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2009.01.23
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カテゴリ: 日本の古典

 いずれも、実際に事件があって、それが祭文などで広く知られ、半ばフィクション化したものを西鶴が小説として再構成したものなのだった。
 「八百屋お七」は知っていたが、「お夏清十郎」も「樽屋おせん」も知らなかった。
 後の二つは、「おさん」の出てくる暦屋の話、最後は、薩摩の「おまん」と源五兵衛。
 「好色」とは言っても濡れ場があるわけではなく、一途な恋愛であったり、浮気の果ての逃避行であったり、全くの偶然が生んだ悲劇であったりする。
 驚いたことに、物語の中に矛盾が多く、やっつけ仕事のような印象さえ受ける。
 読み手は皆、大筋は知っているので、細かいことは気にせず、絵と文だけを楽しんでいたのだろうか。

 各巻ごとに、原文、訳文、注、鑑賞の順に並んでいて、原文はとばし読み。
 訳はわかりやすく、「ここが機会《チャンス》だと」(p129)「ダイビングの上手な者」(p258)などという砕けた口調もある。

1984年第1刷ということで、その当時の江戸研究では常識となっていたのかもしれないが、
男にのみ離婚請求権のあった封建体制の中で(p184)

というのは、今日では誤りと言われるのではないか。
 三行半についての評価は、今日では違っていて、結婚する時点であらかじめ三行半をもらっておく女性もいた。
 あるいは、西鶴の時代はまだ男優先だったのだろうか。

 原文と訳文だけならたいした分量にはならないのだが、注や鑑賞での考証や諸説の紹介が詳細でやや厚めの本になっている。
 ただ「こういう説がある」というだけではなく、誰の説であるかを明示し、また、自分の説も、以前の考えを訂正していたりして、専門家向け。
 この本が書かれた時点での、「好色五人女」研究の総覧にもなっている。

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Last updated  2009.01.24 14:45:56
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