惹かれるんだなあと改めて思いました。本当かどうかはともかく、もしそれが本当だったら?それからどうなるだろうと想像することにわくわくしてしまう。そこに暗号解きのシチュエーションが加わったなら…ああ、アドレナリン大放出間違いなし(笑)宗教とはなにか、信仰とはなにか。神の名のもとに行われることの多くは“悪”であることが多いような気がするのは何故だろう。信仰することと狂信することの境目は何処に引かれるんだろう。キリスト教信者ではない柊は好きなことを言ってしまえるけれど、信仰している人からすればここで説かれてることはどんな風に受け止められるんだろう…。信仰を持つことは大事なことだ、とよく聞くけれどそれと同等以上に必要なのは寛容さではないかしら…。自分と異なる意見を排除するのではなく、耳を傾け寛容になること。「天使と悪魔」でも科学と信仰について、広場に集まる民衆が論争を繰り広げ暴動の一歩手前に至る場面が描かれているけれど、柊にはどうしてそこまで熱血して相手の意見を排除しようと、否定しようとするのか理解出来ない。「うーん、そういう考えもあるのね。」ってどーしてならないのか。とはいえ。この映画を観た後はルーヴル美術館に行ってみたくてたまらなくなります(笑)
2009.05.17
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原作を読まずに観に行ったことで「ダ・ヴィンチ・コード」より物語を楽しめたような気がします。本を読んでいれば秘密結社や宗教、教会、彫刻…など様々な蘊蓄をもっと楽しめるのでしょうが。それらを詳しく盛り込むには上映時間二時間という制約は厳しいと思うから。(字幕でそれらを追うのは結構大変でした☆せっかくの背景を見逃してしまう~)それを知りたくて原作にも手を伸ばしてしまいそうな気がする…。 *「天使と悪魔」公式HPは→こちら物語も楽しんだけど、何といってもこの映画はロケーションが素晴らしいです。ヴァチカン公国なんて訪れたことがないので、「ああもっとじっくり映してほしい…」と思う場面が満載です。「神を信じるか」といった問いには胡散臭さしか感じられない柊ですが、学問として宗教を学ぶのは面白いだろうなと思います。神の存在、というより神を信じるという人間の強い思いを結集したような建造物の数々に圧倒されてみたい…という気持ちになりました。イタリア、ヴァチカン辺りの教会巡り、してみたいなあ~。(夢のまた夢だ)今夜は「ダ・ヴィンチ・コード」がテレビ放映されるとか。久々に観てしまう気がします(笑) 柊の鑑賞メーターは→こちら
2009.05.15
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分厚い一冊でしたが展開が気になり、一気読みしてしまいました! 【内容情報】(「BOOK」データベースより)父を事故で失った日向家。画家の母と優秀な兄、そして落ちこぼれの弟・優太。二人はあるきっかけで恐るべき出生の秘密を知る…新感覚ホラーミステリー。今邑さんの作品を読むのは初めてでした。著者紹介を見るとホラー作家なのかな…と思って覚悟して読み始めたのですがこの作品は“ホラー”というにはちょっと雰囲気が違うような。あとがきに著者の言葉で「ホラーは現実だけでもう沢山」「せめて虚構の中だけでも明るくしよう」とありましたし、そのせいか読後感はすごく良かったです。兄弟間、そして母子の会話の端々にはユーモアが感じられましたし。出生の秘密が明らかになって、兄弟二人がその呪縛から逃れよう、受けとめようとあがく描写は読み応えがありました。何と言ってもまだ14歳、13歳の二人なのだから…。長い長い悪夢が続いたあとの、その目覚めというか清浄な空気に触れる感じは圧倒的でした。たとえ最終章で綴られるエピローグがなかったとしても、柊は満足したと思います。重い十字架を背負った家族の、兄弟の物語。読みながら先日観た映画「重力ピエロ」を思い出しました。背負っているものは違うけれど、兄弟として家族としてそれを共に背負い、一緒に生きていこうとするところは共通しているかも…と。今邑さんの他の作品も読んでみたくなりました~。 柊の読書メーターは→こちら
2009.05.09
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最近読み終わった本が二冊。「君が降る日」島本理生著 【内容情報】(「BOOK」データベースより)恋人・降一を事故で亡くした志保。彼の母親が営む店を手伝う彼女の前に現れたのは、その事故の原因をつくった五十嵐だった。彼の存在を受け入れられない志保だったが、同じ悲しみを抱える者同士、少しずつ二人の距離が近づいていく…。「君が降る日」他、二編収録。 【目次】(「BOOK」データベースより)君が降る日/冬の動物園/野ばら 表題作は息苦しさを覚えるほどの寂しさに押しつぶされそうになりながら読みました。あとがきにて、「恋人の死というテーマは、私にとってハードルが高く…」とありましたが島本さんの視点や文章は元々切迫した心象風景を綴るのに似合っているのでハードルが高い、なんて風には全然感じられませんでした。けれど、この題材は延々と出口の見えてこないトンネルの中を潜っていくようなものなので読むほうは「重たいなあ…」と思うのも事実。こういう題材を読むと、先に死んじゃった人はずるい、と思ってしまいます。生きて共に時間を過ごしていればもっと喧嘩もしただろうし、傷つけあったりもしただろうに死んじゃったことで思い出がどんどん澄んで、美化されていってしまうのだから。亡くなった人はそんなこと望んでないだろうけどそうなってしまうのだから仕方がない。こういうテーマを読むと柊は「ずるい…ずるい…」と思いながら読んでしまいます。表題作を重さを救ってくれたのは「冬の動物園」と「野ばら」の二編。柊はとくに「冬の動物園」に登場する森谷君の明るさが好きです。彼の明るさはまだ彼がとっても若いことや、未来に前向きな姿勢が土台になっているものだから、これからどう変わっていくのかわからない不安定さも持っているけど精神的にしんどい状態にある人には眩しい位の光、だと思います。久しぶりにDVなどの暴力がテーマに入っていない島本さんの作品集を読んだ気がします。大好きな島本さんの文章を堪能させてもらいました♪「心霊探偵八雲3~闇の先にある光」神永学著 【内容情報】(「BOOK」データベースより)八雲にまた新たな相談が持ち込まれた。なんでも、飛び降り自殺を延々と繰り返す、女性の幽霊が出るという。しぶしぶ調査を引き受ける八雲だったが、そんな八雲の前に“死者の魂が見える”という怪しげな霊媒師が現れる。なんとその男の両目は、燃えさかる炎のように、真っ赤に染まっていた!?敵か味方か、八雲と同じ能力を持つ謎の男の正体、そして事件の真相は!?驚異のハイスピード・スピリチュアル・ミステリー第3弾。文章はとても軽めなのに、今回は扱われている事件が重い…。こういう事件を扱ったものは気分がどんより落ち込んでしまうので出来れば避けたいなあ。こういう事件を引き起こす身勝手な輩は因果応報、幽霊にとりつかれてとり殺されちゃっても全然構わないと思ってしまいます。 柊の読書メーターは→こちら
