The Life Style in The New Millennium

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Master21

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2003.12.12
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「今でこそリストラなんて珍しくないですが
10年前はカッコ悪かったですよ」
清造さんはザルを丁寧に編みながら話した。
宮城県の山村で竹細工の教室を開校して10年になる。
きっかけは、会社をクビになったこと。
生まれつき口下手な清造さんは大学を
出てすぐにカーディーラーのセールスに
なったが、1年で売れたのは3台。
1ヶ月に10台売るようなセールスマンが
いた時代だったので、当然、風当たりが
強かった。1階にあるショールームから
階段を上がると事務室なのだが、
ドアを開けると棒グラフが貼ってあった。
チビもノッポも、いろいろ並んでいるが
いつも一番背が低い棒が清造さんのだった。

年末も押し迫ったある日、事務所に帰ると
ロッカーもデスクもなくなっていた。
部長に尋ねると
「ハッキリ言わなきゃ分からないかな」
とイスをクルリと回転させて背を向けた。
清造さんは生まれて初めて
「死にたい」と思ったそうだ。
職安に行っても求人雑誌を見ても、
なかなか良い仕事は見つからない。
困ったあげく、失業保険を手に旅に
出ることにした。
名も知らぬ駅で降りては
ぼんやりして、お腹が空いたら
おにぎり食べたり、うどんをツルツルやったり
お金がないのでホテルなんて滅多に泊まらない。
無人駅で眠ったり、公園で野宿した。
そんな生活を続けていたが、ある日、清造さんは
何気なく駅の鏡を見てビックリした
無精ひげに伸びっぱなしの髪・・・
「へえ、キリストさんみたいやなあ」
と思ったら笑えてきた。
そんな感じで、半年くらい過ぎて
持ち金がなくなるとアルバイトをした。
皿洗いに荷物運び・・・
放浪生活にも慣れた1年後、清造さんは
九州の宮崎県にいた。とある田舎駅の近くの
農家のおばさんが縁側で竹細工をしているのを
見かけた。
清造さんが何気なく、
「ちょっと、僕にもやらせてください」
と言ったのが始まりだった。
口下手でも手先の器用な清造さんは、竹細工に熱中した。
「1日中やってても、疲れないんですよ」
性に合ったのかも知れない。
それから1年後、清造さんは宮城県の実家近くに
竹細工の教室を始めた。最初は、食べるのも大変だったが、
しばらくするとカルチャースクールに呼ばれたり
デパートの工芸品展などに参加したりで食べられるように
なった。それと、清造さん自身も不思議に思ったそうだが
自分で作った竹細工のカゴやザルなら、
あんなにイヤだったセールスが気軽にできるのだ。
清造さんは、殺し文句を教えてくれた
「こわれたら、私が生きてる限り修理します」
こう言うと手に取った人は、みんな買って行くそうだ。







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Last updated  2015.08.29 10:55:44
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