今が生死

今が生死

2008.06.22
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カテゴリ: 読書
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クチナシ:アカネ科 クチナシ属、原産:東アジア、日本では本州南部から四国、九州、沖縄の野山に自生。ジャスミンのような香りがする。花言葉は「幸福者」「清潔」「清浄」「優雅」

ある方から頂いたフランク・マッカートの「教師」をやっと読み終えた。アイルランドからのアメリカ移民の子、フランクの教師としての自伝的小説である。

フランクは移民の子としてアメリカで生まれたが子供時代はアイルランドで育った。アイルランドでは貧乏でみじめな生活を送っていたが、19歳の時アメリカに渡り、港湾労務者(沖中仕)などをしながら大学に通い、教員免許をとって30年間にわたってニューヨークの高校の教師を務めた。

最初はいくつかの実業高校で、学業レベルの低い生徒に国語を教えていたが、縁故関係で、後に超有名進学高校の教師になった。入学倍率は何十倍、大学進学率はハーバード大学など超有名大学に大勢の生徒が合格するという進学校だった。

物語は様々な生徒とのふれあいを飾らずありのままに述べたもので、やや盛り上がりに欠けるかなと思えた時もあったが、心動かされたエピソードもあった。

最後の方で韓国系移民のケンについての話があった。アメリカは移民の国で、生徒の大半は様々な国からの移民の子である。

ケンの父親は八百屋だったがケンとその妹にピアノを教えようと台所のテーブルに鍵盤を書いて教え込もうとし、間違えるとしゃもじのようなもので指を叩かれた。小学校、中学校時代も教育パパの言うままに勉強や習い事をして、高校はフランクのいる、有名進学校に入学してきた。

大学進学について父親は韓国に帰っても誰もがすごいと言ってくれるハーバード大かMIT大に行くように求めた。今まではすべて父親に従ってきた息子だが、大学については父親から最も離れて遠いカリフォルニア州のスタンフォード大学に進学すると言い張った。父親はせっかく有名進学校に入ったのに、ハーバードに行かないなんて近所の人がなんと思う?所属教会からなんと言われるか分かっているのかと怒り狂った。

韓国から出てきて英語力もままならない中で、昼も夜も果物や野菜を売り歩いて子供の教育に全てを捧げてきた父を悲しませたくなかったが、子供時代ならともかく高校生となったのにまだ自分の人生を支配してもらいたくないと思ったのだと思う。ハーバードに合格する力は十分持っていたが、父に反抗したのだと思う。

野球のイチロー選手に対する父親のスパルタ教育は有名だが、父親と子の夢が同じだったから成功したが、子の気持ちを考えないで、強引に自分の思う方向に教育しようとする親は子にとって大きな負担になることを認識すべきだと思う。





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Last updated  2008.06.23 21:13:42
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