2009.05.09
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自分の追及する「画」と「世界観」を作り上げるためならば、史実も時代考証も二の次、三の次にしてしまう潔さがすごくいい!と思いました。 *「GOEMON」公式HPは→こちらCGを全面に押し出してくる映像に抵抗を覚える人もいるのでしょうが、柊は意外と平気でした。「CASSHERN」のときよりも抵抗がないというか馴染んだというか。斬新な色使いと、不思議なデザインの数々に魅了されたというか。独特な世界観を持っている人なんだなあ…と想像します…紀里谷監督。配役もとっても魅力的でした。奥田瑛二さん演じられた豊臣秀吉はこれでもかこれでもかというくらい憎たらしい秀吉で。これまでも秀吉像にあまりいいイメージがなかったので、小気味よい位の怪演に思いました。石川五右衛門を演じる江口洋介さんと霧隠才蔵を演じる大沢たかおさんが対峙する場面が映画の一番の見所かな…とにかくどちらも格好良くて中盤以降の見せ場では霧隠才蔵が主役にとってかわってしまった!と思う位に五右衛門をくっちゃっててびっくりしたし。きっと彼は影の主役だったのね。五右衛門の青年時代を演じた田辺季正くんも印象的でした。それから柊は玉山鉄二さんが演じた又八のキャラクターが好きだったんだけど…意外と出番が少なくて残念☆あの不気味な表情が好きだったのに…もっと悪徳役人してほしかったー。いいなあ…男の人は。天下取りだろうと、なんだろうと野望を持って格好良く生きられて。時代物にあってはどんだけ頑張っても女であることは枷になってしまって、突き抜けるような格好良さは体現出来ないもんなー…羨ましいです。
2009.05.08
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ドナ・ジョー・ナポリの本で翻訳されているものはこれですべて読んでしまったことになります。うう、寂しい。この作品は「ジャックと豆の木」のパロディ。でも、パロディという言葉でくくるにはもったいないくらい独立した素晴らしい物語に仕上げられていると思います。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)なぜジャックは狂ったのか?豆に託したジャックの想いとは?崖にぶつかるという奇行をくリ返すジャック。周囲から「クレイジー・ジャック」と呼ばれ、幼なじみのフローラにまで見放される。そんなとき妖精にもらった七色の豆の種。この虹を植えよう―。 ぐっと読み応えが増してくるのは「第七章七年後」あたりから。ジャックの父親への憧憬や初恋の少女フローラへの恋しい思いなど彼自身にもどうにも出来ない苦しさが切々と伝わってきて…一体どうなってしまうのかと。金の卵を産むめんどり、金を取り出せる壺、音楽を奏でる竪琴などの小道具がこんな風に用いられるとは…!もとのお話よりリアリティがあるかも。ドナ・ジョー・ナポリの新作とその翻訳化が待ち遠しいです… 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.30
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今日この二作品をはしごして観たのですが、奇しくもテーマはどちらも「暴力への報復」かな、と。でも、観た後の印象は全く違う感じがしました~。グラン・トリノウォルトを演じたイーストウッド監督の、かすれたような渋い声がまだ耳に残っています。気の置けない友人との悪態を突き合うようなやりとり。アジア系の隣人たちと少しずつ打ち解けていくときの表情の変化。街の不良たちと対峙した時の、相手の動きを封じる静かな迫力。ラストシーンに至るまでに積み重ねられたやりとりの一つ一つがどれだけ説得力に満ちたものだったか…。 *「グラン・トリノ」公式HPは→こちらウォルトが選んだ選択肢は、今の彼にしか下せなかったものだって伝わってきます。もはや血気盛んな若者でもなく、心通わせられる家族はいない。過去の経験から暴力は暴力を呼び、憎しみを断つことが難しいことも知っている。友人となったタオ少年の未来を守るにはどうすればいいか真剣に悩んだ筈。彼の選んだ方法が正しいかどうかはわからない。けれどタオ少年が感じた激しい憤り、報復したいと思う感情を浄化し救ったことは確かなことじゃないか、と思います。ウォルトの偏屈ぶりは実際身近にいたらしんどい…と感じるかもしれません。彼の二人の息子とその孫たちがそう感じて彼を避けていたように。でもこうして映画の画面上で観る彼は偏屈だけど終始ユーモアもあって気安い部分も持っている。血の繋がりを持たない方が、少し距離がある方が交流出来るなんてせつないな…。イーストウッド監督作品にはずれなし。とてもいい映画でした。「いい映画」なんてありきたりな言葉で括りたくない!…そんな映画でした。 重力ピエロこうして映像化されてみると、何て重いテーマを扱った小説だったんだろう…って感じます。伊坂さん独特の軽妙な文章が、過去に起きた事件のやり切れなさを軽減してくれてたんだって思います。事件の重さがが軽くなる…って意味じゃなくて。言葉だけが救ってくれるユーモアがあったっていうか。短いシーンでも、映像として見せられるのは痛みが生々しすぎて、限られた時間の中ではその印象をぬぐいきれない…そんな気がしました。 *「重力ピエロ」公式HPは→こちら映画自体はすごくよくまとめられていたと思います。原作未読の人にもわかりやすいように…と。(逆を言えば原作読んだ人間には「何故黒澤さんが出てこないっ!」とか結末の場面はそこじゃなーい!とか削られた場面を惜しむ気持が沸々と湧いたりして。まあ時間の制約上それは仕方がないのですが。)なにより配役が良かったです。原作を初めて読んだとき、柊は泉水を著者である伊坂さん本人を思い浮かべていたんですが、加瀬さんの何処かのほほんとした印象はそのまま役に重なって見えましたし。