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2006.10.04
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 芥川龍之介の「 羅生門 」に「蟋蟀《きりぎりす》」が出てくる。
 「所々丹塗《にぬり》の剥《は》げた、大きな円柱《まるばしら》に、蟋蟀《きりぎりす》が一匹とまっている。」というところ。
 しばらくすると、「丹塗《にぬり》の柱にとまっていた蟋蟀《きりぎりす》も、もうどこかへ行ってしまった。」と、いなくなってしまう。
 平安時代の話なので、この「蟋蟀」はコオロギのことだという注釈を見たことがある。
 「コオロギ」と「キリギリス」は名前が後に入れ替わったのだそうだ。
 百人一首にある「きりぎりすなくや霜夜の~」というのも、コオロギのことだという。
 コオロギでもキリギリスでも物語全体には影響がないのだが、気になる。
 作者は、「平安時代だからこのキリギリスはコオロギのことだ」ということが、読者の常識であることを期待していたのだろうか。
 「ピノキオ」からの連想で、コオロギである方が、物語にふさわしいような気がする点もある。
 コオロギは良心の象徴としてピノキオに意見する。ディズニーのアニメ「 ピノキオ 」では「ジェミニ」と双子座を意味する名で登場していた。(このことに基づいて「 人造人間キカイダー 」では、不完全な良心回路に「ジェミニ」という名が付けられている)
 「 ピノキオの冒険 」が書かれたのは、1883年。「羅生門」は1915年。
 「羅生門」もまた良心にかかわる物語だ。
 しかし、私にはこの「蟋蟀」は現在「コオロギ」と呼ばれている昆虫ではなく、「キリギリス」と呼ばれているもののような気がしてならないのだ。
 なぜかというと、「柱にとまっていた」からである。
 私の知るコオロギは、草の根元や石の裏など、人目につかないところにいる。
 垂直なところにとまっているのを見た記憶がない。
 それに対して、キリギリスは垂直なところ、例えば障子などにとまっているのをみたことがある。
 生態からすると、キリギリスのような気がするんだがなあ。

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Last updated  2006.10.04 01:20:26
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