今が生死

今が生死

2020.07.10
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カテゴリ: 読書
高崎健さんが師匠である外科医中山恒明さんの教えについて書いた本「鬼手仏心」を読んだ。中山恒明さんは食道や胃がん手術で先駆的方法を生み出し外科学会に大きな功績を残した方だが東京女子医大に消化器病センターを設立し、6年間の臨床練士研修医制度を作り立派な技術を身に着けた多くの優秀な医者を輩出して、現在の研修医制度の原型を先駆けした人でもある。
医学部6年終了して国家試験が受かっても実際には何もできない。臨床現場で先輩の教えを受けながらみよう見まねで診療技術を磨いて初めて一人前の医者になれるのだ。診療技術とは手術や胃カメラ等が上手であることは勿論だが心構えが大切で常に医局員や練士研修医には医師の心構えについて話をしていた。医師の心構えは古代ギリシャの「ヒポクラテスの誓い」が源になっているが現在世界医師会で採択されている医師会宣言というものがあり、それについて言及することもあった。その主な内容は
〇医師たるものは人類への奉仕に自分の全てを捧げることを厳粛に誓う
〇自分の受け持ち患者の健康を自分の第一の関心事にしてその人の健康のために全知全能を尽くす。自分の力が及ばない時にはその力がある医師に紹介してお願いする。
〇患者は性、年齢、人種、信条、宗教、社会的地位、犯罪歴などいかなる条項によっても差別してはならない。
〇診療上知りえた患者の秘密はたとえその患者が死んだ後でも漏らしてはならない。 等で本筋はヒポクラテスの誓いに則っており読みやすい現在文になっていると考えてよいと思う。

しかしこれを読んでみて自分を含めどれだけの医者がこれを実践しているだろうかと思った。中には金儲けのために医療をしている人がいるかも知れないし、美人とかお金持ちは優しく丁寧に診療するが不細工な人や貧乏人はぞんざいに診療する医者もいるかも知れない。患者の秘密をこっそり漏らしている医者もいるかも知れない。現実にはヒポクラテスの誓いはあまり守られていないという現状だと思う。その中で中山先生は技術を教えるだけでなく医者の心構えについても常に教えており立派な先生だったのだなと思った。私もこの本を読むまでは「医師の心得」をそれほど認識していなかったが、当たり前のことばかりだが今後心していこうと思った。





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Last updated  2020.07.10 22:16:10
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