Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
January 30, 2009
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カテゴリ: 小説
 次の日の朝練、滝さんが素っ気なかった気がした。

昨日のお礼は言えたけど、長くは話せない。それがかなり寂しかった。

朝練が終わった後、楠田君が現れた。

「...錦?ちょっと良いか?」

呼ばれたから、ついて行った。




 屋上に連れて来られた。

「...悪いな。」

「別に良いよ!授業始まるまでに戻りたいから、手短にお願いします。」

用件を聞いた。

「...俺、やっぱり錦が好きだよ!よりを戻さないか?」

意外な発言に、驚きと戸惑いを隠せない。

「な、何を言っているの?楠田君には、穂乃香がいるじゃない!」

散々、酷いことを言われ、やられてきたことを思い出しつつも、揺れていた。

「...想い出したんだよ!お前を好きになった理由を...。あいつには悪いが、錦が好きだよ!」

その瞬間、何かが落ちる音がした。その方向に目をやると滝さんがいた。

「...悪い。聞くつもりはなかったんだが...。良かったじゃないか。これで、よりが戻せるな!じゃあな!」

「...滝さん!待って!」

追い掛けようとしたが、楠田君に腕を掴まれてしまったので、行けなかった。

「...離して!滝さんが、滝さんが行っちゃう!」

必死に離してと訴えるが離さない。

「...好きだ!雛菊...」

久々に呼ばれた名に怯んだ。その次の瞬間、後ろから抱き締められてしまった。

「...愛してる...」

更に強く抱き締められ、彼は口付けようとしたその時だった。私の中で何かが弾けたような気がして、ハッとした。

滝さんといた時間が、写真のフィルムの様に途切れ途切れ、想い出させていた。

そして、次の瞬間、涙を流しながら拒絶した。

「...嫌!離して!!」

必死の抵抗により、逃げ出せ、距離を取った。

「...滝さんが好きなの...滝さん以外、触れられたくない...」

「何だよ!それ!!俺には、雛菊が必要だ!だから、よりを戻そう...」

首を振り、断った。

「...嫌!私の心を癒してくれたのは滝さんが弾く旋律...。もう、戻れないよ...」

彼はまだ何か言いたそうだったが、ドアが開く音がした。

「いた!...楠田!!あんた、まだ、雛菊に纏わりついていたの!」

そこに現れたのは、和沙だった。彼を見るなり苛々した様子だった。その後、和沙がグサグサ、刺すような言葉を言っていたようだ。



 気が付けば、一限目は終わっていた。教室移動で、英語版の映画を鑑賞していたらしい。その間、私は上の空だったので、ここにいることに驚いた。


周りに心配され、大丈夫と言ったが、本当は滝さんのことばかり考えて上の空だった。




 放課後、和沙に心配されたが、部活に行くと言い、別れたが、部活には、具合が悪いからと帰ることを告げ、学校を後にした。




 ある場所にやって来た。

「...こんにちわ♪お爺ちゃま、いる?」

「おお!雛ちゃん。久し振りだね!今日はどうしたんだい?」

お爺ちゃまは尋ねたから、笑って答えた。

「...ちょっと、お爺ちゃまのバイオリンが聴きたくなっちゃった。弾いてくれる?」

お爺ちゃまは頭を撫でながら言った。

「...ああ、良いよ!好きな所に座りなさい。」

お爺ちゃまの演奏は始まった。
お爺ちゃまの演奏は、いつだって、お爺ちゃまのように大らかで、包み込んでくれるような音色で、辛くなると愚痴を言う代わりに、お爺ちゃまの奏でる旋律を聴きに来る。



「...おやおや。もう眠ってしまったんだね!さて、和巳に連絡しなくちゃな。」




 「...東先生!雛が、行方不明です!」

息を切らして、和沙がやって来た。

「葛城さん、大丈夫だ。あいつの居場所は判っているから、これから迎えに行くんだ。だから、心配しなくて平気だよ!」

そう諭した。





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Last updated  February 10, 2009 01:18:58 PM
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