岡田君が演じた春役はとても難しかったと思うんだけど、冒頭のシーンで一気に“春”になっちゃいましたし。葛城役の渡部篤郎さんは久し振りに観た気がするんですが、とことん「悪く」見えたし。小日向さんの父親像と、鈴木京香さんの母親像は素敵な存在感を放っていましたしね。性犯罪を扱った小説等において、被害者(女性)の視点から描かれた作品は目にすることも多いけれど、その家族(夫、息子、或いは恋人などの男性)からの視点で描かれたものはそんなになかったんじゃないかと思います。“家族”という言葉のイメージから最もかけ離れたものですよね…きっと。そういう意味でも「重力ピエロ」という作品はとても稀有な作品なのでは、と思います。葛城みたいな考え方を持った人間をリアルに想像するとぞっとします。嫌だなあ…「女の敵」だよ、こんなやつは。でもって、「男の敵」でもあって欲しい…と願います。うーん、しかし「仙台シネマ第一回認定作品」なんですね。(なぜ「アヒルと鴨のコインロッカー」じゃないんだろう?)ははは。こうして観ると仙台市ってとんでもなく犯罪都市みたいですね(爆)オール仙台ロケということで、見覚えのある場所も登場しましたが、青葉城跡近辺の橋とか、定禅寺通りとか“いかにも~”な場所は使われてなかったのがちょっと残念な気もしました。あ、でも七ヶ浜近辺の風景はきれいに撮られていましたね。伊坂幸太郎さんの作品の映画化が続くようで。「フィッシュストーリー」「重力ピエロ」ときて次は「ラッシュライフ」なのだとか。あの黒澤さんを堺雅人さんが演じるときいて「是非観たい!」と思ったのですが、どうも上映館が限られているようで・・・むむ。是非ご近所でも上映してほしいです。
2009.04.28
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ラスト1ページ弱の描写にやられました。胸がしめつけられ、目頭が熱くなりました。ここ何日かテレビや新聞で報道されている事件を頭の片隅に置きつつ読んだので余計にしんどく思えたのか…はわからないけれど。親から子供への虐待。この本はフィクションだけど、現実世界にどれだけ藻屑や、なぎさのような想いを抱える子供たちがいるんだろうかと思うとやり切れなくなりました。登場シーンからして“変なヤツ”の海野藻屑にどんどん惹きこまれていって彼女の放つ言葉が本当だったらいいのにって思い始めて、たとえ嘘でも本当になってくれればいいのにって願い始めてそしたら(冒頭に掲げられている通りの)こんな結末が待っていて。悔しくて悔しくて「何でだよ、ちくしょー!」なんて、取り返しのつかなさに苛立ってしまいました。藻屑の放つ砂糖菓子の弾丸(=嘘)がとても魅力的なんだけどそれでは現実に立ち向かえない…というのがとても苦しい。彼女はまだ13歳の女の子、中学生なのに。当初YA向けに出版されたとかで、彼女等の言葉遣いや一部の血生臭い描写に退いてしまう人もいるかもしれない(柊がそうでした。)けれど、こうして読み切ってみると藻屑やなぎさ、なぎさのお兄さんの友彦、お母さん、担任の先生…みんな光ってる。特別な存在感を放っているように感じます。この桜庭さんの語りは、すごいなあ。柊にとって初桜庭作品でしたけど、他の作品もぜひ読んでみたくなりました。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.27
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学生時代の速水医師そして清水医師の剣道対決は、なかなか読みごたえのある青春小説でした。…なのに一番強く印象に残ってるのはどういうわけか高階先生なんですよね(笑)二人の対決を自分好みに上手く持って行くところが油断ならないというか。剣道の修行、鍛練、そして試合の描写はなかなか迫真でした。剣をメスに言い換えるところなんか…うむむ。そうかも…なんて。時系列的には「ブラックペアン1988」と同時進行なので、続けて読むと良いかも。柊は「ブラックペアン…」随分前に読んだので記憶がうろ覚えでしたけど、田口医師が血を見てぶっ倒れた場面だけは覚えてました(笑) 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.25
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バーン・アフター・リーディング結末に唖然…とする前に中盤の展開に思考停止という感じでしょうか…。 *「バーン・アフター・リーディング」公式HPは→こちらこんだけ豪華な配役を使ってアホなコメディーを!?というような宣伝がなされてますが嘘だー。コメディじゃないぞ、これ。コメディというにはブラック過ぎる展開だぞ。やっぱりコーエン兄弟の作品だ~(=苦手)出演者一同馬鹿っぽいというより狂気の一歩手前という印象。その印象が一番強いのはジョン・マルコヴィッチかな…目がいっちゃってて怖い。ジョージ・クルーニーははまり役という気がするけど、ブラッド・ピットはよくこの役を引き受けたなあ…(いやこんな役だから引き受けたのか)うーん、天晴れ天晴れ。“衝撃の結末”と謳われてますが、この衝撃は柊には「パルプ・フィクション」以来かも。(柊は「パルプ・フィクション」の方は好きですが…☆)スラムドッグ・ミリオネア映画から伝わってくるエネルギーがとんでもない!日本に住んでいたら決して目にすることのないインド社会の底辺。それをこれでもかと見せつけられて。それでも、そんな中でも否応なく子供たちが身につけていく逞しさに惹きつけられて。最後にジャマールが手にする賞金2000万ルピー…日本円にしたら4000万円に相当するらしい。その金額が、この国でどれ程価値を持つものなのか。どうして国中の人々がこの番組に釘付けになって、彼の答え一つ一つに熱狂したか「新しい人生を手にしたい」と夢見る人がどれ程多く存在することか…。だけど、ジャマールがこの番組への出演を希望したのは大金を手にするためじゃなく1番の理由は初恋の相手ラティカに見てもらうため、もう一度出会いたいためで彼のそんな一途さに映画のラストは救われるのかも…。彼が懸命に生きてきた中にクイズの答えがあった…。うーん、自分の人生を振り返ってみたときに、その軌跡の中に自分なりの価値が見出せるようだったらいいなあなんて思いました。アカデミー賞8冠も納得のいい映画でした! *「スラムドッグ・ミリオネア」公式HPは→こちら(追記)クイズ、最後の最後の問題が柊には1番簡単でした…「クイズ・ミリオネア」の原作本といわれる『ぼくと1ルピーの神様』も読んでみたくなりました。
