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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第1000夜『良寛全集』良寛 神南備に 淡雪つむる 千夜かな 雪破 すれすれの 千夜満月 ほたほたり 雪破 雪まぜに 迷悟の跡の 無常かな 雪破 ◆<『それは、良寛。』>『雪』にはじまり「淡雪」「沫雪」に終わった千夜千冊。松岡さん、ほんとうにお疲れさまでした。雪派の雪破としては、もう、申し分ございません。『「せつない」とは古語では、人や物を大切に思うということ………切実を引き受けずして、いったい何が編集であろうか。』は染みました。七夕の「彦星さん」からのバトンを受けて、下手な俳句での伴走、申し訳ございませんでした。ゴールした途端、七夕の夜にもかかわらず三千大世界に淡雪が降り積もっていました。柔らかく静かに真っ白に包まれていくようです。もし機会がありますなら、夜明けの野に淡雪の降る景色をストーブを囲みながらご一緒したいと思います。今夜が明けると、雪が消えていないことを祈るばかりです。でも無常迅速ならば「それもまたよし」かもしれません。そして、新たな「千夜」が始まる…。 風車 かざして千夜 玄月翁 雪破 雪破 拝 さぁ~、終わった。「精進落し」だ。飲みに行くぞ!◆編集学校「別院」より楽天日記まで、300夜近くを伴走しました。風車をもって走り続けられた松岡さんの周りでワアワアと下手な俳句で足を引っ張りました。見に来ていただいた方々には、本当に感謝いたします。掉尾をかざる「お楽しみ一夜」には、もうつけません。ゆっくりと味わいたいと考えます。伴走を許していただいた松岡さんと、ご笑覧いただいたみなさまに感謝いたします。ありがとうございました。2004.07.08 荒木基次 (熱帯夜の北堀江にて)
2004年07月08日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0980夜『グレン・グールド著作集』グレン・グールド 向こうから 音降り注ぐ 滝音符 雪破 指先に 編集込めて 月を弾く 雪破 白と黒 情に棹さす 流れあり 雪破◆レコードの時代、うなり声が録音されていると驚いた。CDになって、もっとクリアーに演奏者のうなり声が入っていると、得した気分になった。ケルンコンサートのキース・ジャレット、ビーバップのバド・パウエル。ジャズバーのカウンターなどで、背後からうなり声が忍び寄ってくると思わず振り返ったりした。仕事のBGMで聞いていても、ときどきはっとすることがある。人の声はそれほどまでに「気」を惹きつける。なりわいとするデザインのビジュアルで、そんな「うなり声」を紛れ込ませたいのだが、いまの世間では仕事として認めてもらえない。でも、いつか潜り込ませようと日々狙ってはいる。 雪破 拝
2004年07月07日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0999夜『オデュッセイアー』ホメーロス 旅の涯 歩みを止める 夏の海 雪破 英雄の 旅の涯なる 入道雲 雪破 円環す 旅は巡りて 草茂る 雪破 ◆『ユリシーズ』は中学生の時に読んだ。新潮社の黄色い函の世界文学全集みたいなので読んだ。8歳上の姉の蔵書だった。定価は300円前後だったと思う。そのおかげでヨーロッパ文学は中学生のときにほとんど読んだ。高校・大学ではサリンジャーにはまって、以来、アメリカへ向いてしまった。テレビも映画もアメリカだった。広告・雑誌文化も大きい。安保反対とアメリカの電化製品や車の文化、若者の文化がなだれ込んできた。大学卒業時と社会人4年目の2度、アメリカを旅行し、生活もした。アメリカを離れ、ヨーロッパを巡り、ソ連経由で日本に戻ってきた。以来、仕事に明け暮れ、一段落したときに松岡さんの未詳倶楽部で「おもかげとうつろい」の日本文化に目を開かされた。『遊行の博物学』『花鳥風月の科学』『日本数寄』『日本流』、数々の日本文化連打で、しっかり日本文化づいてしまった。そして気がつけば上方文化にどっぷりだ。歳とともに自分が生まれ育った文化に回帰する。それでいいと思いながら、もっと早く気がつけばとの思いも募る。旅も人生も「時間」が大事なのだと思う。 雪破 拝
2004年07月06日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0979夜『対称性人類学』中沢新一 物語る 思想の奥底 真夏夜に 雪破 対称の 翼きらめき 燕来る 雪破 無意識の マトリックス描く 滝しぶき 雪破◆前にも書いたが伊勢の猿田彦神社の仕事をさせていただいている。「猿田彦大神フォーラム」という研究会があって、研究助成なども行っている。秋には「おひらきまつり」という秋祭りがあり、細野晴臣さんと環太平洋モンゴロイドユニットが奉納演奏を行う。(今年は10月の2日土曜日と3日の日曜日に行われる。)あと1冊、七夕で千夜千冊の伴走も終わる。夏はしばらく休んで、この秋はゆっくり神様の前で自分がおかれている場の対称性をじっくりと考えてみたい。そしてもう一度「精霊の王」を読み直して、日本の文化史をひっぺがえそうと思う。不景気で仕事のないわりにはのんきなことを言っているようだが、名前の通りセッパ詰まっておるのです。だから、しっかりと「まっすぐな道でさみしい」ことを噛みしめないと前にいけない。歩かない日はさみしい飲まない日はさみしい作らない日はさみしいひとりでゐることはさみしいけれどひとりで歩き、ひとりで飲み、ひとりで作ってゐることはさみしくない。(山頭火行乞記)さて、第720数夜から始まった私の伴走も、あと3冊だ。「あなたを待ってゐる 火のように燃える」山頭火 だ。 雪破 拝
2004年07月05日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0998夜『南総里見八犬伝』滝沢馬琴 鬼灯を 珠集めして 八犬伝 雪破 朱の房を 銜える犬に 弓張月 雪破 刷り重ね 姫の黒髪 艶の墨 雪破 ◆「おぉ、名作登場!」というよりも、個人的には「懐かしき」少年の頃へ引き戻されるほうが強い。小学生のころ東映映画で「里見八犬伝」が人気だった。中村(萬屋)錦之助や東千代之介など往年のスターが美少年で出演していた。同級生たちは、みんな登場人物になった気持ちでチャンバラごっこで遊んでいた。そのころ、子供心にも「仁義礼智…」の意味をおぼろげながら理解していたのです。いまのアートディレクターという職業を選んだのも、その頃の思いが続いているのかもしれない。さまざまな才能と個性が集まって「プロジェクト」が動く、途中困難にあうが、みんなの個性的な活躍で切り抜け、目的を達成する。息子が生まれて「ドラゴンボールZ」に夢中になっていたときも、下敷きは八犬伝かとも思ったし、「真田十勇士」も「七人の侍」も「荒野の七人」も、我が映画ベストワンにかがやく「大脱走」もみんなそうだ。個性的なメンバーをもったチームほど強いものはない。ポジションが大事なスポーツが好きなのもそこから来ているのかもしれない。(ウィンブルドンのシャラポワも魅力的だったのですがね。これは、もうオジサンの域か…。) 雪破 拝
2004年07月04日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0978夜『ライト自伝』フランク・ロイド・ライト 心地よき 倫理の“聖堂” 影涼し 雪破 風渡る 婀娜な住まいの 鉄線花 雪破 現れよ 明治の人や 朝顔に 雪破◆前夜の「未詳倶楽部」で犬山の明治村に行った。そこで帝国ホテルの移築された建物に入った。エキゾチックだったが「明治の香り」がした。柱の影の椅子に座って静かに目をつぶっていると周囲の音が気持ちの良い佇まいで包んでくれた。ふと気がついて目をあけると光が一条、レンブラント光線のように差し込んでいた。いい建築は五感を刺激してくれる。 雪破 拝
