今が生死

今が生死

2021.11.10
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カテゴリ: 読書


釈迦族の王子であった仏陀が生きる目的が分からず悩みぬいて妻子や一族を捨てて修行の旅に出た理由や最終的に救われた思想について「ゴーダマ・ブツダその先へー思想の全容解明」の著者で創価大学大学院教授 羽矢辰夫氏が11/6の新聞でインタビューに答える形で解説してくれていたので紹介する。
仏陀の本当の苦しみは何だったのか?それは一般的には欲望のために苦しみが生じたのではないかと言われているが著者はそうではないだろうと述べている。食欲、性欲、睡眠欲、生存欲などは人間誰にもあることでそのことで悩んだのではなく、苦しみの根源的原因はサンカーラ(自我を形成するもの)だと述べている。
サンカーラとは人間の自我を形成する原動力であるがそれによって自分と他人を分離して自己の孤立化や自己の存在根拠が分からなくなってしまうので苦しむのであると述べている。このサンカーラを鎮めることが出来れば自分と他人を区別する自我が収まって自他融合型の自己が現れてくる。自分は孤立していて他者とばらばらな存在ではなく、他者と一緒の存在であることが認識出来た時に苦しみが解決できるが、このサンカーラが鎮まった状態を安楽と呼んでおり、仏陀の思想の核心はここにあると述べている。
著者はバーリ語の文献に基ずいて長年仏陀の思想の研究に取り組んでこられた方なので表現に難解のところもあったが、要するに仏陀が長い修行と苦しみの末に得た救いは自分と他人は同じだとする自他融合思想だったという事だと思う。仏陀が長い修行の末に覚知した悟りの経典である仏教は非常に部厚い深い教えであるが、要点は自分と他人は同じで自分と同様に他人も大事にしなさいという教えだなと思った。
この教えでは他人の領土を奪ったり他人を殺したりしてはいけないが、宗教によっては自宗教を攻撃するものは殺してもよく、自分達の領土や勢力を広める者は神の御心に叶うものとして称賛される。
仏教は他を攻撃しないのでイスラム教やヒンズー教、その他の宗教の攻撃によって衰退の一途を辿っており、勢力圏が減少している中で、幸いにも日本は仏教信者が多い国である。釈迦の自他融合思想を心肝に染めて世界平和に貢献してもらいたいと願っている。





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Last updated  2021.11.10 15:34:03
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