2009.04.24
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書物が存在しない世界…とは“文盲”の世界ではないかしら。情報を得るのは耳から、ラジオからのみだとすれば、やがてそこは読み書きできない人々の集まりになっていかないだろうか…。…とするとあれ?設定自体に齟齬が生じてこないかな。これは深読みし過ぎかな。…なんてことを気にしだしたらこの世界観は存分に楽しめなくなっちゃいます 【内容情報】(「BOOK」データベースより)何人も書物の類を所有してはならない。もしもそれらを隠し持っていることが判明すれば、隠し場所もろともすべてが灰にされる。僕は書物というものがどんな形をしているのかさえ、よく知らない―。旅を続ける英国人少年のクリスは、小さな町で奇怪な事件に遭遇する。町中の家々に赤い十字架のような印が残され、首なし屍体の目撃情報がもたらされるなか、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会うが…。書物が駆逐されてゆく世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。メフィスト賞作家の新境地。 少年検閲官こと、ニノ少年が登場するまでが長く、待ち遠しかったです。それだけ特殊な設定を読み手に伝えることにページを割いたということなんだろうけど。書物が、ミステリが存在しない世界なんてなんて味気ない…と思うのと同時に目の前に実際にミステリの世界が(犯罪の現場が)繰り広げられたらどれだけ残酷で、虚無の世界を見ることになるか、果たしてそれに耐えられるか、みたいな気持にもさせられました。最近は人が死なないミステリ、“日常の謎”といわれる作品が多数出ているけどやっぱりミステリっていったら人の生死に関わる謎解きがメインですよね。“ミステリ好き=殺人事件が好き”みたいな目で見られるとときどきすごく辛い気持ちに陥っちゃいます。「殺人じゃなくて“謎解き”が好きなんだ~。真実が明るみになって、犯罪者がきちんと裁かれるところが魅力なんだ~。」と叫びたくなるんだけどこの気持ちは同じミステリ好きにしか理解してもらえない。ああ、もどかしい。感想から脱線してしまった…。ニノ少年が登場してからは場が急にきりっとしてきていかに「真の名探偵」の登場を自分が待ち望んでいたかが実感できます。あらゆるミステリに通じている彼が、ミステリを検閲する(焚書する)側にいるという設定に皮肉を感じずにはいられない…。クリス少年とニノ少年の交流をもっともっと読みたかったな…。彼らがその後どうなったのかが知りたいけれどそれもまた作者の頭の中だけにあるのかな~。 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.22
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このばかばかしさをもう一度原作を読み返すことで、味わってみたくなりました(笑) *「鴨川ホルモー」公式HPは→こちらそもそも“ホルモー”なる競技が映像化出来ちゃうところがすごい。配役にも妙味があって、栗山千明さんの凡ちゃん…コメディエンヌぶりはすごい。後半の見せ場はド迫力でした…☆ぼけら…と難しいこと考えず楽しみたいときにはぴったりかな。京都の桜、菜の花…葵祭と季節感ある映像も盛り込まれていて京都を訪れてみたくなりました。 柊の鑑賞メーターは→こちらDVDで「キサラギ」も鑑賞しました。 【解説】2月4日、売れないアイドル・如月ミキの一周忌--。ファンサイトで知り合った5人の男が集まった。愛するミキちゃんの追悼会として、思い出話に花を咲かせ、盛り上がるはずが「彼女は自殺じゃない、殺されたんだ」という一言から事態は急変。犯人はこの中に…!?次々と明かされる意外な事実。果たして如月ミキの死の真相は!?室内劇。限られた登場人物…うん、脚本が面白い!次々と真実が明らかになって、びっくりさせられて、最後には「そうだったのか~」と。登場人物五人を演じた人々が皆はじけててすごくいいです。香川照之さんの怪演ぶりはもちろんのこと、小栗旬さんの軟弱ぶりとか、ユースケ・サンタマリアさんのハンドル・ネームとか実に凝ってます。違う配役で舞台化もされているみたいですね。室内劇だし、舞台にも向いているかも。いろんな配役で観てみたいって気持ちに確かになります。
2009.04.20
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読後しばらく放心状態に陥る。こ、これはえらく巧みな叙述トリックというべき?それともアンフェア…?改めて読み返してみれば、確かにあっちこっちに伏線(ヒント)が散りばめられているんだけど、果たしてこの結末にたどり着ける読者がいるのだろーか。結末については賛否両論ありそうですが、凝りに凝った密室トリックをはじめ個性的な探偵たちが織りなす推理の数々、やりとりはかなり密度の濃いもので柊は大満足です城シリーズを三作読んできましたが、今のところこの「アリス・ミラー城殺人事件」が一番好みかもしれません♪惜しげもなく個性的な探偵たちを登場させたかと思えば次々殺していってしまう著者の太っ腹なところに感服します。柊は无多&入瀬、そして観月探偵が好きです。とくに観月探偵のいい性格っぷりは柊のツボといってもいいくらいです。ノベルス版と文庫版では若干記述に変更があるようなので、これから読まれるという方は文庫版の方がお薦めです。(柊はノベルス版で読みましたが、たとえ文庫版の如く記述されたところで真相にはとてもたどり着けなかったことでしょう☆)北山さんの作品も次々読んでしまい、残りも少なくなってきてしまいました。こうなると寂しい…。次、「少年検閲官」読みます。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む―『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって?全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは…。古典名作に挑むミステリ。 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.17
