カエルの王子様


カエルの王子様



 あるところに、顔は中の上くらいの素直な女の子がいました。

 女の子が道を歩いていると、どこからともなく女の子を呼ぶ声が聞こえてきました。
 それはなんと小さな小さなカエルでした。
 女の子はカエルなどのヌメヌメ系は苦手だったけど、素直な子なのでカエルの話に耳を傾けました。
 するとカエルは言いました。
「僕は悪い魔法使いに魔法をかけられてこのような姿にされてしまったんだ。助けて欲しい」
と。
 女の子は素直な子だったのでカエルを助けてあげることにしました。
「じゃあ僕にキスをしてくれ」
 カエルは少しの恥ずかしげもなくその言葉を口にしました。
 女の子ははじめ、嫌だと言いました。当たり前です。
 でも、カエルは言いました。
「実は、僕はある国の王子だったんだ。だから、もし君が僕を助けてくれたら、お礼にものすごいプレゼントをあげるよ」
と。
 女の子は少し考えましたが、カエルにキスをすることにしました。

 それは勇気のいることでした。
女の子は口づけする瞬間なんども、なんどもためらいました。しかし、相手はこのような姿になっても一国の王子だと言うのです。さぞ立派なお礼が貰えることでしょう。もしかしたらすごい美形で、玉の輿に乗れるということもありえます。いいえ、女の子が知ってる王子様が出てくるお話は決まってそういうエンディングでした。この場合もきっとそうなるでしょう。と言うことは、キスくらい安いものか・・・思案の結果、お礼に目がくらみキスをしてしまいました。

すると魔法は解け、カエルはみるみる大きくなり、元の立派な王子様になりました。
そこで王子様に戻ったカエルは女の子に言いました。
「さあ、お礼に君を妃にしてあげよう」

 女の子は言いました。
「調子に乗るな。バカ」
 女の子は去って行ってしまいました。当たり前です。
 カエルは巨大なカエルの姿をした、カエルの国の王子様だったのです。


おわり





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