2004年07月03日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0977夜『砕け散るものの平和』アンリ・ミショー 砕け散る 星々胸に 現存す 雪破 磨かれて フェティシズム薫る 夏の美女 雪破 幻惑の 虎の一跳び 銀河超ゆ 雪破◆未詳倶楽部のメンバーなのだがアンリ・ミショーは読んだことが無い。マリファナより強い煙草は吸うが、メスカリンもLSDも体験したことは無い。これでもクリエーターの端くれだから、行き詰まったときにテンションを上げるのに苦労する。音楽をかけたり、コーヒーをがぶ飲みしたり、部屋を歩き回ったり、色々と苦労する。色々なものに頼りながら物を創らなければならないほど人間は弱い。頼ったものに潰されていった人も星の数ほどいるようにアーティストは弱い。人生も創造も「未詳」だから面白い。J・C・リリー博士が言うように「予期せぬ明日に期待して」だ。 雪破 拝
2004年07月02日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0997夜『水戸イデオロギー』ヴィクター・コシュマン 夏草に 錆ゆく戦車 モニターに 雪破 往きゆきて 斃れてのち已む 牡蟷螂 雪破 梅雨明けて 大義名分 水ようかん 雪破 ◆そういう奥があったのかという話が続く。さてあと3冊はどんな深奥が繰りだされるのだろう。シカゴ学派で感じるのだが、アメリカの色々な都市の中でもシカゴは日本人の感覚にあう。もっといえば大阪人にとってすんなり溶け込める。商業都市(アメリカのスーパーマーケット)、風が強い(ウィンディ・シテイ)、暴力団がしっかりしていた(ギャング・シティ)、ナドナド。そして街の佇まいも似ている。街の真ん中に川が流れ、中ノ島に市役所など中枢部が集まっている。ダウンタウンはきたなくて人はきさく。東北部に高級住宅地があり、西南部にスラムがある。アイリッシュやイタリアンなどマイノリティの移民達が街を支えている。環状線の高架が街をぐるっと取り巻いている。近代名建築の宝庫であり、大火もあった。1年近く住んでいた、アメリカでの故郷だ。 雪破 拝
2004年07月01日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0976夜『病める舞姫』土方巽 舞踏する 夏虫消えて デスマスク 雪破 粉雪に 真白き田んぼ デスマスク 雪破 得たい知らず 魂魄去って デスマスク 雪破◆今日は事務所のデザイナーの歓送会で飲んできた。「病める」ではなく「辞める」だ。頭はもうろうだが、日記をつけることにする。肉体で仕事をしている人の辛いところは、自分が行かなくては仕事にならないことだ。熱が出ようが、風邪で寒気がしようが、その人が行かないと成立しない。若いころ土方巽は「日本の闇」を体現しているようで、近づけなかった。写真集やポスターでおそるおそる見ていただけだった。社会人になって、自分が行かないと仕事にならないことを知ってから、肉体で仕事をする人たちへの見方が変った。現場の神聖さも嫌というほど味わった。一瞬で消える舞踏や音楽家の仕事の神聖さを知ったとき、行きつ戻りつしながら仕事を仕上げることの出来るデザインが楽に思えた。しかし撮影現場は一瞬だ。だから私はいつも現場に立ちあう。 雪破 拝
2004年06月30日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0996夜『伝習録』王陽明 人の世の 心を知るや 炎天下 雪破 息継いで 真理を知るや 木の間陰 雪破 夜も更けて 良知を知るや 虫の声 雪破 ◆事務所が移転(階が変っただけだが)したので、上方文化評論家の福井栄一氏が遊びに来た。大阪の不景気と没落具合を二人して愚痴っていたのだが「底まで打って、本当に大阪の本道を学び直そうとする大阪人が出てきてもいいのにね。」という結論になった。事務所から50m南には「心学明誠舎」跡碑がある。100円パーキングの隅にひっそりと立っている。いま大阪では「空き地はコインパーキングだし、若者は明日のお金さえ入ればいいフリーターだし、企業は単年度決算で先行投資はしない」。みんな足先ばかりに目がいっている。大阪のいい面を「伝えて習はざるか」がない。松岡さんに上方伝法塾で習ったことを眠らせているので心苦しいのだが、「風呂屋の釜」ばっかりが多い大阪では「知行合一」は、いまのところデッドストックだ。千夜千冊も大団円だし、秋からはコツコツと知行合一の道を、視線を上げて歩みだしたい。 雪破 拝
2004年06月29日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0975夜『東京セブンローズ』井上ひさし 逢ひびきを かわるがわるの 十六夜に 雪破 月巡り かわるがわるの 言葉食む 雪破 薔薇七つ かわるがわるの ガリ版に 雪破◆戦争は知らない。でも、『東京セブンローズ』出てくる雰囲気はなんとなく感じてそだった。オート三輪やガリ版刷りやらだ。中学生の時にクラスで作った詩集はガリ版刷りだった。鉄筆でガリガリと蝋引きの紙に字を彫り込んでいった。タイトルは『榾火(ほたび)』だった。木偏に骨というように、細く白く乾いた枯れ枝で作るたき火のことだ。山の好きな担任教師に教えてもらった。それから「登山」にのめり込んだ。火は戦争の業火にもなり、心を癒すたき火にもなる。言葉もその二面性をもっているのだろうか。 雪破 拝
2004年06月28日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0974夜『近松浄瑠璃集』近松門左衛門 景清の ウレイまといし 草いきれ 雪破 メイル来ず 女の愛想か 熱帯夜 雪破 恋つのる 橋も水にと 水無月に 雪破◆大阪人だから文楽は学校から連れていかれた。その後、1回ぐらいは家族と行ったような気がするが、それっきりだった。今は無き「朝日座」の小さな小屋の雰囲気で「これが文楽か。何、言うてるのか全然わからへん」で終わっていた。上方伝法塾で松岡さんの「…浄瑠璃は大阪弁なのですね!」にがつんと脳天を叩かれたような気がして、国立文楽劇場へ通うようになった。集中して聞いていると義太夫もおもしろい。太棹三味線との間合いが分かってくると、ノッテもくるし、うるっとくる。玉男や蓑助のうまさや玉女の頑張りなどが人形の個性となって見えてくると、どんどん深みにはまっていった。住太夫の艶のある語りは時間を忘れさせてくれるし、野澤錦糸、鶴澤清治らのベテランと鶴澤清志郎らの若手の饗宴はジャズやロックギタリストのそれと変らない。「俳句の芭蕉、浄瑠璃の近松。新たに前人未踏に入った者のみに添う輝きというものだ」と松岡さんは書く。「編集工学」も前人未踏の世界へ松岡さんは足を踏み入れ、いま、『千夜千冊』という前人未到の偉業も目前だ。「編集」に繋がるものとして、また日本芸能の最高峰に挑む意味にもおいて、もっと文楽を見ようと思う。でないと、このままでは大阪は「あんぢゃう」いかない。気はあせるのだが…。 雪破 拝
2004年06月27日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0995夜『過程と実在』アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド 街写す 経験のパルス 通り雨 雪破 織りなして 過程が彩る 街暮れる 雪破 閃光が 人生見せる 人の秋 雪破 ◆そうか、編集学校の汁講は『抱握』だったのか。どうりで話しだすと別れがたいわけだ。仕事仲間にも、隣のおばちゃんともそうなれたらいうことはない。ああ、あと5冊か! 雪破 拝
