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2005.11.25
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 角川書店。1974.1.25 初版
( 日本の民話(12) 文庫版

 明治以降の民話。
 「明治のむかし」「世間話の流行」「戦争の民話」「戦後の民話」に分類されている。
 民話と言っても古い話ばかりとは限らないし、現在でも新しい民話が生まれつつあるわけだ。
 瀬川拓男の解説「現代は民話によって再現できるか」によると、「公害の空の下で」「日本は二十四時間」は創作であって民話ではないという。
 しかし、民話も最初は創作だったわけで、これらの話が民話科していく可能性があるのだ。
 私の知る範囲で言えば、広く知られるようになったからと言って民話化して定着するというわけではない。
 「口裂け女」が、三人姉妹の末娘というように民話の設定に近づいていったことはあったが、民話として定着してはいない。
 「人面犬」というのもあったが、忘れられてしまった。

 なお、「タクシーの怪談」は、料金を踏み倒されたことにして水揚げをごまかす手段として使われていた、というのは目から鱗だった。

「秋田のどぶろく」
 話の中身よりも、「ここらでは冬のしみるとき、石塔が割れるもの、どこの家でもこもをかぶせておいたわけだ。」というのが印象に残った。
 それだけ寒い中で生活しているのだ。どぶろくぐらいつくりたくなるだろう。

「隣組八分」
 戦争中の話。
 「えずなという小さな狐を使って占いを立てたり」とある。
 「えずな」は「飯綱《いずな》」の転で、半七捕物帖「菊人形の昔」に出てくる、「管狐」だ。
 戦争中にもいたのだ。

「まちんと」
 被爆した少女が、もっとトマトを食べたくて「まちんと、まちんと」と言いながら死んでいき、鳥となって、今でも「まちんと、まちんと」と鳴いているという話。
 日本の民話には、人間が異類になる話は極端に少なく、あっても、鳥の鳴き声の由来を語るものが多い。これもその一つ。現代でも、鳥にはなれるようだ。

「たぬきと密航船」
 山形の民話。
 「電池が痛ましい」という表現があり、懐かしくなった。
 私の故郷の福島県でも使われていた。
 電池がかわいそうだ、というのではない。「痛ましい」(発音は「いだましい」)は、「もったいない」「惜しい」という意味。

「アメリカ大使館前」
 アメリカ軍のカンボジア出兵反対でもの話。
 「ニャロメとは、漫画雑誌の猫《ねこ》ちゃんのせりふだが」とあった。
 ああ、そうか。「ニャロメ」も民話の素材化しているのか。今「ニャロメ」って言ってもわからないものなあ。
 「もーれつア太郎」は子供が一人で八百屋を切り盛りして生きていく話だった。
 あのころは、子供だけで自立して生活する話が成立できた。子供は子供の世界で生きていたからだ。
 今では無理なのだろう。


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Last updated  2005.11.25 00:40:56
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