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バラバラな時間、エピソード(しかも何の関係もなさそう)が一点に集約されていく爽快感が伊坂幸太郎さんの小説の持ち味なら、間違いなくこの映画でもそれが味わえます。地球に隕石が衝突するまであと数時間しかない…というトンデモナイ設定。「フィッシュストーリー」という曲がどうやって地球を救うというのだろう??うう、この結末は確かに奇跡だわ~。しかもとんでもなく観る側を幸せに、元気づけてくれるパワーを持ってます。日常の些細な出来事、無意味に感じられることすら、はるか未来にどんな作用を及ぼすかわからない。どんな奇跡に繋がっているかもわからないじゃないかーと考えたら、それだけで胸がドキドキしてくるような気がする。映画中、どのエピソードでも逆鱗が歌う“フィッシュストーリー”が印象深く流れます。耳について離れません。パンク系は苦手ですがこの曲は好きです漠然と力が湧いてきそうで。この曲が、この映画が、観た人を通じて新しい物語や奇跡を生み出すかも。そんな風に思いながら映画館をあとにしました。正義の味方、万歳っ!! *「フィッシュストーリー」公式HPは→こちら しかし、原作確かに読んだ筈なのにあまり記憶に残ってない…。映画とは…きっと違うよね?読み返したくなりました…。 柊の鑑賞メーターは→こちら
2009.04.14
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どの短編も絵都さんらしい視点で日常が切り取られていて好感が持てます。特に語り手の視線が若い年齢の子に向けられた時、或いは自身が10代だった頃のことを振り返った時、言葉にぐっと鮮やかさが増したように柊には感じられました。大人向けに書かれた小説より、YA向けに書かれた絵都さんの小説の方が柊には馴染み深くて、でも決してそればかりが理由ではないと思うんだけど…。登場人物同士で交わされる言葉(セリフ)がとても生き生きしていて好き。自分もそこに参加しているような気分になれたかも。柊が一番好きなのは「ハチの巣退治」、次点は「架空の球を追う」「銀座か、あるいは新宿か」「太陽のうた」「彼らが失ったものと失わなかったもの」あたりかな…。どれも結構印象深かったりします。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微をユーモラスに描きだすとっておきの11篇。 【目次】(「BOOK」データベースより)架空の球を追う/銀座か、あるいは新宿か/チェリーブロッサム/ハチの巣退治/パパイヤと五家宝/夏の森/ドバイ@建設中/あの角を過ぎたところに/二人姉妹/太陽のうた/彼らが失ったものと失わなかったもの
2009.04.13
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先に映画を観てしまったので、結末までのあらすじはわかっていたんだけど省略されてしまったエピソードを楽しむつもりで読みました。 こうして読んでみると…“吸血鬼もの”じゃなく“恋愛もの”だって実感するなあ(笑)映画版がいかに(万人向けに?)“編集”されていたかよくわかる。小説版くらい延々と…二人の照れくさい会話を聞かされ続けたら恋愛ものが苦手な人は(柊も含め)頭が変になっちゃうかもしれない(爆)その点映画版は終盤の最も緊迫感のあるエピソードに重点が置かれていたから“吸血鬼”ものとしても、楽しめたというか…そんな気がします。エドワードに惹かれるベラは、自分も吸血鬼になることを切望していくけどエドワードにとってはそれってどうなのかなあ…。エドワードは彼女が持っている“血の香り”に惹かれているのか、それとも彼女の内面に惹かれているのか…どっちだろ??描写を読んでいる限り前者みたいな気がするんだけど、もしそうならベラが吸血鬼になっちゃったら彼女の魅力が半減することにならないかなあ。なーんてそれは余計な御世話ってものですが。吸血鬼になったベラをエドワードは未来永劫受け入れられるのだろうか。食欲の対象に対して恋愛感情が抱けるかどうか…うーん…謎。エドワードにはその辺で今後、ものすごく葛藤してもらいたいものです☆ 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.11
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「これから赤壁の戦いが始まるぞ!」というところでpart1が終わっていたので続きを観るのが待ち遠しかったです。何と言ってもここからが孔明さんの知略が生きる場面だし(笑) *「レッドクリフpart2」公式HPは→こちら柊はpart1よりも集中して観ることができました。part1よりも剣技など個人個人を際立たせる戦闘場面は少ないかもしれませんが登場人物一人一人に馴染みが湧いた…というか慣れたというか、感情移入しやすかったのかも。とくに後半の炎の場面は圧巻でした。夏場の撮影で暑かった…とインタビューで言ってましたがほんとに熱そうで。魏の曹操にしろ、呉の孫権・周瑜にしろ、結局は孔明の計略通り動かされたのだ…といった描き方はされておらず、それが柊にはちょっぴり不満だったりもするのだけれどジョン・ウー監督にとっての三国志はこういう解釈なのだなあと楽しませてもらいました。長い長い三国志の物語の中で、赤壁の戦いは重要な場面とはいえごくごくちょっとのシーンでしかありません。もっともっと三国志のいろんな場面を垣間見たかった…というのは贅沢な望みかなー。 柊の鑑賞メーターは→こちら
2009.04.10
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吸血鬼もの…ってことで観に行きました。それから「ハリー・ポッター」シリーズに出ていたロバート・パティンソン、「イントゥ・ザ・ワイルド」で印象的だったクリステン・スチュワートが出ていることにも興味が湧いて。 *「トワイライト~初恋~」公式HPは→こちら本当は原作本を読んでから観に行きたかったのですが、今週末からは「レッドクリフpart2」が公開になるし、予定が詰まっちゃう前に…と足を運んでしまいました。本は1の上巻、第六章中間まで読んだところ。映画の冒頭20分相当かなー。ここまででもエピソードの省略のされ方がすごい。(まあ、当り前か) やはり吸血鬼ものというよりは恋愛映画でした。しかもとても初々しく、観ているこっちが照れちゃうような(笑)少女漫画の王道!みたいな感じで、うーん自分が10代だったらハマっただろうか…なんて想像しながら観てました。