2004年06月26日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0972夜『ポオ全集』エドガー・アラン・ポオ 石畳 濡れて光るや 月女神 雪破 石畳 ジキルとハイドの 影ひとつ 雪破 石畳 足音消えて 月天心 雪破◆少年文庫のようなものでたくさん読んだ記憶はあるのだが、大人になってからポオは読んでいない。江戸川乱歩は少年探偵団を少年時代に読まず、大人になってから横尾忠則装幀の「江戸川乱歩全集」で読んだ。少年探偵団は読むよりも、映画やTV、漫画で楽しんでいたような気がする。千夜千冊の「書の森」のさまざまな著作は楽しんだ時代と色々な楽しみ方を思い出させてくれる。 雪破 拝 -------------------------☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0973夜『駱駝祥子』老舎 車夫駆ける 席には老婆 煙草喫む 雪破 車夫が引く わだちは雨に 煙りたる 雪破 車夫休む 煙草の一服 青空へ 雪破◆北京に行ったときにタクシーがほとんど日本のダイハツ製だった。天津に大きな工場があるとのことだった。車体は違ってもエンジンはダイハツ製だと言い張る運転手もいた。なんでも中国では、事業の初めての交渉には「絶対」に社長が出席しなければならないそうで、T自動車も大手広告代理店のD社も海外担当重役が出て、ン十年進出が遅れたとの噂だった。「鶏頭となるも牛後となるなかれ」らしい。蚊の頭ほどの社長である私も胸を張って中国へいったのだが、結局、出版計画の仕事はうまくいかなかった。 雪破 拝
2004年06月25日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0994夜『ライプニッツ著作集』ウィルヘルム・ライプニッツ 星々を 綴れ織りたる アルジェブラ 雪破 月煌々 記号の森へ マテマティカ 雪破 花と蝶 コンビナトリアの 恋宇宙 雪破 ◆前にも書いた“悪友”佐々木光クンがある日電話をかけてきた。光「杉浦康平さんの装幀でライプニッツ全集が出るけど、買わへん?」雪「ライプニッツって数学やん。買うても読めへんやん。」光「1冊1万円。カッコええでぇ。」雪「まぁ、杉浦デザインの参考書として1冊だけやったら…」光「ほな、購読やな。来月から送るわ。ほなな。」それから、3ヶ月後ぐらいに工作舎から分厚い本が送られてきた。図像渦巻く杉浦デザインを期待していた私には、案外、押さえたデザインやなぁと思いながら「眺める」だけだった。そして忘れたころに1万円余の請求書とともに分厚い本が丁寧に梱包されて1冊、また1冊と届いた。会社の経理には「いつまで続くんですか?」といわれながら、結局、すべて購読した。オフホワイトの紙の地にマットな墨が映え、矩形だけのシンプルなデザインのあしらいが、長く見ていても飽きない。いま、事務所には席の後ろの本棚に静かに10冊と付録が並んでいる。こんな装幀が出来るようになったら、引退してじっくり中身を読み進みたい。でも、出来ないからバタバタ貧乏で引退どころか借金を返すのに必死だ。 雪破 拝
2004年06月24日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0993夜『玄語』三浦梅園 雨脚に 反観合一 眺め居り 雪破 内包と 外延極め 銀河立つ 雪破 気と物が フラクタルなり 陶の肌 雪破 ◆上方の天才学者富永仲基を知ったのは、ひょんなことからだった。自分の名前と同じ一字が名前にはいっていて興味をもち、その天才ぶりに驚嘆し、北摂の池田に養子にいった弟の蘭皐(らんこう)の姓が、また荒木だったせいでもある。(その時、池田銀行の仕事をしていたりした。)で、松岡さんに教えられて内藤湖南に戻り、三浦梅園に到達するのはもうすこし先だと思っていた。ところが「今夜」を読んで、矢もたてもたまらず、日本の名著『三浦梅園』にあたった。いやぁ、もっと早くしっかり読んでおくべきだった。「半端」をもっと早くくっつけておくべきでした。反省。梅園の2年後、1715年生まれの仲基は一説によれば15歳で初著作『説蔽(せつへい)』を著し、23歳で『翁の文』、29歳で『出定後語(しゅつじょうこうご)』を出版。そして31歳で世を去った。加藤周一さんの『富永仲基異聞』では、曽根崎新地の女と深い仲になって「お前と居れば一夜がおれの百年だ」なんていいながら色街で思想していた。67歳でなくなった梅園と若死にした仲基が、もし後年議論していたら、どんな日本の哲学が開花したのだろう。タイムマシンがあれば、その時代の大坂にぜひとも行ってみたい。新地も新町も「徘徊」はしているのだが…。また、小野十三郎(とおさぶろう)は、文楽や船場・道頓堀に代表される典型的な大阪に対し、全く新しい観点から「大阪」を歌った。<大阪の異端者>とか<アナーキー詩人>とか言われたのだが、生まれたのは、どっぷり大阪情緒の南地(ミナミ)なのだ。葦の原の大阪を大正期の近代『大大阪』で硬質に歌い上げた彼も、いまの大阪のジリ貧・不景気をみたらどんな詩を詠むのだろう。考えても考えても、先の闇は広がるばかりだ。◆玄語(抄・現代語訳)わたしは少年のころから、触れるものがすべて疑問に思えた。説明してくれるひとの言葉はうるさく耳に聞こえてきたが、わたしには寝言のようにわかりにくかった。「天冊」の天とは性であり、溌剌として活動するものである。「地冊」の地とは体であり、混然として定立するものである。 雪破 拝
2004年06月23日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0970夜『ヴィルヘルム・マイスター』ヨハン。ヴォルフガング・ゲーテ 夏の日の 働き終えて 無常の夜 雪破 職人の 背なのあきらめ 百日紅 雪破 無常来る 一日の終わり 合歓の花 雪破◆松岡さんにご登場いただいて色の文化誌を作ってきた。いま、予算の見直しとかで止まっている。15年を越えて色の文化を探ってきた。もちろんゲーテの『色彩論』もつねに参考にしてきた。臨終の言葉の「もっと光を!」もそうなのだが、色彩は光がないと見えない。いや、光で見える色のことを我々は「色」と呼んできた。色の文化誌のタイトルは日本ペイントの『可視光』という。ご興味のある方は以下をお訪ねください。http://www.nippe.co.jp/index2.html---------------------------☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0971夜『火の鳥』手塚治虫 不死鳥が 星空に舞う 名人芸 雪破 火の鳥の 名人偲ぶ 星月夜 雪破 輪廻する 火の鳥書架の 宵闇に 雪破◆伊勢の猿田彦神社の仕事を、もうかれこれ6、7年させていただいている。道開きの神様のおまつりは「おひらきまつり」といい、毎年、秋に行われる。鎌田東二氏が座長の「猿田彦大神フォーラム」も同時に展開されていて、猿田彦や天鈿女命の研究に対し、助成をされている。お祭りには細野晴臣さんや三上敏視さんらの「環太平洋モンゴロイドユニット」の奉納演奏などが行われる。今年は10月2日(土)と3日(日)に行われる。ご興味の在る方は下記をお訪ねください。http://www2.convention.jp/sarutahiko/topics.htmおもしろい活動がこんなに長く続いているのも、猿田彦神社の宇治土公(うじとこ)宮司のおかげであることは間違いないのだが、宮司は神官を継がれる前は「漫画家」になりたかったというところも原因であると考える。自分のご先祖が名作に登場するなんてうらやましいかぎりだ。 雪破 拝
