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完全なる証明
マーシャ・ガッセン 青木薫 訳 文春文庫100万ドルの賞金がかけられた数学上の問題「ポアンカレ予想」。今世紀中の解決は無理といわれた難問の証明を成し遂げたロシア人ペレルマンは、しかし賞金を断り勤めていた研究所も辞めて、森へ消えた。なぜか? 彼と同時代に旧ソ連の数学エリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフィクション。解説・福岡伸一
余談ですが、ペレルマンが証明を発表した後、中国の数学者もポアンカレ予想を証明したと言い出しました。中国といえば、著作権や肖像権を無視して自分のものにしてしまうイメージがあるのですが、数学でも同じようなことをやっていたというのはなんだか苦笑してしまいます。また、その数学者たちがニューヨーカー誌に対して謝罪を求めたという一文を読んだ時は、この国の人たちは謝罪ばかり求めているのだと、あきれてしまいました。勿論、この中国人数学者たちの論文は後に否定されています。この本は、ドキュメンタリーのようで実によく出来ていると思いますが、ペレルマンへのインタビューが一切無いというのはやはり些か物足りなさも感じます。逆に言えば、ペレルマンへのインタビューが無いのにここまで描けたのは凄いですが。ちなみに、この著者、マーシャ・ガッセン。男性だと思って読んでいたのですが、最後の訳者あとがきに『著者ガッセンがその難事をなしえているのは、彼女自身の生い立ちによるところが大きい。』という一文を読んだ時に初めて女性だとわかりました。確かに“マーシャ”は女性らしい名前に思いますが、意外に英語圏以外の名前というのは男性か女性か一瞬で判断しにくいです。
ペレルマンとは関係のないところで印象に残った文章があったので、書いておきます
偉大な数学者になりたければ、音楽や視覚芸術や、詩に通じていなければならないし、それと同じくらい身体も丈夫でなければならない―それがコルモゴロフの考えだった (37ページ)
むしろたいていはうまくいかないもんだ。それが普通だよ。それが人生というものさ。 (195ページ)数学者というのは誰も解いたことのない問題を考えているわけなので、やはりそうは簡単に証明ができたり新たな数学の分野を作ったりはできないものなのだと改めて思いました。人生もうまくいかないのが普通だと思えば、何事にもめげずに生きていけそうです。
数学者とは、ものごとを徹底的に区別し、それらを整理し、体系づける人たち―いわば偉大なる分類学者なのである。 (212ページ)数学者を分類学者と同類というのは初めて目にしました。数学者といえば計算、あるいは演算、というようなイメージですが、確かに現代数学では様々な分類をしているようなので、分類学者とも言えるのでしょう。
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完全なる証明
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