今が生死

今が生死

2021.04.09
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テーマ: 脳梗塞(6)
カテゴリ: 健康


その時は様々な病態が考えられるが脳卒中の可能性があるのでかかりつけ医よりもまず119番に電話するのがよいと脳卒中の発症時対応について日本医大教授の木村和美さんが日本医師会雑誌4月号に分かりやすく解説しているので紹介する。
この10年で脳卒中急性期治療の進歩は目覚ましく30分で診断が可能になり、血栓溶解薬(アルテブラーゼ)の静注と血栓回収療法の登場で今迄は死亡していたか植物人間になるような人が歩いて退院するなど脳梗塞は治せる時代に変貌した。
血栓溶解静注法のポイントは発症直後ほど血栓が溶けやすいので発症後出来るだけ早く投与することが重要である。発症後4.5時間以内なら有効と言われている。
しかし内頚動脈や中大脳動脈などの太い血管が詰まった場合にはカテーテルを入れて血栓回収療法を加えることにより著明な改善が得られることが明らかになっている。この血栓回収療法は発症後24時間(1昼夜)以内なら有効と言われている。いずれにしても早ければ早いほど良いので最初に書いた119番に速やかに電話してもらいたいとのことである。
119番の電話を貰った救急隊は現場に着いたら直ちに患者が脳卒中かそうでないかの鑑別が必要で脳卒中なら脳出血か脳梗塞かの鑑別が求められる。血圧が高く、意識障害があり心房細動がない場合の多くは脳出血である。それ以外は脳梗塞の可能性があり、1)目がどちらかに偏移していないか2)時計を見せて時計といえるか、3)指4本を見せて何本か聞いて、このうち一つでも異常があれば太い血管の閉塞が疑われ血栓回収療法可能病院に搬送する。東京都では昨年4月1日から救急隊がパソコン(タブレット)を持っていてリアルタイムで血栓回収療法が可能な病院を明示してくれる世界に類のない素晴らしいシステムを導入して一刻も早く搬送できるようにしているとのことである。東京都以外では各県の大学病院とか主幹病院なら大体それを行っているとのことだ。
昨年10月「循環器病対策推進基本計画」が閣議決定され、各都道府県でどのように運用していくか討議されている。
木村さんは最後に「血栓溶解療法や血栓回収療法を受けられる患者はまだ少ないのが現状である。この法律が生きた法律になり、一人でも多くの患者が救われる国になることを願う」と述べていた。国、医療者、救急隊、地方自治体、国民が一体となることによって国民の健康は決まるのだなと改めて思った。





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Last updated  2021.04.09 12:57:07
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