2004年06月22日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0992夜『本居宣長』小林秀雄 無私思ふ 自己は夏の夜 恋狂ひ 雪破 炎天に 無意識装ふ 男の子あり 雪破 夏の夜に 知情のさかひ しどけなく 雪破 ◆上方贔屓なので、上田秋成と本居宣長の論争を題材にした『雨月の人』(篠田達明)という本を読んだせいか、私にとって宣長の印象は非常に悪い。文中では「宣長はん、人生は理論や学問やない」と蟹法師秋成が叫ぶ。(秋成は優男の宣長と違って醜男だったらしい。)秋成は執拗に憎み続け、『胆大小心録』の中には「また、この古言を強いて説く人あり。門人を教えの子と云うて、ひろく来るを集められし人あり。やはりこの人も私の意多かりしなり。伊勢の国の人なり。古事記を宗として、太古を説くとせられしとぞ。翁口あしくて、『ひがごと(嘘)をいうてなりとも弟子ほしや 古事記(乞食)伝兵衛と人はいうとも』」と痛罵する。知と情のどちらが大事か、私には結論は出せないが、校長の書いておられるように「言葉や文章はメディアになり、人間の本来の本質がしごくまっすぐに、はかなく、つたなく、しどけないものである。」ならば、多いに勉強したいと思う。なぜなら私は日々、「言葉をメディアにし、日々、しごくまっすぐに、はかなく、つたなく、しどけなく」生きているからだ。でも、下手な考え休むに似たりで、煙草の本数は増えていくが、なにも絵図として完成していかないのが気になる…。ふ~む。 雪破 拝
2004年06月21日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0969夜『解明される意識』ダニエル・デネット 薄衣の 質感ゆれる モニターに 雪破 柔肌の 意識のしめり 蚊帳の中 雪破 寝苦しき 夏の夜脳に ノイズあり 雪破◆最近、デザインにコンピュータが入ってきてホントに良かったのだろうかと思っている。レコードからCDになって、音楽を楽しむときの「ある種の品格」がなくなった。携帯の文化もそうだろう。車内で携帯に夢中になっている人の姿を「神々しい」と感じる人はまれだろう。読書する少女や老人には「ある種の品格」を感じることができる。いまデザインにもなにかしら、そういう品格が失われているような気がする。しかし、制作現場では、そういった品格がなければ絶対にいいものはあがってこない。これは確かなのだが、その前に、「予算がないから、そんなに手間ひまかけなくていいです。」といった声がかかる。便利さと品格を同次元で語るつもりはないのだが、「そこをなんとかならない」のだろうか。 雪破 拝
2004年06月20日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0968夜『うつろ舟』澁澤龍彦 胞衣かぶる 赤子に若葉の 後神 雪破 まぐわひて 諸行無常の 滝の音 雪破 行水に 諸行無常の 御小水 雪破 うつろ舟 流されてきて 幻夜に 雪破 夜の海 生きたる証 いばりひる 雪破◆澁澤龍彦、網野善彦、松岡正剛、中沢新一、みんな「後ろのうつろ」を語りだしている。輝かしい21世紀は前が見えない。日本の政治家で「うつろ」や「後神」「宿神」がわかる、あるいは興味を持っている人が何人居るのだろう。すこしでも「感じたら」、あんなに急げないはずだ。前が見えない時代に。 雪破 拝
2004年06月19日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0967夜『とわずがたり』後深草院二条 明けゆくや 雪の曙 淡き恋 雪破 君が瞳(め)に 雪の曙 ほの白く 雪破 君想い 有明の月 かたぶきぬ 雪破 恋未練 有明の月 山の端に 雪破◆島田雅彦氏が新聞のコラムで「野村万之丞氏と皇太子」の話を書いておられた。二人は同級生で、お互いに「繋ぐべき血と家の重さ」を気づかっていたという話だ。恋に落ちることは誰しもが出来るのだが、その後の展開は家を継ぐ話になると難しくなる。比較にはならないが、私にも恋をするときに、ふとそのようなことがよぎることもあった。しかし、それを考えたから幸せな恋を得、また考えなかったから燃え上がる恋ができたかというと、平々凡々たる庶民には関係ないことだった。家柄や年齢に関係なく、じっくりと本人同士、恋ができれば、これ以上の幸せなことはないのだろう。ふ~む。 雪破 拝
2004年06月18日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0991夜『おくのほそ道』松尾芭蕉 (初)名人の 推敲きびし 蝉時雨 (後)名人と 推敲キソヒ 蝉時雨 (成)名人が 推敲きそふ 蝉時雨 雪破 (初)編上げて 日和をはかる 深江笠 (後)編上げて 名人かぶる 深江笠 (成)編上げて 発句となりぬ 深江笠 雪破 (初)抜出して 蜻蛉浮かぶ 名人句 (後)微に入りて 微を抜出るや 名人句 (成)微に入りて 微に出る一句 笹竹に 雪破 ◆今夜は何が困ると言って下手な俳句詠みに「芭蕉」である。ついていけるはずがない。まぁ、誰も期待はしてないか。与謝蕪村が出たときは大好きだったのでなんとか頑張った。でも、名人芭蕉である。四六のガマのように脂汗を流すしかない。煙草が減っていく。時間が経っていく。こんなときは「勉強」に限るのかな。なにせ校長は芭蕉を天才ではなく名人と捉えられたのだから、精進すれば…、無理か。*業務連絡[上鬼貫→上島鬼貫、はつ松魚→はつ鰹(?)、生玉神社→生國魂神社だと思いますが…) 雪破 拝
2004年06月17日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0966夜『骰子一擲』ステファヌ・マラルメ 人生の 淡さにしとど 白雨降る 雪破 細き字の ふるえる夏の 夜の帳 雪破 余白責め 淡き人生 白き宵 雪破◆横浜在住の友人のルポライターが初めて小説を書いた。角川書店から出ている『夜はもう明けている』と言う本だ。作者は駒沢敏器という。彼の仕事は自然と関わる人たちのルポが多かったのだが、ここでは都会の男女9人の話が連還記のように綴られていく。帯に曰く「こんなにも大きな闇を抱えながら…どうして人は生きていけるのだろう」とある。骰子の一振りのように人生は淡くもなり濃くもなる。今夜はなかなか書けないので、ジャケット買いした美人ジャズピアニストの「RENEE ROSNES」の「AS WE ARE NOW」を聞きながらやっとここまで書いた。来ないメールを待ちながら…。 雪破 拝
2004年06月16日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0990夜『さかしま』ジョリ・カルル・ユイスマン 人の世の 地獄を浴びて あざみ咲く 雪破 近松の 地獄も見えて 湯上がりに 雪破 聖女いて 百合の姿に 恋地獄 雪破 ◆もう地獄は見た。私が言うのだから間違いはない。でもそれは他の人から見たら天国かもしれない。ある人に「悟りは何回もするもんだよ」と言われ、眼からウロコも落ちた。「リバース・モードの状態にしっぱなし」にしていくことは、なにを「クリエイティブ」するのにも必要だと思う。でも、いま「ホントに」そういう状態にもっていける仕事がない。歴史は正史だけ、病気は良性だけ、恋は成就のみ、機械は故障しない、そんな世の中あるはずない。これは「間違いない」。 雪破 拝