小説を読んでいると出てくる登場人物が皆美男美女揃いなので、いったいどういうキャストを組むのだと思いましたが、やはり読んで持ってしまったイメージに勝るものはない…(笑)主人公の女の子、ベラを演じたクリステン・スチュワートの容姿はこの物語の雰囲気にも似合っていて好き。小説版のベラはもっと内向的で卑屈な印象も受けるんだけど、映画の進行上あまりうじうじされてると話が進まないので映画版くらいはっきり意思表示してくれるといいと思う☆理想の彼氏像(しかも吸血鬼)を演じたロバート・パティンソンくんについては…こんな歯の浮くような台詞ばかりで大丈夫だったのだろーかとか(爆)吸血鬼から見たら人間は狩るもの=食料といった台詞があったけれど、はたして食料と恋愛関係に陥ることが出来るものだろうか…と真剣に考えてしまった。この物語は人間の側、ベラの視点から描かれているけれど意外と吸血鬼のエドワードの視点から描いてもらった方が柊には興味深いかも。あ、あれだ!おおかみとヤギの友情物語を描いた「あらしのよるに」。あの物語の恋愛バージョンだと思えなくもない…??映画の方は続編が作られるらしいですね。原作を読むときくらい、映画を観に行くときくらい10代の気持ちに戻って楽しもうっと 柊の鑑賞メーターは→こちら
2009.04.06
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先に海堂尊さんの『医学のたまご』を読んでいるかどうかで違った印象を抱きそうですね…。曽根崎理恵さんのとった行動が果たして許されるのかどうか。柊は引っかかりを覚えずにはいられないのですが、先に『医学のたまご』を読んでいたためかあまり“その後”を考えずに済んだような。薫くん誕生秘話、みたいな感じで読めました。妊娠~出産に至るまでの経緯がどれほど奇跡みたいなものか、かつて自分が双子を出産したときのことを思い出すとよくわかります。「無事出産できて当たり前」なんて常識が嘘だってこと。切迫早産で入院したとき、柊同様に切迫流産や、或いは妊娠中毒症や、とにかく無事に赤ちゃんを産むために入院している女性がたくさんいて、それに驚いたことを思い出しました。赤ちゃんを産むってすごい大変なことなんだなあ…と思いました。(それ以上に育てることも大変、とはまた後になってわかるのですが。)不妊治療を受けている人から見たら、双子を妊娠した柊なんていったいどういう風に見えているんだろう…なんていたたまれない気持を抱いたこともありました…。産婦人科医、小児科医の不足、地方医療が抱えている問題などなど、この作品でもたくさん問題提起されていますが、安心して子供を出産し、育てることのできる社会が出来上がって欲しいものです。この作品を読んだら、この作品に登場した清川医師、そして「ジェネラル・ルージュ…」こと速水医師らの若い頃を描いた「ひかりの剣」を続けて読んでみたくなりました!もうすぐ(架空の街)極北市の病院を舞台にした新刊『極北クレイマー』が出版になりますよね。そちらも読まなくっちゃ~。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵―人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。一方、先輩の清川医師は理恵が代理母出産に手を染めたとの噂を聞きつけ、真相を追うが…。 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.05
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銅版、閑日、竃の秋、トビアス、青金石のイメージが綴る、人形と冬眠者と聖フランチェスコの物語。「山尾悠子作品集成」から3年、不世出の幻想小説が再び世に問う書き下ろし連作長篇集。 (内容紹介文より)物語を彩るモチーフの一つ一つがとても美しい雰囲気を醸し出している気がします。三枚の銅版画、冬の間長い眠りにつく冬眠者たちとそれを取り巻く人々、ゴースト…。特に“冬眠者”というモチーフに惹かれます。冬の寒さを知らず、眠っている間病気も老化もせず、春の訪れとともに目覚める人々。なんだか訳もなく美しいじゃないですか~。まるで海外の幻想翻訳小説でも読んでいるような雰囲気です。…が、題材はとても好みなのだけど文章が柊の頭の中にはすんなりと入ってこず。気がつくと同じ箇所を何度もぐるぐる読み返していたりして。ものすごく難解…というわけじゃないのになんでだろ。物語のプロローグにあたる「銅板」そのままに、“絵を読み解く”ような感じがするからかもしれないです。観る人によってどんな解釈も可能だったり、曖昧さも不可解さもそのまま受け入れちゃう寛容さがあったり、引っかかりを覚える部分がそのまま魅力となっていたり。捉えどころがないからこそ追いかけたくなる、そんな魅力を持った本だと思います。 それにしても、山尾悠子さんの本ってなんでこんなにお高いの~!『ラピスラズリ』で2940円、『山尾悠子作品集成』で9240円!一読してみたいけど、購入するにはすごく勇気が必要では。柊の場合、まずは図書館にお願いしようと思います…。『山尾悠子作品集成』 【内容情報】(「BOOK」データベースより)二十年の眠りから目覚める幻の傑作群。“伝説の作家”山尾悠子が残した幻想文学の極北ともいうべき32篇の小説を一巻に集大成。 【目次】(「BOOK」データベースより)夢の棲む街(夢の棲む街/月蝕/ムーンゲイト/堕天使/遠近法/シメールの領地/ファンタジア領)/耶路庭国異聞(耶路庭国異聞/街の人名簿/巨人/触/スターストーン/黒金/童話・支那風小夜曲集/透明族に関するエスキス/私はその男にハンザ街で出会った/遠近法・補遺)/破壊王(パラス・アテネ/火焔円/夜半楽/繭(「饗宴」抄))/掌編集・綴れ織(支那の禽/秋宵/菊/眠れる美女/伝説/月齢/蝉丸/赤い糸/塔/天使論)/ゴーレム 柊の読書メーターは→こちら
2009.04.04
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原作&登場人物について前知識のない柊にはなかなかついていきにくいストーリーでした。 *「ウォッチメン」公式HPは→こちら過去の歴史的事件にウォッチメンたちが関わっていた…と予告で流れていたけれどどう彼らが関与していたのか、その影響がどんなものだったのかがいまいち汲み取れなかったです。しかも何故あのような恰好を???ヒーローもの…にしてはすっきり感がないし、とってもダーク。R指定がかかっているだけあって、思わず目を閉じてしまいたくなる場面もあって柊にはあわなかったかもしれないなあ…。(しかも上映時間が3時間近い)アメリカンコミックらしいといえばとってもらしい世界観。アメリカの影の歴史を暗に批判しているのかといえば、そうとも見えるかな…。米ソ冷戦時代、「いつ戦争が起きてもおかしくない」という不安の中で人々が生活していて今再びそういう鬱鬱とした時代に突入しつつあるのだろうかと重ねてみることも出来たりして「うむむ…」と感じたこともたしか。「誰がウォッチメンを見張るのか?」が宣伝コピー。人間が神の視点に立つことなんて不可能なんだ、所詮ここまで。ということを延々説かれたような気がしました。斬新さを求めて観に行った映画ですが、すっきり感は得られなかったなあ…。 柊の鑑賞メーターは→こちら
