「きらりの旅日記」

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ほしのきらり。

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2019.10.04
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カテゴリ: 美術館・博物館
​​​​​​​​​ベルギー・ゲントは12世紀以来、中世都市として発展を遂げた歴史ある街であります。その繁栄の基盤は毛織物産業であります。富を得た商人たちは競い合いように見事な建築を運河沿いに建設したのでありますが~

ゲントの栄光を語る上で・・・

象徴するものは「ゲントの祭壇画」

「神秘の仔羊」であります


​きらりのわがまま『ベルギー旅日記』・・・第166回​


Sint Baafskathedraal

『聖バーフ大聖堂』

2019年4月12日(金)友人と2人で訪問致しました。


目的は、『神秘の仔羊』であります。


この時、有名な神秘の子羊は・・・


『ゲント美術館』で修復中でしたので


ゲントに到着して直ぐに修復作業を見学してきた私たち


確かに『神秘の仔羊』を含む「ゲントの祭壇画」は、


『ゲント美術館』に揃っておりましたが・・・


なんと~この『聖バーフ大聖堂』にも全部揃って展示してありました。


どちらが・・・レプリカ?どうも~わかりません
​聖バーフ大聖堂は・・・(中央)


12世紀に建設が始まり、16世紀に完成した。


ゲント城壁内では、一番の歴史ある大聖堂である。


​Sint  Baafskathedraal  は・・・​


ゲント市民が聖人として崇敬する「ゲントのバーフ」に由来する


1540年以来、聖バーフ教会となり


1559年以来は、ローマ・カトリック教会の司教座聖堂である。


毛織物職人「ヨース・フェルト」は・・・


聖ヤン教会の管財人を務めており


1410年から1420年にかけて南側の礼拝堂建設に際して寄進を行った。


この時「フーベルト・ファン・エイク」に祭壇を飾る絵を注文した。


これが、


ゲントの祭壇画『神秘の仔羊』である。


それでは、中に入りましょう


ゲントの祭壇画『神秘の仔羊』は・・・別料金を支払入場です。


おっと~撮影禁止


前回、訪問時は大丈夫だったのですが・・・


ゲントの祭壇画・・・とは?

『神秘の仔羊』


(ちらっと以前のブログより思い出してみましょう♪)


2004年、きらり。訪問時に撮影した『神秘の仔羊』

修復前の『神秘の仔羊』です


神秘の仔羊は・・・


ゲントの祭壇画(ヘントの祭壇画)
​Gents altaarstuk​​


「神秘の仔羊」は、下部中央に描かれております
​Het Lam Gods​


初期フランドル派絵画を代表する作品。


手書きハートキリスト教の世界で最も美しい作品​手書きハート


と16世紀のあるスペイン旅行家により賞賛された


ファン・エイク兄弟最大の作品『ゲントの祭壇画』は、


額縁の銘により


兄の「フーベルト」によって開始され


弟の「ヤン」によって完成されたとされる。


ところが・・・この兄弟


弟のヤンは、有名ですが〜


兄のフーベルト作品は、見た事がありません


この超大作「ゲントの祭壇画」は、


100年以上にわたって偉大な美術史家たちが


兄の手による部分は、何処なのか分からず・・・


謎は、今でも解明されておりません


ゲントの祭壇画は・・・


12枚のパネルで構成された多翼祭壇画


日曜日と祭日にだけこの大きな【日曜祭日面】を


平日には翼を閉じて【平日面】を内装を隠すように設計されました。

【平日面】

上段には・・旧約聖書の預言者と巫女

中段には・・「受胎告知」

下段には・・2人のヨハネ「見せかけの彫像」と寄進者夫妻が

地味に描かれています。



制作を開始したのは・・・

兄のフーベルトで、デザインのほとんどを完成させ

1426年、兄フーベルトが死去し

1430年〜1432年、未完であった作品の大部分を弟ヤンが完成させた。

と考えられているが・・・多くは謎であります。


​【日曜祭日面】内装上段中央3パネル:デイシス​

上段中央の3枚

デイシスの構図は・・・

左は、聖母マリア 

中央は、父なる神(イエス・キリスト)

右は、洗礼者ヨハネ

​このような並びの事を「デイシスの構図」と呼ぶ。​

キリストを真ん中に

聖母マリア・洗礼者ヨハネが両側に位置する組み合わせは、

ビザンティン美術のデイシスと呼ばれる構図は、

ここでは、それに由来するかもしれない。


デイシス

(右)緑のマント「洗礼者ヨハネ」

視線も、右手人差し指も

神を指しているのでしょうか?