2004年06月15日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0965夜『クラフトワーク』パスカル・ビュッシー ノイズ来て デュッセルドルフに 驟雨来る 雪破 窓からの デュッセルドルフ 音弾く 雪破 リミックス デュッセルドルフは 時雨れゆく 雪破◆今日は20年来の友人のカメラマンの個展のオープニングパーティだった。久しぶりにしこたま飲んだ。で、帰ってきても俳句を作らなければならない。毎日伴走だから。ウィーッ。昨日から大阪は「近鉄」と「オリックス」の合併問題で揺れている。スクープ(?!)したのが日本経済新聞だったのも、今の大阪を象徴している。パーティも来ている面子が昔からの友人たちとは変ってきていた。パーティは売れている人が元気に見える。でも、笑い顔の下に球団も維持できないくらいの不景気をみんな抱えている。近くの立ち飲みの酒店(飲み屋ではない酒店)で安酒をみんなで飲んで帰ってきた。不景気はやけ酒をとっくに超えている。 雪破 拝
2004年06月14日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0964夜『本朝画人傳』村松梢風 抜き襟の 美人の軸に 吊り忍 雪破 雷雨来て 画人の夫婦 やどりたる 雪破 手鼓を 打って画人が 燕描く 雪破◆これでも美術科出身だから絵は描いたことがある。しかし油絵は一枚も描いたことが無い。大阪人でもコテコテ嫌いはいるのだ。歳とともに軸や屏風絵にどんどんはまっていく。西洋画と違う日本画の特長は、風とともにあるということだ。画面に吹いている風はもちろんのこと、風の通る座敷で無心に軸などを眺めていると、陶然となる。願わくば美人の膝枕で…って、ぜいたくですかね。 雪破 拝
2004年06月13日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0989夜『産霊山秘録』半村良 異能あり ヒの一族の 童立つ 雪破 時空越え ヒの一族の 夏が立つ 雪破 神に添い ヒの一族に 霧が立つ 雪破 ◆表より裏の方がなぜか好みに合う。とっかかりは網野善彦さんの本からなのだが、ぐいぐい魅かれていって、隆慶一郎でどっぷりはまり、ごく最近では中沢新一さんの「精霊の王」でやっぱりなぁと満足した。小学校時代の大半を料理旅館で育ったせいか、表座敷と裏の料理場や帳場、風呂焚きなど、裏方を見たせいだろうか。芸者さんたちもお座敷ではきれいだが、裏の控えの部屋ではただのおばちゃんだったりしたことを見たせいだろうか。仕事でも、はなやかな舞台上よりも制作現場の裏の方が居心地がいい。そこには職人や芸人や異能の人たちが生き生きと働いているからだ。できれば死ぬまで裏方の現場で働いていたい。 雪破 拝
2004年06月12日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0963夜『半七捕物帳』岡本綺堂 捕物の 提灯揺れて 蛍火に 雪破 捕物に 柳に風と 蛙居り 雪破 捕物の 笛つんざいて 時雨来る 雪破◆明日の仕事を考えないでよかった学生のころ、よく推理小説や探偵小説を読んだ。テレビでも捕物帳などをよくやっていた。十手なんかを棒切れや金棒で作って「御用だ、御用だ!」と良く遊んだ。忍者ごっこもチャンバラごっこでも遊んだ。野球帽のつばの方向で順位が決まる「軍艦ごっこ」もよく遊んだ。3,4人の仲良しが居て、また3,4人のライバルチームも居た。息子は1980年生まれだが、彼が小さいころグループで遊んでいるのを見るのは野球かサッカーだった。友達が部屋に遊びに来ても一人ひとりが別々に遊んでいた。いまの子供たちは、与力同心の上役や長屋のおかみさんや御隠居、岡っ引きとその手下なんかの人間関係をどんなふうに読むのだろう。 雪破 拝
2004年06月11日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0988夜『正法眼蔵』道元 充満す 虚無の月光 古寺に 雪破 端座する 色是色の 夏盛り 雪破 法身を 宿したる月 揺らめいて 雪破 ◆「道元」には手が出ない。まいった。で、松岡さんの嫌いなスキーの話だ。「えっ、なんの関係が?」って。道の話なんですよ。私は中学1年生以来、スキーに魅せられてしまった。そして「求道」精神でかなりのめり込んだ。シーズン中はもちろん、7月の月山や乗鞍、滑るのは年中だったし、クラブのOB連で建てた山小屋では電灯を点け夜中の3、4時まで滑った。仲間とシュプールの1ミリのズレまで議論し、道具の優劣、精神論まで闘わせた。街でも電車の中でもスキーに役立つ鍛練をしながら暮らしていた。親友というか悪友の佐々木光は「スキーは重力と遊ぶスポーツ」と名言を吐いた。夢でも何度も滑ったし、日曜日の起き抜けに新雪を滑るCM見て、朝シャンの髪を濡らしたまま、板と靴をもって比叡山の人口スキー場まで飛んでいったこともある。そのお陰で、その日の夕方、ウェーデルンに開眼した。理論書も山ほど読んだし、力学的な書や精神論の書まで読んだ。外国へ出たときもトランジットで降りたホノルル空港では、セーターとスキー板で周囲の笑いものだった。アメリカ、ヨーロッパ、ソ連経由で帰国するまでずっとロシニョールの板を担いで旅行した。グルノーブルとインスブルックの冬期五輪女子大回転コースも滑ってきた。向こうはアフリカというスペインのマラガでもスキーを担いだ私は町中の笑いの種だった。野球評論家の豊田泰光さんはコラムでバットを抱いて寝る選手も居ると書いている。エッジが無ければ私もそうしていただろう。ゲレンデを滑る人々のフォームを見て、大体の性格判断も出来る。板を押して、叩けば性能も解る。雪の状態も数メーター滑れば解るし、足の裏の四隅で斜面の凹凸がわかる。大げさにいえば私にとっての永平寺はゲレンデだったのだ。でも、これは「道楽」と言われるのでしょうね。でも、私は一時期、スキー道にあけくれていた、それは自信をもって確かなことだ。今年の冬は『正法眼蔵』を持って山小屋に籠ろう。 雪破 拝
2004年06月10日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0962夜『レ・ミゼラブル』ヴィクトル・ユゴー 冬ざれて 真紅の椅子の ああ無情 雪破 尖塔に 夕立過ぎて ああ無情 雪破 言葉去り 老女の夏の ああ無情 雪破◆若き日にヨーロッパを旅行していて、金が無くなり、パリで貧乏生活をしたことがある。ヴィクトル・ユゴー広場で、1日千円の屋根裏部屋を確保した。1月初旬のことゆえ、寒くてまいった。部屋に1本のスチームパイプが通っているのが唯一の暖房だった。持っている服をすべて着て毛布1枚のベッドでふるえていた(ホントに歯がガチガチ鳴っていた)。お金がなかったのでひたすら街をうろついて過ごした。ある街角でウィンドウの「姉様人形」を見つけ、入っていくと「留学生の私設支援所」だった。そこに転がり込んで、支援所を活性化する企画書を書いて稼がしてもらい、どうにか帰りの飛行機の日まで食いつないだ(帰りのチケットは持っていた)。私にとってのパリは「ああ無情」どころか「人情」にすがっての街となった。 雪破 拝
2004年06月09日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0987夜『漢字の世界』白川静 回思する 90年の 学徒あり 雪破 一生を 読書に終えて 宇宙成る 雪破 文字刻み 宇宙を覗く 2万片 雪破 ◆不夜城を2つ知っている。一つは立命館大学にあった白川研究室、もうひとつは編工研だ。日に夜をついで、何かが生み出される。私はAB型のせいか睡眠不足に極端に弱い。だから適度な睡眠を取ってしまう。「積み重なる何ものか」は時間が経てばたつほど明確になる。「上方伝法塾は“欠番”となっている」と書かれてしまった。申し開きはできない。まだ、受け取ったものを生かすことが出来ないでいる。事務局長としては歯がゆい思いを2年半もしている。あれこれ手を尽くしてはいるのだが「未だ成らず」である。せつないのだが、大阪はなぜか動かない。いや、それも私の責任なのだ。ただただ……。 雪破 拝
