今が生死

今が生死

2014.09.16
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カテゴリ: 先端技術
日本医師会雑誌の9月号の特集は出生前診断に関する基礎的方法論と、ダウン症などの障害がある児は排除されるかもしれないという倫理的問題が論じられている。

日本で出生前診断を受ける割合は約6%で、欧米では50%以上の妊婦が受けている。この違いは欧米では原則的に妊娠初期胎児スクリーニング検査を受けるが、受けない権利も認められている。日本では原則的にその検査を受けないが受ける権利も認めるという姿勢の違いによるものだろうと述べられている。

出生前検査で異常ありと診断された場合、中絶するかしないかの決断をしなければならない。そんな辛い思いをする位なら最初からそのような検査を受けない方がよいと考える日本人が多いのだと思う。私も日本人だからかそのような考え方の日本人が多いことに安心した。

特集記事は69ページに及び、読み応えがあり、全てを紹介することは出来ないが、印象に残った不妊治療や習慣性流産に関する出生前診断に関する論文を紹介しようと思う。

着床前診断という技術があり、それは体外受精して体外で受精卵の割球を生検して、異常がないと診断された受精卵を子宮に戻す技術だが、その技術が用いられるようになって15年経つが、その技術で治療を受けた人と受けない人では、健康な子供が生まれる出生率も、流産率も差がないことが明らかになっている。それなのにそれを広く広報しないで、非常に高額なそのような治療法が今も行われていることに関し、生殖医療にかかわる者のモラルが守られないのであれば法整備が必要であると述べていた名古屋市立大学 杉浦真弓教授の論文に感銘を受けた。

最新技術は素晴らしいとか、料金が高い技術は効果があると思う心理が働き易いが、上記でみてきたように、出生前診断を受ければ却って悩みを持つことになるし、非常に高額な着床前診断を受ければ流産しなくなくなるわけではないことを考えれば、受診者も医師も生殖医療に関しては新しい技術に軽はずみに飛びつかない方がよいと思った。





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Last updated  2014.09.16 21:21:13
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