通常のラクダの皮の衣装の上に

協会儀式用の艶やかな緑の祭服をまとっています。

見事な描写の書物は、旧約聖書「イザヤ書」

第40章1節冒頭「慰めよ」のページを開いている。

背後の金には・・・

「そは、洗礼者ヨハネなり・・・主の立ち入る会い人なり」

という銘がある。


​デイシス​

​(中央)赤い衣「父なる神」​

教皇の三重冠をかぶって

水晶の錫を左手に持つ堂々たる神は、

右手で祝福を与えている。


足元には、王冠が置かれて

地上の支配者たることをも示す。

下段パネルの精霊の鳩と

キリストを象徴する

祭壇上の子羊が縦一線につながって

父と子と精霊の三位一体を示す。


また背後の織物には、

キリストを示す

銘やペリカンなどの象徴が描かれ

この像が

父なる神でもあり

キリストでもあることを暗示している。

背後の金の銘文には、

「これは神なり、その神聖なる威厳のゆえに全能の神なり・・・」

とある。


デイシス

(左)青い衣を着た「聖母マリア」

目を伏せ聖書を読んでいます。

冠は、彼女が天上の女王であることを示すが

その冠は、キラキラ輝く12の星と

百合・薔薇・鈴蘭・オダマキなどで飾られている。

12の星は、黙示録の女とも重なるが

背後の銘文には、

つぎのようにソロモンの花嫁を示す言葉が刻まれている。

〈知恵は、太陽よりも美しく、すべての星座にまさり、光よりもはるかに輝かしい。

 知恵は、永遠の光の反映、神の働きを映す曇りのない鏡〉

「知恵の書」第7章29-26節。

ここにも多重的な役割をもつマリアが描かれている。



左は、アダムのパネル 2番目は「奏楽の天使」歌い奏でる天使たち

祭壇画の中で両端には、アダムとイヴが・・・

背景が暗いので2人の裸体像は、

手前にいっそう迫ってくるように感じる。


右は「合唱の天使」 右端は、イヴのパネル


中央の聖母マリア、洗礼者ヨハネの左右には・・・

「合唱の天使」「奏楽の天使」が左右に描かれ

デイシスの隣に歌い奏でる天使を配すると言う構図は

天界は、諸王の王の従者であり

中央パネルのキリストあるいは神に付き従っている。

これは、15世紀初頭の聖人伝にはごくありふれた内容であり

当時のネーデルラント美術で天使を描写する時によく用いられた

しかし、ここでは

天使を特徴付ける事物が・・・無い!

天使に翼が無い

顔が理想化されていない

普通の人です〜これは、独自のスタイルである。

アダムの右足は、足の裏までが見えて枠から出ているように見える!

アダムの右「合唱する天使」

8人の天使がいくつかのパートに分かれて歌っている

北方では、木彫祭壇など木彫が盛んであった。

その優れた家具がこの譜面台である。

台の上部両脇には、

旧約の預言者2人が座し

中央部には竜退治をしている聖ミカエル

最下部には、脇を向く猿

こちらを見る猫などが悪戯のように

果物の合間に彫り込まれている。

床は、白地に青のマジョルカ焼きのタイルである。


イヴは、巨匠「デューラー」が『ネーデルランド旅日記』で

「あまりにも素晴らしい!ことにイヴ、マリア、父なる神が大そう良い」

と述べている。

イヴの左となり「合奏する天使」

6人の天使たちがオルガン

ハープ、ヴィオラ、ダ・カンバなどを弾いている。

天使の頭髪の輝き

豪華な錦織りの布地

オルガンの木製部と金属部との

質感の相違も明快に描写されている。

翼も無く衣装も天使らしくないですが〜

この現実感に天国と絵を見る人々の境を無くした

エイクの素晴らしさに感動します。


​中央・下段『神秘の仔羊の礼拝』​


中央壇上にいる神秘の仔羊は・・・

今回の修復で最も大きく直された顔部分(これは修復前)

仔羊の周囲を天使たちが囲み

その仔羊に向かって

聖なる乙女たち、聖職者たちが進んでいる。


画面下では・・・

生命の泉を挟んで

右には、ひざまずく十二使徒を先頭に教会の聖人たち


左には、族長たちを先頭に旧約や

月桂冠をかぶるウェルギリウスなど

古代の偉人たちが描かれている。


正八角形の「生命の泉」は・・・洗礼を示唆する。

つまり

祭壇では・・・ミサ

泉では・・・洗礼

キリストの死と生を象徴する教会儀式が

ここで造形化されているのであります。


​下段・右翼「隠修士たち」「洗礼者たち」​

ともに中央の神秘の仔羊を礼拝しに行く人々

左「隠修士たち」で・・・

聖パウルス、聖アントニウスらに導かれる隠修士たちの

背後の岩陰には、2人の聖女

おそらくマグラダのマリアと

エジプトのマリアが見える。


右「巡礼者たち」は・・・

大男の聖クリストフォルスに率いられる

なかには、

サンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼者の印である

貝殻を帽子につけた人もいる。


背景の柑橘類・棕櫚(しゅろ)・笠松・糸杉など

南方の植物は、南から集まる人々を示している。

これらは、ヤンの南方旅行の経験をも示唆する。


​下段・左翼「正しき裁き人」「キリストの騎士」​

左翼下段も・・・

神秘の仔羊を礼拝に行く人々ですが

右翼と違って、いずれも馬上の人である。

しかも景色は・・・

南方風ではなく

北方からの人々を描いています。


左「正しき裁き人」には・・・

ブルゴーニュ公たち

右「キリストの騎士」には、

聖マルティヌス、聖ゲオルギウス、

聖セバスティアヌスなどが含まれている。

・・・2019年9月のブログより・・・


やはり『神秘の仔羊』は、素晴らしいです手書きハート


しかし、この写真は修復前の撮影であります


現在は、修復の技術も分析も進化しており


ファン・エイクの描かれた当時の美しく


キリリとしたお顔の仔羊⇒キリストの姿が再現されております。


ぜひご訪問の際は、じっくり鑑賞を願います。


ゲントを語る上で重要なのであります~


長々と語りました~最後までありがとうございました。


・・・つづく・・・



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最終更新日  2019.10.04 00:10:07
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