2004年06月08日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0961夜『戦艦大和ノ最期』吉田満 死に場所を 南へ求め 菊花逝く 雪破 春の海 全キ虚脱 艦沈む 雪破 南海の 春の地獄に 巨艦死ス 雪破◆戦後生まれだが、子供心に戦争の気配を感じて育った。「大和」ではなかったがプラモデルでは「戦艦武蔵」を買って作った。父は巨砲の説明に「30サンチ」などという発音をした。全然、次元の違う話だが、好みからするとナンバー1の主役より、ナンバー2のわき役の方がなぜか好きだ。大和より武蔵、メルセデスよりジャガー、フェラーリよりアルファ・ロメオ。今夜の千夜千冊文のなかで、「高性能を選べば、あの規模になってしまった。それが当時の日本の最高水準だった。」と書いてある。これにはびっくりしてしまった。じゃぁ、ナンバー1の巨艦はいったいどのような規模になったのだろう。そしてその精神を今に活かす術はあるのだろうか。 雪破 拝
2004年06月07日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0960夜『野火』大岡昇平 銃剣の 突き刺さりたる 野火の森 雪破 背嚢の 捨てられし原 野火動く 雪破 ジャングルの 陽射しより熱く 野火盛る 雪破◆前にも書いたが、私の父はシベリアに抑留された。信じられないくらい寒さの厳しい話をよく聞かされた。少年時代に読んだ戦記物は熱帯のジャングルの苦労が忍ばれるものが多かった。ヒルの話や飢えの話は、子供心に恐ろしく、徴兵されても逃げようと思った。湿気と熱さに弱い私にとっては、父の語るシベリアの方がまだましだった。しかし、それを我が息子に伝えるとなると悩んでしまう。あまりに日本が平和すぎるからだ。そして、息子を守るために戦地に赴かなければならないとしたら、これまた悩んでしまう。もっと父の話を聞いておくべきだったと息子が大きくなって始めて思った。 雪破 拝
2004年06月06日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0986夜『免疫の意味論』多田富雄 蓮花咲く 泥の中にも 住む生命 雪破 明日知るや 泥の中から 蓮花かな 雪破 宇宙あり 泥の中から 蓮花咲く 雪破 ◆免疫の話を聞くと、「精神的」にも免疫の強い人と弱い人があるような気がする。伴走をしているといろんな人から頑張ってと声をかけられる。ある先輩は、「疲れないようにしてね。凡退するもまたよし。バッターボックスに立つことが大事。」と声をかけてくださった。ただただ頑張ってといわれるよりも数倍元気が出る。気が楽になるということも大いに元気になる元だと思う。 雪破 拝
2004年06月05日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0959夜『知識の灯台』デレク・フラワー そよぐ風 知をざわめかせ 本の森 雪破 血と汗を 端正に詰め 本の森 雪破 大いなる 宇宙たゆたせ 本の森 雪破◆私が育った小学校の図書館はお寺の本堂のような建物だった。畳の上に座って寺子屋のような机で本を読んだ。ときには広い縁側にねそべって冒険小説なども読んだ。いま、図書館は年中冷暖房が効いて快適な空間が多い。無料だし、地域の誰もが入れる。それゆえ、ホームレスのオジサン達のたまり場になるときがある。夏の日朝一番に、ある図書館に入ったとき、彼らの匂いに閉口したときがある。朝一番の世の中の情報を得るために彼らは新聞を読みに来ていたのだ。快適さを求めてか、知の欲求がそうさせるのか、どちらかはわからない。いずれにしても風の通る場所で本を読む快感を私は忘れていない。 雪破 拝
2004年06月04日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0985夜『はにかみの国』石牟礼道子 そっと書く 心の詩に はぐれ蛍 雪破 海山の あいだを飛んで 詩の蛍 雪破 魂へ つぶやく詩の はにかんで 雪破 魂を 浄めつつ聞く 説教節 雪破 ◆「業病のような災禍が覆ってきて」と聞くと、2人の知り合いを思い出す。一人は最近の話で、在日の友人が脳腫瘍によって生活が一変した。それを知らなかったのだが最近、妹さんが店を出したという案内で一部始終を知った。音沙汰無いのは本を執筆していると思っていたから、本当にびっくりした。リハビリをしながらメールでの通信を出している。それによると壮絶な身体になって書道を始め、出来ないことが多いのだが、書によって身体を回復させるのが楽しくて仕方がないという。もう一人は、さる女優さんのことだ。向こうはもう覚えていないだろうが、大阪でモデルをやっているときに友人のカメラマンとその時の彼氏と4人でお好み焼きを食べた。東京へ拠点を移すという前の日で、島根から出てきて社会人バレーボール部にいたときの話なんかを食べながら聞き、東京で頑張るためにはとお説教的な話までしてしまった。その時は、そんなに強烈な印象はなかったのだが、東京へ出て、髪の毛が長くなると同時に人気が出、ミニスカートが短くなって主役をつかんだ。著名なカメラマンや役者、ミュージシャンと浮き名を流し、恋多き女としてメジャーになった。でもあるCMに出て、ひょんなことからバッシングを受けた。彼女の責任ではないと思うが、ギャラも返し、謝罪した。どちらも本人が望むことではなく、ほんとうに人生が一変した。石牟礼さんとは全然次元が違うかもしれないが、二人の知人の人生は正から負へ、また負から正へ、大きく変ろうとしている。平々凡々な人生を送る私にとっては、彼女たちへ心の中でエールを送るだけだ。 雪破 拝
2004年06月03日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0958夜『ザメンホフ』伊東三郎 言の葉の 流れを追って 子らの夢 雪破 音読す 夏の絵日記 子らの夢 雪破 国越えて 互いに語る 子らの夢 雪破◆今夜の松岡さんの語り口は「ですます」調で、教室の先生みたいですね。私も教職課程で高校生を教えたことがあるのですが、なかなか難しいものです。おなじ国語を使っていても難しいのに、外国語で教えるのはほんとうに難しいと感じます。と、いうのも、アメリカに住んでいたとき、地域の小学生に「なにか日本のことを教えていただけませんか?」と頼まれたのです。言いだした先生はおせっかいな「アメリカ的善行」からだと思いますが、ほんの軽い気持ちで外国を知らないアメリカの子供たちに日本のちょっとしたことを教えてくれればいいと思われたのでしょう。しかし、しゃべっているうちに私はなぜか日本画のことを話し始めてしまったのです。「余白はただなにも描かれていないスペースではない」とか、「日本画のパースペクティブは一点透視図法ではない」とか、あがっていたせいもあって、結構、むつかしいところへ入り込んでしまったのです。小学生はポカーンと口をあけたまま。でも、白板に絵を描きながらしゃべったので、なにかを感じたようです。授業が終わったあとで、サービスのつもりで「チャーリー・ブラウン」や「スヌーピー」を描いてあげたら、目を輝かせて次も次もと催促されました。結局、日本画の話はどこかへゆき、漫画のうまいお兄さんで終わったみたいでした。音楽や絵画は言葉を越えて通じ合えますが、深いところで理解しあえるのには言葉がほんとうに重要になってくると思います。 雪破 拝