2009.04.03
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)1989年、日本。1243年、フランス。1916年、ドイツ―時代と国を超えて繰り返される密室殺人。図書館で胸を貫かれた女性、城から忽然と消えた6人の騎士、戦地で消えた4人の遺体。それらに隠れた、ある男女の恋の運命。不可能犯罪も輪廻転生したのか?切ない思いと仰天トリックが全編彩る本格ミステリ。 前作同様、非現実的な設定(状況)において繰り広げられる大胆過ぎる物理トリックに仰天させられちゃいました。しかも二段、三段構えに展開していくため、物語について行くのが必死でした。(とくに後半)輪廻転生することが基本設定としてあるのですが…「そんな展開あり!?」と思わないでもない(笑)うーん、だけどこういう世界観を臆さず作り上げてしまう著者の発想力には平伏してしまいます。時代のみならず国まで跨がれてしまうとは。どちらかというと「『クロック城』殺人事件」の世界観の方が柊は好みかな…城シリーズの次作である「アリス・ミラー城殺人事件」も積んであるのでそちらも楽しみです。
2009.03.26
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実は観に行く前はそれほど期待をかけていませんでした。予告編で観るトム・クルーズはどうしたってドイツ人には見えないし、ドイツを舞台にした映画なのに英語を話しているし…??でも実際観始めたら場面の一つ一つ、緊迫した空気に惹きつけられて気にならなくなりました。ヒトラーが暗殺されたという歴史は存在しないから、彼らの計画が失敗に終わったことは観る前から周知の事実ではあるのだけれど、「もしこの計画が成功していたらどうなっていたか。」とかずっとずっと考えてしまいました…。そうすれば日本の敗戦の仕方も違っていただろうか、とか。ううーん。計画が失敗に終わってしまった原因は後から思えば多々あげられるけれど、どれもがタイミングだったり、ひとりの人間の保身の考えだったり、どこで流れが入れ替わるかわからない微妙な橋わたりだったのですよね。その後の“ヒトラー自殺”“敗戦”の事実を知っているから、余計に切ないものがこみ上げてくるのかなあ…。ワルキューレ…とは戦いの女神の名前。女神は彼らの計画に成功をもたらしてはくれなかったわけだ。その一方でナチスドイツ、ヒトラーにも幸運を与えはしなかったけれど…。 *「ワルキューレ」公式HPは→こちら
2009.03.25
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(内容紹介)乙一7年ぶりのGOTH書下し短編と写真が織りなす必携ビジュアルブック。山奥にある連続女性殺人事件の死体遺棄現場へ赴いた森野夜。その場で出会い、記念撮影のシャッターを押してくれた男とは?7年ぶりのGOTH新作100枚に加え、カメラマン新津保健秀が撮り下ろすファン必携書!ううう、久々に味わう「GOTH」の世界。殺人犯の思考をトレースする、ぞくぞくするような危うさが健在で嬉しい。(←あぶない)…が、「もっと読みたい、浸りたい」という余韻を引き摺ったまま後半の写真を眺めると…うーん…写真はいらないかも。好みの写真じゃないせいもあるし、作品のイメージを壊されてしまう感じがして嫌だ。なんというか、美しくない。作品に登場する殺人犯が撮影した…というコンセプトなのかまったく関係なしなのかはわからないけれど、どっちにしろ素人っぽさを演出し過ぎてて好きになれない。「GOTH」の世界は黒くても完成された美しいものであってほしい、という一読者の強い思い込みに過ぎないけれど。「GOTH」が映画になったよう。観たい…けどイメージが壊されてしまう、限定されてしまうのは嫌だなあ。複雑な心境です。 *「GOTH」映画公式HPは→こちら 柊の読書メーターは→こちら
2009.03.20
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「ヘンゼルとグレーテル」<童話>を下敷きにしているということで、YA向けに分類されているようだけどこれは“母親”の物語だと思う。こんなにも娘を、子供たちを慈しむ心を描いた物語を他に思いつきません。狂おしいまでの愛情が自身の身を滅ぼすことになっても、どこまでもその思いは昇華されて純粋。最後の一文に胸が締め付けられます。「ヘンゼルとグレーテル」では悪い魔女として描かれた女性を語り手とした物語。視点が変わることで、それまで観ていた世界ががらりと色を変えてみせる様はまるで魔法のよう。魔女がまだ女魔術師だったころ…悪魔を召喚し、病を治癒させる女魔術師だった頃の描写が好き。信仰深く、用心深く、悪魔たちの誘惑を退けていたのに、ふとした油断から魔女に身を落としてしまう場面はあまりに切なく、それ以後も悪魔の命令に背き続け葛藤する様には圧倒されます。長い間孤独な時間を過ごし、自分の身の上、自分の本心を誰に打ち明けることも分け合うこともなかった魔女だけど、最後には彼女の信仰が報いられたと、許されたのだと思いたいです。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)できるだけ遠くの森へ行こう、子どもたちを傷つけてしまわないように…容姿は醜いが、娘を愛する心優しい産婆。いつしか、病気の源である悪魔をあやつって人々の病いを癒す、女魔術師として活躍するようになる。だがある日、狡猾な悪魔の策略にひっかかり、魔女にされてしまう。「人間の子どもを食べろ」という悪魔の命にあらがい、人間が決して足を踏み入れることのない深い森へと逃げこむ魔女。ひとり、悪魔の誘惑とたたかう日々を送っていたが、そこへ、ヘンゼルとグレーテルという愛らしい子どもたちが迷いこんでくる―。なぜ魔女は、暗い森の中にお菓子の家を建て、いともたやすく、グレーテルに殺されてしまったのか?お菓子の家に隠された、美しくも秘密。グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』の魔女を主人公に、その生涯を描いた悲劇。 柊の読書メーターは→こちら
