今が生死

今が生死

2008.09.10
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カテゴリ: 健康
施設に入っている認知症の89歳の女性が下血して食事を食べなくなり、ぐったりしてしまったとのことで病院外来に来た。この状態では入院しかないと思って部屋を何とか工面してもらって入院させた。

検査の結果は著明な貧血(正常の半分)と中等度の腎機能障害があった。点滴をしたら元気になってきたが、元気になったら、診察しようとするとかたくなに拒否する状況で、下血の原因を調べるにも大腸鏡や注腸バリウム検査ができる状況では全くなかった。また夜中騒いでいて手がつけられない状況だったとのことである。

子供さんがいないので弟さんが連絡係をしてくれているが、貧血がひどいので輸血をしましょうか?と聞いても弟さんも困ってしまうのではないかと思い、聞くまでもなく輸血は見合わせた。入院前腎機能が段々悪化してきたことに対し、施設で、いざとなったら血液透析(人工腎臓)をしますか?と聞いたところそれはしないで下さいとの返事を貰っているとのことだった。

親子の関係と兄弟の関係では、多少の気持の違いはあるかもしれないが、89歳の認知症の方に透析や輸血をするかといえばノーだと思う。

人の命は尊く、どのような場合にも差別をしてはならない。誰に対しても現在の最先端医療を施すべきである。ということは分かる。しかし輸血すべき血液には献血してくれた多くの人の真心が込められており、透析には莫大な金が国から補助されている。それらは健康で意義ある人生を取り戻して頂くために用いらるべきであるとの見方もある。認知症の場合は当てはまるであろうか?

食事が食べられるようになり、下血も一時的に止まっていたので、入院4日目の昨日退院した。ぐったりしている時はよかったが元気を取り戻してからは騒いだり、暴れたりするので、当院では大変だったが、施設に「食事が食べられるようになった」と連絡したところ、すぐに迎えに来てくれて、すごいと思い頭が下がった。

施設の目的や規模、環境にもよるが、認知症といえばどこでも敬遠しがちだが、今回快く引き受けてくれたT施設の職員を尊敬し、心より感謝する。





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Last updated  2008.09.10 22:03:05
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