2004年06月02日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0984夜『バルテュス』クロード・ロワ 自己を秘め 裸の少女 午後の窓 雪破 望憶を 漆鏡に 秘めてあり 雪破 秘めやかに 妻の八つ口 緑陰に 雪破 ◆日本ではバルテュスは美術関係の本よりも「高級婦人雑誌」に採り上げられるほうが多かったのではないか? 確かにバルテュスフアンの女性はかっこいい。もっとカッコイイのが節子夫人だ。知性と美貌をそなえ、奥ゆかしい女性はなかなかいない。もう故人の千登美子さんを新幹線で見かけた折りも、思わず見とれてしまった。どちらも着物の着こなしは申し分なく、それが個人の魅力を「武装」しながらも引き立てている。さて男が、そこまで魅力的になるには、ある程度の年齢が必要みたいだ。さて、かっこよく歳をとれるのかな?私には荷が重そうだ。 雪破 拝
2004年06月01日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0957夜『弓と竪琴』オクタヴィオ・パス 陽射し来る 円柱の影 迷宮に 雪破 リズム来て 世にきざはしの 来臨す 雪破 直感に よるべき夏の 涼しげに 雪破 ◆メキシコには行ったことが無い。しかし、アメリカをグレイ・ハウンドのバスでトコトコ(実際は時速160キロ巡行だったが)横断したときに、西南部でなんとなく感じた。強烈な太陽と白壁とに頭がクラクラするような感じだ。瞳の色が薄く強い太陽光線にはとことん弱い自分としては、住むのが苦しいように思えた。光が強いと影も当然強くなる。で、太陽が「善」で、影が「悪」かというとそうでもない。気候が乾燥しているので快適さからいえば、断然、影だ。黄昏時のマリアッチなどは心がとろけるようにも思う。夜がいきいきしている感じがする。メキシコの文化には髑髏や骸骨が良く出てくるが、夜の楽しさをある意味になっているのかもしれない。ゆっくり夜のメキシコを堪能したい。 雪破 拝
2004年05月31日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0956夜『ナショナリズム』姜尚中 半島と 列島の間 男伊達 雪破 記紀綴る 愛国の意(こころ) 青垣に 雪破 民族に 愛国心の パノプティコン 雪破 ◆海外へ住むことになったとき、小さな日の丸の旗をトランクに忍ばせた。愛国心からではなく身の危険が及んだときに“ニッポンジン”だと解らせたかったからだ。別にそれで助かるかどうか、なんの保証もないのはわかっていた。でも、例えば山中で、日の丸は遭難時の目印にもなる。これは確かだ。私は、“群れる”のが好きではない。といっても孤高を気取るつもりもないし、友達も多いほうだと思う。自分一人で世界を、あるいは荒野を旅するとなったら、自分自身の身の安全を考えて当然だし、その延長に国家があってしかるべきだとも思う。「みんなで渡れば恐くない」という言葉があるが、みんなで渡っている人は恐さを忘れているだけだ。 雪破 拝
2004年05月30日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0983夜『連還記』幸田露伴 連還す 有職故実 苔青く 雪破 連還す 風が流れて 風鈴に 雪破 『連還記』 手に携えて 麻背広 雪破 ◆昔、『遊』に「全然日記」という松岡さんの日記が連載されていた。松岡さんの日々の思いや行動、工作舎の中のことがかいま見られ、ムツカシイ記事についていけない私にとってはとても楽しい記事だった。友人の佐々木光君の動静や、見事なデザインをする木村久美子さんらの人の動きとともに個性的な犬やネコの動きもあった。上方伝法塾がはじまった2001年のころ、なにげなく『遊』を読み返していたら、「『連還記』を読まなくちゃ日本人じゃないよ」というような会話が日記にあった。「日本を考えるなら上方」という思いで始まった塾がスタートしていたので、すぐ本屋へ走った。読み始めると凄く面白い。「あっ、こういうつながりだったのか」と目からウロコが鉋屑のようにたくさん落ちた。それからの伝法塾や未詳倶楽部などで、露伴の話題が多く出だした。なんとか『五重塔』の職人の世界についていける世代なので、グッと熱いものが込み上げて来るのを感じながら数冊読んだ。しかし、いま、その熱いものが世間のどこにも見当たらない。文楽の人気が高いのもいいのだが、舞台の上で名作品として観賞するだけではだめなのだ。吉本や松竹新喜劇のように「笑って泣いてほろりとさせる」ものが、日常になければならないのだ。もちろん、文楽もそういう見方で楽しめばすごくわかりやすいし、熱いものが込み上げてくる。なんといっても「情の世界」なんだもの。でもなぁ、太棹が似合う職人の背中もすくなくなったしなぁ。プロジェクトXもいいのだが、ちょっとなぁ。ぐすっ、てやんでぇ。 雪破 拝
2004年05月29日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0982夜『世界大博物図鑑』荒俣宏 草叢に 色生きたるや 博物誌 雪破 水底に 色揺らめいて 生命誌 雪破 青空に 色織りなして 植物誌 雪破 ◆仕事でゲノム関係イベントのデザインに携わっている。文部科学省の肝いりでゲノム研究の最先端にいらっしゃる先生方が、中高生以上の人々へ向けて「ゲノム研究とはなんぞや」を報せるイベントだ。7月31日・8月1日は福岡市天神のエルガーラで、翌週の8月7日・8日は京都でそれぞれ行われる。(詳細は『ゲノムひろば』http://hiroba.genome.ad.jp)ゲノムとはあらゆる生命の暗号集。「ATGC」の30億文字の配列がヒトを形作っていて、並び方がほんのちょっと違うだけで『世界第博物図鑑』のような摩訶不思議な生物がこの世に登場することになる。こんな仕組みを一体誰が考えたのだろう。そしていまのところ広大な宇宙の中で、生命が誕生しているのは地球だけだ。(残念ながら私は地球外生命体にいまだ出会っていない)ミクロの研究がマクロの平和を願っているのに、「人」は勝手なものだ。 雪破 拝
2004年05月28日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0981夜『かたち誕生』杉浦康平 点集め 面を創って 銀河系 雪破 ウスアイと ウスアカ加え 夏の宵 雪破 版刻み 御手が生み出す 色宇宙 雪破 ◆杉浦さんは仏様のような顔をされていらっしゃる。写真で見てそう思っていたのだが、実際にお会いしてますますそう思った。大学の時に憧れて以来20年余りの時を経てのことだった。「彼はねぇ、杉浦フアンなんですよ」と松岡さんが紹介してくださったとき、感激と緊張で頭の中は真っ白だった。噂とは違い、きっちり時間を守られて、資料図版が来た。当時、アナログからデジタルへの移行期だったのだが、カラーコピーの原稿が来た。「印刷物はカラーコピーにするとモアレがなくなるからね」とおっしゃった。元の原稿が印刷物の場合、網点が干渉して嫌な縞模様が出る。それを見越してのことだった。うなった。版下への両面テープ貼りやトンボで合わさず本文文字で色合わせされるとか、さまざまな印刷テクニックを聞き及んでいたので、実際、自分の仕事で披露されるとは思わなかったので、思わずうなってしまった。印刷は基本的にYMCKの4色で刷るのだが、それぞれの版に傷をつけ、ずれたところからのぞくノイズ的な色宇宙を見せてくださったり、杉浦さんには印刷技術を革新された数々のテクニックがある。◆杉浦さんが創られるデザインは理にかなっている。大学へ入った当初、デザインは感性でするものだと思っていた。しかし、入った大学はバウハウス系の理性が勝ったデザインが主流だった。そこでフリーハンド的なデザインをして反抗し、先輩方から散々けなされた。