2009.03.17
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ドナ・ジョー・ナポリ版「美女と野獣」です。パロディ…という範疇でくくるにはもったいないほど独自の世界観、完成された世界です。通常、野獣という言葉からイメージするのは“醜さ”かと思うのですがこの物語はペルシャの王子が精霊の呪いによってライオンに姿を変えられるという設定。“醜さ”というよりも本物のライオン、その“野生”に焦点が当てられている気がしました。ライオン→肉食→狩りをしなければならない…。姿をライオンに変えられた王子は自身の信仰と人間性を内に保ち続けるため葛藤するのですがその辺の描写がとてもリアル。人間の視点じゃなくライオンの視点から描かれているからかしら。獲物を狩り、それを生のまま食すことに嫌悪を覚えても生きるためそれを止めることは出来ない…という葛藤。生々しいほどの描写ですが他の命をもらわなければ生きていけないのは人も同じなんですよね。ベルが登場するのは第四章に至ってからなので、それまでが待ち遠しく感じられましたがそれまでの孤独な日々が丹念に描かれていたこそ、ベルとの生活が一層ロマンティックに感じられます。不自由とも思えるライオンの体で、ベルのために館の部屋を整え、庭で薔薇や果樹を育てる献身ぶりは人を想う切なさに溢れてます。途中、王子が人間の心を保つ縁にしたものは人間だったころに母親から贈られた一冊の詩集であり、書物であったことにじん…としたものを感じました。言葉や物語を愛し、想像することの喜びを知っていれば人としての心を失わずに済むのでは…そんな著者の願いが込められているような気がして。ここからは余談ですが。「美女と野獣」の物語ってどうして“野獣”でいた頃の王子の方が魅力的に感じられるんだろう(笑)人間の姿に戻った王子と、ベルは果たしてうまく生活していけるんだろうか??その辺の後日談はないんだろうかとか、ついつい考えてしまう柊です。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)イスラムの掟を破り、精霊の呪いによってライオンの姿に変えられたペルシャの王子オラスミン。獣からも人間からも隔たり、絶望的な孤独感を抱きながら、女性の愛を求め、薔薇の国フランスへ旅立つ―。新解釈の『美女と野獣』。 柊の読書メーターは→こちら
2009.03.16
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「たかが人形、されど人形」というような…。人形の一体一体に愛着が湧くように、短編一篇一篇に著者の思いが込められているなあ…なんて思いました。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。 店主の澪さんは人形自体にはそう詳しくないけれど、のほほんとした憎めない感じの女性だし、人形に詳しい富永くんと師村さんはそれぞれとってもいい味出しているし、彼らのやりとりを読んでいるだけでも面白いのに、そこに人形にまつわる蘊蓄が加わって…。たまさか人形堂が醸し出す雰囲気にずっと浸っていたくなる津原さんの本を読むのは『ブラバン』に続いて二冊目。柊には『ブラバン』はあまり合わなかったので以来敬遠気味でしたが、この『たまさか人形堂物語』は好きなので、他も挑戦してみたくなりました~。 柊の読書メーターは→こちら
2009.03.13
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チーム・バチスタ事件から一年。救急医療にまつわる数々の問題を指摘しつつ緊張感のある物語が展開…!?とはいえ田口医師&白鳥コンビののほほんとしたやりとりは健在でした~☆ *「ジェネラル・ルージュの凱旋」公式HPは→こちらシリーズ中とっても人気の高いキャラクターであろう速水医師を堺雅人さんが演じられるなんてー!それだけでも「観に行かなきゃ」という気にさせられちゃいます。ああ、相変わらず何か含みを持たせた役柄がとっても似合う♪救急車で搬送されてくる患者の受け入れ拒否であるとか、医者不足であるとかちくりちくりと病院が抱えている問題点を指摘する部分も考えさせられます。だから映画はフィクションとわかっていても速水医師の「患者はすべて受け入れる。」との言葉がすごく頼もしく感じられちゃうんですよね。緊急時に備えるというのは大切なことだとわかっていても、予算だとか目先の問題に惑わされて先延ばしにされてしまう…。医療問題って難しそうだからといって、医療に直接関わっている人たちだけに丸投げしていい問題ではないのでしょう。何と言っても、いつか自分の、そして家族や大切な人の命が関わってくるかもしれないんだから。
2009.03.12
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著者初の青春ミステリとのことですが。何これ。すっごく面白いんですけど。笑ってしまうんですけどー!!初野さんといえば『水の時計』『漆黒の王子』など、どちらかといえばこう鬱鬱とした作品のイメージだったんですけど、まさかこんな一面を隠されていたとは!びっくりです。嬉しいです。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)穂村チカ、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」、六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」、演劇部と吹奏学部の即興劇対決「退出ゲーム」など、高校生ならではの謎と解決が冴える、爽やかな青春ミステリの決定版。穂村さんとハルタくんのやりとりがすっごく楽しいし、次から次へ現れる変人じみた登場人物たちの言動もすごくいいです。それでいて「お!」という謎解きまでされちゃうのだから…う、好みです。四つの短編が収録されていますが一番好きなのはやっぱり表題作になっている「退出ゲーム」でしょうか。ぜひぜひ、続編希望しまっす!! 柊の読書メーターは→こちら
2009.03.11
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