下手なのは仕方ないとして、人格まで否定されるような“理知的な”合評会は大嫌いだった。なんとか理論武装したいと思い、いろいろな人のテクニックを学んだ。知れば知るほど杉浦さんのデザインがずば抜けていた。テーマとテキストとビジュアルがしっかりと融合して、さながら心地よい美術館を訪問したようだった。(実際にはなかなかいい美術館に巡り合えない。)エントランスの空間、手すりの手触り、差し込む光線、計算された作品のレイアウト、心地よい憩いを誘う調度。いつまでも浸っていたい感じがした。それから下手なデザイナーは真似をしまくった。フリーになってもずっとその傾向があったのだが、あるときどうも抜け出せなくなって悩んだときがあった。そして変えてみた。その時、仲の良い優秀な後輩に「荒木さんもやっと引き算を覚えたね」といわれてしまった。うなった。そうなのだ、似せようと思って付け加えてもどんどん離れていく。色と形は自分の中に取り込んで、一番必要なものだけを組みあわせたらいいのだ。それは結局、杉浦さんがやっておられることで、森羅万象、宇宙の動きにそった非常に心地よいものだったのである。杉浦・松岡対談は、淡交社からでている『色っぽい人々』にある。世界で唯一、お二人が色と形についてどっぷりと語り合われた対談だと自負している。(注:ウスアイ、ウスアカとは、印刷の基本色「キ・アカ・アイ・クロ」の基本4色に、調子の幅を広げるために加える中間的な薄い青と赤のインクのことをいう。) 雪破 拝
2004年05月27日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0955夜『日本精神分析』柄谷行人 夕立に 墨をましたる 大極殿 雪破 霧雨が 言の葉奏でる 清涼殿 雪破 唐国と 韓国の文化 笹の葉に 雪破 ◆この本は、買って少し読んだだけで止まっている。千夜千冊で登場すると、また読もうと思うのだが、正直言ってなかなかムツカシイ。着物を着たいと思っていても、ふだんの生活ではなかなか活かせないのと似ている。だからこそ、日本の精神分析をしっかりと読まなければならないのだろうけれど…。すいません。言い訳していてもはじまらないんだけどねぇ。う~ん。すいません。 雪破 拝
2004年05月26日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0954夜『南天堂』寺島珠雄 朱夏の中 アナーキストの 屋根裏へ 雪破 存外な 名前の墓へ 百合を生け 雪破 蒼穹に タバコを捧げ 墓参り 雪破 ◆張りあうわけではないのだが、私の父の名前は「林衛(りんえ)」という。戦争へ行き、銃剣道の猛者となって、シベリアへ抑留されて帰ってきた。板前だったのだが、世代にしては背が高く、復員後は皮ジャンを着て守衛もしていた。歳をとって、肺ガンを疑われて入院したとき、何か欲しいものはないかと尋ねたら、「ゲルべゾルテ」と言った。シベリアで覚えた楕円形の切り口をした東欧の煙草だった。本当は好きな設計の道へ進みたかったらしいのだが、戦争が邪魔したようだった。病室へこっそり「ゲルベゾルテ」を持っていったら、にやっと笑って香りを嗅いでいた。 雪破 拝
2004年05月25日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0953夜『未来のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン 図書室に 聖女娼婦に なりぬ夏 雪破 図書室に 聖女生まれる 夏の午後 雪破 図書室に 未来のイヴの 降臨す 雪破 ◆昔、杉山登志というアートディレクターがいた。資生堂のCMを作っていた人だ。図書室で少年がふと年上の女性に恋をしてしまう叙情的で透明な映像が見事だった。“リッチでないのに リッチな世界などわかりません ハッピーでないのに ハッピーな世界などえがけません 「夢」がないのに 「夢」をうることなどは・・・とても 嘘をついてもばれるものです”といって自殺した。それから日本のCMは本当につまらなくなった。 雪破 拝
2004年05月24日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0952夜『李白詩選』李白 月光に 盃白く 卓の上 雪破 手の影が 群雲になる 盃の月 雪破 ジャズバーで 謫仙気取る 三日月夜 雪破 ◆最近、美味い酒が飲めていない。バーにいい会話が無いからだ。話題をつなぐ「月下氷人」も少ない。いいバーテンダー、話題豊富な常連客、寡黙だけれど眼で語る先達。背伸びして先輩方の話題に割り込んでいった日々が懐かしい。そうか、後輩を育てることもしなくては。伝法、伝法。でも、食らいついてくる年下の友人がすくなったのも確かなのだ。 雪破 拝
2004年05月23日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0951夜『阿闍世コンプレックス』小此木啓吾・北山修編 ホオズキに 母のくちびる 鬼子母神 雪破 台所 阿修羅となりぬ 母の居て 雪破 青畳 不空羂索の 母立てり 雪破 ◆京都に住む木版画家の木田安彦氏は大学の先輩である。学校を出て、ずっと後に取材をさせてもらって知りあった。それ以後、勝手に懇意にさせていただいているのだが、木田さんの「不動明王」の軸を買った。真っ黒な表装の金の縁取りが効いている軸だ。私には清水の舞台から飛び降りるどころか、飛び立つような額だった。でも、非常に気に入っているし、その箱書きを田中一光さんが一番良いとほめておられたと聞いて、ますます宝としている。つい最近、その表装をした作者と出会った。第806夜「天使突抜1丁目」の本に出てくる添田伊久男さんだ。 雪破 拝
2004年05月22日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0950夜『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー 西瓜下げ 長男帰る 縁側に 雪破 神思う 次男腕組み 蝉時雨 雪破 瞳澄む 三男の顔 夕立に 雪破 ◆姉二人をもつ末っ子の長男だ。「甘やかされたでしょう?」とよく言われる。決してそんなことはなく、すぐ上の姉とは、喧嘩ばかりしていた。その姉がどうしても肉親と思えなかったぐらい仲が悪かった。しかし、不思議なことに、結婚してからころっとかわった。いまだに不思議だ。いまは親思いの良い姉になっている。家を出たということが、本人にも、こちらにもある種の距離を感じさせ、摩擦が無くなったのかもしれない。パラサイト流行りのいまの兄妹はどうなのだろう。 雪破 拝
2004年05月21日
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☆勝手に伴走・連れヅレ俳句『千夜千冊』第0949夜『東海道四谷怪談』鶴屋南北 蛍火に 戸板ドンデン 白黒に 雪破 血しぶきと お岩の形相 白黒に 雪破 鬼火来て 濡れた麻衣 白黒に 雪破 ◆小さいころに怪談映画をよく見た。白黒映画だったが、いまのフルカラーのスプラッタホラーより恐かった。カラーは、結構、説明的なのだ。(今の若者は、それに毒されている)売れ行き好調で生産が追いつかないサントリーの「伊右衛門」を見たとき、四谷怪談を思い出したのだが、あれは茶舗の創業者の名前だ。宮沢りえと本木雅弘のCMもいい。お岩も、伊右衛門も美男美女の方が恐さが増す。ドンデンで恐さが増すのはビジュアルでもそうらしい。 雪破 拝
2004年05月20日
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